新たな包括許可制度について

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新たな包括許可制度について

平成17年5月 経済産業省 貿易管理部

包括許可制度とは

安全保障に係る輸出は、本来、個々の契約や輸出 に関して個別に当局の安全保障面からの審査を経 て許可されるものです。ただし、輸出者がこうした審 査機能を自主管理の下で担える場合には、それに依 存して当局の審査を案件ごとに行わずに輸出するこ とが可能になります。これが、包括許可制度です。 わが国においては、現在、第1種一般包括輸出許 可をはじめとする複数の包括制度が整備されており、 広く活用されています。 2

何故、新たな包括許可制度に移行するのか

国際的には、昨今の厳しい安全保障環境の下に あって、各国において輸出管理の強化を図ることが 求められており、日本政府としても、不拡散体制の 強化に努めることが日本の安全保障上重要である と位置づけています。 我が国包括許可については、本来的に個々の契 約や輸出に関して個別に当局の安全保障面からの 審査を経るものとせず、輸出者の自主管理に依存 することを本質とする制度であることから、輸出管理 社内規程の整備と確実な実施を前提とした包括許 可となるように制度を改め、包括許可の不適切な使 用を防ぎ、適切な制度運用を図るものです。 3

新たな包括許可制度の範囲 (現行)

第1種一般包括輸出許可

(6月以降)

一般包括輸出許可 (範囲を一本化) 第2種一般包括輸出許可 特定包括輸出許可 特別返品等包括輸出許可 特定包括輸出許可 (範囲は変わらず) 特別返品等包括輸出許可 (範囲は変わらず) 注:役務取引についても貨物と同様 4

一般包括許可について

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新たな一般包括許可制度の概要 (主な特徴) ・自主管理を基礎とした包括許可制度

輸出関連法規を遵守するための「輸出管理社内規程」を整 備し、確実に実施していることが前提となります。

・従来の第1種一般包括許可と第2種一般包括 許可の範囲について、新たな「一般包括許 可」として一本化 ・6月1日より施行(経過措置あり)

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新たな一般包括許可制度の概要

自主管理を基礎とした包括輸出許可制度の再構築 輸出管理社内規程の整備と確実な実施を確保 ① ② 許可の前提 :・輸出管理社内規程の整備 … ① ・「チェックリスト」による確認 … ①、② 許可の範囲 :・現行一般包括輸出許可の第1種・第2種を統合した範囲 有効期間 :・3年以内。更新を行うことができる(現行同様) ・更新の際の手続要件を緩和する 主な許可条件:・輸出管理社内規程に基づき「基本的事項」を確実に実施 その他 … ② ・「チェックリスト」の定期的提出(年1回) ・輸出関連書類の保存 … ② ・軍事用途・大量破壊用途等に関する失効・届出(現行同様) :・制度切替時には経過措置を用意 ・これら制度内容について、役務取引に関する包括許可も同様 ・本年6月から施行 なお、輸出管理の実施状況について、「遵守状況立入検査」が適宜実施される 。 7

包括許可のための輸出管理社内規程

包括許可の前提となる「輸出管理社内規程」とは、 包括許可に基づく輸出を適切に行うために、包括許可 の申請者が自ら定める内部規定です。 輸出管理社内規程は、基本的事項(次ページ)を全 て含むことが必要となります。 (注1)輸出関連法規の遵守に関する事項をすべて含む内部規程である、よ り広範な「輸出管理社内規程」を整備する場合には、それをもって上記の 包括許可用輸出管理社内規程に代えることができます。 (注2)これから輸出管理社内規程を整備しようとする場合には、経済産業 省ホームページ ( http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.html

