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生命科学特論B
第6回 繁殖の生理学
和田 勝
東京医科歯科大学教養部
復習:カエルの発生Ⅰ
カエルの発生Ⅱ
胚葉の分化
ウニの場合もカエルの場合も、こうして
外胚葉、内胚葉、中胚葉に分化する
外胚葉、内胚葉、中胚葉からは、それぞれ
異なる器官が分化してくる
●外胚葉からできる器官
表皮
皮膚の表皮(毛、つめ、汗腺など)、眼の水晶体、
角膜、口腔上皮、嗅上皮
神経管 脳、脊髄、脳神経、眼の網膜
●内胚葉からできる器官
消化管(食道・胃・小腸・大腸の内面の上皮)、えら、中耳、
肺、気管
●中胚葉からできる器官
脊索(みずからは器官を作らないが、脊椎骨や筋肉の分
化に関与する)
体節 脊椎骨、骨格、骨格筋(横紋筋)、皮膚の真皮
腎節 腎臓、輸尿管、生殖腺、生殖輸管
側板 腹膜、腸管膜、内蔵筋(平滑筋)、心臓、血管、
結合組織
体細胞系列と生殖細胞系列
生殖細胞(精子、卵) (生殖細胞系列)
Germ cell line
外胚葉
中胚葉
受精卵
卵割
内胚葉
生殖細胞以外の
すべて
(体細胞系列)
Somatic cell line
生殖腺の形成
三胚葉が分化する前に、これらの細胞群
とは別に、将来、生殖細胞になる細胞群が
分化する
これを生殖細胞系列(germ cell line)といい
体細胞系列(somatic cell line)と区別する
生殖細胞系列からは生殖腺の中身の精子と
卵が、体細胞系列の中胚葉から生殖腺の
器ができる
具体的な例を見ていこう
ショウジョウバエの初期発生
ショウジョウバエの卵は心黄卵なので、
表層卵割をおこなう
初めは核だけが分裂していき、やがて卵の
表面に移動し、細胞膜の仕切りができて
表面に細胞が配列した胞胚になる
ショウジョウバエの初期発生
ショウジョウバエの初期発生
極細胞質に入った核が生殖細胞になる
カエルの生殖細胞質
特定の割球が特殊な細胞質を分配されて
生殖細胞系列に入る
始原生殖細胞(primordial germ cell)
始原生殖細胞の移動
哺乳類の場合、始原生殖細胞は胚体外で
生じるので、中胚葉から分化してくる、将来
生殖腺に分化する生殖隆起(genital ridge)
まで移動しなければならない
こうして、始原生殖細胞の長い旅が始まる
のである
始原生殖
細胞の
移動
生殖隆起に
多数の始原
生殖細胞が
向かっている
のが見える
生殖腺の
分化
配偶子形成
生殖細胞が融合するのだから、染色体の
数は配偶子の倍になる
配偶子を作るためには染色体の数を半減
させておかなければならない
そのために、体細胞分裂とは異なる減数
分裂という、染色体を半減させる特別な
分裂様式が導入された
配偶子形成
精子形成(spermatogenensis)
始原生殖細胞
精原細胞
第一次精母細胞
(減数分裂Ⅰ)
第二次精母細胞x2
(減数分裂Ⅱ)
精細胞x2
精子
(変態)
精子形成
精子形成
セルトリ細胞
精原細胞
精子形成
第一次精母細胞
精子形成
第二次精母細胞
精子形成
精細胞
精子形成
精子へ変態
(細胞質はセルトリ細胞が
吸収)
精子形成
精子
精子の構造
卵形成
原始卵胞と発達中の卵胞
原始卵胞とグラーフ卵胞
A:原始卵胞
グラーフ卵胞
卵形成(oogenensis)
始原生殖細胞
卵原細胞
第一次卵母細胞
(減数分裂Ⅰ)
第二次卵母細胞+極体
(減数分裂Ⅱ)
卵+極体x3
極体の放出
こうして、一つの卵細胞が資源を独占する
実際の卵形成の過程は、、、
卵形成(oogenensis)
始原生殖細胞
卵原細胞
第一次卵母細胞
LHサージで進行
(減数分裂Ⅰ)
第二次卵母細胞+極体
排卵
第二次卵母細胞
受精によって進行
(減数分裂Ⅱ)
卵が受精卵に
精子と卵
精子
父方の遺伝情報
鞭毛による運動性
中心体→分裂装置
母方の遺伝情報
発生に必要なタンパク質
卵
発生に必要なエネルギー源
リボソームとtRNA、mRNA、
分化促進因子群など
精子と卵の運命的な出会い
精子と卵を確実に出会わせ、受精がうまく
いくためには、精子と卵を接近させる必要
がある
そのために、動物はあらゆる可能な手立
てを使う
体外受精と体内受精
体内受精
精子を雌の体内に送り込み、確実に卵と
出会えるようにする
交尾器官の発達
・生殖口の構造を変える
・他の部位の構造を変える(例:交接腕)
タイミングの一致(繁殖の周期と行動)
・季節繁殖
・繁殖行動
体外受精
なるべく雌雄が接近し、確実に精子と卵が
出会えるようにする
タイミングの一致
・季節繁殖
多数の精子と卵を放出
タイミングの一致
繁殖の時期を一致させ、精子や卵をそれに
間に合うように準備する機構はどんなもの
なのだろうか
そのために最も重要なホルモン機構につ
