バードストライク

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Transcript バードストライク

風力発電の環境に与える影響
JWPA委員会 環境WGリーダ
石川島播磨重工業㈱ 久保典男
目次
•1.環境影響評価
•2.バードストライク
•3.風力発電と環境団体
•4.まとめ
1.環境評価
環境影響評価が必要な電源
事業の種類
第1種事業
第2種事業
火力発電所
15万kW以上 11.25~15万kW
火力発電所(地熱)
1万kW以上
0.75~1万kW
水力発電所
3万kW以上
2.25~3万kW
原子力発電所
すべて
-
• 第1種事業:環境影響評価を必ず実施
• 第2種事業:環境影響評価を行うか個別に判定
風力発電は義務化されていない
日本気象協会資料
風力発電の環境影響評価
• 風力発電は、義務化されていない
• H13年4月に 福島県が福島県環境影響評価条
例で風力発電を対象。(1万kW以上)
日本気象協会資料
環境影響評価がなぜ必要
日本気象協会資料
自主アセス
日本気象協会資料
手順
風力発電のための環境影響評価
項目
選定
騒音
○
低周波
△
電波障害
○
地形および地質
△
動物
○
植物
○
景観
○
人と自然とのふれあいの活動の場
△
備考
学校、病院、住宅付近
重要な地形および地質が
存在する
ふれあい活動の場が存在
する
風車の騒音
騒音値IN-1950ハブ高さ60m
騒音レベル dB(A)
60
55
50
45
40
35
30
100
150
200
250
300
タワーからの水平距離(m)
350
400
風車の騒音
風車からの距離
騒音値
目安
100m
53dB(A)
静かな事務所
200m
47dB(A)
住宅街
300m
44dB(A)
400m
40dB(A)
寝室
風速 約8m/sの値。
ただし、風車の音は自然に存在しない音色
2.バードストライク
世界の調査例
研究者 RIN/Winkelman
オランダ湖岸 50kW機7基
87,000羽の鳥のうち127羽が付近に近づく。衝突死亡なし
オランダ北部 300kW機18基
昼間・夜間 鳥は風車を避けている。
夜間風車のブレード間を通過する鳥のうち5%が衝突
オランダアイセル湖岸沿岸 300kW機25基
75日間で63羽の鳥の死骸の確認、40羽は衝突。
年間200~300の被害
場所・機種(風車サイズ)・状況によるばらつきが大きい
世界の調査例
アメリカでの風車による死亡率評価
2羽/基/年 猛禽類 0.033羽/基/年
アメリカのウインドファーム
鳥の羽数/風力発電1基当/1年
猛禽類の羽数/風力発電1基当/1年
Buffalo Ridge, MN
2.834
0.002
Foote Creek Rim, WY
1.750
0.036
Green Mountain, Searsburg, VT
0.000
0.000
IDWGP, Algona, IA
0.000
0.000
nab
0.000
0.000
0.000
0.630
0.000
nab
0.000
5.214
0.038
Altamont, CA
nab
0.048
Montezuma Hills, CA
nab
0.048
San Gorgonio, CA
2.307
0.010
合計
2.19
0.033
Ponnequin, CO
Somerset County, PA
Vansycle, OR
Wisconsin (MG&E and PSC)
小計
カリフォルニアのウインドファーム
世界の調査例
アメリカでの風車による死亡率比較
原因
車両
建物や窓
電線
通信用タワー
風車(15000台)
家猫
年間衝突死亡数
風車(25,000羽)に対
する割合
60,000,000 2,400
98,000,000 3,920~
~980,000,000 39,200
