アイエスエフネット高等学院 開校

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Transcript アイエスエフネット高等学院 開校

報道参考資料
~つなぐ・つながる、いきいきした高校生活をつくる~
アイエスエフネット高等学院 開校
【目次】
 アイエスエフネットグループの歩みと高校教育課程に取り組む背景
 障がいのある方とご家族、学校、企業がつながることで社会が1つになる
渡邉幸義氏(アイエスエフネット高等学院学院長、㈱アイエスエフネット代表取締役)
 アイエスエフネット高等学院/明蓬館SNEC青山 概要
 アイエスエフネット高等学院/明蓬館SNEC青山の概要
 アイエスエフネット高等学院 学校説明会・見学会のご案内
 アイエスエフネット高等学院開校記念講演会
渡邉学院長/カニングハム久子氏 10月25日講演会のご案内
 高校生の発達障がいをめぐる日本の教育環境
<その他、取材が可能な学校関係者>
 日野 公三氏(明蓬館高校 校長兼SNECセンター長)
 南雲 明彦氏(明蓬館高校共育コーディネーター、姉妹校アットマーク国際高校 卒業生)
<ご案内>
 アイエスエフネット高等学院 学校説明会(見学会)のお知らせ
 開校記念講演会
アイエスエフネットグループの歩みと
高校教育課程に取り組む背景
■アイエスエフネットグループの歩み
アイエスエフネットグループの母体である(株)アイエスエフネットは、2000年1月にネットワークエンジニアの育成、派
遣を行うIT企業として従業員4名でスタートしました。創業当時、無名のベンチャー企業に即戦力となるエンジニアが集
まるはずもなく、無知識・未経験も可として募集したところ、意欲があって前向きな人間性の高い「人財」が大勢応募し
てきました。過去の経歴を重視しない採用は当時と変わらず今でも行われています。そうして採用された「人財」の中に、
偶然、元ひきこもりや障がいのある方がおり、すばらしい働きをしておりました。それが「20大雇用(ユニバーサル就
労)」を始めるきっかとなりました。2006年、“一般的に就労が難しいとされる5項目に対してそれを理由に合否を決定し
ない”として「5大採用」を宣言し、4年後にそれを達成。2011年3月に更に枠を広げた「10大雇用」、同年11月には「20
大雇用」を宣言いたしました。そうした取組みと同調して事業も多様化。現在では飲食業、デイサービス、フィットネスク
ラブ、シェアオフィスなどを展開しております。2014年1月には農業にも携わり、これらの事業は障がいのある方をはじ
め、一般的に就労が難しいとされる方の雇用の場であるとともに、
■20大雇用(ユニバーサル就労)
就労に向けた実習の場としても活躍しております。2013年12月に
オープンした、青山表参道の骨董通りにある創作料理レストラン
「l’artisan(ラルティザン)」での実習では社会の中でコミュニケー
ションを学ぶ機会となっています。
現場で働く先輩の姿は成功の実績であり、間近でその様子を見て
学ぶことで、目標が具体化できるなど、実習訓練を行う励みにも
なっています。
■高校教育課程(通信制高校サポート校)に
取り組む背景
アイエスエフネットグループがはじめて福島市に※FDメンバーが働く「匠カフェ」をオープンした日、そこには以前訪問
した特別支援学校で出会った女子生徒がいました。彼女はまだ高校2年生の歳でしたが、もし3年間高校に通って卒業
したとしても障がいを持つ彼女が就労できる保障はどこにもない。就労のチャンスが巡ってきたこのタイミングを逃すわ
けにはいかないと考え、高校を退学して入社したとのことでした。FDメンバーが抱える就労に対する大きな壁の存在を
あらためて痛感しました。また、長い間障がいを抱える中で、様々な要因による引きこもりなどの二次障がいの併発と
いう問題もみえてきて、これらに対する早期対応の重要性を感じておりました。明蓬館高等学校と出会い、当グループ
がこれまでの多岐に渡る事業の中で培った就労ノウハウを活かし、10人に1人ともいわれている学生の発達障がいと
いう社会的問題に対して、当グループは明蓬館高等学校と連携し、高校の段階から支援を行っていくことといたしまし
た。それは、前述いたしましたが二次障がいの併発によって複雑な障がいとなる前に支援していくこと、また社会にでる
前に就労につなげるための様々な実習訓練を行うことが、高校卒業後の就労のためには必要だと考えたためです。当
