世界の言語と日本語

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世界の言語と日本語
第2回
音素目録から見た日本語
二重分節
人間の言語は一次分節と二次分節の二段構え
の記号体系になっていることにより、有限個の単
位から無限の表現を作ることができる。
一次分節:意味のある単位への分節。文から単
語、形態素への分節。
二次分節:それ自体では意味を持たないが、意
味の区別に役立つ単位への分節。
今日のテーマは二次分節のあり方です。
キーワード:音素
それ自体では意味を
持たないが意味の区
別に役立つの単位。
三つの認定基準があ
るが、最も重要なのは
弁別的(示差的)機能。
置き換えにより意味が
変わる。
/t/と/k/
/taki/と/kaki/
「滝」「柿」
/a/と/u/
/aki/と/uki/
「秋」「浮き」
/r/と/l/
/rait/と/lait/(Eng.)
‘right’, ‘light’
音素に関して注意すべきこと
音素の数は言語によって異なる。
ある言語にいくつの音素を設定するかとい
う点に関しては、研究者によって意見が異
なる場合がある。
UPSIDについて補足
プリントにある数値は1984年段階のもの
現在もサンプル数は増え続けている。
Implicational Hierarchy
含意階層(含意法則)
Aがないのに、Bが存在することはない。
=Bがあるなら、必ずAがある。
{A, C, …}, {A, B, C…}という組み合わせ
はあるが、{B, C, …}(Aを含まず)という組
み合わせはない。
配付資料(IPA)の解説
International Phonetic Alphabet (IPA):
世界の言語の音を記述するために開発さ
れた言語音の記号
母音を区別する特徴
開口度(口の開き、舌の
高さ)
舌の位置(前にあるか後
ろにあるか)
唇の丸め(唇を丸めてい
るか否か)
すべての特徴が同じ程度
に重要というわけではな
い(講義参照)。
i
u
a
y・i
子音を区別する特徴
調音位置:どこで発音するか
調音様式:どのように発音するか
日本語、英語、クリンゴン語の子音
日本語:/p, b, t, d,
k, g, s, z, h, m,
n, r, w, j/
英語:/p, b, t, d, k,
g, f, v, s, z, S,
Z, h, tS, dZ, m, n,
N, r, l, w, j/
クリンゴン語:/p, b, t,  ,
tS, dZ, q, ?, v,
x, , t, qX, m, n,
音節構造
There are languages lacking syllables with initial
vowels and/or syllables with final consonants, but
there are no languages devoid of syllables with initial
consonants or of syllables with final vowels.
(Jakobson 1962:526:)
Jakobson, Roman. 1962. Selected Writings I:
Phonological Studies. The Hague, Netherlands:
Mouton.
どういうこと?
音節構造
二つに分けて考えてみよう
音節の前の部分
母音で始まる音節がない言語がある。
[CV…]はよいが[V…]はだめという言語がある。
音節の開始部分にある子音を排除する言語
はない。
[CV…]を[V…]にする言語はない。
どうも子音で始まる音節が好まれるようだ。
音節構造
二つに分けて考えてみよう
音節の後ろの部分
子音で終わる音節がある言語がある。
[…VC]という構造を認める言語がある。
音節の終わりの部分にある母音を排除する言
語はない。
[…V]を[…VC]にする言語はない。
どうも母音で終わる音節が好まれるようだ。
音節構造
無標の音節構造は[CV]
日本語はどんな音節構造を持っているか。
それは無標といえるか。
英語はどんな音節構造をもっているか?
それは無標といえるか。
クリンゴン語の音節構造について考えてみ
よう。
クリンゴン語の音節構造
CV, CVC, CVrXのみ
母音の前の子音が義務的
母音の後ろのCには制限があるようだ
ただし、音節の末尾に単独の子音がくる場合
はその音そのものが省略されます。
(Enterprise → ‘entepray’ )
阿佐ヶ谷村公民館「クリンゴン語講座」より