10,000~174,000,000 0.4~6,960
4,000,000~50,000,000 160~2,000
10,000~40,000 1
100,000,000 4,000
国内例1
三陸町 夏虫山
夏虫山
2000年4月 岩手県三陸町で風力発電所が計画
・設置場所 五葉山県立自然公園
・規模簿
1000kW 10基
日本野鳥の会が 岩手県に点要望書提出
・オオワシ・オジロワシの生息地
イヌワシの継続調査、イヌワシの飛来を確認
5基に縮小
1.5年の調査をすることを県より指導
2001年1月 事業を中止
国内例2
風力発電用風車に衝突死 天然記念物のオジロワシ
環境省は15日、北海道苫前町の風力発電所の風車近くで発見された、国の天然記念
物オジロワシの死がいを解剖した結果、風車に衝突した可能性が高いと発表した。
自然保護団体などは、鳥が風車に衝突死する「バードストライク」の危険性を指摘、希
少種の生息地に風車を建設しないよう求めており、論議を呼びそうだ。
環境省によると、死がいは今年2月、胴体を切断された状態で発見された。解剖した酪
農学園大野生動物医学センター(江別市)の所見では、鋭利な刃物ではなく、急激な強い
力が加わったことで切断したものという。
道内では、風力発電施設の建設は日本海
沿岸に集中しており、苫前町で風車42基が
稼働、稚内市の宗谷岬では、新たに50基
以上を備えた大規模な発電施設の建設が
予定されている。(共同通信)
鳥問題とは
•鳥と風力発電の共存問題
•バードストライク
•鳥の営巣の問題(子育ての中止)
•鳥の生息域・餌場の損失
•鳥へ騒音影響
•渡りルートの障壁形成、ルート改変による影響
•生態構成単位の分断
•建設時
•運転時
バードストライクの要因分析
・風車の高さが低い(航空法の関係)
・崖の縁に建設されており、鳥が上昇気流に
使用している
•縁が鋭いため、複雑な気流が発生しており、
巻き込まれやすい
•崖の下側が餌場になって
いる
•吹雪等で
ブレードが認識し難い
風力発電用風車衝突の要因
・風車の羽根が鳥に避けきれずにぶつかる
・鳥の飛行ルートに風車の羽根がある
・配置・形状・土地の問題
・鳥がブレードを避けれない、認識し難い
・気流・形状の問題
バードストライク問題とは
開発前の調査
配置
形状
フィードバック
気流
開発後の調査
土地の利用状態
開発前の調査が重要である
開発行為に際しての検討手順
猛禽類の場合
飛来確認または繁殖情報入手
繁殖の可能性が高いと判断される場合
保護方策検討のための調査
①営巣地の確認調査
②行動圏調査
③行動圏の内部構造調査
保護方策の検討
調査結果の解析
モニタリング
①事業計画上(配置等)の配慮
②事業実行上の配慮(工期・工法)
③運転開始後の配慮(運用)
フィードバック
環境省自然環境局 猛禽類保護の進め方より
建設地の選定
•主要な渡りルートや鳥が集中する地域を避ける
•猛禽類の利用頻度が高い地域を避ける
(崖や尾根の縁からは風車を離す)
•猛禽類の餌動物の生息密度が高い地域を避け
る
•風車の周りを餌場、湿地帯にしないようにする
•鳥の飛行経路と平行に風車を配置する
米国魚類野生生物局
Bird Strikes and Electrocution at power line communication
towers and Wind turbines
風車への対策
•風車は、鳥の止まり場所や営巣にならない
ように、ラチスではなく、円筒にする
•ブレードの1枚のみを、黒く塗る
•白色の閃光灯を、取り付ける。
•赤色の白熱灯は避ける
•送電線を地下埋設にする(感電死防止)
米国魚類野生生物局
Bird Strikes and Electrocution at power line communication
towers and Wind turbines
洋上風車の影響