グループでは、E&E(Eco&Employment)の大義のもと、様々な境遇の方々を雇用してまいりました。FDメンバーがお
客様先にて業務を行う上での課題として、彼らの強みと仕事をマッチさせることと、マッチした仕事でも習得するまでに
時間がかかる点があげられますが、これらは、当グループの社内業務の中から彼らが得意と思われる部分のみを「仕
事」として切り出しマッチさせていくことと、それらの「仕事」から習得したことをお客様先で発揮していただくことでお客様
先での業務習得期間が短縮され、安心して働くことができ、こうした成功体験が彼らのやりがいにつながることで、お客
様先での就労定着率も格段にあがるなど、仕組みを駆使して課題を乗り越えてきました。これらの取組みがより安定し
た就労につながることは実証されています。
この度の明蓬館高等学校との連携によって、若い人を就労まで支援する仕組みが出来つつあります。将来までの
“つながり”を作り、やりがい・生きがいのある生活環境を創造できることに感謝しております。そしてこの出会いにも感
謝し、より一層のFDメンバーの就労を支援してまいります。
※FDメンバー(Future Dream Member) :アイエスエフネットグループでは"未来の夢を実現するメンバー"というという
意味を込め、障がい者の方を「FDメンバー(Future Dream Member)」と呼称しています。
学院長あいさつ
障がいのある方とご家族、学校、企業がつながることで
社会が1つになる
~就労に向けた確かな道がみえてくる~
渡邉 幸義 氏
アイエスエフネット高等学院学院長
1963年7月、沼津に生まれる。
日本ディジタルイクイップメント(株)(現日本HP)を経て、(株)エ
ヌ・アンド・アイ・システムズ 代表取締役副社長に就任。
雇用創造の大義のもと、2000年に (株)アイエスエフネット設立、
2008年に特例子会社アイエスエフネットハーモニーを設立し、
代表取締役へと就任。海外8カ国にて事業を展開している。
(株)アイエスエフネットライフ、(株)アイエスエフネットケア、(株)
アイエスエフネットグローバル、(株)アイエスエフネットアクア
ヴィータ、(株)アイエスエフネットサンライズ代表取締役。
一般社団法人アイエスエフネットベネフィット、特定非営利活動
法人FDA理事長。
障がい者雇用にかける想い
アイエスエフネットグループは、様々な境遇の方の働く環境を創造し、雇用創出のための活動を展開しています。
特に、アイエスエフネットグループが「20大雇用(ユニバーサル就労)」と定義する方達に対して、安心して働ける環境を創
造し提供することによって、 1人でも多くの方々に「働くことの喜び」や「生き甲斐の発見」をしていただく為、 アイエスエフ
ネットグループ全従業員が懸命に考え、この課題に対して真摯な姿勢で取り組んでおります。障がい者雇用促進のため、
障がいのある方の強みを活かし、「夢」と「喜び」のある就業環境の創造を実現するように日々取り組んでいます。2008年、
特例子会社アイエスエフネットハーモニーを設立し、ここでは精神障がい・身体障がい・知的障がい等、様々な障がい者が
離職することなく、やりがいを感じながら活き活きと働いております。 「毎日きちんと業務に取り組むこと」を継続し、習慣化
をすることにより、従業員の環境を守り、障がい者の方に対して健常者と同じ待遇を提供することを目指しています。
つながっていく 障がいのある方とその家族、学校、そして企業
精神障がいや発達障がいのある方、もしくはその可能性が考えられる方が社会に出て就労するためには、職場の配慮が
必要不可欠であると考えています。その配慮は十人十色、一人として同じということはありません。しかし残念ながら、ご本
人との面談をもってしても、その情報を企業側が詳しく知ることは困難です。そこでアイエスエフネットグループでは、一番
ご本人のことを知っているご父母の皆さまから情報を頂くこととしました。家庭での様子や必要な配慮、問題が発生しやす
い状況やNGワードなどの情報をいただき、様々な観点から必要な配慮を検討。それらを元に個別の配慮ができるようにし
ています。また、毎月「ご家族と語る会」を開催し、グループ最新情報や企業側の要望をご父母の皆さまへお伝えしたり、ご
父母の皆さまから企業側に対するご要望を頂くなど、情報交換を行い協力し合うことで、安心・安全な環境を提供していま
