Transcript 日本の医療制度
日本の医療制度概略 2009.1.20 工藤 高 1.国民医療費の増大という問題 マクロ視点 KEYWORD ・少子高齢時代 ・社会保障財源不足 ・社会保障費抑制策 日本の経済と人口構成の推移 1965 1990 2007 名目GNP 成長率(%) 11.3 7.7 1.3 総人口(万人) 9,828 12,361 65歳以上(%) 6.3 20~64歳(%) 19歳以上(%) 年 20~64歳 65歳以上 (倍) 2025 2050 12,777 11,927 9,515 12.1 21.5 30.5 39.6 57.1 61.6 60.1 55.3 48.3 36.6 26.4 18.4 14.2 12.1 9.1 5.1 2.8 1.8 1.2 (注) 1961年=国民皆保険・皆年金 1973年=福祉元年(老人医療費無料化、年金給付水準大幅引き上げ、物 価スライド・賃金スライド導入) (出典)総務省「国勢調査」、「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日 本の将来人口推計」(平成18年12月推計) かつては20歳から64歳までの現役世代9人が歳以65上の人を1人支えていた 現在は成長率は1.3%、現役世代22.8人で高齢者1人を支える時代 国の借金の残高600兆円 出典)財務省主計局主計官、太田充氏の講演資料、社会保険旬報、08.12.11号 主要国の社会保障に係る給付と負担の姿 (対国民所得比、%) 給付 年 医 介 その 金 療 護 他 負担 国税・ 地方税 社会保険料 日本 25.7 12.6 8.5 1.5 3.1 40.1 アメリカ 20.6 8.6 8.6 0.0 3.4 34.5 イギリス 27.4 8.8 8.5 0.7 9.3 48.3 ドイツ 39.2 16.9 11.0 0.3 11.0 51.7 フランス 39.4 17.1 10.3 0.1 11.9 62.2 25.1 25.6 37.5 28.0 37.6 15.0 8.9 10.8 23.7 24.6 21.5 5.0 12.3 8.4 16.1 17.5 18.8 19.0 16.3 19.6 参考 高齢化率 消費税率 (注) 給付は03年、負担、消費税率は日本は08年度、諸外国は05年 度。アメリカの消費税率はニューヨーク市の場合。高齢化率は は日本は07年諸外国、は05年。 日本は国民負担率が40.1%低い(分母の国民所得は384兆円) 消費税も5%と低い 出典)財務省主計局主計官、太田充氏の講演資料、社会保険旬報、08.12.11号 一般会計予算の推移 社会保障の 給付の見通し 年度 2006 年金 2025 47 (12.4) 医療 福祉等 介護 1978 (53) 1988 (63) 1998 (平成10) 2008 (20) 一般会計歳出 58,186 342,950 566,997 776,692 830,613 +53,922 国債費 2,013 32,227 115,120 172,628 201,632 +29,004 10,923 53,968 109,056 158,702 156,136 ▲2,565 45,250 (100.0) 256,756 (100.0) 329,821 (100.0) 445,362 (100.0) 472,845 (100.0) +27,483 8,157 (18.0) 37,093 (82.0) 10,660 (23.6) 67,811 (26.4) 188,945 (73.6) 54,501 (21.2) 103,845 (31.5) 225,976 (68.5) 60,824 (18.4) 148,431 (33.3) 296,931 (66.7) 89,853 (20.2) 217,824 (46.1) 255,021 (53.9) 67,352 (14.2) ▲41,911 6,400 109,850 88,410 155,570 253,480 +97,910 20,544 426,158 1,567,803 2,952,491 5,533,118 +2,580,627 65 地方交付税交付金等 (12.0) 28 48 (7.3) (8.8) 一般歳出 15 28 社会保障関係費 (4.0) (5.3) その他一般歳出 17 (3.1) 公共事業関係費 7 (1.8) 計 1968 (昭和43) 年度 90 1998 →2008 +69,393 ▲22,502 141 (24) (26) 国債発行による歳入 (注)単位兆円、カッコ内は 国債残高 国民所得比(%)、厚生省推計 (計)計数は当初予 算ベース。カッコ内 は一般歳出に占め る割合(%) 社会保障費は増大、公共事業費は減少 出典)財務省主計局主計官、太田充氏の講演資料、社会保険旬報、08.12.11号 他の予算を削って社会保障費へ回せと言う 医療界に多い意見に反論(財務省の太田氏) • • • • • • • • • 一般会計予算の推移をみる、08年度一般会計歳出83兆円のうち、国債費と地方交 付税交付金を除いたいわゆる政策的な経費である一般歳出は47兆2845億円 そのうち、医療・年金・介護を中心とする社会保障関係費で21兆7824億円となり 46%を占める 10年前には33%、30年前には26%、40年前には18%で社会保障の一般歳出に占 める割合がどんどん膨らんでいる。 そのため、今年の一般歳出のうち、社会保障関係費を除いた「その他一般歳出」は 25.5兆円しかない。 他の予算を切ればいいというのは、この25.5兆円を切るということになる。 ただ、この額は国債を出して賄っている25.3兆円に匹敵する額であり、この部分を社 会保障費に回すのは結局、借金をさらに増やすことになる。 08年度予算では社会保障関係費は21.8兆円になるが、ほとんどが厚生労働省の予 算だ。その中心は年金・医療・介護の保険給付国税負担で16.9兆円 地方の税負担も5.3兆円程度ある。 