(野外調査)における安全について

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野外活動(野外調査)における安全について
土壌生態管理学・嶋
一徹(しま
いってつ
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~planteco
/
・機械の取扱い(刈払い機)
・健康管理と熱中症
・身近な存在-危険な植物-
上:森林での地形測量
左:山火事跡地での伐採作業
刈払い機使用中の事故
【事故の状況】
12月中旬(水)16:40頃、女性Sさん(60才)は、鎌で草刈り中、近くで作
業していた長男の刈払機が跳ね飛ばした石が、左目に当たり失明した。
【事故の背景】
長男は刈払機で県道脇の法面の草刈りをしてた。Sさんは左後方3mにいた。草刈
機には飛散防護カバーがついていたが、作業者の方向に飛んだ場合にのみ有効で
ある。それ以外の方向にいたSさんに石が跳ね飛び、事故になった。
【事故の状況】
6月中旬(土)18:30頃、男性Nさん(58才)は家の周りの草刈り作業中、刈
払機のハンドルを取られ、ハンドルで顔面を強打した。
【事故の背景】
Nさんは、畦の草刈りを終わり、自宅近くの路面と生け垣の雑草を刈り取ってい
た。生け垣の上(地上2mくらい)に木の枝が伸びており、以前から剪定しなけ
れば、と思っていた。チェンソーでやれば安全だが「たった1本だから」と思い、
刈払機で切ろうとしたところ刃が枝に負け、ハンドルが引き上げられ、その勢い
で顔面を強打した。
刈刃の切断位置は前方左側1/3
の位置を使う。
一般的な刈払機は、刈刃が反時計回りに回転しま
す。そのため右側で刈ると作業者側に跳ね返され
て(キックバック現象)、刈刃と接触する恐れが
あります。必ず左側で刈り払います。
安全靴やすね当ては回転刃が触れたときの切傷を防ぎ、防護メガネやフェイスシールドは飛散物から
顔を守ります。ナイロンコード使用時には特に飛散物が多くなりますのでフェイスシールドは必需品です。
熱中症による事故
7月29日 岩手 気温28.8℃、湿度73%
午前8時30分頃より、杉の植林地において、下草の刈払作業に従事していた
ところ、午前11時30分頃に保護帽を被ったまま両膝を付き、前屈みになってい
るところを発見された。直ちに病院に搬送されたが、午後11時30分頃に死亡し
た。
7月24日
岡山 気温33.2℃、湿度67%
午前8時40分頃より、庭木剪定作業の補助・雑作業に従事していたところ、
午後4時30分頃、気分が悪いと申し出たため日陰に座らせた。体の震えを生じ
るなど状態が悪化したため、直ちに病院に搬送されたが午後8時15分に死亡し
た。
・日除けのない屋外作業
・休憩場所不十分
・水分・塩分の補給不十分
・作業者の健康状態把握せず
四肢や腹筋などに痛みをともなった痙攣
○多量の発汗の中、水(塩分などの電解質が入っていない)のみを補給した
場合に、起こりやすいとされている。
軽症度
失神(数秒間程度なもの)
○失神の他に、脈拍が速く弱い状態になる、呼吸回数の増加、顔色が悪く
なる、唇がしびれる、めまい、などが見られることがある。
○運動をやめた直後に起こることが多いとされている。
中等度
めまい感、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、失神、吐き気、嘔吐などの
いくつかの症状が重なり合って起こる
○血圧の低下、頻脈(脈の速い状態)、皮膚の蒼白、多量の発汗などの
ショック症状が見られる。
○脱水と塩分などの電解質が失われて、末梢の循環が悪くなり、極度の脱
力状態となる。
○放置あるいは誤った判断を行なえば重症化し、Ⅲ度へ移行する危険性が
ある
重症度
意識障害、おかしな言動や行動、過呼吸、ショック症状などが、Ⅱ度の症
状に重なり合って起こる
○自己温度調節機能の破錠による中枢神経系を含めた全身の多臓器障害。