す。この連携にアイエスエフネット高等学院が加わることで、早い段階から社会参加に向けた教育・訓練などを行うことが
できるようになり、
配慮された環境の中で社会性を育むことにより、現実社会で就労
することに対する不安を軽減することが可能となります。当事者、
ご家族、学校、企業がつながることで、より自立に向けた確かな
道がみえてくるとアイエスエフネットグループは考えています。
アイエスエフネット高等学院/明蓬館SNEC青山の概要
卒業後、アイエスエフネットグループでの確実な就労選択肢を保証
アイエスエフネット高等学院 開校
アイエスエフネット・グループが高校通信制課程を設置
普通科の高校教育と特別支援教育と就労支援が受けられる
アイエスエフネット高等学院/明蓬館SNEC青山を10月開校
※SNECはスペシャルニーズ・エデュケーションセンターの略
■アイエスエフネット高等学院
■学校の所在地 東京都港区赤坂7-1-16 オーク赤坂ビル3階
■設置課程 広域制通信制課程 日米単位制 普通科
■教育連携高校 明蓬館高等学校
■学院長 渡邉幸義
■運営法人 株式会社アイエスエフネット
■代表者 代表取締役 渡邉 幸義(アイエスエフネットグループ 代表)
■東京本社所在地 〒107-0052 東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス8F TEL:03-5786-2300(代表)
■設立 平成12年1月12日
■従業員数 1,870名 グループ全体:3,023名(2014年4月1日現在)
■同社の大義
雇用の創造をグループ会社大義に標榜し、履歴書を見ずに意欲を基準に社員を採用することを実践している。また、ニート/
フリーター、障がい者、ひきこもりその他の20大雇用と定義付けた就労困難者への雇用にも積極的に取り組みながら利益を出
し続け、日本で障がい者を1000人雇用することを目標としている。「リストラはしない」と公言し、社内では社員を家族と考え、リ
アルな組織とは別に擬似の親子関係の組織をつくり、社員のモチベーションを保ちつつ安心感を持たせ、個々人が充分に強
みを発揮できる組織作りを目指している。
■表彰・受賞
・昭和女子大学「女子学生のためのホワイト企業ランキング」選定(2013年12月受賞)
・厚生労働省「若者応援企業」認定(2013年10月受賞)
・経済産業省「おもてなし経営企業選」選出(2013年3月受賞)
・経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」選出(2013年3月受賞) その他多数
■明蓬館SNEC(スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)青山について
アイエスエフネット高等学院に在籍する生徒が、高校単位取得が出来るよう、各々の生徒の特性を踏まえて、相談員と支援員、
学習サポーターたちから支援を受けられる場所である。
1.個性の違いや障害を尊重し合える場所
2.困っている時に友人や先生に助けてもらえたり、支えてもらえる場所
3.安心して、好きな学習や得意な学習に挑戦できる場所
機能としては、以下の3点である。
(1) 保護者と生徒一人ひとりのニーズに沿って、個別支援・指導計画の作成
保護者、生徒本人との面接をし、ニーズの聞き取りやアセスメントを行う。
※アセスメントは、WISC、WAIS、K-ABCを用いる。
(2) 学習施設内環境調整をし、心理的なサポート
生徒個々の障害特性、認知特性、学習特性に合わせた学習環境の調整や、人間関係・コミュニケーション方法などの調整を
行う。保護者や生徒のカウンセリングやセラピーを行う。
(3) 社会的スキル、就労に向けたスキルトレーニング
社会適応や自立のための社会的スキルアップや、就労観の育成や具体的な準備を行う。放課後の余暇活動・交友関係構築
支援、その他生活スキル支援など、自立をするために他人の持つ資源との協調が必要であることを学べる機会をつくる。
■対象生徒の入学受入れ方針
対象となる生徒は以下のとおりである。
発達障がい《LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)》と診断された生徒およびそれら
の心配のある生徒
いずれも、従来の公立、私立、通信制課程の高校で受入れ対応が困難とされている生徒である。
<アイエスエフネット高等学院 学校説明会・見学会のご案内>
ご取材可能です!
