固体電子物性特論

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Transcript 固体電子物性特論

固体電子物性特論
物質・材料系
石橋隆幸
授業の内容
• 物質の構造(2回):
結晶構造、逆格子、格子振動とフォノンについて説明
する。
• バンド構造(2回)
固体におけるバンド構造の基本的特徴、絶縁体、半導
体、金属の特徴とバンド構造を説明する。
• 物質の性質(3回)
物質の基本的な性質である電気的性質、光学的性質、
磁気的性質を説明する。
• 期末試験(1回)
【教科書】「応用物性」応用物理学会編、
佐藤勝昭編著、オーム社
【成績の評価方法と評価項目】
演習問題30%および定期試験(70%)により評価する。
授業項目の60%以上の理解・習得を単位認定の基準とす
る。
【留意事項】
理解困難な点、不明な点がある場合には、授業で質
問すること。授業時間以外の質問は、随時受け付ける
。
本日の内容
• 原子の結合と結晶構造
•
•
•
•
イオン結合
共有結合
ファンデルワールス結合
金属結合
• 逆格子と回折
イオン結合
• 代表的なイオン結晶
Na原子とCl原子の周りに電子が集
まっている。
Na+
Cl-
閉殻構造
QuickTimeý Dz
êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ
ǙDZÇÃÉsÉ NÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
アルカリ金属のハロゲン化物
NaCl, LiF, KI, KBr
アルカリ土類カルコゲン化物
CaS, SrS
共有結合
• 代表的な結晶
• Si,Ge,ダイヤモンド, GaAs
QuickTimeý Dz
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ǙDZÇÃÉ sÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïK óvÇ­Ç•
ÅB
原子と原子の間に電子密
度の高い部分がある。電子
は、二つの電子で共有する
ことによって原子同士を結
びつける手(ボンド)になっ
ている。
共有結合
• CuInSe
次世代の高効率太陽電池材料
として実用化
ÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
VI
CuInSe2など
QuickTimeý Dz
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ǙDZÇà ÉsÉNÉ`É ÉǾå©ÇÈǞǽDž
GaAsなど
V
III
Si, Geなど
IV
III
I
結晶格子の分類
ブラベー格子 14種類
結晶点群 32種類
空間群 230種類
ブラベー格子
結晶の格子と逆格子
並進対称性
QuickTimeý Dz
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ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
Na-Clの組が前後・上
下・左右に規則的に繰
り返される。
基本格子
r  n1a  n2b n3c
a, b, c は基本並進ベクトル

逆格子の重要性
• 回折現象
X線回折、電子線回折、中性子線回折など
• 物性の考察
電子構造
運動量空間(k空間)
周期構造による回折
レーザー光の回折の例
回折とは何でしょうか?
二重スリットに光を入射させたときを
考えてみましょう。
スリット
スリット
二重スリットに光を入射すると
二つのスリットからの光は広がります。
そして、光は図のように初めとは
異なった方向へすすみます。
それでは、実際にみなさんに見せたいと思います。
図のように、ガラスの上に作られた金属のパターンに
レーザー光を照射してみます。
金属のパターン
なにがおこるでしょうか?
レーザー
レーザー光は、金属のパターンによって
いくつかの方向に分かれましたね。
金属のパターン
レーザー
結晶の格子と逆格子
並進対称性
QuickTimeý Dz
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ǙDZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇ­Ç•
ÅB
Na-Clの組が前後・上
下・左右に規則的に繰
り返される。
基本格子
r  n1a  n2b n3c
a, b, c は基本並進ベクトル

フーリエ解析
• なぜフーリエ解析か?
– 結晶は、電子密度 n(r) が周期的に配列
– 結晶の諸性質は電子密度のフーリエ係数に
直接結びついている
a
(r) 

C exp(ing r)
n

0
2
ただし g0  a
n

1
Cn   (r)exp(ing0r)dr
a

周期性
a を保証
問題
もんだい
かいせつ
じょうけん
じしき
ここで問題です。回折の条件は次式で
あた
与えられます。
dsin  n
しゅうき
または
ひかり
n
(rad) 
d
はちょう
dはパターンの周期、は光の波長、
かくど
せいすう

θは角度、nは整数です。


d=5m、=500nmのとき、
もと
θを求めなさい。

d

フーリエ解析
• 位置空間(r)から、周波数空間(g=ng0)へ
a
位置空間
r

周波数空間
(逆格子空間)



