20090115【シンポ講演】GH防火のナゼにこたえるver7

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Transcript 20090115【シンポ講演】GH防火のナゼにこたえるver7

日本GH学会 説明会・シンポジウム
グループホームにおける防火対策
グループホーム防火の
『ナゼ?』にこたえる
ー慣れない法令にあなたもチャレンジしよ
うー
2008年12月8日(月) 13:00~14:00
第1部 講演 「グループホーム防火の『ナゼ?』にこたえる」
第2部 消防法施行令改定に向けた問題整理とQ&A
大西一嘉
(神戸大学大学院工学研究科建築学専攻)
●消防法改正と小規模施設の防火対策検討の必要性
○小規模な防火対象物で多数の人的被害を伴う重大
火災が発生
→消防法令上必要となる安全対策が十分か?
○社会情勢の変化に伴い、新たな形態の施設が出現
→建物利用の多様化・複雑化が進展し、建物の一部
を従来想定しなかった形態で使用するケース
○既存建物の転用
→規制の緩い小規模な施設形態の増加により、消防
機関において、管内の状況を把握しづらくなっている
⇒消防行政と建築指導行政の連携の必要性
火災による死者発生の理由
①発見の遅れ(就寝中、火災覚知設備の整備不良)
②避難誘導の遅れ(地区ベル鳴動の停止)
③介助スタッフ数不足、マンパワー(オーバーロード)
④自力避難困難者の逃げ遅れ(介助方法)
⑤窓や扉の施錠、段差のバリア(避難ルートが途絶)
⑥区画の不備による延焼拡大(構造的欠陥)
防火区画、防煙区画、安全区画
「雑居ビル」は危険がいっぱい
建築規制のゆるい「事務所」として
建設され、後に用途変更を繰り返す
●最近の主な小規模施設火災概要(風俗店)
発災日
施設名称
場所
用途:該当部分(建物全体)
H19.10.14 ソープランドアイドル
那覇市
(9)項イ:ソープランド(2・3階)
(複合用途対象物)
H20.3.3
ファッションヘルスつごうのイイ女
(2)項ハ:ファッションヘルス(3
名古屋市 階)
(複合用途対象物)
H20.4.28
エレガントバス江戸城
札幌市
(9)項イ:ソープランド
面積
建物概要 (建築面積) 消防用設備
(延べ面積)
消火器
自動火災報知設
199.63㎡
備
耐火4/0
693.26㎡
(主電源遮断)
誘導灯
避難器具
消火器
自動火災報知設
352.7㎡
耐火4/0
備
1355.0㎡
避難器具
誘導灯
消火器
自動火災報知設
97.2㎡
備
耐火4/0
400.58㎡
(主電源遮断)
避難器具
誘導灯
負傷者数
死者数
6人
3人
3人
3人
●最近の主な小規模施設火災概要(福祉系GH等)
面積
建物概要 (建築面積) 消防用設備
(延べ面積)
消火器
自動火災報知設
391㎡
備
耐火2/0
523㎡
漏電火災警報機
非常警報設備
誘導灯
発災日
施設名称
場所
用途:該当部分(建物全体)
負傷者数
死者数
H17.6.30
あかしや園
岡山市
(6)ロ:知的障害者施設
2人
1人
H17.7.6
ほっこりくらぶ富田荘
高槻市
(6)ロ:精神障害者自立支援施設 木造1/0
89㎡
89㎡
消火器
1人
1人
H18.1.8
やすらぎの里
大村市
(6)項ロ:認知症高齢者GH
木造1/0
279.1㎡
304.2㎡
消火器
誘導灯
3人
7人
H19.1.22
にゅうらいふの家
長野市
(6)項ロ:精神障害者GH
木造2/0
100.98㎡
158.56㎡
消火器
2人
「GH,CH」に使う住宅の火災危
H19.3.15
愛の家GH帯広東12条
帯広市
(6)項ロ:認知症高齢者GH
険は、もともと高い
H19.11.18 長野県養護老人ホーム信濃寮