卒業後、アイエスエフネットグループでの確実な就労選択肢を保証する
アイエスエフネット高等学院 に出会える日
■ 学校説明会および見学会のご案内
アイエスエフネットグループでは、アイエスエフネット高等学院に関しまして、障
がいのある方、もしくは従来の高校では受入れ対応が難しい方とその保護者
の皆さま、および、中学の進路担当、学年担当、通級指導・特別支援級・適応
指導担当、スクールカウンセラー、発達支援塾、療育機関、放課後等デイ
サービス、医療機関などのご担当者さまに向けて学校説明会および見学会を
開催させていただきます。
◆当事者の皆さま(保護者および生徒ご本人)
平成26年10月からの新入生(転・編入生)募集、および平成27年4月新入生募集についての説明会を開
催いたします。
□開場・受付開始 13:00から
・9月13日(土)13:30~15:30
・9月20日(土)13:30~15:30
・9月23日(祝)13:30~15:30
・9月27日(土)13:30~15:30
◆各種学校関係者、療育機関、医療機関等のご担当者さま
中学の進路担当、学年担当、通級指導・特別支援級・適応指導担当、スクールカウンセラー、発達支援
塾、療育機関、放課後等デイサービス、医療機関などのご担当者様に向けて、アイエスエフネット高等学
院に関する説明会を開催いたします。
□開場・受付開始 9:30から
・9月13日(土)10:00~12:00
・9月17日(水)10:00~12:00
・9月24日(水)10:00~12:00
・9月27日(土)10:00~12:00
 開催場所 アイエスエフネット サポートトレーニングセンター
東京都港区赤坂7-1-16 オーク赤坂ビル3階
(旧:日本生命赤坂第二ビル)
 お申込み http://www.at-mhk.jp/form01/contact01.html
 問い合わせ窓口
アイエスエフネット 教育本部 アイエスエフネット高等学院担当
電話番号:03-5786-2334 [email protected]
オーク赤坂ビル
<アイエスエフネット高等学院開校記念講演会のご案内>
ご取材可能です!
10月25日(土) 「発達障がい者の人生をどう設計するか」
障がい者の生活環境、教育、介護が充実するとともに、障がい者も長寿するようになり、生涯にわ
たる人生設計、生活設計をどう描けばよいのか、経済的自立、あるいは保障はどうあるべきか、大
きな課題になってきている。
そこで、今回のセミナーでは、今後増える発達障がい者をどう自立させるのか、どう自立できるのか、
そのための親の役割、支援者・団体の役割について考えます。
カニングハム 久子 先生
1934 年長崎県に生まれ。同志社女子大学英文学科を卒業後、留学。ニュー
ヨーク市立ハンター大学で修士号取得。その後、NY 医科大学教官、NY 州
ウエストチェスター郡立医療センター視聴覚臨床教育プログラム主任を経て、
現在、自助組織「SPEC NY 臨床教育父母の会」主宰。NY在住。明蓬館高校
特別顧問。
1974 年 全米精神遅滞研究協会第 10 地域最優秀臨床教育賞受賞
1990 年 日本顕彰会より国際的貢献の分野で受賞
1992 年 United to Serve America よりアメリカ社会への貢献が認められダ
イアモンド賞受賞
1992 年 日米教育交流の促進に尽力したことにより外務大臣賞受賞
渡邉 幸義
アイエスエフネット高等学院 学院長
1963年 7月 生まれ
1986年 3月 武蔵工業大学(現 東京都市大学)機械工業科卒業
1986年 4月 日本ディジタルイクイップメント株式会社(現、日本ヒューレット・
パッカード株式会社) 入社
2000年 1月 株式会社アイエスエフネット 代表取締役就任
2008年 1月 株式会社アイエスエフネットハーモニー(特例子会社) 代表取
締役就任
2008年 7月 著書『未来ノート』で道は開ける! 出版
2009年 7月 株式会社アイエスエフネットケア 代表取締役就任
2011年 7月 株式会社アイエスエフネットライフ 代表取締役就任
2014年 10月 アイエスエフネット高等学院 学院長就任
講演会内容に関する背景、講演会の意義など
かつて寿命が短いと言われていた発達障がい者たちは、生活環境、医療、教育、介護が充実するとともに、寿命
が親をしのぐようになった。親亡き後の彼らの生活に関して、親の心配は深刻になっています。今回のセミナーで
は、限られた福祉財源の中で、障がいを持つ成人の自立のあり方、保障のあり方を考えていきます。そこで、アメ
リカでは発達障がい児(者)の生活を保障するために、どんな方策が提供されているかを紹介します。
