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1970,80年代の
金融調整の実証分析
VARモデルによる分析
高橋青天ゼミ
製作者
福原 充
増田 佑太郎
鈴木 茜
課題と結論

高度経済成長期以降の1970年から1980年代、日本
銀行はコールレートを操作目標とし、マネーサプライを
ターゲットにした金融政策を行ったと言われている。本論
文はその日銀の金融調整を実証分析したものである。
・結果、確かに日本銀行はコールレートを通じてマネーサ
プライを調整していたということが実証的に確認すること
ができた。
日銀の金融政策の方法とは何か?
貸出政策
公開市場操作
準備率操作
窓口指導 など
日銀貸出額
マネーサプライ
貸出金利 など
経済の安定
(インフレ抑制等)
金融政策手段
中期政策目標
最終政策目標
高度経済成長期の日銀の金融調整
•外国からの資本流出入
の実質的禁止
銀行の資金調達は
日銀貸出にほぼ限定
オーバーローン
(貸出超過状態)
・公定歩合の操作により
貨幣量を調節
中期目標
貸出金利、貸出額
・公定歩合が日本銀行の
実質的な金融調節の手段
日銀がハイパワードマネーを
コントロールするケース
債券金利
コールレー
ト
Rc
R
0
BM
現金・準備
金
0
BM
コール需
要
高度経済成長以降の日銀の金融調整
・金融の自由化に伴って
金融機関の資金調達方法が
多様化
マネーサプライの供給
ルートが多様化
・金融機関は日銀貸出
に頼らずとも資金
調達が可能に
中期目標は貸出額から
マネーサプライへ移行
中期目標
マネーサプライ
金融政策のターゲット
コールレートを通じた
マネーサプライ
日銀がコールレートを
コントロールするケース
債券金利
現金・準備金
貸出金
R
0
BM
現金・準備金
コールレートと公定歩合の推移
公定歩合
%
貨幣乗数の推移
貨幣乗数
コールレート
14
14
12
12
10
10
8
8
6
6
4
4
2
2
0
年
98
96
94
92
0
90
年
88
97
86
94
84
91
82
88
80
85
78
82
76
79
74
76
72
73
70
70
なぜVARなのか?
経済理論を基にした
構造モデル
VARモデル
複数の変数間の
相互依存関係を考慮する
金融政策を仮定している
金融政策を仮定しない
日銀の金融政策がわからない
日銀がどういう政策をとっているかわかる
VARモデルとは何か?
内生変数と外生変数を区別せずに、幾つかの変数の群が互
いの過去の値と今期の撹乱項から決定されるという考え
変数の現在の動きを
すべての変数の過去の値によって説明する
VARモデル(ベクトル自己回帰モデル)
yt=Φ0+Φ1yt-1+Φ2yt-2+・・・+Φpyt-p+ut
n次の定数項の列ベクトル
n×n次の係数行列
グレンジャー・コーザリティー
他の条件を一定として、変数Aの過去の値が変数Bの変動につ
いての説明力が有るのかどうかを調べる検定
A
B
AがBに対して説明力があり、
BがAに対して説明力が無い場合、
AがBに対してグレンジャーの意味で因果性がある
インパルス応答関数
VARモデルにおいて各変数間の影響を分析したもの
ある変数の誤差項に与えられた衝撃が
その変数自身や他の変数にどのように
伝播しているのかを調べる方法
予測誤差の分散分解
変数間の相互関係をより詳しくみるためのもの
インパルス応答関数でみられた変動に
どの変数がどれだけ寄与しているのか
を調べる方法
データの説明
データのサンプル期間:1970Q1~1989Q4
コールレートによるマネーサプライ操作が政策ターゲットで
あったとされている期間
・債券金利(RL)応募者利回 金融債 利付5年
最終政策目標の変数
・コールレート(CALL)東京中心 有担保翌日物
日銀の中期政策目標の変数
・日銀貸出前年同期比(BMM)
日銀の中期政策目標の変数(日銀貸出金を実質化し
前年同期比を算出したもの)
計測結果
BMM
BMM(-1)
CALL
0.547631
[ 4.39491]
BMM(-2)
-0.238287
[-1.26730]
-0.113776
[-0.83057]
BMM(-3)
[-1.67244]
CALL(-1)
-0.185261
[-2.20789]
-0.292794
[-1.82828]
-0.03233
[-0.07894]
[ 3.80873]
[-1.07125]
[ 0.65968]
0.209691
-0.246124
0.070011
C
[ 0.68574]
[ 8.93606]
[-1.85352]
0.105075
1.347113
-0.282213
CALL(-3)
[-0.33491]
[ 0.23953]
[ 1.53418]
-0.069153
0.1005
0.153268
CALL(-2)
[ 5.80703]
[ 0.26248]
[-0.99767]
0.907292
0.148403
-0.277399
0.008119
[ 0.13881]
0.217616
[ 0.35215]
10%水準で有意
[-0.01842]
[-0.23013]
[ 2.19541]
-0.001226
-0.098453
0.822578
RL(-3)
[ 0.15849]
[-0.20317]
5%水準で有意
0.011965
-0.037031
-0.474152
RL(-2)
[-0.13197]
[ 1.19957]
[ 0.00793]
-0.009063
0.247959
0.000957
RL(-1)
RL
0.154381
[ 0.68405]
コールレートの
値については、
5%または10%
の水準で有意で
ある値が多く得
られた。
グレンジャー・コーザリティー テスト
CALL
BMM
×
△
RL
インパルス応答関数による
日銀政策の波及効果
コールレートに1ポイント増加の
ショックを与えると・・・
コールレートの値の増加に連動して
日銀貸出が押し下げられている。
債券金利は日銀貸出にやや遅れて
緩やかに上昇している。
予測誤差の分散分解によ
る予測結果
日銀貸出に対するコールレート
の寄与度は2期大きく上昇し
5期で下降。その後は安定。
Variance
Decomp
osition
of
CALL:
Period
S.E.
BMM
CALL
RL
1
0.765031
1.476011
98.52399
0
2
1.36376
2.782535
97.20586
0.011608
3
1.814507
2.61786
97.30356
0.078585
4
2.126728
2.172893
97.69894
0.12817
5
2.327708
1.851295
97.9791
0.169606
6
2.446574
1.675848
98.10296
0.221196
7
2.510491
1.599659
98.10864
0.291697
8
2.541554
1.577826
98.03862
0.383559
9
2.555325
1.578314
97.92672
0.494967
10
2.561257
1.582934
97.796
0.621063
債券金利に対するコールレート
の寄与度は2期から少しずつ上
昇し、6期から影響力が増す。
コールレートはまず日銀貸
出に大きく影響をあたえ、その後
コールレートと日銀貸出の相互作用で
債券金利が上昇すると考え
られる。
分析の結論
1970年代、1980年代の金融調整において、
日本銀行はコールレートを通
じたマネーサプライ調整を
行っていた。