飯田市
(6)項ロ:養護老人ホーム
耐火2/0
348.70㎡
657.70㎡
耐火3/0
681㎡
1451㎡
消火器
自動火災報知設
備
1人
火災通報装置
誘導灯
消火器
自動火災報知設
備
スプリンクラー設
備
9人
非常放送設備
避難器具(2階)
誘導灯
火災通報装置
消火器
自火報(自主設置
扱い)
7人
誘導灯(自主設置
扱い)
1人
建築規制のゆるい「住宅」(戸建、共同住
宅)として建設されたものを使用
H20.2.28
リボーンビル
川崎市
(5)項ロ:共同住宅
(ケアサポートセンターコクアが共
同住宅の一部を使用。)
耐火4/0
119㎡
352㎡
H20.3.19
きょうわ荘
川崎市
(5)項ロ:共同住宅
(デイサービスきょうわ苑撤退後、
共同住宅として使用。)
耐火2/0
165㎡
297.4㎡
消火器
誘導灯
4人
1人
H20.6.20
ハイムひまわり
綾瀬市
(6)項ロ:障害者ケアホーム
木造2/0
158.99㎡
317.98㎡
消火器
誘導標識
1人
3人
住宅火災による死者数は建物火災によ
る死者の89.6%(H16年度)
• 死者の約6割が「逃げ遅れ」
• 死者の4割が「夜間(22時~6時)火災」
• 住宅防火対策の柱は火災の早期発見
⇒住宅用火災警報器の設置義務付け
(新築住宅・・・平成18年6月1日から)
寝室と階段
• やすらぎの里「さくら館」も
ハイム「ひまわり」も、
火災報知器(警報機)の設置なし
グループホーム火災安全対策の現状
 GHは,認知症高齢者や障害者の地域の居住の場と
して急増中。認知症高齢者GHは8500ヶ所,障害者
GHは6500ヶ所を超えている。
 平成18年1月8日,長崎県大村市で死者7人を出し
た認知症高齢者GH火災、平成20年6月20日,神奈
川県綾瀬市で死者3人を出した知的障害者GH火災
は,いずれも深夜に発生しており,地域で集まっ
て暮らす高齢者や障害者の,安全をどう守るかと
いう課題を浮き彫りに。
 個別ニーズに合ったサービス提供が可能である反
面,入居者の特性・狭い空間・限られた職員によ
るサービス、様々な運営主体等,安全面に対する
不安要素を内包しており十分な防火体制にない。
「やすらぎの里さくら館」
火災の概要
●問題点
• 当直職員が夜勤中に個室にこもっ
ていた(規則違反)
• 通報に手間取った
• 立地が人里から離れ近隣の手助
けがなかった
• 消火栓が遠かったが、開設以来
消防署と連絡をとったことがない
• 避難訓練の未実施
• 防炎カーテンや防炎絨毯など防炎
物品(義務付けられている)の知
識が皆無
• 火災報知設備や消防署への通報
設備がない
死角になりやすい奥
まった位置が放火現場
に
煙が充満する
廊下を避難
階段下の倉庫から出火
厨房
食堂
階段が火元で炎上した
ことは致命的な問題
①可燃性
防火区画で延焼を抑える
避難
世話人室
②煙の拡散
避難
③延焼経路
④避難不能
知的障害者GH
ハイツひまわり
東側の敷地内通路は150cm
敷地境界は1.7mの崖
1F平面図
図面では2階に、6住戸が計画されている
隣接民家に延焼し
全焼(敷地内通路
巾は60cm)
死亡
空き室
重傷で
入院
2F平面図
床が燃え落ち
て1階で発見
避難
死亡
死亡
火災事例から見えてきた課題
(1)スタッフの勤務体制
夜間支援のありかたと職員配置
(2)建物の基本的安全性能
⇒法制度上のGHの位置づけ
「社会福祉施設」 と同等でよいのか?
「共同住宅、寄宿舎」 と同等でよいのか?
「一般専用住宅」 と同等でよいのか?
(3)GHの防災安全システムが不在
①GH設立時の事業者向け防災アセスメントシステム
(立地や設備の安全性を相談、評価する所は?)
