阪神・淡路大震災における教訓 (消火 救出 救護等)

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Transcript 阪神・淡路大震災における教訓 (消火 救出 救護等)

偶然事故時の対応指針
(Contingency Planning)
組織全体で共通する価値観を有していることを前提に
不測の事態・不慮の事故が発生したときは 現場に居
る最高責任者が全責任をもって現場判断と現場対応
をする指針 その結果について責任は問われない
・現場最高責任者は 上位責任者や上位機関の指
示を仰ぎ 指示を待つ必要はない(徒に時間を浪費
してはならない)
・上位責任者や上位機関はContingencyPlanning
が発動される事態となったときは あれこれ指示し
報告を求め 要請待ちをしてはならない
陸路は大交通渋滞
陸・海・空の総合的な輸送方法の確保を
神戸消防の初動状況
“全体情報不明 目前の災害にのみ対応”
「平時は1人を大切に 大災害時は集団の利益
優先を」の活動が困難だった
ポンプ隊
消火か! 救助か! “ アッ”消火栓水でない・・
専任救助隊
隊員・資機材とも圧倒的不足
ヘリの飛行音等で助けの声聞こえず・・・
救急隊
ケガ人が消防署に殺到
災害現場・被災病院・避難所等から要請殺
到
トリアージ困難・挫滅症候群認識なし・・・
他都市からの応援隊
441消防本部から延べ2万人
指揮運用・兵站・通信・装備・・・
ヘリ救急
目前の多数の傷病者対応で手一杯!
最初の3日間で17人
トータルで277人搬送
医師は診療に忙殺されヘリ
救急まで手が廻らず
病院長等の非協力
大学医学部の系列が障害
本人・家族の反対
ヘリポートまでの交通渋滞
臨時ヘリポート確保困難
他府県との事前連携なし
海外からの災害救助隊
9人救出 いずれも死亡
スイス災害救助隊
隊員25人 犬12頭
フランス災害救助特別隊
隊員60人 犬4頭
イギリス国際救助隊
隊員15人
※動物の検疫・受け入れ対
応・・・
必ずしも全面的に評価で
きるものでは?
消防団員等の活動!
“自ら被災に負けず958人救助”
地域の防災リーダーとして住民と協力しながら
・初期消火 飛び火の警戒
・生き埋め者の救助・救護 不明者の検索
・災害現場の警戒
・救援物資の搬送・配布
炊き出し 遺体の搬送
消防隊等への支援活動
・情報の収集・発信
・ホースの延長・転戦・撤収
・交通整理(緊急者の通行確保・ホース破損防止・・・)
・消防隊員・車両等への飲食物や燃料補給
・緊急車両等の誘導
救命講習受講者
“救護活動に活躍”マスコミでも大きく報道
災害現場や避難所で多くの受講者がケガ人に応急手
当・・・
いくつかの病院では懸命に心臓マッサージをしている
写真も・・・
受講者から「骨折 創傷 打撲」等のけが人が多く CP
Rを主とした知識・技能だけでは対応しきれなかった」
という声が多かった
「洗眼液・湿布剤・風邪薬・胃腸薬・三角巾・マスク」な
どの配付要望も多く寄せられた
これを教訓に神戸市では 「ケガの手当てコース(2
H)」と「上級救命コース(8H)」の新コースを設けた
災害弱者に心配りを
災害弱者に関する情報(個人情報保護法?)
災害時 誰が安否確認を担うのか?(関係機関と地域
住民との連携)
安全な避難経路 避難手段の確保
災害弱者の避難場所の確保(トイレ・段差・スペース)
情報伝達・コミュニケーションの方法(視覚・聴覚?)
災害弱者を支援する仕組み(元気老人・主婦・子供?)
震災の教訓”地域の福祉活動と防災活動の連携”
“防災福祉コミュニティ”
防災活動
・要援護者対策
・地域福祉と地域
防災の連携
福祉活動
要援護者対策
・福祉活動より得た要援護者情報に基づく
救出・救護・避難誘導などの計画策定
・要援護者の把握 安否確認 友愛訪問
家事援助など
福祉と防災の連携
・福祉活動(ふれあい給食会など)の機会
を活用した防災指導など
大規模災害対応
・学校等の避難所における自主運営活動
・災害発生時の防災活動及び福祉活動等
の連絡調整
消
防
団
自
治
会
事
業
所
婦
人
会
老 人 ク ラ ブ
民生委員・児童
委員協議会
P
T
A
青少年問題協議会
そ
の
他
自主防はなぜ組織活動ができなかったのか?
“実践訓練の伴わない組織はイザというとき役立たず”
いわわる官製組織で 隣保共同体としての意識が低かった
防災意識の啓発が主目的で実践活動の位置づけが不明確
防災訓練は形式的でセレモニー
主要メンバーとその家族の多くが被災(生き埋め・大ケガ等)
情報の共有がなかった(主要メンバーのみ専有)
主要メンバーの多くは自治会役員改選ごとに交替するため
「防災知識・技能が低くかった」「高齢化や名誉職化」してい
たためリーダーシップを発揮できなかった
行政の支援・助成が不十分で活動費や資機材が不足
自主防と行政・学校・他の団体やグループ等との交流が少
なかった
自主防災活動に伴う災害補償
活動等の記録と現認者の把握・確認を
防災(社会奉仕)団体・個人の登録 保険・共済への加入・届出
防災訓練などの際の 関係機関等への事前届け出
活動時は 自主防メンバーであることを示す証票の携帯 制服
や腕章等の着用
活動は できる限り安全な装備で 原則として複数単位で行動
災害現場等で 公務員等から従事命令や協力要請を受けた際
は 相手の所属・氏名の確認を
自発的に公務員の防災活動に協力する際にも自分(たち)の所
属・氏名等(名刺)を名乗る
可能な限り 活動状況の記録と現認者の把握・確認を
傷病者情報の混乱
“いつ・誰が・どこで・どの病院に・傷病程度は?”