基礎年金の国庫負担割合を21年度から2分の1にすると、トータルで24.5兆円程度と なる。消費税1%分は2.5兆円程度である。 出典)財務省主計局主計官、太田充氏の講演資料、社会保険旬報、08.12.11号 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 06年度の国民医療費33兆円 2006年度 国民医療費 33兆1,276億円 (対前年比▲13億円 06年診療報酬改定過去最大の▲ 3.16%) 国民医療費の財源構造 公費36.4% (国庫25.1%、地方11.4%) 保険料49.2% 患者負担14.4% 「社会保険方式」と言いながら実は保険料は5割 を切っている ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 国民医療費の診療種類別構成(06年) 病院51.3%、一般診療所24.6% ↓歯科 7.8% (2000年8.5%、 92年9.8%) 訪問看護0.1% ↑調剤 13.8% (2000年9.2%、 92年3.0%) 入院 36.6% (病院35.2%、 診療所1.4%) 入院外 38.8% (病院15.5%、 診療所23.3%) ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 G7の対GDP比医療費(%) 15.3 9.9 10.5 10.6 8.7 8.0 7.0 8.1 6.9 6.2 5.4 2004年 4.5 3.0 日本 カナダ フランス ドイツ 1970年 イタリア イギリス アメリカ OECD Health Data2006(暫定値含) 対GDP比はG7最低だが、問題は伸び率 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 病床数、従事者数、平均在院日数の国際比較 人口 1000 人 当たり病床数 13 床 病床 100 床 当たり医師数 13 人 病床 100 床当た り看護職員数 43.5 人 平均在院日数 9.1 床 39.3 人 102 人 11.9 日 フランス 8.2 床(98 年) 35.2 人(98 年) 69.7 人(97 年) 10.6 日(99 年) イギリス 4.1 床 45.3 人 131 人 9.8 日(96 年) アメリカ 3.6 床 76.8 人(99 年) 229 人(99 年) 7.0 日(99 年) 日本 ドイツ 30.4 日 日本は医療施設調査 2000、衛生行政業務報告 2000、諸外国は OECD Health Data2002 ・アメリカと比較すると人口当たり病床数は3.6倍、医師数 は6分の1、看護職員数は5分の1、平均在院日数4.3倍 ・平均在院日数が諸外国並みになれば、従事者数もさほど 遜色はなくなる(日本も一般病床だけだと20日を切った) 健康保険の歴史と患者自己負担の変化 1922年(大正11年) 健康保険法の制定 鉱山、工場常勤労働者本人のみ対象 1938年(昭和13年) 国民健康保険制度の制定 農業従事者対象、以後自営業等に対象拡大 1959年(昭和34年) 新国民健康保険法制定 国民健康保険法全面改正 全市町村に国保実施を義務化。被用者保険適用外の全住民の加入義務付け 1961年(昭和36年) 国民皆保険制度実現 すべての国民が公的医療保険により医療の給付を受ける仕組みが確立、保険料の支 払い義務化 被用者保険 被保険者:10割給付、被扶養者:5割給付 国民健康保険 世帯主:5割給付、世帯員:5割給付 1963年(昭和38年) 国民健康保険 世帯主給付率7割に 1968年(昭和43年) 国民健康保険 世帯員も7割給付に 健康保険の歴史と患者自己負担の変化 1973年(昭和48年) 老人医療費支給制度創設 70歳以上は自己負担なしで10割給付 被用者保険 被扶養者:7割給付 1983年(昭和58年) 老人保健法施行 70歳以上及び65歳以上の寝たきり者の高齢者医療費有料化。 外来:400円/月、入院300円/日(2月間のみ)で導入された一部負担金が改正 ごとに増額を繰り返し、2001年より9割負担(1割自己負担 )。 1984年(昭和59年) 退職者医療制度の創設 退職被保険者:8割給付、被扶養者7割(外来)8割(入院) 被用者保険 :被保険者:9割給付 1997年(平成9年) 被用者保険 :被保険者:8割給付、外来薬剤一部負担金導入、2001年廃止 2000年(平成12年) 介護保険制度の創設 健康保険の歴史と患者自己負担の変化 2001年(平成13年) 老人一部負担金定率制(1割負担)導入 2002年(平成14年) 3歳未満:8割給付 2003年(平成15年) 被用者保険の被保険者及び被扶養者、国民健康保険、退職者保険の被保険者及び 被扶養者のすべてが7割給付(自己負担3割)となった。 2005年(平成17年) 介護保険病床の食費・居住費が自己負担となった。 2006年(平成18年) 老人であっての現役並みの所得がある者は7割給付(3割負担) 2008年(平成20年) 70歳~74歳:原則8割給付(2割自己負担(暫定措置で2010年まで1割)) 75歳以上:9割給付(1割負担)、現役並み所得者は7割給付(3割自己負担) 6歳3月以前(義務教育就学以前):8割給付(2割自己負担) その他は7割給付(3割自己負担) 日本の医療制度の評価できる点 1. 国民皆保険制度 2. 国民の健康水準は高い 3. 量的に十分な医療供給体制 4. 医療機関へのフリーアクセス(デメ リットでもある) 5. 