また、日本では、発達障がい者の生活の自立、経済的自立を目指すアイエスエフネットグループの取り組みを紹
介し、これからの発達障がい者の人生設計の青写真を考えていきます。
開催日時 10月25日(土)13:00~16:30
場所 ソホラ 〒107-0052 東京都港区赤坂8-5-32 田中駒ビル6F
高校生の発達障がいをめぐる日本の教育環境
■「普通科高校課程を修了したい(させたい)」「いくつかの就労を目標に描いて高校時代を過ごし
たい(過ごさせたい)」「これからの障がい者就労に夢を持ちたい(持たせたい)」意志を持つ発達障
がい当時者とその保護者の受け皿が不足
「発達障がい」と聞くと、多くの皆さんは「圧倒的マイノリティ」な存在と思われるかもしれませんが、実は、全国の小中学校生の約6.5%
に発達障がいの疑いがあると言われています。(※小中学校の通常学級における発達障がい児童は6.5%にのぼる(平成24年12月文部科学省調査。)当然のこと
ながら、「教育」と「発達障がい」は切り離せない関係にあり、両者間にはあらゆる問題が点在しています。
発達障がい者には中学卒業後、大きく分けて4つの選択肢が存在します。公私立の高校の種類には全日制、定時制、通信制、特別支
援学校の高等部などがあり、そのうちの特別支援学校は、障害者手帳を取得した生徒のための学校です。特別支援学校の中に発達障
がい者だけを受入れる高等部は少ないのが現状です。
一方で、発達障がいの生徒の中には、中学時代、不登校経験のある生徒が多く、義務教育段階の未学習部分を学び直したい、高
校の教育課程に準拠し、学習したいという強い希望を持つ生徒がたくさんいます。彼らは、一度は全日制への進学を希望しますが、学
校側が、彼らが必要とする「個別的な配慮」と「対応」をすることが出来ないために入学が許可されないケースがあります。高等学校進
学者全体に対して、発達障がいを抱えていながら高校への進学が叶っている生徒の数は、わずか約2 . 2%とされています。(※平成21年8
月27日、特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議 高等学校ワーキング・グループ。)仮に進学できたとしても、特異な障がい特性、認知特性、学習
特性であるために不登校、引きこもりなど二次的障害にかかりやすく、高校生活からの離脱を余儀なくされるケースが多く見られます。
昨今、小・中学校では発達障がい児に対する特別支援教育の諸制度は急速に整備されるようになり、通級指導教育(個々の障害の
状態に応じた特別の指導)が増加傾向にあります。障がい者に対する就業支援制度など、国内でも障がい者の周辺環境の整備・見直
しは進んでいますが、高校段階での「学びたい」「就学を通して出来る喜び、わかる喜びを実感したい」「これからの就労を知り、それに
向けて勉学に取り組みたい」意欲をもつ発達障がい者への支援は未だ措置が立ち遅れています。そんな中、障がい者就労の多様な実
践を行う民間の企業、団体により高校の就学環境が整備されることに期待感が高まっているといえるでしょう。
■ 特別支援学級在籍者の推移
特別支援学級や通級教室に通っている児童
が増加しているということは、発達障がいが疑
われる児童が増加しているということです。通
級指導教育を通じて「学ぶ」ことに意義を見出
した発達障がい児は、高校でも「もっと勉強し
たい!」と感じるはずです。
■小・中学校 通級指導教育 受講生徒の推移
必要なサポートがあれば、
教育を続けられる生徒が多い
平成24年度 文部科学省 調査報告より
高校の中に特別な支援体制をつくることで新たな社会参画の道をつくりたい
日野 公三 氏
明蓬館高等学校校長
㈱リクルート、第三セクターのパソコン通信会社役員を経て、
2000年東京インターハイスクールを設立。2004年アットマー
ク国際高等学校を設立。
現在明蓬館高校校長兼特別支援教育センター(SNEC)長、アッ
トマーク国際高校理事長、NPO日本ホームスクール支援協会理
事長、新しい学校の会理事
事業をはじめた経緯
芸能やスポーツの世界で活躍し、限られた時間を有効に使いたい人がいる。学校に行きたくても、行けなくなってし
まった人がいる。集団生活が苦手で、自分にあったスタイルで学びたい人がいる。そんな生徒たちが、いつでもどこで
も学べる学校を作りたいとずっと考えていました。、国の教育特区制度に挑戦して2004年に設立したのが石川県・白
山市のアットマーク国際高等学校です。高校としては異例の、市町村から設置認可された学校です。発達障がいを持