様々な手段で傷病者が病院に殺到したため 情報が把握で
きず混乱した
直後 救急隊は1台の車にすし詰め状態で傷病者を乗せ
現場と病院をピストン運行したため 名前など記録できず
病院側も殺到する傷病者の診療に忙殺され 氏名確認 カ
ルテ作成まで手が廻らなかったのでは・・・
このため家族や知人からの消息や安否確認に対応できず
119番での問い合わせによって災害通報受信に大きな障害
自主防メンバーや医療ボランティアによる病院のサポートを
「171」の更なる啓発・普及を
約33万人が学校などに避難
“光と影”
人間関係のトラブル
弱者追い出し・救援物資・ペット・・・
安全と衛生
ライフライン破壊・盗難・食中毒・・・
傷病状の進行・悪化
インフルエンザ等・潜在的持病者・
入歯補聴器・救急傷病者の変化・・
運営のトラブル
行政の意思統一と主体性(エゴ対
応)・ボランティアと被災者・・・
被災外国人
デマ・言葉・救援物資・人間関係
いつくるか分からないのに食料備蓄はどうもねぇ
それに賞味期限もあるし・・・
飢えは我慢できても排泄は我
慢できなかった(被災者の声)
「水や食料品の備蓄も大切で
すが そのお金があれば簡易
トイレや大人用オムツを買っ
て用意」(多くの被災者の声)
準備するトイレ用品など
・簡易ポータブル式(850g)
・大人用オムツ(尿3回分)
・排尿パンツ(1枚約200円)
地震直後 多くの被災者が茫然自失に!
直後 大方の人々は思考力・判断力が低下する
多くの現場でリーダーなどの”一声”でわれに帰り救助
やバケツリレーなどの活動を始めた
日ごろやっていないことは”イザ”という時にはできない
“トッサ”の際「体感学習」や「疑似体験」などで身体にし
み込んだ知識と経験があれば身体が自動的に反応し
適切な行動がとれる
「メモ」「記録」「目印」を
“混乱した中で 人の動静・把握は極めて困難”
人の生死に関わる情報は「自分で確かめた情報」と
「人から聞いた不確かな情報」とに分けて「時系列で
メモを」
「生き埋め・不明者の情報」「避難先や入院先病院」
「検索確認結果」等の情報の共有・発信・目印を
被害状況を記録・確認するための住宅地図(拡大)
の備えを
死傷者を搬送する車両の所属・担当者や搬送先等
のメモを
阪神・淡路大震災の教訓から
“早期・確かな災害情報を把握するためには”
生き埋め者 けが人 火災発生などの状況がいち
早くわかるのは そこに在住 在勤している方々
消防団員 自主防メンバー 消防職・団員OB等の
方々は「受け持ち区域」を決めて情報収集を分担
情報は「現認被害情報」と調査や状況が現在進行
形の中での「概括(予測)被害情報」とに分ける
収集した情報は電話などによらず「自分の足」で防
災機関に持ち寄る
要救助現場に地域や建物の事情に精通した「連絡・
調整者(リエゾン・オフィサー)」の配備を
管理社会になれきっているのでは?
大災害時 行政やメディアが何とかしてくれると過信?
情報化やマニュアル化が進み個人の行動が外部の情
報や指示に依存することが多くなっている
反面 あふれる情報の中で情報に鈍感になっている?
例えば 津波や豪雨水害の際”避難指示や勧告”が出
ても大方の人は避難しないか 避難が遅れている
自然の異常事象の際に 何かが起きる”ヤバイ!”といち
早く感じて行動する力をつけることが大切ではないで
しょうか
防災安全の任にあたる方々をはじめ一般市民も自然
事象や防災情報を正しく理解・判断し 行動することが
大切では・・・
広域突発大災害時
行政が何事も面倒を見てくれると思うのは幻想?
公的防災機関の対応力には限界があった
市民の命を守る緊急の局面で大きな力を発揮した
のは市民自身
被災者への聞き取り調査によると
自助:70% 共助:20% 公助:10%
広域突発大災害の直後は 少なくとも5~10時間く
らいは「消防車も 救助隊も 救急車も来ない」とい
う想定で「自助」と「共助」に取り組むことが大切
おわりに
隗より始める
大切な家族の安否が確認できないうちは 他
人を助ける気持ちになれないのが人間
地域の防災・安全を守る活動をするためには
先ず自身と家族が無事であることが大前提
消防団員・自主防メンバーの方々は自宅の
耐震補強と家具類の転倒・転落防止などの
安全策を講じ 併せて地域住民に啓発してゆ
くことが大切では・・・