) をご参照下さい。また、 個別具体的な相談は、安全保障貿易検査官室( 03-3501-2841 )あてにお 問い合わせ下さい。 8

包括用輸出管理社内規程の「基本的事項」

Ⅰ .基本方針 組織の経営方針として、外為法をはじめとする輸出関連法規の遵守を明確に定め、また、申請者の責任に おいて、これを周知徹底し、かつ、実行すること。(注2参照) Ⅱ .個別事項 1.輸出管理体制 組織を代表する者を輸出管理の最高責任者とし、輸出管理に関する業務分担及び責任範囲を明確にすること。 2.取引審査(該非判定を含む) (1)取締役又はこれに相当する者が取引審査の最終判断権者となり、疑義ある取引の遂行を未然に防止すること。 (2)該非判定に関して手続きを明確にし、実施すること。 (3)顧客に関する審査に関して手続きを明確にし、実施すること。 (4)最終需要者及び用途の確認を行うこと。 3.出荷管理 (1)出荷時に貨物等と書類との同一性の確認を行うこと。 (2)通関時の事故がおきた場合には輸出管理部門に報告すること。 4.監査 輸出管理の適正執行を確認する監査体制を設け、定期的に実施すること。 5.教育 職員に輸出管理関係の教育を実施すること。 6.資料管理 (1)輸出関連手続書類に事実を正確に記載すること。 (2)輸出関連書類を輸出時・提供時から少なくとも5年間保存すること 7.違反 注1.本規程の実施により、包括輸出 許可に付された条件が遵守されるこ と。 注2.複数の規程によってこの内容が 構成されるもの、輸出管理以外の事 項をも包含するもの、規程の一部ま たは全部について他者の輸出管理社 内規程を適用するものであっても支 障ない。 法令違反が判明した場合に速やかに関係官庁に報告し、必要に応じ関係者に厳正な処分を行うこと。 9

チェックリスト

チェックリストは、輸出管理社内規程が確実に実施さ れているかどうかを自己判断により明らかにするため の書類です。実施状況の確認資料であるため、申請 時の他に定期的な提出(1年に1回)が求められます。 本包括許可制度において位置づけられている包括 許可用チェックリストにより、包括許可に基づく輸出を 適切に行うために必要となる基本的事項(前ページ) を確実に実施していることを確認します。 (注1)包括許可のみに関わらない「外為法等の遵守事項」を満たしていることを 確認するための企業概要・自己管理チェックリストを使用する場合には、それ をもって上記の包括許可用チェックリストに代えることができます。 (注2)新たに設立されたばかりの企業等については、確実な実施に至っていな い項目も存在しますが、その点は、実情をチェックリストの該当箇所に明記し ていただくことにより、別途配慮されます(「会社組織変更時の対応」参照)。 10

新たな一般包括許可取得までの流れ

現在、第1種一般包括許可又は第2種一般包括許可を保 有していますか? はい 原許可証の有効期限との関係で、 いつ(更新)申請しますか? いいえ

①新規申請

~平成 17 年 5 月 これまでの制度に基づく更新申 請を行って下さい。申請に際し、 輸出管理社内規程の整備は求 められません。 平成 17 年 6 月~ 輸出管理社内規程を既に整備し届 け出ていますか? いいえ はい ②今後、規程を整備し 届け出る場合 ③既に規程を整備し 届け出ている場合 11

①新規申請を行う場合

<平成 17 年5月までに申請を行う場合> • 申請様式は、従来のもの(第1種と第2種の別になっているもの)を使用して下 さい。 • • • 申請に際して輸出管理社内規程の整備は必要ありません。 許可の有効期間は、 1 年~ 1 年半以内になります。 当該許可の有効期間が切れる時には、新たな申請に際して輸出管理社内規 程の整備と確実な実施が必要になります。 <平成 17 年 6 月以降に申請を行う場合> • • • 「基本的事項」(前掲)を満たした輸出管理社内規程を整備し、その確実な実 施を確認する「チェックリスト」を提出する必要があります。 輸出管理社内規程及びチェックリストは、制定した段階で安全保障貿易検査 官室に届け出ることで、問題がなければ受理票が発行され、それを申請書に 添付することで許可申請が行えます。なお、輸出管理社内規程及びチェックリ ストを申請と同時に経済産業局に提出することもできますが、許可を得られる 時期の目処が立ち易い点で、前者の対応がより堅実です。 許可が得られる場合、有効期間は 1 年 ( 規程を整備したばかりで、「確実な実 施」を行う予定となっている項目がある場合 ) ないし 3 年 ( 既に規程の「確実な実 施」まで達成している場合 ) になります。 12

②今後、規程を整備し届け出る場合

<申請に際し輸出管理社内規程を整備・提出する場合> • 「基本的事項」(前掲)を満たした輸出管理社内規程を整備し、その確実な実施を確認 する「チェックリスト」とあわせて提出する必要があります。 • • 輸出管理社内規程及びチェックリストは、制定した段階で安全保障貿易検査官室に届 け出ることで、問題がなければ受理票が発行され、それを申請書に添付することで許 可申請が行えます。なお、輸出管理社内規程及びチェックリストを申請と同時に経済産 業局に提出することもできますが、許可を得られる時期の目処が立ち易い点で、前者 の対応がより堅実です。 許可が得られる場合、有効期間は 1 年 ( 規程を整備したばかりで、「確実な実施」を行う 予定となっている項目がある場合 ) ないし 3 年 ( 既に規程の「確実な実施」まで達成して いる場合 ) 以内になります。 <当面は輸出管理社内規程を整備せずに申請する場合> (原許可が平成18年5月以前の有効期限である場合のみ適用可能な特例措置) • • • 従来の一般包括許可を保有している者が申請する際には、輸出管理社内規程が整備 できていない場合であっても、準備のための暫定的な特例措置として、輸出管理社内 規程を前提とせずに申請を行うことができる場合があります。 許可の有効期間は、最長でも 1 年以内になります。これが準備期間に相当します。 次の更新時には、輸出管理社内規程の整備と確実な実施が必要になります。 13