②GHスタッフ向け研修方法
地域で起こりうるリスクに備える
③入居者自身のための学習方法、教材開発
多様なリスクから身を守る方法を身につける
GH防火対策の基本方針
• 防災設備による初期対応能力の補完機能
スタッフ数の不足を、通報設備、初期消火設備など
の充実で可能な限りカバー(住宅用スプリンクラー)
• 出火、延焼対策の信頼性向上(ハードとソフトの連携)
内装や構造などのハード面での出火、延焼対策充
実により、入所者や介助者へのソフト面での避難対
策における過大な負担や責任を軽減する
• 災害弱者のフールプルーフ性向上
知覚、判断、行動能力に応じた、警報、伝達、避難
誘導システムを構築
<特定防火対象物>
現在の 消防法施行令 別表第1 6項(ロ)
•
•
•
•
•
•
•
認知症高齢者グループホーム
障害者ケアホーム(共同生活介護)に限る
老人短期入居施設
養護老人ホーム
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
救護施設、乳児院、知的障害児施設 など
(注)障害者グループホーム(共同生活援助)は5項
(ロ)の防火対象物または一般の住宅に分類され
る自治体が多かったが、綾瀬のGH火災以降、6項
(ロ)に分類すべきという消防庁見解が示された。
消防法施行令の見直しと背景
平成19年6月13日 公布
(社会福祉施設等) 特定防火対象物 別表第1 6項(ロ)
• 認知症高齢者グループホーム
• 障害者ケアホーム(共同生活介護)
(重度の障害者を一定以上(区分4以上が8割)抱える場合)
•
•
•
•
•
老人短期入居施設
養護老人ホーム
⇒ どう判断する?
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
救護施設、乳児院、障害児施設 など
(注)障害者グループホーム(共同生活援助)は(6) 項ハに
分類され、(5)項ロから現在の(6)項ロ並の規制
改正後(6)項
イ 特定 病院、診療所、助産所
<「自力避難困難者が入所する社会福祉施設」>
・老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老
人ホーム、有料老人ホーム(主として要介護状態に
ある者を入所させるものに限る)、介護老人保健施
重度の障害者を一
設
・救護施設
平成21年3月まで
定以上(区分4以
・乳児院
ロ 特定 ・知的障害児施設、盲ろうあ児施設(通所施設を除
上が8割を超える)
く)、肢体不自由児施設(通所施設を除く)、重症
心身障害児施設、障害支援施設(主として障害の程
抱える場合
度が重い者を入所させるものに限る)
・老人短期入所事業又は認知症対応型老人共同生活
旅館、ホテル、宿泊所、その他これに類するもの
イ
援助事業(いわゆる認知症高齢者グループホーム)
(5)
を行う施設
ロ 寄宿舎、下宿、共同住宅
・短期入所(主として障害の程度が重い者を入所さ
<「自力避難困難者が入所する社会福祉施設」以外
イ 病院、診療所、助産所
の社会福祉施設>
老人福祉施設、有料老人ホーム、介護老人保健施設、救
・老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム、老
護施設、更生施設、児童福祉施設(母子生活支援施設お
人福祉センター、老人介護支援センター、有料老人
よび児童厚生施設を除く)、身体障害者福祉センター、
(6) ロ 障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、
ホーム(主として要介護状態にある者を入所させる
ものを除く)
障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行
(6)
・更生施設、助産施設、保育所、児童養護施設、知
支援、就労継続支援を行う事業に限る)を行う施設
的障害児通園施設、盲ろうあ児施設(通所施設に限
ハ 幼稚園、盲学校、聾学校、養護学校
る)
・肢体不自由児施設(通所施設に限る)、情緒障害
児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援
平成21年4月から(6)項に移り、ロもしくは、
センター、身体障害者福祉センター
ハ 特定 ・障害者支援施設(主として障害の程度が重い者を