4 2

a
a


0

2 4
a
a

g( ng0 )
逆格子
逆格子の基本ベクトル
2b c
2c a
2a b
*
*
a 
, b 
, c 
a  bc
b c a
c a b
*
逆格子ベクトル

g  ha*  kb*  lc*
長さの逆数の次元をもつフーリエ空間のベクトル



逆格子の基本ベクトル
2b c
a 
a  b c
*
基本単位格子
bc
bc の方向で長さが
bc
2
 a  b  c
a のベクトル




a
c
b
逆格子 (体心立方格子の場合)
• 実際に逆格子を求めてみよう!
1
a1  a(x  y  z)
2
1
a 2  a(x  y  z)
2
1
a 3  a(x  y  z)
2
x,y,z
は、立方体の稜に
平行で互いに直行している
単位ベクトル


キッテル、固体物理より
基本単位格子の体積は
a3
V  a1  a 2 a 3 
2
逆格子 (体心立方格子の場合)
• 体心立方格子の逆格子は面心立方格子
2
(y  z)
a
2
b*  (x  z)
a
2
c*  (x  y)
a
a* 
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ÅB

キッテル、固体物理より
逆格子 (面心立方格子の場合)
• 実際に逆格子を求めてみよう!
1
a1  a(y  z)
2
1
a 2  a(x  z)
2
1
a 3  a(x  y)
2
基本単位格子の体積は

キッテル、固体物理より
a3
V  a1  a 2 a 3 
4
逆格子 (面心立方格子の場合)
• 体心立方格子の逆格子は面心立方格子
2
(x  y  z)
a
2
b*  (x  y  z)
a
2
c*  (x  y  z)
a
a* 
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ÅB
キッテル、固体物理より

逆格子と回折
• X線回折や電子線回折の測定は、逆格子
点を計測している。
回折の条件
任意の波
expik r
の位相が k r だけずれると
expik  k r

  expik  r  expik  r
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ÅB
ここで、k  g とすると

位相差
k  k r  k r
expik  k r  expik r
元の波と同じ位相!!
 強め合う。(回折条件)
回折の条件
逆格子空間に置ける回折条件
k  g
k  k g
弾性散乱であるとき k  k なので、


k

2
2

k
g

k

k
 
g
2
2g
k  g
2n
2
,k
ここで、 g 
から
d

2

k


2dsin  n
が求まる。
Ewald による考察
回折
100keVの電子線
 0.37nm
k
k’
試料 2 k

逆格子は格子定数 (数nm)
の逆数
Ewald球は逆格子間隔より
十分大きい
Ewald球
半径は
2

回折が起きる条件
XRD (-2) の場合
scan
k’
2
k
原点
Ewald球
新物質MnGeP2の作製
c
a
Mn
Ge
P
K. Minami et al., JJAP 44 (2005) L265.
透過型電子顕微鏡
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ÅB
http://www.jeol.co.jp/science/em/denshisen.html
特長
回折パターン
原子像
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Quic kTimeý Dz
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ÅB
反射高エネルギー電子線回折
RHEED
電子線
試料表面に対して数度の入射角
特長
結晶構造
表面平坦性
表面10nm程度の情報
結晶成長中の観察
反射高エネルギー電子線回折
RHEED
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http://www.surf.nuqe.nagoya-u.ac.jp/ichimiya/gallery/RHEED_Si7x7.html
反射高エネルギー電子線回折
RHEED
回折
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k
k’
試料 2 k
Ewald球
逆格子ロッド
点はEwald球と逆格子ロッドが
ぶつかったところ
表面の逆格子
表面
バルク結晶の実格子
バルク結晶の逆格子
表面の原子間隔が大
きくなると
逆格子はロッド状になる
反射高エネルギー電子線回折
RHEED
リング状にスポッ
トが並ぶ
原子レベルで平
坦
平坦
表面に凹凸がある
まとめ
• 原子の結合と結晶構造
• 逆格子
周期性持つ結晶はフーリエ空間で取
り扱うことができる。
• 逆格子ベクトル
逆格子は、逆格子ベクトルによって表
現される
• 逆格子と回折
X線回折、電子線回折などの回折現
象は逆格子点を計測している。