○重篤で、体内の血液が凝固し、脳、肺、肝臓、腎臓などの全身の臓器の
障害を生じる多臓器不全となり、死亡に至る危険性が高い。
出典:森田茂穂(1996) 熱中症-その予防と治療のポイント、救急医療ジャーナル 21 8-11
(1)熱中症と疑われる症状が現れているにもかかわらず、本人及び周囲の作業者に熱中症の
認識がないことから症状が悪化。
(周囲の人間がお互いに気を配れば、防げた例も多い)
(2)高温環境下における作業の危険性について認識がないまま、直射日光下等での連続作業
等が行われている。
(3)水分補給用に水、お茶及び清涼飲料水等が準備され、それらにより水分補給を行ってい
ても塩分の補給がない場合には被災している例が少なからず認められる。
(4)症状が軽いときに、医師による治療を受けさせることなく休憩させていたところ、急に
症状が悪化して手遅れになる例が少なからず認められる。
(軽いから大丈夫と思わず、医師の診断を受ける。)
(5)被災者の中には、被災当日以前に体調を崩していた例も少なからず認められる。
(前日に深夜まで飲酒したり、徹夜でバイトするなど、翌日の作業に対する自分の健康管
理が出来ていないことも原因にある。)
身近に存在する危険な植物
参考図書
・野外における危険な生物、日本自然保護協会編(1982)、思索社
・皮膚炎をおこす植物の図鑑(皮膚科診療 1998増刊号)発売元丸善 6090円
・身近な自然にひそむ危険 (小泉氏作製のHP)
http://www.asahi-net.or.jp/~ep3n-kizm/garakuta/kiken/kiken1.htm
1)ウルシ Rhus. verniciflua
2)ツタウルシ R. ambigua
(北米ではPoison Ivy)
3)ヤマハゼ R. sylvestris
4)ヤマウルシ R. trichocarpa
5)ヌルデ R. javanica
poison ivy
「かぶれ」は専門用語で「接触皮膚
炎」、特にウルシによるものは「アレ
ルギー性接触皮膚炎」と呼ばれる。
接触皮膚炎は刺激性によるものとア
レルギー性のものに大別でき、ウルシ
はアレルギー性である。
アレルギーのもとは、その名もウ
ルシオール(Urushiol)。
ベンゼン環に不飽和の C15側鎖が
ついた有機化合物で、いくつかの種
類がある。主にウルシ属の植物体を
傷つけた時に出る乳液に入っていま
すが、イチョウの種皮(いわゆる果
肉)にも似た物質が含まれます。ウ
ルシの若い芽をタラの芽と間違えて
(ゆでたり天ぷらにして)食べてか
ぶれる事例も多い事から見て、加熱
しても毒性(感作性)はなくならな
いようです。
Nerium indicum
オレアンドリンという物質が有毒で、植物体の全ての部分に含まれている。
オレアンドリンは青酸カリよりも有毒な物質で(致死量は0.3mg)、誤って口にしてしま
うと中毒症状を起こし、死に至ることもある。また、低温で生木を燃やすと煙にもオレアン
ドリンが含まれるため、その煙を吸ってしまうと中毒症状を起こすこともある。
このためバーベキューなどをするときにも気をつけなければいけない植物。
実際に、 1975年にフランスでは枝をバーベキューの串の替わりに用いて7人が死亡し
たり、弟に恋人を取られた兄がキョウチクトウの枝を串に使ってバーベキューをして弟を誘
い、殺害した例もある。日本でも戦時中に枝を箸として用いたため中毒するという事件が発
生しています。
オオヨモギ
トリカブト
2001年4月、長野県に住む女性が自分で摘んだヨモギ
で草餅を作って食べたところ、舌が痺れ自力で立つこ
とが出来なくなった。
これはヨモギと「トリカブト」に新芽を間違えたの
である。
トリカブトに含まれるアコニチンという猛毒成分が
含まれ、致死量は体重60kgで僅か18mgである。摂取す
ると、嘔吐、下痢、舌・唇の痺れなどの初期症状が起
きて、全身痙攣、呼吸麻痺を経て、2~6時間後には死
に至る。
モミジガサ
ニリンソウ