新設されたハの分類に属する。
入所させるものを除く)
・地域活動支援センター、福祉ホーム
・老人福祉法第五条の二第三項もしくは第五項に規
定する老人デイサービス事業もしくは小規模多機能
型居宅介護事業を行う施設
・障害者自立支援法第五条第六項から第八項まで、
障害者GH(共同
第十項もしくは第十三項から第十六項までに規定す
る生活介護、児童デイサービス、短期入所、共同生
生活援助)はハに
活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援も
しくは共同生活援助を行う施設(短期入所等施設を
分類される
除く)
別表第1における
GH等の用途分類
現行(5)項と(6項)
ニ 特定 幼稚園、盲学校、聾学校、養護学校
消防法施行令の改正概要表
代替措置の検討
防火管理者の選任
(収容人員)
スプリンクラー
(* 現6項(ロ)のうち、
省令で定める自力避難
困難者が入所する施設
のみ強化)
自動火災報知設備
既存建物
の
猶予期間
-
(基準の小規模特例あり)
水道連結型簡易SPの採用
(連動型住宅用火災警報機の小
規模特例を検討中)
H24.3.31迄
(3年間)
-
消防機関へ通報する
火災報知設備
(緊急通報装置の流用の小規模
特例を検討中)
6項(ロ)
改正後
6項(ロ)
-
6項(ハ)
30人以上
10人以上
30人以上
1000m2
以上*
275m2以上
1000m2
以上*
(原則は6000㎡
~)
(但し1000m2以
下で防火区画
がある建物は
除く)
(原則は6000㎡~)
300m2以上
すべて
H22.3.31迄
(1年間)
誘導灯
漏電火災報知設備
(ラスモルタルのみ)
現 行
300m2以上
設備設置の際の消防
機関の検査
消火器具
(平成19年6月13日改正、平成21年4月1日施行)
500m2以上
500m2以上
150m2以上
150m2以上
すべて
現行通り
300m2以上
屋内消火栓設備
700m2以上
屋外消火栓設備
3,000m2以上
法改正の要点
消防用設備の設置義務強化
• 「自動火災報知設備」
火災発生と同時に、これを館内に知らせる設備
• 「火災通報装置」
警報器と連動して消防機関へ火災発生をすみやかに自動
通報する
• 「スプリンクラー設備」
火災発生と同時に作動して炎の拡大を防ぐ消火設備。 275
~1000㎡未満は、特定施設水道連結型スプリンクラー設備で
も可。
▼1 9 .6 .1 3 ▼2 1 .4 .1
▼2 2 .3 .3 1
▼2 4 .3 .3 1
新築
設置義務
周知期間
設置義務
消火器
猶予期間
既存
(2 年)
猶予期間
その他
設置義務
設置基準の緩和規定
①スプリンクラー設備
(現行)では、平屋建ては不要
⇒ (改正後) 275m2以上に義務化
防火区画されていれば、設置緩和
千m2以下は水道に直結する簡易型の住宅用プリンクラーで可
■設置義務免除の特別措置
(ア)夜間に避難介助する職員を一定以上(4人に1人)確保する
⇒ 職員数を緩和するための措置
(2分以内に到着可能な人的支援=0.5人 セキュリティ警備員も可)
・2階建て以下で、室内は難燃材料以上の仕上げ
・ユニットが複数の場合、界壁と床は準耐火構造で、開口部は防火扉を設ける
(イ)居室から直接避難できる
(ウ)共同住宅の一部を施設として使用する
②屋内・屋外消火栓設備
準耐火構造は2倍(延床面積)、 耐火構造は3倍の面積まで設置義務を緩和
スプリンクラー設備の設置
に関する特例の解説
(平成19年6月13日付け 消防予第231号)
資料:総務省消防庁
スプリンクラー設備の設置に関する特例(平成)19年6月13日付け消防予第231号)
資料:総務省消防庁
(1)夜間に要保護者の避難介助のため必要な介助者が確保されている小規模福祉施設
(2)各居室から屋外等に容易にいたることのできる小規模福祉施設
スプリンクラー設備の設置に関する特例(平成)19年6月13日付け消防予第231号)
資料:総務省消防庁
(3)共同住宅の一部を占有する小規模福祉施設
(4)避難所要時間が避難限界時間を超えない小規模福祉施設
スプリンクラー設備の設置に関する特例(平成)19年6月13日付け消防予第231号)
資料:総務省消防庁
避難所要時間が避難限界時間を超えない小規模福祉施設
(計算例)
分類
建築
基準法
専用住宅→寄宿舎、共同住宅?