つ生徒との関わりは、南雲明彦さんと東田直樹さん(現在、作家として活躍中)という当事者の入学から始まります。南
雲さんはディスレクシア(読字障害)、東田さんは重度の自閉症を抱えており、彼らとの関わりのなかで、発達障がいを
持つ生徒の潜在能力の高さや可能性を幾度となく垣間見てきました。「不登校、引きこもりの陰に発達障がいあり」と
気付かせていただく機会もあり、生徒たちが明るく胸を張り、笑顔で通える高校を作りたいと考えるようになりました。
以来、教育と福祉の両面からのアプローチが求められる特別支援教育を通信制高校の枠の中で実現しようと教職員
体制やeラーニング手段の整備を行い、開校にいたったのが明蓬館高等学校です。
2013年に開設したSNECについて
― 発達障がい生徒と保護者のスペシャルニーズに対応―
発達障がいを持つ生徒を受け入れる高校としてあらたに設けた特別支援教育センターです。教育的アプローチに福
祉的なアプローチを導入し、通級指導と相談室登校のニーズに対応しています。中でも特に力をいれているのは、相
談員と支援員体制の充実です。生徒と保護者両方のニーズに沿った個別支援計画が策定し、いつでも発達障がい
に知識のある専門の相談員と支援員が生徒の相談に応じ、支援が行われます。生徒の相談にのって、「本人の状態、
認知特性に合った学習スタイルを考える」「生徒個別の支援計画を立てる」。こういった措置は、周りの環境に敏感な
発達障がいを持つ生徒が「学ぶ」ために、必要不可欠なことです。また、生徒だけでなく、保護者とのコミュニケーショ
ンも常に意識をしており、相談員と保護者の対話の場も設けています。
お話できる内容
・ 発達障がいと教育問題
・ 通信制高校だからこそ出来る特別支援教育
・ 発達障がい生徒と保護者の関わり方
南雲明彦さん
(明蓬館高校共育コーディネーター・姉妹校アットマーク国際高校卒業生)
南雲 明彦 氏
1984年、新潟県湯沢町出身
21歳の時、アットマーク国際高校に紹介を受けたNPO法人の障害者
支援ボランティアで、自分が文字の読み書きに著しい困難をきたす読
字障害(ディスレクシア)であることに気づく。
現在は、明蓬館高校共育コーディネーター、株式会社システムブレー
ンの専属講師として、年間100回近くの講演会を全国で行う。
【著書】 「断ち切れない絆 読字障害 南雲明彦発言集」、「LDは僕の
ID」
読字障害(ディスレクシア)と向き合い
南雲さんは生まれながらにして読字障害を持っていましたが、自分が読字障害であると知ったのは、アットマーク国
際高校を卒業した後の21歳の時でした。南雲さんは「文字を読む」機能が一層重要とされる思春期を、自身が読字
障害だと分からぬまま過ごしたのです。「なぜ教科書の字が読めないのか。ほかのことは普通の人と何ら変わりはな
いのに・・・。」南雲さんはやり場のない怒りや苦しみと常に隣り合わせになって生きてきました。南雲さんは、アット
マーク国際高校に入学するまで、3つの高校に通っていましたが、読字障害などから発生する精神的なストレスなど
が理由で、いずれの高校も退学してしまっていました。人とコミュニケーションをとることが苦手で、且つ読字障害によ
り授業についていけないやるせなさから、家に閉じこもりがちになってしまった南雲さんでしたが、そんな時にアット
マーク国際高校の存在を知りました。インターネットを使用して家で勉強ができるシステムは、コミュニケーションが苦
手で文字を読むのに時間がかかる南雲さんにマッチした通信制高校でした。アットマーク国際高校に出会えたことで、
南雲さんは「学ぶ」ことを諦めなくて済んだのです。
そしてアットマーク国際高校を卒業し、21歳の時に南雲さんは自身が読字障害であることに気付きます。これまで原
因が分からなかった自分の症状に「読字障害」という肩書きが与えられたことで、南雲さんの人生は大きく転換するこ
とになります。
「読字障害を知ってもらいたい」、「学びたくても学べない人がいることを知ってもらいたい」、「でも実は学ぶことができ
る学校があることを知ってもらいたい・・・」
現在、南雲さんは、明蓬館高校共育コーディネーターとして発達障がいの認知拡大や自分と同じ境遇にある児童生
徒や保護者のアドバイザーとして活躍しています。
読字障害と共に生きていくことで、
「出会った人」や「風景」が一生の宝です。
―南雲明彦
別添資料
通信制高校に集まるスペシャルニーズ
(特別支援教育ニーズ)の実態
現在、発達障がいを持つ生徒を多く受け入れているのが通信制高校です。なかでも2004年から誕生した特区で
認可を受けた通信制高校には下記のとおり、発達障がいを持つ生徒の割合が全生徒の約15%を数えています。