キンポウゲ科トリカブト(Aconitum
carmichaelii)などの、デルフィニウム
(Delphinium)属の塊茎には猛毒ジテルペ
ンアルカロイドの一種を含む。
経口での半致死量(LD50)は1 mg/kg以
下といわれ、植物成分では最強である。
毒性の発現にはメトキシ基、安息香酸エ
ステルの存在が必須とされる。薬理作用
として鎮痛作用、催吐作用、局所麻酔作
用のほか、交感神経、副交感神経終末か
らそれぞれノルエピネフリン、アセチル
コリンを遊離し、交感及び副交感神経遮
断作用、不整脈惹起作用な多様な作用が
知られる
イラクサ
Urtica thunbergiana
イラクサの刺毛は維管束までも入り込んでいる複雑な
物で、厳密には単一の細胞からできている「毛」では
なく「毛様体」である。先端部分は針になっており、
基部には液体をが入っている嚢がある。この液体には
ヒスタミンとアセチルコリンを含んでいるそうで、棘
に触って胞嚢がやぶれ、液体が皮膚につくと強い痛み
を感じることになる。
アブラギリAleurites cordata
桐油の種子から取れる液は、かつて紙にしみ込ませて油紙とし、和傘や提灯を
作った。絶縁用ワニス、塗料、印刷用油として使われている。
しかし、平成13年10月26日には静岡県磐田市A小学校で1年生187名、
先生6名が公園で学習中に、生徒11名、先生1名の計12名がアブラギリの実
を摂食して吐気、嘔吐、下痢の症状を示して入院した。
ヨウシュヤマゴボウ:Phytolacca americana
全草にサポニンと硝酸カリウムを含み、特に根と果実に多い。
誤ってヨウシュヤマゴボウの根の漬物を食べ1時間30分前後から嘔気、嘔吐、下
痢、腹痛、倦怠感などを呈する。食べると吐き気や下痢、じん麻疹など現れるが、
強い毒ではない。主に家畜に対する被害が目立つものである。
イヌホオズキの花と実。
ナス科植物には神経毒を持つ植物が多い。
「ホオズキ」と言っても,赤い実をつけるホオ
ズキとはまったく別物。
液果には,アセチルコリン様物質があるとの
報告あり、アメリカ陸軍WWWでは液果が有毒で,
頭痛,胃痛,嘔吐,下痢等をもたらすとある。
猫が食べるとほぼ確実に死に至る。
ユズリハ:Daphniphyllum macropodum
縁起木として正月の飾りに使うほか、庭木、公園樹として植栽。葉の煎汁を民間で
駆虫薬とする。ユズリハからはダフニマクリン(daphnimacrin),ダフニフィリン
(daphniphylline),ユズリミン(yuzurimine)をはじめとして多くのアルカロイ
ドが単離されており、中毒の原因になる。
アセビ
常緑低木。花期3~5月。茎葉を牛馬の寄生虫、ウジ、農作物の害虫駆除に用い
る。庭園樹としても広く栽培される。有毒ジテルペンであるグラヤノトキシン
(grayanotoxin)を含む。和名は「馬酔木」、すなわち馬が葉を食べて毒にあたる
と「足がしびれる」ので、アシシビレがつまってアシビ、さらにアセビになった
というが・・・俗説?
ゲンノショウコ
ウマノアシガタ
各地の山野の日当たりのよいところに生える多年草。
根生には長い柄があり、掌状に3~5裂し、列片は更に浅く
裂ける。花期は4~5月。刺激性精油成分としてラヌンキュ
リンを含み皮膚に対して引赤発泡作用があり、有毒。全草及
び根をマラリア、黄疸、頭痛、関節痛などに用いる。
別名キンポウゲ(金鳳花)。
刺身ではホンマグロの大トロという感じでご飯に合います。天ぷらやフライにする
と冷たくなっても柔らかいし、美味しく食べられます。
ただ、食べ過ぎると腹を壊す!!
油脂が通常の魚油ではなくワックス成分なので、人間には消化出来ないため、刺身
にして5切れ以上食すると、知らずにズボンのお尻の部分から悪臭のある油がもれ濡
れてくる。 現在は、厚生労働省の通達によって(食品衛生法)、市場取り引きが禁
止され、漁獲されたものは海上廃棄、また市場に出ているものも発見次第廃棄される。