いて、次は見ていこう
始原生殖細胞の移動
哺乳類の場合、始原生殖細胞は胚体外で
生じるので、中胚葉から分化してくる、将来
生殖腺に分化する生殖隆起(genital ridge)
まで移動しなければならない
こうして、始原生殖細胞の長い旅が始まった
始原生殖
細胞の
移動
生殖隆起に
多数の始原
生殖細胞が
向かっている
のが見える
生殖腺の
分化
これを、もう少し詳しく見てい
こう
生殖腺の性分化(共通)
生殖隆起の上皮が肥厚し、始原生殖細胞を
取り囲む
生殖腺の性分化(共通)
肥厚した上皮が索状構造を作る(第一次
性索)
生殖腺の性分化(男)
男では、皮質部分は白膜になり、第一次
性索から精細管ができてくる
生殖腺の性分化(男)
ここで
ウォルフ
管と
つながる
生殖腺の性分化(女)
女では、髄質部分の第一次性索は退化し
皮質(皮層)の部分が発達する
生殖腺の性分化(女)
皮層から
一次卵胞
ができる
生殖輸管の性分化(共通)
中腎輸管由来のウォルフ管とミュラー管がある
生殖輸管の性分化(男)
ウォルフ管は
残り
ミュラー管が
退化する
生殖輸管の性分化(女)
ミュラー管は
残り
ウォルフ管が
退化する
外部生殖器の性分化(共通)
外部生殖器の性分化(男女)
男
女
外部生殖器の分化
アンドロジェン受容体の欠損による
外部生殖器の分化
脳の性分化
性成熟
まで
飼育
テストステロン
注射
脳の性分化
正常な成熟雌は、4日周期で排卵する
注射によってLHは周期的な分泌を示さなくな
り、排卵がおこらなくなる
脳の性分化
脳下垂体ではなく、視床下部に原因がある
視床下部の神経核の体積が注射によって
増加している
雌雄分化
1)性染色体(ヒトはXX,XY)
ホモである女性が原型、ほっておくと雌になる傾向
2)生殖腺の雌雄分化
性染色体によって生殖腺分化の方向が決まる
3)生殖輸管の雌雄分化
生殖腺が分化するとホルモン分泌パターンが決まる
4)外部生殖器の雌雄分化
5)脳の雌雄分化
ホルモン分泌パターンによって4,5は決まる
哺乳類の性の決定
性染色体によって性が決まる
性染色体
がXYな
ので男
哺乳類の性の決定
Y染色体上に性を決める遺伝子が存在
Y染色体上の性決定領域(Sex determining
region of Y、Sry)と名付けられた
Sryをマウスを使って遺伝子導入(transgenic
mouse)
Sryのはたらき
トランスジェニックマウス
正常雄
哺乳類性決定のカスケード
爬虫類の性決定
トカゲでは起こらないが、ワニやカメでは
孵化の温度で性比が変わる
種によって、孵化の温度と性比の関係は
いろいろあることがわかった
爬虫類の性決定
魚類の性転換
魚類では性分化はもっと大まかで、性転換
が容易におこる場合もある
社会的な要因が強く働き、ある集団内に雌
がいなくなると、一番大きな雄が性転換を
して雌になる種
成長に伴って雄から雌になる種(雄性先熟)
雌から雄になる種(雌性先熟)もいる
繁殖戦略
どんな生物でも、自分の子孫をなるべく
たくさん残すために、その生息環境に応じた
最適な繁殖様式をとっている
これを繁殖戦略(breeding strategy)と呼んで
いる
配偶システム
繁殖戦略の中で、鳥類と哺乳類では多くの
種で子供の世話をするようになり、つがいの
形成が見られるようになる
つがいの形成にも、その永続性や強さに
よって、さまざまな様式がある。これを配偶
システム(mating system)と呼んでいる
配偶システム
単婚(monogamy)
一夫多妻(polygyny)
複婚(polygamy)
一妻多夫(polyandry)
乱婚(promiscuity)
単婚
「鴛鴦の契り」という言葉があるように、鳥は
典型的な一夫一婦制の配偶システムを
とると考えられてきた
単婚
資源が限られているために、共同して保育
しなければ子供を育て上げることができない
場合、単婚になる傾向が強い
次のつがい相手を見つけるよりは、今の
子供を育てるほうが繁殖成功率が高くなる
時は、単婚になる傾向が強い
複婚
資源が多い場合は、複数の雌を縄張り内に
抱え込む複婚になる傾向が強い
ハゴロモガラスの雄と雌
複婚
一夫多妻の場合は、性的二型が著しくなり
雄が大きくなる。ハーレムが形成される
場合もある
ゾウアザラシの雄と雌
乱婚
特定のパートナーとつがいを作らず、共同
繁殖地で相手を見つけてつがいとなり、
雌が産卵する
キジオライチョウの雄のディスプレイ
協同繁殖
最後に、これまで述べた配偶システムとは
ちょっと異なるが、協同繁殖(cooperative
breeding)について
フロリダヤブカケスとカリフォrウニアドングリキツツキ
協同繁殖
子供が両親の縄張りに残って、自分の兄弟
姉妹の世話をする。これをヘルパーと呼ぶ
日本でもオナガが協同繁殖を行う