社会的リスクと色の受容範囲(ppt)

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社会的リスクと色の受容範囲
香川大学経済学部
堀 啓造
於:関西学院大学B館103号室
第34回消費者行動研究コンファレンス
2007年6月2日10時30分~45分予定
社会的リスクと消費者行動
• 知覚リスクのなかで社会的リスクがあることが消費
者行動を決定することがある。つまり社会的に受容
される行動の方向にバイアスがかかるのである。
– 社会的リスクがある場合、つまり公に見せる可能性があ
る場合はより社会的の基準に則った行動をする。
– 社会的リスクが低い、私的なもの、例えば家の中でしか
使わないもの、では個人の好みに従った個々ばらばらな
選択をするであろう。このような側面を製品の色の選択か
ら見てみる。
仮説1=社会的リスク説.
• 社会的リスクの高い公に見せる製品の色について
は、社会的規範に敏感であり、社会的規範の則った
行動をしやすくなる。そのため、色の選択が偏ったも
のとなり、受容する色と拒否する色が明確になる。
結果として色の選択のジニ係数が高くなる。
• 社会的リスクの低い製品は社会的規範が働かない
ため個人の好みによって色が選択される。そのため
集団全体として色の選択の分布は広がり、受容す
る色と拒否する色の対比は明確でなくなる。結果と
して色の選択のジニ係数は低くなる。
仮説2(対抗する仮説)=個性化説.
• 公に見せる製品は関与が高くなっているので個人
の好みを強く出してくるだろう。そのため、個人差が
大きくなり、色の選択が広く分布することになる。結
果として色の選択のジニ係数は低くなる。
• 私的な製品は関与が低くなるので、色の選択はどう
でもよくなる。このため習慣的に使われている色(習
慣色)を使う。結果として色の選択のジニ係数は低く
なる。この部分に関してはどうでもいいので色がバ
ラバラになるという可能性もある。つまり色の選択の
ジニ係数は高くなる。両者を併せると私的な製品に
関しては色の選択の偏りは重要でないことになる。
理論の補足
関与と受容域
• 「関与が高いほど受容域と非関与域は狭くな
り、拒否域は広くなる
– 社会的判断の法則 : コミュニケーションと態度変
化 / シェリフ, ホブランド 著 ; 柿崎祐一監訳 ; 島
久洋, 水島基喜訳. -- ミネルヴァ書房, 1977
準拠集団の購買決定への影響
• ブランド選択への影響が強い・・・パブリック
• ブランド選択への影響が弱い・・・プライベート
– Beaden & Etzel(1982) Journal of Consumer
Research, 9, 183-194.
[方法]
• 被調査者 香川大学学生254名(男子125名、
女子129名)
• 調査日時 平成16年11月19日
– 調査は中尾桂(2005)大学生の色彩関与が及ぼ
す受容域と拒否域―日用品とファッション品の違
い― 平成16年度香川大学卒業論文
(http://www.ec.kagawau.ac.jp/~hori/profile/semi03/nakao.pdf)
社会的リスクの操作
• 社会的リスクの高い製品として、
– 上着(大学用)、マフラー、かばん(大学用)、携帯電話を想定した。
• 社会的リスクの低いものとして、
– バスタオル(風呂上り用)、ふきん(食卓用)、パジャマ、トイレットペー
パーを想定した。
• 設定をチェックするため、1項目の社会的リスクを聞く。
– 例えば、「変わった色の上着を着ていると大学で笑われるかもしれな
い」「変わった色のパジャマを着ていると、泊まりに来た友人などに笑
われるかもしれない」を「1全く当てはまらない」から「5 全くよく当ては
まる」までの5段階評定をしてもらった。
• 結果は次図にあるように、携帯電話以外は正しく分類されて
いる。
5
4.5
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
上
着
マ
フ
ラ
ー
か
ば
携 ん
帯
電
バ
話
ス
タ
オ
ル
ふ
き
パ ん
ジ
ャ
マ
トイ
ペ
社会的リスク
社会的リスクの製品間多重比較