保険給付は公平 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 日本は「保健サービスの到達度」総合評価1位 WH0 2000年6月 保健サービスの到達度 保健サービスの到達度 健康のレベ 健康の配分 利用者への 費用負担 (乳児死亡 配慮 の公平性 順位 ル (障審期間 率の地域間 調整後平均 格差) 寿命) 1位 日本 チリ 米国 コロンビア 2位 オーストラリア イギリス スイス ルクセンブルク 3位 フランス 日本 ルクセンブルク ベルギー 4位 スウェーデン ノルウェー デンマーク ジブチ 5位 スペイン ポーランド ドイツ デンマーク 6位 8位 日本 日本 24位 32位 54位 米国 米国 米国 総合評価 日本 スイス ノルウェー スウェーデン ルクセンブルク 15位 米国 医療システ ムの効率性 フランス イタリア サンマリノ アンドラ マルタ 10位 日本 37位 米国 日本の医療制度の問題点 1. 高齢化への対応が不十分で国民のニーズ とのギャップ 2. 保険財政の不安定性 3. 患者自己負担率が高い 4. 保険料負担の格差が大きい(国保) 5. IT化が遅れていて非効率が目立つ 6. 病院、診療所の機能分担と連携が不十分 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 2.病院経営の厳しさ ミクロ視点 KEYWORD 診療報酬マイナス改定の連続 後期高齢者医療制度 医師不足問題 混合診療解禁、株式会社病院経営(ほぼ決着) 医療制度改革とは ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 「少子高齢化」の中で医療保険制度を持続可能なものにするための健 康保険法、医療法などの一連の制度改革 「骨太の方針06」で07年~11年度の5年間で 毎年2,200億円ずつ1兆1000億円の社会保障費削減 2回連続マイナス改定 09年は+3% 医療法 身分法 介護報酬改定 介護保険法 第5次医療法改正 持続可能な制度 にするための改革 健康保険法 (診療報酬点数) 後期高齢者医療制度 (医師法、保健師・ 助産師・看護師 法、薬剤師法、 栄養士法等) 障害者 自立 支援法 診療報酬改定 マイナス改定 19 2002年以降は実質的な診療報酬 マイナス改定の連続 96年~2008年以降の診療報酬改定率(%) (%) 4.00 3.40 本体 3.00 2.00 1.00 全体 0.80 -5.00 0.00 0.20 -1.30 薬価等 -2.00 -2.60 96年 全体 0.38 -1.00 -4.00 薬価等 1.50 0.00 -3.00 本体 1.90 -1.70 -1.30 -1.40 -1.00 -1.00 -0.82 -1.36 -1.80 -1.20 -2.70 -2.80 98年 -3.16 00年 02年 04年 06年 08年 マイナス改定デフレスパイラル 診療報酬が下がる 医業収入が減る 利益が少なくなる 赤字幅が大きくなる 職員の給料を減らす 職員がやめる 病院倒産 ©MMO 08年1月~11月までの 医療機関倒産数30件 帝国データバンクがまとめた08 年1月~11月までの医療機関倒 産数は30件(前年同期45件)、 負債総額111億4,000万円(同 453億7,200万円)と過去最大の マイナス改定の影響を受けた前 年よりは下回っている。 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 病院全体での黒 字は3割だけ かろうじて利益 を出しているの は私的病院だけ 医学通信社「月刊保険診療」より 開設者別にみた施設数・病床数 厚生労働省「医療施設調査2007」より 施設数 平成 19年 (2007) 病床数 8,862 8,943 291 292 平成 19年 (2007) 1,620,17 3 123,208 公的医療機関 1,325 1,351 338,200 社会保険団体 123 125 5,702 個人 その他 【病院】 平成 18年 (2006) 平成 18年 (2006) 1,626,58 9 124,191 構成割合(%): 施設数 平成 平成 19年 18年 (2007) (2006) 構成割合 (%): 病床数 平成 平成 19年 18年 (2007) (2006) 100.0 100.0 100.0 100.0 3.3 3.3 7.6 7.6 347,299 15.0 15.1 20.9 21.4 36,357 36,699 1.4 1.4 2.2 2.3 5,694 847,587 842,864 64.3 63.7 52.3 51.8 533 604 49,061 55,161 6.0 6.8 3.0 3.4 888 877 225,760 220,375 10.0 9.8 13.9 13.5 99,532 98,609 155,143 159,898 100.0 100.0 100.0 100.0 631 637 2,301 2,332 0.6 0.6 1.5 1.5 公的医療機関 3,827 3,896 2,931 3,003 3.8 4.0 1.9 1.9 社会保険団体 700 727 42 44 0.7 0.7 0.0 0.0 医療法人 34,317 32,196 95,470 94,270 34.5 32.7 61.5 59.0 個人 49,010 50,355 52,673 58,432 49.2 51.1 34.0 36.5 その他 11,047 10,798 11.0 1.1 1.1 108,394 107,552 1,817 1,786,48 7 11.1 合計 1,726 1,775,31 6 国 医療法人 【一般診療所】 国 医療施設の年次推移 厚生労働省「医療施設調査2007」 100 000 99,532 90 000 一般診療所 80 000 70 000 60 000 87,133 67,798 無床一般診療所(再掲) 50 000 40 000 30 000 20 000 10 000 有床一般診療所(再 病院 12,399 8,862 0 198788 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99200001 02 03 04 05 06 07 