消
防法
比較的軽度の障害者の方が入居 比較的重度の障害者の方が入居
5項(ロ)
6項(ハ)
寄宿舎、共同住宅
6項(ロ)
6項(ロ)
寄宿舎、下宿、 社会福祉施設
共同住宅
社会福祉施設
社会福祉施設
早期覚知
(自火報)
500㎡以上
300㎡以上
(500 ㎡未満
(300 ㎡未満は
は住宅用火災 規制なし)
警報器)
300㎡以上
すべて
防火管理者
50人以上
30人以上
30人以上
10人以上
SP
11階以上の階
1000㎡以上*
1000㎡以上*
275㎡ 以上
(* 現6項(ロ)のうち、省令
で定める自力避難困難者が
入所する場合のみ)
設備の検査
体制
( 6項は原則として6,000㎡~)
300㎡以上
(消防署長が
指定)
300㎡以上
300㎡以上
すべて
共同住宅に入居のCHが雑居ビル(複合用途)扱い
→雑居ビルへの消防指導強化などが共同住宅にもおよび、設備等の改修の合意形
成が煩雑になり、新規開設や既存CHの運営に支障をきたす。⇒特例?
• (6)項ロに該当する障害者CH等が共同住宅の一部に
入居する場合は、すべて(16)項イの複合用途防火対
象物とみなすのが適当。
⇒障害程度区分が高い障害者GH、CHは特例なし
• (6)項ハに該当する障害者GH等が共同住宅にある場
合
GH等の床面積の合計が、延床面積の10%未満かつ
300㎡未満の場合は、「共同住宅の従属的な部分」とし
て取り扱うことが出来るので、建物全体を(5)項ロの共
同住宅とみなすのが適当。
⇒障害程度区分が軽い障害者の小規模GHは共同住宅
●法律によるGHの取り扱い
建築基準法上、共同住
宅・寄宿舎とみなされ
ると、防火区画等の他、
建築条例により様々な
制約が強くなる
?
特殊建築物
GH
GH
建築基準法
一般住宅転用型のGH
防火対象物
都市計画法上、戸建住宅転用型
も寄宿舎・共同住宅とみなされる
と、一種低層住居専用地域等の
地区計画で用途制限している場
一般住宅
合,許可が得られない
知的障害
者GH
G
H
綾瀬
都市計画法
都市計画法上、消防並みに
福祉施設とみなされると、市
街化調整区域に建設する際
の開発許可や地区計画の決
定が必要となる
一般住宅
山林
共同住宅、寄宿舎と
同等の消防設備
専用住宅と同等
(住宅用火災警
報器のみ義務
化)
消防法
特定防火対象物
認知症高
齢者GH
G
H 社会福祉施設
知的障害
と同等の消防
大村
者CH
設備
船舶
車両
事務所
グループホームの取り扱い
日本建築行政会議でも検討中・・・
• グループホームは専門的スタッフ等の援助を受けながら少人
数で一般の住宅で生活をする所だが,新しい形態であり,建
築基準法上明確な規定はない。
• 規模,配置及び各室の独立性等から判断して認知症高齢者G
Hの建築基準法上の取扱いを決めることになるが、基本的に
は住宅の類であろう。 ⇒障害者GHは?
• 食堂・便所・台所・浴室等が1ヶ所又は数ヶ所に集中して設け
る計画となっている場合が多く見受けられる。部屋数が多い場
合は寄宿舎としての取扱いが妥当であろう。
• 又、各住戸が独立していて,廊下・階段等の共用部分をもつ計
画である場合には共同住宅として取扱うことが適切であろう。
なぜか都市計画法では 「福祉施設」扱いのケースもある?
(「都市計画法」:開発許可制度の見直しに係る改正:平成19年11月30日施行)
市街化調整区域で、障害者CH、
GHや認知症GHを建設する際に、
「福祉施設」として扱われると、開
発許可が必要となり地区計画を
定めないといけない
従来は、市街化調整区域で福
祉施設の開発許可は不要
法改正後の課題
(社会福祉施設等)平成19年6月13日 改正消防法施行例公布
①消防法上の用途見直しにより、
1)早期覚知対策の「抜け落ち」に注意
→住宅用火災警報器の義務が免除される一方、自火報の義務付けは(6)項ロの
みで、(6)項ハで300㎡以下のGHは適用外。
2)複合用途防火対象物になると規制強化⇒特例?