③既に規程を整備し届け出ている場合

• • • • 輸出管理社内規程受理票にあわせ、その確実な実施を示すチェッ クリストを提出する必要があります。チェックリスト(又はその提出を 示すもの)は、申請と同時に経済産業局に提出します。 既にチェックリスト受理票(ただし、申請前 要ありません。 13 ヶ月の間に発行された もの)を得ている場合には、輸出管理社内規程受理票の提出は必 チェックリスト受理票は、毎年7月に行われる定期的な安全保障貿 易検査官室への届出等に対応し、平成17年3月以降のものについ て発行されます。 許可が得られる場合、有効期間は 1 年 ( 規程を整備したばかりで、 「確実な実施」を行う予定となっている項目がある場合 ) ないし 3 年 ( 規程の「確実な実施」まで達成している場合 ) になります。 14

一般包括許可に係る手続き

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新たな一般包括許可の新規申請

新規の許可申請等 (注) に際しては、以下の書類によ り経済産業局等に申請することが必要です。 ① ② ③ ④ ⑤ 許可申請書(2通。分割が必要な場合は、その通数を加算) 一般包括許可申請明細書 輸出管理社内規程又はその提出を示すもの(受理票の写し等) チェックリスト又はその提出を示すもの(受理票の写し等) 原許可証(現行の第 1 種 / 第 2 種一般包括許可証)の写し[保有して いる場合に限る] (注1)従来の第1種又は第2種一般包括許可を有している場合を含みます。また、新たな一般包括許可を輸 出管理社内規程を整備することなく、経過措置の適用により取得した場合も含みます。 (注2)従来制度に基づく第1種又は第2種一般包括許可を有している場合であって、当該許可の有効期限 (先に到来するもの)が平成18年5月以前である場合には、輸出管理社内規程を準備するための暫定的 な特例措置として、③及び④を提出することなく申請することもできます。ただし、有効期間は、最大でも1 年以内であり、次の更新時には、輸出管理社内規程の整備と確実な実施が必要になります(③及び④を 提出する場合には、3年以内。)。 (注3)③、④の受理票は、申請に先立ち輸出管理社内規程及びチェックリストを安全保障貿易検査官室に 届け出、問題がなければ発行されます。なお、輸出管理社内規程及びチェックリストを申請と同時に経済 産業局に提出することもできますが、許可を得られる時期の目処が立ち易い点で、前者の対応がより堅実 です。 16 (注4)④がチェックリスト受理票である場合は、③は不要です。

一般包括許可の主な許可条件

• • • • • • 軍事用途・大量破壊用途等に関する失効・届出[従来通り] 大臣から通知を受けた時の許可の失効[従来通り] 輸出管理社内規程の遵守[追加] 輸出関連資料の保管[追加] 毎年7月にチェックリストを提出[追加] 輸出管理社内規程のうち基本的事項に変更があった場合の 届出[追加] その他 • (注1)軍事用途・大量破壊用途等に関する届出は、安全保障貿易審査課に対して行います。 また、チェックリストの提出は、安全保障貿易検査官室に対して行います。 (注2)チェックリストには原則として直前1年間の取り組み状況を記載の上提出して下さい。た だし、複数の包括許可を有する場合であっても、提出は1通のみになります。なお、輸出管理 社内規程のうち基本的事項に変更があった場合の届出についても、提出は1通のみです。 17

一般包括許可の更新申請手続き

既に新たな一般包括許可を保有している場合、更 新申請 (注) に際しては、以下の書類により経済産業局 に申請することが必要です。 ① 許可申請書( 2通。分割が必要な場合は、その通数を加算) ② 一般包括許可申請明細書 ③ チェックリスト受理票の写し ④ 原許可証の写し (注1)輸出管理社内規程を整備することなく新たな一般包括許可を暫定的な特例措置の適用により取得し た場合、従来の第1種又は第2種一般包括許可を保有している場合の申請は含みません。 (注2)③は、通常はチェックリスト受理票の写しとなりますが、7月に更新申請を行う場合にはチェックリスト 自体を提出いただくことでも問題ありません。その場合、許可条件となっている毎年のチェックリストの提出 は、それをもって代えることになります。また、例えば8月に更新申請を行う際、既に7月にチェックリストを 安全保障貿易検査官室に対して提出し、かつ受理票を受けていない場合などは、③は、包括許可用チェッ クリスト提出票の写しにその旨記載したものの提出とします。 18