毎年10月1日時点の施設数の変化 年 施設数 総数 病院 一般診療所 有床診療所 無床診療所 1987 137,275 9,841 79,134 24,975 54,159 1988 139,542 10,034 79,752 24,598 55,154 1989 141,849 10,081 80,572 24,372 56,200 1990 143,164 10,096 80,852 23,589 57,263 1991 145,817 10,066 82,118 23,369 58,749 1992 148,359 9,963 83,394 23,151 60,243 1993 149,878 9,844 84,128 22,383 61,745 1994 152,532 9,731 85,588 22,082 63,506 1995 155,082 9,606 87,069 21,764 65,305 1996 156,756 9,490 87,909 20,452 67,457 1997 159,284 9,413 89,292 19,796 69,496 1998 161,540 9,333 90,556 19,397 71,159 1999 163,270 9,286 91,500 18,487 73,013 2000 165,451 9,266 92,824 17,853 74,971 2001 167,555 9,239 94,019 17,218 76,801 2002 169,079 9,187 94,819 16,178 78,641 2003 171,000 9,122 96,050 15,371 80,679 2004 172,685 9,077 97,051 14,765 82,286 2005 173,200 9,026 97,442 13,477 83,965 2006 174,944 8,943 98,609 12,858 85,751 2007 176,192 8,862 99,532 12,399 87,133 施設数、病床数の推移 各年10月1日現在 万床 1,686,696床 180 総数 1,620,173床 160 1,273,859床 140 120 一般病床 100 913,234床 80 60 362,847床 精神病床 351,188床(精神) 40 20 343,400床(療養) 療養病床 結核病床 10,542床 0 1987 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 (ホスピス等の専門病棟除く) 06診療報酬上の病棟機能分化 年改定後の診療報酬上の病床・病棟機能分化 (7対1~15対1は07年5月1日、他は07年7月1日現在のデータ、厚労省) (データは 05 年 7 月 1 日現在、ただし、10 対1、13 対1、15 対1は 03 年 7 月 1 日現在) 10対1以上は 2,752病院51.8万床 (医療法)一般病床 91 万床 (医療法)療養病床 35 万床 介護施設 在 超急性期 急性期 ・救命救急入院料 7 対1 197 病院 5,602 床 787 病院 16.3 万 ・ICU(特定集中 床 治療室)569 病院 3,966 床 亜急性期 回復期 10 対1 介護療養 型老健 1,965 病院 35.5 万床 ・HCU 59 病院 685 床 ・SCU(脳卒中) 49 病院 289 床 宅 医 療 慢性期 13 対1 15 対1 930 病院 8 万床 1,617 病院 9.7 万床 老 亜急性期(13 対1) 回復期リハ(15 対1) 経 981 病院 11,474 床 964 病棟 43,525 床 過 措 障害者施設等入院基本料 778病院60,521床 ※一般病棟の特別入院基本 DPC 対象病院 療養病棟入院基本料 3708 病院 209,968 床 料に該当 268 病院 1 万床 置 病 棟 介護療養病床 718 病院 28.9 万床(08 年 7 月) 13 万床 健 ケ ア ハ ウ ス 等 高 齢 者 住 宅 含 む 看護配置(旧表示) 常時 2~4 対1 2 対1以上 2.5 対1 3 対1 08年度DPC対象+準備 1428病院、45.7万床(08年7月) 4 対1 5 対1 6 対1 ©MMO 8 対1 ©MMO 28 禁無断転載・禁無断配付 28 やはり、診療報酬が 大きな課題 出来高と包括のメリット、デメリット 支払方式 メリット 出 来 高 払 ・ 新しい高度医療を容易に保 い 険診療に導入可能 ・ 患者の病状に応じた医療 サービスが提供できる ・ 他の財貨やサービスと同様 の支払方式のため、医療機 関側、患者側双方の理解が 得やすい 1件当たり ・ 過剰な診療行為を防止する 包括払い ことによる医療の効率化 ・ 平均在院日数の短縮促進 ・ 技術の成功報酬的な評価が 可能 ・ 請求、審査、支払い事務の 簡素化 デメリット ・ 過剰投与、過剰診療誘発の リスク ・ 医療費の伸びを安定化させ る構造が欠落 ・ 件数、種類の増加にともな い請求、審査、支払事務の 複雑化 ・ 過少診療のリスク ・ レセプト出来高内容による 把握が不可能なので診療内 容の不透明化 ・ 軽症患者のみの受け入れの 患者選別というリスク DPC制度 KEYWORD 09年度には1400病院 対出来高比で3~10%増収インセンティブ 日本医師会は反対だが病院団体は賛成 09年度は1,400のDPC対象病院 病床数は46万床 • 03年から全国82の特定機能病院等で開始され た急性期の包括払いであるDPCは08年度には 718対象病院(28.9万床)、準備病院を合わせる と1,428病院、病床数45.7万床 • 医療法上の一般病床91万床の半分を占める • 09年度も約700準備病院が対象病院となる予 定で合計1,400病院 DPCとは1日当たり包括払い ・DPCとはアメリカのDRG(Diagnosis Related Groups)/PPS をもとに開発 ・分類がDRG/PPSのように「診断」だけではなく Diagnosis診断(傷病名) Procedure手技(入院中の主要な治療方法とほぼ同義) Combination(組み合わせ)に基づく ・DRG/PPSのように疾病別定額でなく1日当たり定額払い。