サイン音のデザイン

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Transcript サイン音のデザイン

サイン音のデザイン
岩宮 眞一郎
サイン「音」のデザイン
メッセージを伝える音
警報、警告、電話の呼び出し音
機器操作のフィードバック、動作終了音
鳴ればいい→用途に合わせた最適なデザイン
• 分かりやすい,憶えやすいサイン音
• 高齢者に配慮したサイン音
• 視覚障害者のためのサイン音
• 演出性をおびたサイン音
• 心地よいサイン音(日常的な場合)
わかりやすいサイン音
わかりやすいメッセージ
機能イメージ
警報、警告、呼出
操作、終了
ヒューマン・
インターフェース
音響特性
周波数
スペクトル
時間パターン
メッセージが理解できる
わかりやすいメッセージ
機能イメージ
おぼえやすい音
擬音語表現
ピッ
ブー ピーピー
ピンポン ピリリリ
音響特性
周波数
スペクトル
時間パターン
サイン音に求められるもの
• 分かりやすいサイン音
=機能イメージを生ずる音
操作:短い音、呼出:速い変動、警報:長い繰り返し
警告:低い基本周波数+豊富な倍音
終了:長い音の繰り返し、長い減衰
• 憶えやすいサイン音=擬音語化しやすい音
ピッ、ピリリリ、ピピピ、ビー、チーン、
ピーピーピー
マニュアル表記にも有効
断続音の緊急感
高
低
持続時間 250ms
休止時間 500ms
断続音の緊急感
全次倍音条件
7
高6
5
緊
4
急
3
感
2
低1
奇数次倍音条件
休止
時間
250ms
500ms
+6
0
-6 -12
+6
エンベロープ[dB/oct.]
0
-6 -12
断続音の緊急感:
周期が短いほど高まる。
特に,休止時間の影響が大きく,短くする
と緊急感が高まる。
高次倍音のレルが高いほど高まる。
奇数次倍音のみだと,弱まる。
高齢者・障害者配慮設計指針-
消費生活製品の報知音
JIS S 0013 2002年1月
(2011年3月改正)
この規格は、視覚障害者、視力及び聴力
の衰えが見られる高齢者をはじめとする使
用者が、消費生活製品を使用する際、操
作のフィードバックや、製品の状態などを
知らせるための情報伝達の手段として用
いる報知音について規定する。
操作確認音
終了音
(遠)
終了音(近)
注意音(強)
注意音(弱)
• サイン音
の増加
• 最適なデ
ザインの
必要性
• 音による
ユーザビ
リティの
向上
• パターン
の決まっ
たものも
ウインカー
ライト
リバース
キー
シートベルト
自動車内のサイン音
1.5
900:100
OFF(ms)
1.0
1300
.5
1100
900
0.0
2
4
700
-.5
-1.0
-1.5
100
500
500:500
300
700:700
300
500
700
100
900
ON(ms)
快適なリバースギア報知音
の時間パターン
ON
1100
OFF
kHz
1.5
1.0
.5
0.0
-.5
-1.0
-1.5
0
500
1000
1500
2000
2500
Frequency(Hz)
リバースギア報知音として
ふさわしい周波数(純音)
3000
3500
500:500
66,150円
1.5
1.0
←ふさわしい
.5
0.0
-.5
-1.0
-1.5
0
200
400
600
800
1000
Temporal pattern(ms)
クリック間の周期
(ms)
ウインカー報知音としてふさわしい周期
程良い周期に関する考察
ウインカー報知音:400 msから500 msの周期
リズム研究において,長過ぎも短過ぎもしない自
然なテンポ,自発的テンポ
リバース報知音:吹鳴,休止とも500~700 msの断続