不登校経験のある生徒は約60%に及び、発達障がいを持つ生徒とダブっていケースも少なくありません。
これらの生徒については、義務教育段階の小・中学校において、様々な原因・理由等から、必要な学力や人間
関係能力ひいては適切な自尊感情を身につけることができずにきました。そのような生徒たちにとって、高等学
校への進学は、心理面や生活リズムの安定を図るとともに、中学校までの学習等を回復させ、並行して高等学
校の学習等に取り組み進路を実現させるという、容易ならざるチャレンジとなります。事実、既存の公立通信制
高校等においては、三年間での進級・卒業率が60%前後であると言われています。
すなわち、教育対象が勤労社会人から不登校経験者等へと大きく変化している現状に対して、既存の公私立通
信制高校等の教育課程・仕組み・方法では、必要な対応を取ることができずにいると考えられます。
この状況は、途中退学等として、社会適応力などを欠き、ニート/フリーターになるなど、極めて不安定な青少年
群を社会に送り出すことにもなり、一個の人間の幸福への礎を築くという観点から考えても、人材育成という目的
から判断しても、著しく不適切な状況が発生し続けていると捉えざるを得ません。
1.特区通信制高校に在籍する生徒の課題傾向と当該生徒群に必要と考えられる指導・支援の
あり方について
(1)特区通信制高校に在籍している生徒の心理面や学習面等に抱える課題別の割合
不登校経験の
ある生徒
発達障がいを持つ生
徒
疾病のある生徒
経済的に厳しい生徒
把 握 方 法
中学校もしくは前籍高校等での出欠席状況等からの把
握。
入学時の相談等(保護者からの診断に基づく申告)及
び文科省によるチェックシートによる把握。
中学校もしくは前籍高校等の健康診断記録、入学後の
健康診断結果等による把握。
就学支援金の加算支給対象者等数値による把握。
※7校(6,474名)を対象に、課題傾向別の割合を調査
割 合
約60%
約15%
約25%
約29%
(新しい学校の会 2012年10月調査結果)
70.0%
60.0%
n=7校・6,474名
60%
(3,855名)
50.0%
40.0%
25%
(1,643名)
30.0%
29%
(1,850名)
15%
(953名)
20.0%
10.0%
0.0%
不登校経験のある生徒
発達障害を持つ生徒
疾病のある生徒
経済的に厳しい生徒
(2)在籍している生徒に見られる、学習面及び生活・心理面の具体的な課題傾向
課 題 傾 向
不登校経験
のある生徒
【学習面】
①義務教育段階の未学習部分が多く、基礎・基本が身についていない。
②上記に伴い、学習の取り組み方が身についていない。
【生活・心理面】
①不登校時の生活習慣あるいは疾病等により、生活リズムが不安定である。
②心理的に不安感が強く、悩みや状況変化により体調を崩しやすい。
③学習や生活について、集団行動が困難な生徒が一定割合いる。
④精神的な疾患を抱えている生徒が一定割合いる。
発達障がいを 【学習面】
持つ生徒
①学習に取り組む上で困難な課題を抱えている生徒が多い。
②学習の取り組み方が身についていない生徒が多い。
【生活・心理面】
①二次症状で、不登校を経験している生徒が多く、上記の「不登校経験のあ
る生徒」と同様の傾向がある。
②環境変化や状況変化への適応力が低い生徒が多い。
③医療機関から処方箋を受けている生徒が一定割合いる。
(3)該当生徒に必要と考えられる実際の指導・支援について
上述した課題を抱える生徒の状況を踏まえて、学習面、生活・心理面の両面において以下のような
指導・支援を実施しています。
【学習面】
・極端に苦手なことや教科があるため一貫性と適時性のある指導・支援
・義務教育段階の基礎・基本に関する「学び直し」の実施
・前記2項に適切に組み込まれたレポート課題。副教材の提供
・学習ガイダンスにはじまるスモールステップでの教科指導
・感覚過敏な傾向があり、集団授業、集団参加よりも刺激の少ない個別指導環境の調整
・障害特性、認知特性、学習特性に沿った個別指導計画
・学習状況の適時・適切な確認及びフィードバックのための、適切で柔軟な評価方法の実施
【生活・心理面】
・心理的、身体的な負担度に留意した各種の指導・支援の実施
・生徒と保護者との面接、ニーズの収集とアセスメントの実施
・「日常的な生活リズムの安定化により、社会への適応を図る」との考え方を基本におい
た各種指導・支援の実施
・相談員、支援員、スクールカウンセラーによる継続的な発達支援・心理支援の実施
・個別的な支援計画の作成と保護者の同意と協力
・保護者との緊密な連絡・連携に立った指導・支援の実施
・医師との連絡・連携による適切な指導・支援の実施