た とえば「胃癌で開腹手術有り」とすればDRG/PPSでは入院期 間に関係なく、1入院200万円とすれば、DPCでは1日当たり 2.9万円(入院期間で減少) ・具体的には「医療資源を最も投入した傷病名」(保険点数 が高いもの)がICD(International Classification of Diseases)によって分類された後,診療行為,重傷度など によってさらに分類 包括評価の仕組み = 診療報酬 + 包括部分 出来高部分 - 診断群分類ごとの 1日当り点数 機能評価係数 × 入院日数 + 医療機関別 係数 × 調整係数 - + 特定入院料 病床の加算 ICUやHCUなど高度な医療を実 施する施設を利用した場合に設 定されている診療報酬点数 DPC制度であっても出来高で請求する項目 入 院 基 本 料 等 加 地域医療支援病院、臨床研修病院など病院機能に関する 算 加算 医学管理等 特定疾患に対する計画的な指導管理や療養指導に関する 点数 検査 カテーテル検査(心・肺・肝・膵)、内視鏡検査、診断 穿刺・検体採取料のみ 画像診断 画像診断の体制を評価した加算 造影剤注入手技の動脈造影カテーテルの主要血管の分枝 血管を選択的に造影撮影した場合のみ 投薬 退院時処方のみ 処置 1000点以上の処置 リハビリ 使用された薬剤は除く 精神科専門療法 使用された薬剤は除く 手術・麻酔 全て 放射線療法 全て 病理診断 病理診断・判断料のみ 投薬、注射、検査、画像診断、1000点未満の処置 などは包括 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 DPC包括評価による額 診断群分類ごとの1日当たり点数 × ■診断群分類ごとに点数 が設定 ・入院日数に応じて3段階 ①診断群分類ごとの入院日 数の25%タイル値→平均点 数の115% ②診断群分類ごとの25%タ イル値を超え平均在院日数 以内→平均点数 ③診断群分類ごとの平均在 院日数を超え標準偏差の2倍 以内→②の点数の85% ④標準偏差の2倍を超えた日 以降は出来高払い 医療機関別係数 × 入院日数 ①調整係数 前年度実績を担保するため 、包括評価にかかる医療費 が前年7月~12月(06年から 2ヶ月延長)の医療費実 績に等しくなるように各病 院ごとに設定 ②機能評価係数 病院の届出医療で加算 【一般病院】 ・7対1入院基本料0.1005 ・地域医療支援病院加算0.0321 ・臨床研修病院加算0.0012 ・診療録管理体制加算0.0009 等 ×10円 次回改 定で廃 止という 方針だっ たが 次回改 定で新 たな評 価 (例)B病院に胃がんで30日入院 ©MMO ○医療機関別係数1.2197(①+②) ①調整係数1.1097(前年度の医療費実績で算出) ②機能評価係数(7対1 0.1069+臨床研修病院入院診療加算0.0010+診療録 管理体制加算0.0008+医療安全管理対策加算0.0013) ○診断群分類「胃の悪性腫瘍、開腹胃全摘術(処置等、副 傷病なし)」 12日まで 13日~24日 25日以上 2772点 2049点 1742点 2,772点×1.2197×12日 2,049点×1.2197×12日 1,742点×1.2197×6日 計83,310点(DPCの包括点数) +出来高点数(手術や麻酔等のDrフィー) 診断群分類コードの構成 10 0010 X X 01 1 0 1 0 重症度等 の有無 Diagnosis 主要診断群 MDC2桁コード (01~18) 副傷病 の有無 手術・処置等2 の有無 医療資源を最も投入 した傷病名の4桁分 類コード (ICD-10に対応) 手術・処置等1 の有無 入院種別 (06年改定で廃止) 年齢・出生時体重・JCS条件など 【年齢条件】 0. 1歳以上 1. 1歳未満 【出生時体重条件】 1. 2,500g以上 2. 2,500g未満 3. 1,500g未満 4. 1,000g未満 【JCS条件】 0. 30未満 1. 30以上 JCS = Japan Coma Scale(意識障害レベルの指標) 【GAF条件】 GAF = Global Assessment of Functioning(機能の全体的評定) 【Burn Index条件】 1. 10未満 2. 10以上 Burn Index = 0.5×Ⅱ度熱傷面積%+Ⅲ度熱傷面積% 手術 01等.定義テーブルによる 手術分類コード 99.手術なし 97.手術あり Procedure 主要診断群(MDC:Major Diagnostic Categories)の18分類 MDC MDC01 主要診断群名 神経系疾患 MDC MDC10 主要診断群名 内分泌・栄養・代謝に関する疾 患 MDC02 眼科系疾患 MDC11 腎・尿路系疾患及び男性生殖 器系疾患 MDC03 耳鼻咽喉科系疾患 MDC12 女性生殖器系疾患及び産褥期 疾患・異常妊娠分娩 MDC04 呼吸器系疾患 MDC13 血液・造血器・免疫臓器の疾患 MDC05 MDC06 MDC14 循環器系疾患 消化器系疾患、肝臓・胆道・ MDC15 膵臓疾患 MDC16 筋骨格系疾患 MDC17 皮膚・皮下組織の疾患 MDC18 乳房の疾患 MDC07 MDC08 MDC09 新生児疾患、先天性奇形 小児疾患 外傷・熱傷・中毒 精神疾患 その他 診断群分類数の推移 実施時期 2003年4月 MDC数 2004年4月 2006年4月 16MDC 2008年4月 18MDC 分類数 2552分類 3074分類 2347分類 2451分類 うち包括対象 1860分類 1717分類 1438分類 1572分類 分類見直しの 主要ポイント - ・調査対象病 院拡大に伴う データ増によ る分類の見直 し ・入院目的に よる区分(検 査・教育入 院)の廃止 ・包括範囲に 含まれる処 置・薬物療法 等を精緻化 ・MDC16を3区 分に分割 ・化学療法に よる分岐見直 し ・部位等の違 いによる分類 整理 点数設定の考え方と点数表 診療報酬 点数 AとBの面積が等しく なるように設定 ① 15% A 診断群分類ごとの 1日当り平均点数 B ② 15% ③ 出来高 ④ ⑤ 25パーセンタ イル値相当 (入院期間Ⅰ) 在院日数 ⑥ 平均在院日数 (入院期間Ⅱ) 平均+2×標準偏差 (特定入院期間) 点数表(例) 入院期間 診断群分類番号 010010XX99X01X 傷病名 等 点数 入院期間 Ⅱ以上 特定 入院 期間 ② ③ ⑥ 2412 2050 35 Ⅰ Ⅱ 入院期間 Ⅰ未満 入院期間Ⅰ 以上Ⅱ未満 上記図中の該当番号⇒ ④ ⑤ ① 脳腫瘍 手術なし・・・・ 6 8 3107 医療機関別係数は2つ (1)調整係数 前年度実績を担保す るため、包括評価に かかる医療費が前年7 月~12月の医療費実 績に等しくなるよう に各病院ごとに設定 次回2010年改定以降 段階的に廃止予定 (2)機能評価係数 病院の届出医療で加算 【一般病院】 ・7対1入院基本料0.1005 ・地域医療支援病院加算 0.0321 ・臨床研修病院加算0.0012 ・診療録管理体制加算0.0009 等 地域医療への取組など 新たなファクターで 拡充予定 調整係数の決め方 A大学病院 B大学病院 前年度4ヶ月調査 •総収入105億円 •出来高50億円 •包括部分55億円 •DPC計算50億円 前年度4ヶ月調査 •総収入95億円 •出来高50億円 •包括部分45億円 •DPC計算50億円 DPCが始まると5億円マイナス DPCが始まると5億円プラス (前年所得を保証するため) 調整係数=55/50=1.10 DPC後の収入=50+50×1.1 =105億円 調整係数=45/50=0.90 DPC後の収入=50+50×0.9 =95億円 「DPC実践テキスト」じほう 高橋 泰氏より 医療機関別係数と平均在院日数 による格差が明確化 • 2003年度の調整係数 慶応大学病院 1.1452 名古屋大学病院 0.9351(0.2101) 03年度1日平均点数2759点×0.2101=580点 ※慶応と名古屋を比較すると患者1人1日あ たり慶応が580点高い 580点×1000床×365日=年間21億円の格差 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 08年改定で診断群点数(↓)、入院期間Ⅰ、Ⅱ (↓) 肺炎14日間入院で▲2,872点 係数は1.0 040080xx99x01x(肺炎・副傷病有/Alos14)症例は ▲2,872点 診断群分類番号:040080xx99x01x 診断群分類名称:肺炎、急性気管支炎、急性細気管支炎 手術なし 手術・処置等2なし 副 傷病あり ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 08年3月まで 入Ⅰ(入院期間Ⅰ日未満) : 3,121点 x 8日 = 24,968点 入Ⅱ(入院期間Ⅰ日以上Ⅱ日未満): 2,307点 x 6日 = 13,842点 入Ⅲ(入院期間Ⅱ日以上) : 1,961点 x *日 = 計38,810点 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 08年4月~ 入Ⅰ(入院期間Ⅰ日未満) : 2,952点 x 7日 = 20,664点 入Ⅱ(入院期間Ⅰ日以上Ⅱ日未満): 2,182点 x 7日 = 15,274点 入Ⅲ(入院期間Ⅱ日以上) : 1,855点 x *日 = 計35,938点 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 08年改定で診断群点数(↓)、入院期間Ⅰ、Ⅱ (↓) 心臓カテーテル3日間入院で▲1,995点 係数は1.0 050050xx9910xx(狭心症・カテ/Alos3)症例は ▲1,995点 診断群分類番号:050050xx9910xx 診断群分類名称:狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2 なし ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 08年3月まで 入Ⅰ(入院期間Ⅰ日未満) : 4,937点 x 1日 = 4,937点 入Ⅱ(入院期間Ⅰ日以上Ⅱ日未満): 3,971点 x 2日 = 7,942点 入Ⅲ(入院期間Ⅱ日以上) : 3,375点 x *日 = 計12,879点 <包括分>(H20.4より) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 08年4月~ 入Ⅰ(入院期間Ⅰ日未満) : 4,172点 x 1日 = 4,172点 入Ⅱ(入院期間Ⅰ日以上Ⅱ日未満): 3,356点 x 2日 = 6,712点 入Ⅲ(入院期間Ⅱ日以上) : 2,853点 x *日 = 計10,884点 2008年改定による 新らしい医療機能評価係数 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 7:1看護配置 準7:1看護配置(へき地等以外) 準7:1看護配置(へき地等) 10:1看護配置 入院時医学管理加算 特定機能病院 0.1438 → 0.1736 - - 0.0528 → 0.0730 0.0133 ⇒ なし 専門病院 0.0990→ 0.1244 0.1009 0.1127 0.0069 → 0.0239 地域医療支援病院入院診療加算 臨床研修病院入院診療加算1 臨床研修病院入院診療加算2 診療録管理体制加算 医師事務作業補助体制加算1 医師事務作業補助体制加算2 医師事務作業補助体制加算3 医師事務作業補助体制加算4 看護補助加算1 