吹鳴,休止をそれぞれ独立した時間間隔と考える
と,長過ぎも短か過ぎもしない時間間隔の連なり
0.5秒の時間間隔のリズミックな連なり→快い周期感
短かくなると慌ただしく感じ,長くなると間延び
周期感を感じつつ落ち着いた感じ
周期的なサイン音として望ましい時間特性
Unsuitable
2
スペクトル重心
極端に低い
あるいは
極端に高い音は
「ふさわしくない」
Suitable
←ふさわしい
1st component score
1
0
-1
original
-2
2000
4000
6000
8000
10000
Spectral centroid [Hz]
ウインカー報知音としてふさわしい周波数スペクトル
緊急地震速報(危険を告げる音)
地震は、P波と呼ばれる小さな揺れのあと、S波
と呼ばれる大きな揺れが来ます。
緊急地震速報は、このP波をとらえ、地震の規模
や震源地を予測し、大きな揺れのS波が来る数秒
から数十秒前に発表するものです。
緊急地震速報のチャイム
NHKの依頼で伊福部達(東大名誉教授)が開発
叔父の伊福部昭(「ゴジラ」の映画音楽)作
「シンフォニア・タプカーラ」の第3楽章冒頭
に出てくる和音を素材にして、チャイムを制
作:C7にレ♯を加えた→強い緊張感
ニュース
速報の
チャイム
ニュース
速報の
チャイム
海外事情
日本のようなニュース速報システムはあまりな
い(臨時ニュースに切り替わることも)。
あっても,チャイムはない。
KB
C
NH
K
FB
S
TN
C
RK
B
なぜ日本では,ニュース速報に
チャイムをつけるのか?
• 日本の公共空間ではアナウンスやサイン
音が多い
• 日本人は,アナウンスやサイン音で情報を
受け取ることを好んでいる?
→ ニュース速報のチャイムも自然に受け入れる
(日本の音文化)
.
サウンド・ロゴ(Sound Logo)
企業のシンボルとしての音(CMで多用:CMを
変えてもサウンド・ロゴの統一で統一感)
ロゴ(Logotype):会社名、商品名などを独特の
字体、デザインで表したもの
サウンド・ロゴ(Sound Logo):声による
企業のシンボルとしての音(CMで多用)
ロゴ(Logotype):会社名、商品名などを独特
の字体、デザインで表したもの
サウンド・ロゴ(Sound Logo):効果音,
ジングルによる
インテル:PCメーカーが変わっても同一の
サウンド・ロゴ(世界中で)
おぼえやすいサイン音
わかりやすいメッセージ
機能イメージ
おぼえやすい音
メロディ,和音の利用
音楽表現
ピッチパターン
和音
定常-500m s-1414.21H z
開始感:上昇音程(2音)
定常-125m s-1414.21H z
減衰-500m s-1414.21H z
減衰-125m s-1414.21H z
5
4
3
2
完全
下降
8度
上昇
降
8度
度下
完全
昇
長6
度上
降
長6
度下
昇
短6
度上
下降
短6
5度
上昇
完全
5度
降
度下
完全
昇
増4
度上
下降
増4
4度
上昇
完全
4度
降
度下
完全
昇
長3
度上
降
長3
度下
昇
短3
度上
短3
1度
1
7
上昇・単純
上昇・複雑
下降・単純
5
下降・複雑
不協和音2
不協和音1
Csus4
Caug
Cdim
Cminor
1
Cmajor
3
開始感
分散和音
(4音)
上昇,Cmajor,Csus4で
ドレソ♭ ドレ♭
開始感は強くなる
メロディ式
サイン音
が有効
他の音と
比べて
1
1 (C5 E5 G5 C6)
2 (C5 F5 G5 C6)
3 (C5 G5 E5 C6)
4 (C5 G5 F5 C6)
5 (G5 C5 E5 C6)
6 (G5 C5 F5 C6)
7 (C5 F5)
8 (G5 C6)
9 (C5 E♭5)