②建築基準法上の用途解釈により、
1)住戸間界壁の防火区画 →改修工事の困難性
→戸建住宅転用型も、共同住宅、寄宿舎とみなされるケースが・・
2)その他(各種建築条例への適合が必要)
→廊下幅、階段幅、敷地内通路幅、
寝室面積、接道長さ など
3)耐震化等の助成要件違反
⇒用途不適格等(改修未実施)は違反建築として助成が受けられない
③都市計画法上の用途解釈により
1)調整区域内にGH、CHが立地する際に開発許可、地区計画が・・?
消防法改正に伴い、新たに義務設置となる項目
整備項目
1 自動火災報知設備(自火報)
問題点・疑問点
備考
① 管理室や受信盤で警報を 発する こ と で、 各居室の入居者や障害のあ る 人
の火災認知は可能か
② ブザー音での警報で入居者の火災認知が可能か
③ 連動警報式住宅用火災警報器が認めら れる か
④ 無線連動式住宅用火災警報器が認めら れる か
( 松下電工製は親機・ 子機計8 台ま で、 新コ ス モス 電機製は最大32台ま で可能)
2 火災通報装置(消防への火災報知設備)
⑤ 「 福祉施設」 の用途対応によ る 、 火災予防条例と の適用の矛盾
① 手動釦式の火災通報装置の操作可能か
② 自火報と 連動する 自動火災通報式は可能か
( 所轄の消防によ っ て対応が異なる )
3 スプリンクラー設備
(一般スプリンクラー設備)
(水道連結型スプリンクラー設備)
(パッケージ型自動消火設備)
③
④
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
連動式住宅用火災警報器と の自動通報可能か
民間警備会社のシス テム と の連携は可能か
水道連結型の水圧確保の問題。 ( 停電・ 節水時)
水道連結型の配管の防火性能の問題
冬場の配管凍結の問題( 乾式の費用等)
一般給水管併用によ る 逆流汚染防止の問題
内燃機関付き 水道加圧装置のコ ス ト
停電・ 水圧低下時の性能についての表示問題
「 消せないス プリ ン ク ラ ー」 の認識の問題
●原則は一般スプリンク
ラー又はパッケージ型自動
消火設備
●1000㎡以下、275㎡以
上は特例として水道連結型
が可能
●設置義務の除外・緩和規
定あり
( 延焼防止効果と 、 煙によ る 死亡被害の問題)
4 消火器
5 防火管理者の選任・届出
消防計画の作成・届出
避難訓練等の防災管理業務の実施
⑧
①
②
①
②
義務除外・ 緩和要件の内容、 適用への対応
メ ン テ管理、 有効期間等の問題
職員・ 入居者操作の可能性と 訓練効果・ 方法
建物所有者・ 運営管理者・ 職員等の責任範囲
入居者・ 職員の状況、 関連施設、 近隣関係等を 更けめた、 総合的消防計
画の配慮・ 計画と は
③ 障害内容・ 程度に応じ た訓練方法の検討
作成:栩木 保匡氏
従来の消防法・火災予防条例により所轄消防から指導される項目
1 漏電火災警報器
2
3
4
5
①
②
誘導灯・
誘導標識の設置
①
②
③
カーテン等の防炎化(
防炎対象物品規制) ①
②
その他、規模・
収容人員によって必要とな ①
る設備(
非常警報器具、避難器具、その
他)
(
住宅用火災警報器の設置)
①
②
③
④
古い既存家屋の下地構造の解明が困難
「 共同住宅」 「 福祉施設」 によ る 適用の矛盾
住宅規模での必要性はある のか
住宅の雰囲気と の調和性
設置免除・ 緩和適用は カーテン以外の対応の必要性
カーペッ ト 等の床材の対応
維持管理費用の試算例
障害に応じ た警報方式等の選択性
基本性能と し ての「 音声誘導」 効果
連動式警報器を基本と し た整備
近隣者・ 近隣機関と の連携方法の検討