• 沿岸から沖合まで広く利用している
• 海鳥の多くは、生活の大部分を洋上で過ご
す
• 海鳥は長寿命・低繁殖率
である
猛禽類の影響
• 天敵が存在しない
• 成長体が死亡すると影響が大きい
• 猛禽類は、自然環境の変化の影響を
最も受けやすい
猛禽類
鳥・蛇・魚
虫・かえる等
植物
3.風力発電と環境団体
風力発電と環境団体
• 地球温暖化対策
風力発電と環境団体とは利害の一致
グリーンピースのWind Force12
• 風力発電と鳥の影響
バードストライクで計画中止
• 風力発電と地域住民
騒音、景観で計画中止
自然公園
• 国定公園内に、風力発電所が設置
(三重県青山高原ウインドファーム)
• 環境省にて、国立・国定公園における風力
発電施設設置についての検討
• 風力発電事業者からは 「規制緩和」かと
期待されたが 実際には「規制」の厳格化
国定・国立・自然公園の割合
国立公園
国定公園
都道府県立
自然公園
法令
自然公園法 自然公園法 都道府県条
例
指定
環境大臣
占める割合 5.5%
環境大臣
都道府県知
事
3.6%
5.2%
公園への建設
国立公園
特別保護地
域
(許可制)
普通地域
(届出制)
普通地域
(30m以下)
国定公園
講演の核心部(特別 国立公園に準じる。
保護地域)について 知事の判断
は建設不可
それ以外は基準を満
足すること
小型は推進
特別地域と同様
知事の判断
届出不要
自然公園の現状
規制計画
状況
第1種自然公園
現在の風景を極力 建造物不可
維持
第2種自然公園
農林漁業活動につ 建設物可能
いては勤めて調整 スキー場・
宿舎・鉄塔
第3種自然公園
通常の農林漁業活 上記以外に畑も
動は容認
可能
普通地域
風景の維持を図る
届出制
景観の問題
• 風車が邪魔にならない距離 1度以下<4km
市民風車
• 市民が風力発電事業に出資することで、風車
が地域住民に受け止めやすくなる。
• 北海道「はまかぜ」ちゃん 1000kW 1基
秋田県「天風丸」
1500kW 1基
青森県「市民風車・わんず」1500kW 1基
• 1口 50万円に対し
2001年度 22,646円
2002年度 70,563円
2003年度 41,065円
第4回風力エネルギー利
用総合セミナー
デンマークでの市民風車
反対!
①事業収益
第4回風力エネルギー利
用総合セミナー
賛成
!
風車事業企 ②地域環境の破
壊・騒音
画者
賛成9名(多数派)
大型化する
ことにより
景観への
インパクト
増大
反対 3名
より強力な反対派層の形
勢
(反対署名:住民の1/5)
4.まとめ
まとめ
• 風力発電は、地球温暖化対策にとって重要
な対策である。
• 風況の良く、系統があり、自然環境に影響
が少ないところは、なくなってきた。
• 風力発電事業者と環境団体・地域住民との
軋轢が発生。
• 「情報を共有する」をキーワードに協議して
いる
今後
• 風力発電のための環境影響評価マニュア
ルの作成
• 10,000kW以上の規模のNEDO補助金を
受ける事業者は環境影響評価を義務化
• 風車の影響については、歴史的なもの、人
の捕らえ方の差、未知の部分が多い。(サ
イトにより状況が大きく異なる)
• 環境影響評価マニュアルに従った事前調査
が重要→リスクの評価
戦略的アセスメント
文献
• 野生鳥類保護管理ハンドブック
日本林業調査会
• 猛禽類保護の進め方
環境省自然環境局野生生物課
• 風力発電の鳥類に与える影響に関する評価
日本野鳥の会
• 風力発電のための環境影響評価マニュアル
風力発電へのJWPA取組み体制
会長
副会長
顧問
RPSに関する検討・提言委員会
理事会
規制緩和に関する検討・提言委員会
系統連系に関する検討・提言委員会
法人化準備委員会
国際部会
業務部会
制度部会(休止)
技術部会
風況WG
系統連系WG
自然環境WG
洋上風力発電WG
新技術WG