図 製品別社会的リスク
色の受容の測定
• 色の受容は○△×の3段階で評定してもらっ
た。
– ○は受容、×は拒否、△はどちらともいえない
(非関与)ものである。
– 色は黒、茶色、薄い灰色、青、白、緑、水色、赤
(原色)、黄緑、紫、肌色、黄色(蛍光)、濃いピン
クの13色である。なるべく散らばりかつあまり個
人によってイメージが違わないように細かな指定
もいれた。
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
紫
黄 肌
色 色
(蛍
濃 光
い
ピ )
ン
ク
緑
赤 水色
(原
色
)
黄
緑
白
男 ジニ係数=0.50
女 ジニ係数=0.41
青
黒
薄 茶色
い
灰
色
受容率
処理
図1 かばん(大学用) の受容率
• このグラフからすると
– 受容率20%以下の場合に規範的非受容、
– 50%以上が規範的受容ではないかと思われる。
– 20%から40%台くらいが個人差選択といえるので
あろう。
このグラフからローレンツ曲線を描く
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
男 ジニ係数=0.50
女 ジニ係数=0.41
[結果と考察] 表2 ジニ係数
社会的リ
スク
高
???
拒否
製品
男×
非関与
女×
男△
受容
女△
男○
女○
上着
0.40
0.42
0.33
0.30
0.50
0.49
マフラー
0.29
0.36
0.26
0.18
0.45
0.32
かばん
0.31
0.35
0.28
0.26
0.50
0.41
携帯電話
0.30
0.32
0.18
0.21
0.33
0.36
バスタオル
0.26
0.29
0.15
0.21
0.27
0.29
ふきん
0.24
0.26
0.20
0.20
0.33
0.40
パジャマ
0.28
0.28
0.17
0.17
0.35
0.27
トイペ
0.20
0.23
0.25
0.31
0.42
0.52
低
ジニ係数の目安
• ~0.1
• 0.1~0.2
• 0.2~0.3
• 0.3~0.4
• 0.4~0.5
• 0.5~
平準化が仕組まれる人為的な背景がある
相当平等だが向上への努力を阻害する懸
念がある
社会で一般にある通常の配分型
少し格差があるが、競争の中での向上には
好ましい面もある
格差がきつい
特段の事情がない限り是正を要する
• 浜松誠二 (2003). ジニ係数
http://www.nihonkaigaku.org/ham/eacoex/100econ/1
20doms/122dist/1224inc/gini/gini.html, 2007年5月
24日採取
• 製品別のジニ係数は表2および図2にある。
表2からわかるように受容のジニ係数は0.27
から0.52と製品ごとに異なっている。
• 非関与のジニ係数は0.15から0.33と小さくま
た変動が小さい。
• 拒否のジニ係数は男子の上着0.40、女子の
上着0.42は比較的大きな値をとっている。
• 以下の考察は主として受容について行う。
0.60
0.40
男○
女○
0.30
0.20
0.10
トイ
ペ
0.00
上
着
マ
フ
ラ
ー
か
ば
携 ん
帯
電
バ
話
ス
タ
オ
ル
ふ
き
ん
パ
ジ
ャ
マ
ジニ係数
0.50
図2 製品別色の受容のジニ係数
• 携帯電話は低社会的リスクの側にある。
• トイレットペーパーは男女ともジニ係数が高い
が特に女子は最高値となっている(0.52)。こ
れは社会的リスク仮説に反するものである。
• 高社会的リスクのうちの女子マフラーを除い
た、上着、マフラー、かばんと低社会的リスク
のバスタオル、ふきん、パジャマは概ね社会
的リスク仮説に沿った結果となっている。
男女差
• 男女差がほとんどないのが上着、携帯電話、バスタ
オルであった。
• 男女差があるのは大きい順に、マフラー、トイレット
ペーパー、かばん、パジャマであった。
– マフラー、かばん、パジャマは男子のジニ係数が女子より
も高い。
– ふきんとトイレットペーパーは女子のジニ係数が高い。
• パジャマを除いて、女子は高社会的リスクの製品で
はジニ係数が相対的に低く、低社会的リスク製品で