解説
高校の進路の課程別、学科別にみた、発達障がい等困難のある生徒の割合
発達障がい等困難のある生徒の卒業後の進路の課程別、学科別にみた割合は下記のとおりである。
高等学校の課程別
全日制
進学者中、発達障がい等困難のある生徒の割合 1.8 %
定時制
通信制
14.1 %
15.7 %
高等学校の学科別
普通科
※ 1 専門学科 ※ 2 総合学科
進学者中、発達障がい等困難のある生徒の割合 2.0 %
2.6 %
3.6 %
※1:専門教育を主とする学科
※2:普通教育及び専門教育を選択履修を旨として総合的に施す学科
特別支援教育
従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、
その一人一人の教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育や指導を通
じて必要な支援を行うものである。(文部科学省)
公立小中学校における特別支援教育体制の整備の7つの要点
1.専門家チーム
2.巡回相談
3.個別の教育支援計画
4.個別の指導計画
5.校内に必ず置く特別支援教育コーディネーター
6.実態の把握
7.校内委員会の設置
高等学校学習指導要領で特別支援教育について付記されたこと
第1章総則
第5款教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項5 教育課程の実施等に当たって配慮すべき事項
以上のほか,次の事項について配慮するものとする。
(8) 障害のある生徒などについては,各教科・科目等の選択,その内容の取扱いなどについて必要な配慮を行うとともに,特別支援学校等の
助言又は援助を活用しつつ,例えば指導についての計画又は家庭や医療,福祉,労働等の業務を行う関係機関と連携した支援のための計
画を個別に作成することなどにより,個々の生徒の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を計画的,組織的に行うこと。
(14) 学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深める
こと。また,高等学校間や中学校,特別支援学校及び大学などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒などとの交流
及び共同学習や高齢者などとの交流の機会を設けること。
立ち遅れている高等学校における特別支援教育の実情
高等学校における特別支援教育の推進について
高等学校ワーキング・グループ報告
平成21年8月27日 特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議
小・中学校の通常の学級に6%程度の割合で発達障がいのある児童生徒が在籍している可能性があることから考えると、97%を超える進学
率である高等学校においても発達障がいにより支援が必要な生徒が多く在籍していると推測される。
しかしながら、高等学校においては、多様化した生徒の実態に対応した改革が進められているものの、体制整備への着手が遅かったことや、
リソース面・制度面からの支援が現時点では十分なされていないことなどの要因もあり、小・中学校に比べ、校内委員会の設置、実態把握の
実施、特別支援教育コーディネーターの指名といった基本的な体制整備は遅れている。
また、特別支援教育支援員についても、一部の自治体において単独事業で配置されているものの、財政事情の悪化等もあり、地域数、人数
とも拡がりが見られない実情である。高等学校においては、これまでも、主として生徒指導・教育相談等の観点から発達障がいのある生徒も
含め課題のある生徒への指導・支援が行われてきている。しかしながら、
幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、それに対応した適切な指導及び必要な支援を行うという特別支援教育の理念の実現という
観点から見ると、高等学校における特別支援教育の取組は緒についたばかりであり、発達障がいのある生徒への指導・支援を中心として、ま
だまだ取り組むべき多くの課題が残されているといえる。
詳しくは、下記のサイトをご参照ください
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2010/04/02/1292033_2.pdf
■お問い合わせ先
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