Transcript 卒論発表
佐鳴湖における 汚濁メカニズムの研究 静岡大学システム工学科 環境分野 前田研究室 50113010伊藤 啓 発表内容 1.背景と目的 2.研究方針 3.十分には解明されていないこと 4.溶存態有機物の中身についての検証結果 5.結論 6.考察と今後の課題 1.背景と目的 様々な水質浄化対策がとられてき たが十分な効果は得られてはい ない 最適な浄化対策の選択のために 汚濁メカニズムの解明が求められ ている 研究目的 十分には解明されていない汚濁 メカニズムを明らかにする ・汚泥浚渫 ・植生施設の設置 ・接触酸化水路の 設置 ・下水道の整備促 進 など 2.研究方針 解明されていること、十分には 解明されていないことの整理 アメニティ佐鳴湖資料 佐鳴湖浄化対策専門 委員会第1~5回資料 論文 など アメニティ佐鳴湖2005年9月 水質データの整理 溶存態有機物の 中身について検証 アメニティ佐鳴湖2005 年9月水質データ アメニティ佐鳴湖2004 年9月水質データ 県データ 3.十分には解明されていないこと 上流域における湧水からの栄養塩流出の 仕組み 植物プランクトンの制限因子 通年的な湖底泥からの栄養塩溶出の仕組み 下流河道における水質の挙動 溶存態有機物の中身 回帰分析、相関分析を用いて検証 4.溶存態有機物の 中身についての検証結果 7 最大値 6 上側四分位点 mg/L 5 4 平均値 下側四分位点 3 最小値 2 1 0 上流域 湖内・下流域 使用データ:アメニティ佐鳴湖2005年9月水質データ 有意水準5%で母平均の差の検定を行ったところ棄却 上流域と湖内・下流域では中身が違う された ①BODとCODの関係 COD(mg/L) 佐鳴湖湖心におけるBOD・CODの関係 16 14 12 10 8 6 4 2 0 0 2 4 6 BOD(mg/L) 8 10 12 難分解性の有機物の存在が示唆された 使用データ:県データ 有意水準5%で回帰直線は棄却された 難分解性溶存態有機物の存在が示唆された 上流域においても同様な結果になった ②Chl-aとD-TOCの関係 2005年9月調査 湖内・下流域 Chl-a・D-TOC D-TOC(mg/L) 6 5 4 y= 0 .0 1 1 x+ 3 .6 3 2 1 0 0 50 100 150 Chl-a(μg/L) 使用データ:アメニティ佐鳴湖2005年9月水質データ n=10、r=0.774 R=0.60でF検定、t検定ともに有意水準5%で 有意であった ピコプランクトン、植物プランクトン由来の ピコプランクトン:2μm以下の植物プランクトンの事で 溶存態有機物の存在が示唆された ありフィルターを通り溶存態として検出される 上流域:Chl-a濃度が検出下限値を下回っていた ③NaとD-TOCの関係 D-TOC(mg/L) 2005年9月調査上流域 石鹸、洗剤由来Na・D-TOC 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 0 2 4 6 石鹸、洗剤由来Na(mg/L) 8 10 使用データ:アメニティ佐鳴湖2005年9月水質データ 石鹸・洗剤由来のNaでD-TOCを説明するのは 測定されたNa=NaCl由来Na+石鹸・洗剤由来Na 有意水準5%で回帰直線は棄却された 難しい 湖内・下流域:海水の影響が大きく検証できなかった 5.結論① 溶存態有機物を上流域と湖内・下流域に分けて推定 上流域 難分解性溶存態有機物の存在が示唆された ピコプランクトン、植物プランクトン由来の溶存態有 機物ではない 石鹸・洗剤由来の難分解性溶存態有機物ではない 例えば土地系由来などの難分解性溶存態 有機物が多くを占めている可能性が示唆さ れた 5.結論② 湖内・下流域 難分解性溶存態有機物の存在が示唆された ピコプランクトン、植物プランクトン由来の溶存態有 機物の存在が示唆された 石鹸・洗剤由来は検証できなかった ピコプランクトンが多くを占めている 可能性が考えられる 6.考察と今後の展開 難分解性溶存態有機物やピコプランクトンなど についてのデータの必要性 整理した現時点において十分には解明されてい ない項目についての解明の必要性 ご清聴ありがとうございました。 1.背景と目的① 年間40万人が利用する市民の 憩いの場であり多くの自然を有 している。 多数の生物が生息している。 佐鳴湖は保全に値する湖沼 である。 