は相対的に高い。
• 結果として女子のほうが高社会的リスク製品と低社
会的リスク製品のジニ係数の差が小さくなっている
結論
• 以上のことから、全体としては社会的リスク
仮説が有効であろう。女子は男子に比べて
個性化仮説の方向に進んでいるものと思わ
れる。
討論
予想外
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
黒
茶
色
緑
紫
(蛍
光
)
黄
赤 緑
(原
色
)
黄
色
青
男 jジニ係数=0.42
女 ジニ係数=0.52
白
濃 水色
い
ピ
ン
ク
肌
薄 色
い
灰
色
受容率
トイレットペーパー
図3 トイレットペーパーの色の受容率
緑
赤 水色
(原
色
)
紫
黄
緑
濃 肌
い 色
黄 ピ
色 ン
(蛍 ク
光
)
青
男 ジニ係数=0.50
女 ジニ係数=0.49
白
い 黒
灰
色
茶
色
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
薄
受容率
上着(大学用) 高社会的リスク
図4 上着(大学用)の色の受領率
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
緑
肌
色
赤 黄緑
(原
色
)
黄
色
紫
(蛍
濃 光
い )
ピ
ン
ク
青
茶
色
水
色
白
黒
い
灰
色
男 ジニ係数=0.35
女 ジニ係数=0.27
薄
受容率
パジャマ 低社会的リスク
図5 パジャマの色の受容率
パジャマの拒否率
1.00
0.90
0.80
0.60
男 ジニ係数=0.28
女 ジニ係数=0.29
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
パジャマの色の拒否率
黒
青
薄
い
灰
色
白
茶
色
水
色
緑
黄
緑
紫
赤
(原
色
)
肌
色
0.00
濃
い
ピ
ン
ク
黄
色
(蛍
光
)
拒否率
0.70
携帯電話の色の受容率
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
濃 茶色
い
ピ
ン
ク
肌
色
緑
黄
)
光
紫
(蛍
色
黄
緑
青
(原
薄 色)
い
灰
色
水
色
赤
白
黒
男 ジニ係数=0.33
女 ジニ係数=0.36
図 携帯電話の色の受容率
携帯電話の色の拒否率
1.00
0.90
0.80
0.60
男 ジニ係数=0.30
女 ジニ係数=0.32
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
携帯電話の色の拒否率
黒
白
青
)
色
(原
赤
い
灰
色
色
薄
水
緑
緑
黄
紫
色
茶
)
光
(蛍
ン
ク
色
黄
い
ピ
肌
色
0.00
濃
拒否率
0.70
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
紫
色
(蛍
光
)
黄
色
い
ピ
ン
ク
茶
濃
黒
緑
黄
)
(原
色
緑
赤
色
肌
色
い
灰
青
薄
水
色
男 ジニ係数=0.27
女 ジニ係数=0.29
白
受容率
バスタオル(低社会的リスク)
バスタオル(風呂上がり用) の色の受容
率
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
男 ジニ係数=0.33
女 ジニ係数=0.40
ふきんの色の受容率
茶
色
黒
紫
い )
ピ
ン
ク
肌
色
光
濃
)
(蛍
色
黄
色
色
(原
赤
い
灰
緑
薄
黄
緑
青
水
色
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
白
受容率
ふきん(低社会的リスク)
1.00
0.90
0.80
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
紫
色 黄緑
(蛍
光
)
濃 肌
い 色
ピ
ン
ク
黄
緑
(原 青
色
)
水
色
赤
白
い 黒
灰
色
茶
色
男 ジニ係数=0.45
女 ジニ係数=0.32
薄
受容率
マフラー(高社会的リスク)
マフラーの色の受容率