クォーク模型誕生と多重発生

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Transcript クォーク模型誕生と多重発生

松本大重イオン研究会
2013年6月22,23日 浅間温泉
クォーク模型誕生と多重発生
大場一郎
1.基研を中心とした多重発生研究の誕生
• 1949年 湯川秀樹ノーベル賞
• 1953年 基礎物理学研究所設立
国際理論物理学会(9月)
•
海外からの参加者、例えば
Bhabha, Bloch, Feynman, Heitler, Le(’)vy, Marshak, Mo(/)ller,
Pais, Peierls, Perrin, Proca, Shiff, …
会議にさきだって
2月 宇宙線ゼミナール(早川)
3月 核反応ゼミナール(山口)
基研研究会の先駆け
• 所員の木庭二郎、早川幸男が多重発生の勉強会
1954年
中間子多重発生研究会
1956年2月 超高エネルギー現象研究会
1956年12月 超高エネルギーシンポジウム
福田、早川
早川、木庭
東京グループ(福田、藤本)
• 1956年 超高エネルギーシンポジウム
東京グループ、12月、教育大
多重発生理論(Landauモデル)の問題点 福田博
統計力学的理論と場の理論
伊藤
多重発生と場の理論の流体的描像
並木、磯
中間子流体の状態方程式と相互作用の型 江沢、友澤、梅沢
Fermi理論におけるfinal state interaction 森
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空気シャワーのμ成分
ジェット・シャワー
小田
西村
○多重発生流体模型の場の理論的基礎付け
高エネルギー宇宙線による中間子多重発生(Heisenberg)
発生機構と強い相互作用の型が同定?
カスケード/単一衝突?
第1種相互作用/第2種相互作用?
1950年、Schein starの観測
1951年、統計模型(フェルミ)
1953年、流体モデル(ランダウ) ⇒ 比較的実験結果と
一致する現象論的模型
1957年、並木、磯、森、・・・
中間子場の相互作用 ⇒ 物理量(E、p、・・・)
場の理論
⇒ 流体模型の適用限界評価
現在のRHIC、LHCなどの加速器実験
クォーク・グルーオン・プラズマの基礎理論
2.ICEF(国際共同原子核乾板飛行計画)
シカゴ大 Scheinの気球実験 → 小柴(N.C. 1960s )
原子核乾板で宇宙線による中間子多重発生事例観測
高エネルギー核衝突 ⇒ パイ中間子発生
荷電粒子の log tanθ 分布
この分布に 複数個のクラスター の存在 (← 丹生の2つの火の玉模型)
1964, Kobayashi,Namiki,I.O.,Orito, PTP
クラスター間の運動量移行量の多寡 → 多重発生現象の分類
クォークジェットのカスケード的ハドロン化模型の魁
3.クォーク模型と素粒子反応
1964年 クォーク模型の提唱
M. Gell-mann, A. Zweig
実験的質量準位を見事に説明
重粒子(p,n,Λ,Σ0,±,Ξ0,-) 8重項, ・・・・10重項
中間子(π0,±,, K0,+, K0,-,η) 8重項
奇妙な基本粒子 電荷:1/3, 2/3 重粒子数:1/3
当時の主流
8重項を導く単なる“数学的道具”
(坂田模型・・・基本粒子(p,n,Λ)
重粒子15重項
)
1964年(素研)、65年(PTP) 町田-並木
クォークは物理的実体 (qqq)+(qqq)
⇒ 核力の“固い芯”の説明に成功
cf: 2000年頃、理研の有馬報告
1977年、Neudatichin-Smirnov-Tamagaki, PTP
1980年、Oka-Yazaki, PL, PTP
第1回「宇宙線領域と加速器領域における
素粒子物理学」研究会、1964年12月
核力のハードコアー
NN散乱の位相シフト:3S0 、3S1 に斥力
クォーク多体系のフェルミ統計性に起因
4GeVと8GeVのπN後方散乱にピークの存在
構成粒子のrearrangement scatteringに起因
坂田のコメント
分子型 (NN^{-})+N
原子型 (qq^{-}) + (qqq)
坂田模型とクォークモデルの区別可能?
3-a.強い相互作用と双対性
高エネルギー素粒子反応に現れる
ハドロンの複合粒子性
1965,6年 藤本、町田、並木、I.O.
πN後方散乱のピーク←クォークrearrangement scat.
分子型模型と原子型模型の区別が可能?
π+p → pπ+ 〇
π- p → pπ- ×
→ nπ0 〇
△
△
△
1968年 G. Veneziano 双対振幅(4体)の提唱
Veneziano振幅の拡張と新たな可能性(並木、I.O.)
○off-mass-shell振幅
○電磁相互作用の導入
○ボソン電磁形状因子
○包含反応に適用⇒6体振幅の和則に現れる双対性の確
認
4-b.弱相互作用
1966年 並木、中川、I.O.、小林(庸)
クォーク実体模型で中性子β崩壊を解析
素過程:d → u + e- + ν(bar)
GA/GV ⇒核子波動関数の主要成分:SU(2)×SU(3)対称
(SU(6)の56次元既約表現)
南部のカラー量子数導入へとつながる
1967年 I.O. 非レプトン崩壊へ拡張
Σ, Λ → N + π
「Lee-菅原の関係式」をクォークモデルから
“弱相互作用の素過程はクォークレベル”
4-c.電磁相互作用 (60’s後半~80’s前半)
(並木、小林(澈)、藤村、小林(庸)、織田、斎藤、
岡野、松田、木造、大下)
少数核子原子核(p, n, D, He,…)
物理的実体である
3n (n=1,2,…)個クォークの多体系
相対論的な束縛状態
時空的な広がり ⇔ 相対論的波動関数
電磁的相互作用(光子で触る) ⇒ 電磁形状因子
大運動量移行量領域(より内部領域)
形状因子の負ベキ的振る舞い ⇒ 相対論的効果
弱相互作用にも適用 … 岡野ら 弱形状因子
現在のクォーク原子核物理学の魁
4-d.ループを通しての未知クォークの寄与
Glashow-Iliopoulos-Maiani(GIM)機構
ΔS≠0 中性流の抑制 ⇒ c-クォークの予言
1981年 木造、岡野、山中、I.O.
標準模型の枠内
axial vector neutral current,γ5量子異常
⇒敷居値以上の重クォークの寄与
木造(東海大)が引き継ぐ
4-e. 高エネルギー素粒子反応、多重発生
(並木、I.O.、鈴木、金井(中野)、中村(純)、伊達)
(名古屋G. 沢田、井町、二宮(勘)、松岡
散乱断面積の比 ← クォークカウンテイング)
5.クォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)
(並木、水谷、室谷、伊達、平野、野中、森田)
1988年 水谷-室谷-並木
QGPの第一原理 … 量子色力学
半現象論的取り扱い
□多体量子系の代表的モードの存在
⇒ 量子Langevin方程式 ⇒ 物質定数
□時空発展(軸対象) ⇒ 相対論的流体方程式
QGP時空発展のシミュレーション・スキーム
199*年 平野
□完全な(3+1)次元相対論的スキーム
QGP流体模型のプロトタイプ
RHIC、LHCデータの有力な解析手段