新(西)川 BODとCODの関係 新(西)川 御茶屋橋 BOD・COD COD(mg/L) 5 4 3 2 1 0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 BOD(mg/L) 3 有意水準5%で回帰直線は棄却された 3.5 4 <参考文献> 国立環境研究所 湖沼環境指標の開発と新たな湖沼環境問題の解明に関する 研究より 1.背景と目的① 全国のCOD濃度で見た順位の変化(単位;mg/L) 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 順位 水域名 年平均値 水域名 1 佐鳴湖 12 佐鳴湖 2 手賀沼 年平均値 水域名 年平均値 水域名 年平均値 11 佐鳴湖 12 佐鳴湖 11 11 印旗沼 9.1 伊豆沼 10 伊豆沼 9.6 3 印旗沼 9.5 長沼 9.0 油ヶ淵 9.1 印旛沼 9.4 4 春採湖 9.2 児島湖 8.9 長沼 9 手賀沼 8.9 5 油ヶ淵など 8.8 春採湖 8.7 印旛沼 8.6 長沼 (環境省のWEBサイトより) 8.5 採取場所 Chl-a 採取日時 μg/L 9:30 3 〃 15:30 3 〃 9:30 3未満 〃 15:30 3未満 弁天橋 〃 9:30 37 厳島神社 〃 9:30 3未満 〃 9:30 3未満 〃 15:30 3未満 御茶屋橋 〃 9:30 3未満 御茶屋橋 H17.9.27 6:00 3未満 〃 6:00 3未満 〃 10:00 3未満 〃 14:00 3未満 〃 18:00 3未満 権現谷川合流点 上 権現谷川流末 青葉台団地下 中途橋 H16.9.1 ピコプランクトン 0.2~2μmのものをピコプランクトンと呼んでいます。 増殖のためには栄養塩は少なくていいが常に供給され る必要があります。 他のプランクトンに比べて、リンの欠乏に対して強い性 質をもっていることなどが明らかにされています。 外洋域で通常、全植物プランクトンの5~25%を占め、 湖沼などの淡水域では1~40%を占めると言われ、こ れらは時に急激に増殖し全体の90%を超えることも 代表的なものには藍藻類のシネココックスがいる。 難分解性溶存態有機物 文字どおり,分解しにくい溶存態の(水に溶けて いる)有機物を意味する。「難分解性」とは十分 な溶存酸素,暗所,一定温度の条件下で,一定 期間バクテイリアによる分解を経た(生分解試 験)後に残存するものを指す。ちなみに,本研究 では,暗所,20℃,100日間の分解試験後に残 るものを難分解性DOMと定義している。 フミン酸、フルボ酸、脂肪酸、界面活性剤、アミノ 酸、たんぱく質など 4.溶存態有機物の 中身についての検証結果 7 最大値 6 上側四分位点 mg/L 5 4 平均値 下側四分位点 3 最小値 2 1 0 上流域 湖内・下流域 使用データ:アメニティ佐鳴湖2005年9月水質データ 有意水準5%で母平均の差の検定を行ったところ棄却 された ①BODとCODの関係 COD(mg/L) 佐鳴湖湖心におけるBOD・CODの関係 16 14 12 10 8 6 4 2 0 0 2 4 6 BOD(mg/L) 8 使用データ:県データ 有意水準5%で回帰直線は棄却された 上流域においても同様な結果になった 10 12 ②Chl-aとD-TOCの関係 2005年9月調査 湖内・下流域 Chl-a・D-TOC D-TOC(mg/L) 6 5 4 y= 0 .0 1 1 x+ 3 .6 3 2 1 0 0 50 100 150 Chl-a(μg/L) 使用データ:アメニティ佐鳴湖2005年9月水質データ n=10、r=0.774 R=0.60でF検定、t検定ともに有意水準5%で 有意であった ピコプランクトン:2μm以下の植物プランクトンの事で ありフィルターを通り溶存態として検出される 上流域:Chl-a濃度が検出下限値を下回っていた ③NaとD-TOCの関係 D-TOC(mg/L) 2005年9月調査上流域 石鹸、洗剤由来Na・D-TOC 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 0 2 4 6 石鹸、洗剤由来Na(mg/L) 8 10 使用データ:アメニティ佐鳴湖2005年9月水質データ 測定されたNa=NaCl由来Na+石鹸・洗剤由来Na 有意水準5%で回帰直線は棄却された 湖内・下流域:海水の影響が大きく検証できなかった