看護補助加算2 看護補助加算3 医療安全対策加算 看護配置等を満たさない場合 - - - - - - - 一般病院 0.1069→ 0.1005 0.0769 0.0887 - 0.0133 → 0.0299 0.0294 → 0.0321 0.0010→ 0.0012 0.0005→ 0.0006 0.0008→ 0.0009 0.0113 0.0059 0.0042 0.0034 0.0430 0.0331 0.0221 0.0013 → 0.0015 省略 要件変更 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 08年2月末にDPC対象病院へ 「新調整係数」が通知 ■調整係数+機能評価係数 AO病院 1.1837→1.2672(+0.0835) BH病院 0.9753→1,0414(+0.0661) CKA病院 1.1913→1.2588(+0.0675) DKS病院 1.0858→1.1701(+0.0843) EOT病院 1.2272→1.3242 (+0.0970) ■調整係数の計算式(DPC包括部分も▲0.82%へ設定) 見直し前の診断群分類等に基づいた支払額×(1-0.0082) 11 見直し後の診断群分類に基づいた推計支払額-入院基本料等加算等から係数化した機能評価係数 のきなみアップ調整係数廃止予定の2年後どうなる? 現在の「5つの望ましい要件」 ①ICU②ER③病理医④麻酔科医⑤画像診断医 を機能評価係数化?4疾病5事業への取組評価? 日本一係数が高い音羽病院と比較 (08年10月現在) 7:1看護配置 係数 ①調整係数 7対1 入院時医学管理加算 地域医療支援病院入院診療加算 臨床研修病院入院診療加算1 臨床研修病院入院診療加算2 診療録管理体制加算 医師事務作業補助体制加算1(25対1) 医師事務作業補助体制加算2(50対1) 医師事務作業補助体制加算3(75対1) 医師事務作業補助体制加算4(100対1) 医療安全対策加算 ②機能評価係数 医療機関別係数合計 ①+② 音羽病院 1.3242 0.1005 0.1005 0.0299 0.0299 0.0321 0.0012 0.0012 0.0006 0.0009 0.0009 0.0113 0.0059 0.0042 0.0042 0.0034 0.0015 0.0015 0.1382 1.4624 A病院 1.0378 B病院 未定 0.1005 0.0012 0.0009 0.0009 0.0059 0.0042 0.0015 0.0078 1.0456 ■DPCの包括部分を1億円(医療機関別係数1.0)とすると 音羽病院では1億4,624万円 A病院では1億456万円 0.0015 0.1088 未定 DPC制度の対象外とする患者 ①入院後24時間以内の死亡患者又は生後7日 ④評価療養、選定療養に定める先進医療の患 以内に死亡した新生児 者 ②薬事法上の治験の対象患者 ⑤急性期系以外の特定入院料等の算定患者 ※ 障害者施設、回復期リハビリ病棟など ③下記の臓器移植患者 ⑥その他厚生労働大臣が定める者 皮膚移植術 ※ 診療報酬で新しく点数が設定された手術 同種死体肺移植術 を実施する患者。これらの症例は初年度の 生体部分肺移植術 ためデータがなく包括支払の金額が設定で 同種心移植術 きない。次回改定では包括評価される予定。 同種心肺移植術 生体部分肝移植術 同種死体肝移植術 同種死体膵移植術 同種死体膵腎移植術 同種死体腎移植術 生体腎移植術 骨髄移植 臍帯血移植 厚生労働省が医療機関に提出を 求めるDPC関連データ 内容 様式名称 様式4 報 患 診療録情報(主傷病名、入院目的、手術術式 等) 者情診 出来高支払の場合の診療報酬情報 別報療 匿 報 診断群分類点数表により算定した診療報酬請 名 酬 求情報 化 請 求 保険診療外の症例調査票 情 様式3 施設調査票(病床数等) 様式1 E、Fファイル Dファイル DPC導入による病院の変化 インセンティブ 実施項目 在院日数短縮 クリティカルパスの普及 DPC 制度 診療の外来シフト コスト意識 ジェネリック医薬品の導入 現場の変化 病床の ・高回転化 ・利用率の低下 対応策 人材育成 ベッドコントロール 地域連携 DPC包括部分の収益構造 医業収益、費用 医業収益、費用 医業収益 (売上) 薬価 差益 変動費 (薬剤費、 材 利益 料費等) 損失 変動費 (薬剤費、 材 料費等) 損失 医業収益 (売上) 利益 固定費 固定費 (人件費 (人件費等) 等) 医療行為 ①出来高払い これまでの出来高 医療行為 ②包括払い DPCの世界 薬剤、処置材料は収入(Income)→費用(Cost)へ 在院日数の推移 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 25 20 19.1 17.4 18.3 16.7 15 15.5 14.7 15.2 14.6 14.5 15.5 14.5 15.4 15.0 15.4 平成16年度対象病院 平成18年度対象病院 平成18年度準備病院 平成19年度準備病院 10 5 平成15年度対象病院 出典:DPC評価分科会「DPC導入の影響評価に関する調査結果及び評価(平成19年度)」 DPCで減収になるレセプト 在院日数が長すぎる 在院日数が短すぎる パス導入がなく、医療の標準化がない バリアンス等で投薬、注射、検査、画像診断 等のDPC包括項目実施が多すぎる 5. ジェネリックへの切り替えが少ない、他にも 注射→経口できる患者 6. ミスコーディング 1. 2. 3. 