●用途が六項のロ・
ハの
場合と、五項のロの場合
の取扱いが課題
●各自治体の火災予防条
例の確認必要
●共同住宅・
福祉施設で
はなく、住宅と認定された
場合
今後、建物の用途変更時に整備が必要となると思われる項目
1 居室界壁の防火区画
2 床・
階段の防火区画
① 既存家屋での整備の可能性、 コ ス ト は
② 既存建物への法的な遡及は
〃
3 火気使用室等の内装制限
① 危険性チェ ッ ク 方法、 対応コ ス ト
4 敷地形状・
道路接道条件
① 既存家屋での緩和対応、 代替措置は
5 屋外への出口、避難通路等(
2か所確保) ① 対応方法の検討、 コ ス ト の問題
6 階段の構造、幅員
① 改修不可の場合の代替対応は
7 敷地内の通路幅員
① 既存家屋での緩和対応、 代替措置は
8 廊下幅員
① 既存家屋での緩和対応、 代替措置は
9 非常用照明の設置
① 誘導灯・ 誘導標識と の関連性
●既存建物への遡及はな
いが、今後のGH設置、特
に既存住宅の活用に際
し、「
住宅」
から「
寄宿舎」
「
共同住宅」
への用途変更
時に必要となる項目
●建築基準法・
建築基準
条例・
福祉のまちづくり法
等により求められる整備項
目
●長崎GH火災や、綾瀬G
H火災においても、防火区
画等や二方向避難等の不
備が影響したと思われる
●住宅やGHとして必要な
整備基準のあり方につい
て検討必要
その他,建築基準法・
施行令、建築関係条
例等で必要な整備
作成:栩木 保匡氏
自主的な整備が検討される防災設備・器具類
1 簡易自動消火装置類の設置(
居室用)
(
スプリンクラーエース、スペースシュッパー、ケスジャ
ン、ルナワン、ホームレオ、その他)
2 簡易自動消火装置類の設置(
台所用)
(
キッチンレオ、キッチンガード、その他)
3 自主設置型パッケージ型自動消火設備
① 使用可能期間の問題( 概ね7 , 8 年程度)
② 保守管理、 取り 換え費用の問題
③ 防災上の効果の判断、 消防法上の取り 扱いの問題
〃
① コ ス ト と 消防法上の取扱い、 設置申請・ 保守の必要性
(
スプリネックス)
4 簡易消火器具
●スプリンクラー設置義務
外GHでの初期消火用
① 防災的効果と 、 消防法上の取扱
(
サット119、消火フラワー、その他)
その他の検討課題
1 建物の「
用途」
の判定に伴う問題
(
建築基準法・
消防法・
都市計画法等)
2 複合防火対象物の取り扱い
① 「 住ま い」 か「 施設」 か、 理念上の考え方と 、 法・ 制度上の調整
② 住宅・ 寄宿舎・ 共同住宅・ 福祉施設の区分
③ 建築基準法と 消防法の判断の相違
① G Hの入った建物全体への遡及の問題
② 貸し ビル、 マンショ ン、 アパート 、 店舗等と の複合形態の取扱い
③ 専用住宅と G Hの複合建物の場合は
3 同類建物の取扱区分
① 事業規模・ 形態、 背景等から 見て同一対応で良いか
(
障害者GH,高齢者FGH,小規模多機能、有 ② 介護保険施設が福祉施設、 高優賃は共同住宅で問題ないか
料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅等)
4 防火管理責任体制の問題
5 整備への補助・
費用負担の問題
③ 今後の施設の小規模・ 複合化、 既存有効活用への基準の必要性
① 建物所有者、 一括借上げ事業者、 建物管理会社、 関係・ 支援法人
等の責任区分の明確化
●GHの設置・
運営形態の
① 消防良設備の設置・ 改修・ 原状回復負担は
区分・
整理が必要
② 補助金などの受け皿と 、 所有権の関係
③ 消防良設備の保守管理責任、 費用の問題
作成:栩木 保匡氏