一般包括許可の変更申請手続き

一般包括許可を保有している場合、申請者名や住 所を変更したときは、以下の書類により経済産業局に 申請することが必要です。 ① 許可申請書( 2通。分割が必要な場合は、その通数を加算) ② 一般包括許可申請明細書 ③ 原許可証の写し ④ 輸出管理社内規程・チェックリストの受理票記載事項の変更届 (注1)変更された一般包括許可証の発行を受けるときは、既に発行された一般包括許可証及 び分割された一般包括許可証を返還することが必要です。 (注2)法人の代表者名の変更や単なる住居表示の変更の場合は、それぞれ代表者名変更届、 住居変更届を申請窓口に当該許可証の写しとともに速やかに提出して下さい。この場合、変 更申請は必要ありません。 (注3)④は、既に別途提出している場合には必要ありません。 19

新たな許可への切替時の特殊なケース ○それぞれ有効期限の異なる従来の第1種と 第2種の一般包括許可を保有している場合

→ 同一の申請者に対して同じ許可範囲の許可証を二重に発行すること はできませんが、第1種と第2種の双方の一般包括許可を持つ者の 場合、一方の期限が到来した後に期限が残っているもう一方の許可 の期限を繰り上げることにより、新たな包括許可を受けることができま す。 具体的には、先に有効期限が到来するものに対して、その期限の3 月前以降に新たな許可申請を行い、当該許可の期限到来にあわせ、 新たに一般包括許可が行われます。許可証発行は、引き続き有効な 他の許可証の返還と引き替えになります。 第1種 第2種 新包括 第 2 種期限の3月前 申請 ( 第 申請中 ) 2 種期限 第 1 種の当初期限 第 1 種の期限を短縮(許可証返還) 新包括のみ有効 新包括の許可 20

会社組織変更時の対応

新たな包括許可制度においては、輸出管理社内規程の整備 と確実な実施が要件となります。 このうち「確実な実施」については、例えば、会社組織の再構 築に伴い新たに輸出管理社内規程を整備した企業においては、 要件の1つである「定期的な監査」を行うことは、当面ありませ ん。他方、こうした企業について、 「確実な実施」が未だ達成さ れていないと判断することとすれば、輸出管理制度が企業の柔 軟な組織運営を阻害する要因となりかねません。 そのため、輸出管理社内規程を整備しており、確実な実施の 確認までには至っていない場合においても、その旨申請書類に 明記いただくことで、許可の要件の判定において配慮されます。 なお、会社組織変更が行われることが判明した場合には、組 織変更時期よりも前に十分な余裕を持って、安全保障貿易検 査官室にご相談ください。 21

特定包括許可 及び 特別返品包括許可 について

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特定包括許可・特別返品等包括許可の主な変更点 • • • 申請時に、チェックリスト(又はその提出を示すもの) の提出が必要となります。 実地調査は、申請に先がけて行う1回のみ(既に実 施している場合には行わない)に限定されます。 従来に比べて新たな許可条件が付されます。 (追加される主な許可条件) 毎年のチェックリストの提出 輸出関連資料の保管 輸出管理社内規程のうち基本的事項に変更があった場合の届出 (注)チェックリストには原則として直前1年間の取り組み状況を記載の上提出して下さい。ただ し、複数の包括許可を有する場合であっても、提出は1通のみになります。なお、輸出管理社 内規程のうち基本的事項に変更があった場合の届出についても、提出は1通のみです。 23

遵守状況立入検査について

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遵守状況立入検査について

適切な輸出管理の実行を確保するため、「遵守状況 立入検査」による状況確認を適宜行います。 遵守状況立入検査は、外国為替及び外国貿易法第 68条に基づき行われ、包括許可保有者の受入希望 の有無や、違反の有無に関わらずに適宜実施します。 なお、遵守状況立入検査では、包括許可保有者と 同様の視点を持つ考え方から、「チェックリスト」と同 様なものを使用します。 遵守状況立入検査の実施後には、必要に応じて改 善指導が行われますので、指導を受けた場合には、 それに従った対応を取って下さい。 25