4. DPC対象病院の具体的な対応 ■短期的 (1)検査、画像診断の外来シフト (2)ジェネリックの採用 (3)投薬・注射の投与量、日数の適正化 (4)入院各種セット検査の見直し (5)入院のリセット(1入院1DPC)→再入院率が高まるという問題 (6)DPCに対応したクリティカルパスの作成 (7)感染症発生の予防、合併症発生の予防 ■長期的 (1)病院としての診療方針の明確化(アウトライヤー分析、標準化) (2)アウトカムの確保(粗診粗療防止、再入院・再手術評価) (3)医療連携の強化(在院日数短縮にともなう紹介先・転院先確保) (4)患者満足度の向上(パス等による入院計画や費用の明確な説明) (5)DPCデータの活用(臨床指標の開発・設定・評価、ベンチマーク) DPC病院で起こったこと 1. 2. 3. 4. 5. 6. DPCは対出来高比で医業収入アップ(3~10%)になった 積極的に後発品や価格の安い保険材料を使用するようになった セット検査の項目、約束処方、約束注射の内容や日数を適正化 クリティカルパス導入が多くなった 平均在院日数が短くなった 高い薬剤や検査、画像診断は外来で行なうようになった(化学療法 、入院前検査、PET) 7. 異なる治療が必要な場合は一連の入院では行なわなくなった(糖尿 病の教育入院と白内障手術等) 8. 画像診断におけるフィルムレスがすすんだ 9. 医事課や医師のレセプト点検作業は軽減され、査定減点は少なくな った(B病院月間約200万円が3分の1へ) 10. ただし、病名決定や患者属性に関する医師の業務は増加 DPCによる病院の変化 ■ミクロ的 • 在院日数の短縮 • 病床稼働率が下がる • 医療連携を強化 • DPCマネジメントできる人材と正確なコーディング ができる人材の育成 ■マクロ的 • 一般病床91万床が減少していく • 診療内容の標準化がすすむ • DPC病院間の臨床指標(CI:クリニカルインディケ ーター)等の比較が容易になる DPCが医療制度へ与える影響 (1)DPCという「ものさし」で病院のパフォーマンス が評価され、それが情報公開(透明化) (2)DPCという「ものさし」は全国共通であり、施設 間比較(ベンチマーク)が容易になる(標準化) (3)政府、支払側、医療提供側、患者などのステーク ホルダー(利害関係者)が医療制度を議論する情 報を入手する (4)短期的には医療を標準化、ベンチマークする科学 的ツールだが、長期的には医療費抑制ツールにな るかも分らない 急性期病院にとってDPCは回避できない制度 DPC制度をめぐる意見 ■賛成派 保険者や病院団体(日本病院団体協議会)で は、DPC制度は医療の質を向上させ、病院経 営もしっかり実施できる仕組みと推進 ■反対派 日本医師会はDPC拡大反対の立場 日本医師会の反対理由 反論 ①アップコーディングなどのモラルハ DPC制度の問題ではなく、各病院の倫 ザードが発生 理の問題 ②地域医療の新たな格差発生 ③再入院率の増加 DPC対象病院は元来がトップランナー の病院 医療の効率化、機能分化の結果 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 療養病床のこれから 当初の療養病床再編のイメージ 月刊保険診療07年8月号より ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 62 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 都道府県別65歳以上人口1000人あたり医療+介護療養病床数 50.00 45.00 都道府県別人口=総務省「2005年国勢調査」05年10月1日現在) 病院数・病床数=厚労省「医療施設動態調査」(08年2月末概数) 40.00 35.00 30.00 25.00 医療は「地産地消」 高知と山形の療養型では 戦略が違うのは当たり前 介護療養 医療療養 20.00 15.00 10.00 5.00 0.00 高山徳熊佐富福北石鹿長広宮愛沖京静福大全島兵鳥滋香奈大岡群三埼愛山和新栃茨青東千神福長岩岐秋宮山 知口島本賀山岡海川児崎島崎媛縄都岡井阪国根庫取賀川良分山馬重玉知梨歌潟木城森京葉奈島野手阜田城形 道 島 山 川 都道府県が作成する 地域ケア体制整備構想 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 06年診療報酬改定で医療区分、ADL区分 06年当初は38万床超→07年9月36万床 ■地域ケア体制整備構想(都道府県作成) ①2035年に向けた中長期的な介護・見守り サービスなどの需要とその伸びへの対応策 ②2011年度までの短期的な介護サービスなど の必要量とその確保策 ③療養病床転換の推進策 療養病床転換の推進策 • 療養病床転換推進計画 2007年度から2011年度にかけて医療と介護療養病床がどれだけ老 健や特定施設に転換するかを示したもの 2011年度末の療養病床数は都道府県が医療費適正化計画で定める 2012年度末の療養病床数の達成を前提に設定 転換率=2011年度末までの療養病床転換数÷2007年4月1日時点の 医療・介護療養病床数 高知、香川、山口、三重などは50%を超える、愛媛も高い 愛知、山形、神奈川などは10~20%台と低い 強制力はない ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 ©MMO 禁無断転載・禁無断配付 療養は15万床から22万床へ上方修正 (注1)病床数は 2006 年 10 月現在の数値 (注2)医療療養病床からは回復期リハ病 床(約 2 万床)を除く 医療療養病床 (23 万床) 3 5 万 床 介護療養病床 (12 万床) 療養病床再編成の考え方 <2012年度> 医 高 療 い 医療 の 必 の 要 性 の 高 性 い 方 と 方 低 い 方 が 混在 低 必 要 の 高 引き続き 医療保険か らサービス を給付 い 低 医 転換 介護療養型 老人保健施設 方 の 必 性 の3県を含めると約 22 万 床の見込み ※引き続き転換を支援し つつ必要数を検証 3 5 い 療 要 医療療養病床 (約 21 万床) 44 都道府県の合算値未定 夜間対応 看取対応 従来型の老人保健施設 介護保険か らサービス を給付 特別養護老人ホーム等 万 床