10 (A5 C6)
11 (C5 E5)
12 (G♯5 C6)
13 (C5 C6)
14 (JIS)
15 (FM)
開始感
7
やや
強い 5
3
定常-500m s-1414.21H z
終了感:下降音程(2音)
定常-125m s-1414.21H z
減衰-500m s-1414.21H z
減衰-125m s-1414.21H z
5
4
3
2
完全
下降
8度
上昇
降
8度
完全
度下
昇
長6
度上
降
長6
度下
昇
短6
度上
下降
短6
完全
5度
上昇
降
5度
度下
完全
昇
増4
度上
下降
増4
完全
4度
上昇
降
4度
度下
完全
昇
長3
度上
降
長3
度下
昇
短3
度上
短3
1度
1
終了感(4音)
7
5
上昇・単純
上昇・複雑
下降・単純
3
不協和音2
下降で終了感は強い
不協和音1
Csus4
Caug
Cdim
Cminor
1
Cmajor
下降・複雑
2:下降系の
メロディ式
12,14:
ゆっくりした 1
断続音
(JIS S 0013)
1 (C6 G5 F5 C5)
2 (C6 G5 E5 C5)
3 (C6 F5 G5 C5)
4 (C6 E5 G5 C5)
5 (F5 C6 G5 C5)
6 (E5 C6 G5 C5)
7 (C6 C5)
8 (G5 C5)
9 (Gmajor Cmajor)
10 (Fmajor Cmajor)
11 (JIS 1)
12 (JIS 2)
13 (JIS 3)
14 (JIS 4)
15 (JIS 5)
16 (AM)
17 (FM)
終了感
7
5
3
定常-500m s-1767.77H z
警報感:1度,増4度音程
定常-125m s-1767.77H z
減衰-500m s-1767.77H z
減衰-125m s-1767.77H z
5
4
3
2
完全
下降
8度
上昇
降
8度
完全
度下
昇
長6
度上
降
長6
度下
昇
短6
度上
下降
短6
完全
5度
上昇
降
5度
完全
度下
昇
増4
度上
下降
増4
完全
4度
上昇
降
4度
完全
度下
昇
長3
度上
降
長3
度下
昇
短3
度上
短3
1度
1
警報感
(4音)
7
Cdim ,Caug,不協和音,複雑
で警報感は比較的強い
5
上昇・単純
3
上昇・複雑
下降・単純
不協和音2
不協和音1
Csus4
Caug
Cdim
Cminor
下降・複雑
Cmajor
1
7
1
1 (E5 C6 C5 G♯5)
2 (E♭5 C6 C5 G♭5)
3 (E♭5 C6 C5 G5)
4 (G♯5 C5 C6 E5)
5 (G♭5 C5 C6 E♭5)
6 (G5 C5 C6 E♭5)
7 (C6 C5 G♯5 E5)
8 (C6 C5 G♭5 E♭5)
9 (C6 C5 G5 E♭5)
10 (G♯5 C6 C5 E5)
11 (G♭5 C6 C5 E♭5)
12 (G5 C6 C5 E♭5)
13 (C5 G♯5 C6 E5)
14 (C5 G♭5 C6 E♭5)
15 (C5 G5 C6 E♭5)
16 (D♭5 C6 C5 A#5)
17 (C6 C5 A♯5 D♭5)
18 (C5 C5)
19 (C6 C6)
20 (C5 G♭5)
21 (G♭5 C6)
22 (G♭5 C5)
23 (C6 G♭5)
24 (Cdim)
25 (Cdim Cdim)
26 (JIS 1)
27 (JIS 2)
28 (AM 1)
29 (AM 2)
30 (FM)
警報感
和音,振幅変調音がふさわしい
メロディ式の利用は不適
5
3
サイン音のデザインのあり方
• 聴覚の特性を生かしたメッセージ伝達
(全方位性,時間特性)
• 分かりやすく,憶えやすい
• 快い(不快でない)
• ユニバーサル・デザイン