脱線事故を設計分析する - 國井技術士設計事務所

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050911 ちょっと一休み(53)
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050911 ちょっと一休み(53)
ちょっと一休み(53)Rev.-1
050911版
1
「ちょっと一休み(26):「タイヤ脱論事故を設計分析
する 」がリリース済です。
2
る 」がリリース済です。
設計責任を問う!
「ちょっと一休み(28):「回転ドア事故を設計分析す
第 5 弾 !
3
「ちょっと一休み(32):「回転ドア事故を設計分析す
今回は、「事故分
る(第二弾) 」がリリース済です。
4
「ちょっと一休み(42):「トラブル再発を設計分析す
る 」がリリース済です。
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析シリーズ」の第5段
です。
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050911 ちょっと一休み(53)
何度も、
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も・
何度も、何度も、何度も、何度も、
何度も、何度も、何度も、
何度も、何度も、
・・・
ハインリッヒの法則・・・
ハインリッヒの法則・・・
それは、
その 紐解き が
何故だと思いますか?
それは・・・
組織・人の問題
へ
できないのです。
たどり着くことなのです。
そして常に、社会的に弱い者が犠牲者 になるのは何
トラブルの再発、人身事故、災害事故・・・
そして、社告やリコールや謝罪を 繰り返す 設計集団や
企業が存在します。
故でしょうか? ご冥福を祈るとともに、一設計者とし
ても心が痛みます。
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050911 ちょっと一休み(53)
脱線事故を設計分析する
2005年4月29日~5月05日 Yahoo Japan Newsのから抜粋
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著者の設計分析
■ 何故、このような大惨事を繰り返すのか?
技術者として、本音を言えば、もう
二度と見たくないこれらの写真・・・
何故、何度も何度も、事故を繰り返
すのでしょうか?
何のコメントもできません!
ただ、ただ、残念とか、なさけないと
しか言えません。
それが技術者でしょうか?
(私、講師のこと)
それにしても、
いつも頭(こうべ)を垂れるのは経営
陣です。
何故、技術陣は新聞に、テレビに出
てこないのでしょうか?
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【引用文献・引用写真】
・Yahoo Japan News
050911 ちょっと一休み(53)
脱線事故を設計分析する
国土交通省のHome Pageから
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著者の設計分析
■ 時速70キロ以下の制限箇所
国土交通省のHome Pageから抜
粋しました。
クリック後、自動拡大します
「時速70キロ以下の制限箇所」に、
注目しておいてください。
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【引用文献・参考文献】
・国土交通省
・http//www.mlit.go.jp/fukuchiyama/index.html
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脱線事故を設計分析する
Yahoo Japan Newsから
著者の設計分析
■ 脱線現場:レール高低差不十分を認識しつつ、対策を怠る
ハインリッヒの法則・・・
それは、
組織・人の問題 へ
たどり着くことなのです。
兵庫県尼崎市のJR脱線事故をめぐり、現場のカーブについて、JR
西日本に、
「速度超過になった場合、現在の左右のレールの高低差
(カント)では十分ではない恐れがある。」
後で、計算してみましょう。
(p9を参照)
との認識があったことが11日にわかった。
現場は複数の運転士が「速度超過になりやすい」と指摘していた。
JR西日本も速度制限を示す標識を設けていたが、新型の列車自動
停止装置(ATS)などは設置していなかった。
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その指摘で、
運転士自身、運転手の上長、経営
陣、そして、技術者は何をしていた
のでしょうか?
【引用文献・引用写真】
・Yahoo Japan News
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脱線事故を設計分析する
Yahoo Japan Newsから
著者の設計分析
■ 捜査本部による調査
捜査本部はJR西日本が危険を認識しながら、脱線防止策を怠っ
た疑いもあるとみて担当者らから事情を聴いている。
「危険を認識しながら、脱線防止策
を怠った」
重要
調査によると、現場のカーブは、平成9年3月の東西線開通に合わ
せて、ほぼ直線から半径300メートルのカーブに付け替えられた。
「不安を認識しながら、 ××を怠っ
た。」・・・実は、高校や大学の友人を
通じて、社告&リコール企業を調査
すると、新聞やTVやジャーナル誌で
は報道されない「共通のセリフ」
がこれでした。
情報横流しの教授やコンサルタン
トには獲得できない情報と確信し
ています。
ただし、各企業、それぞれ、N = 1
のサンプル数(人)です。
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【引用文献・引用写真】
・Yahoo Japan News
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脱線事故を設計分析する
Yahoo Japan Newsから
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著者の設計分析
■ 技術者よ、気付いていたはずです!
さらに、関係者によれば、現場は十分なカント(レールの高低差)を
とることが難しく、現場は外側レールが内側より、最大で9.7センチ高
く敷設した。
この数値は基準内だったが、制限速度の70キロで進入した場合、
車両が遠心力とつりあう計算上の数値は13.8センチだったという。
一方、事故の負傷者は9日現在で、入院者121人、通院者419人の
計540人にのぼることがJR西日本のまとめで分かった。
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9.7センチ のカントしかできなかった
という意味です。
後で、計算してみましょう。
(p9参照)
最終的に事故の規模や亡くなった方
々の人数は、あまりにも恐ろしすぎ
て記載できませんでした。
【引用文献・引用写真】
・Yahoo Japan News
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脱線事故を設計分析する
著者の設計分析
垂直反力:R
■ カント(レールの高低差)を計算する。
今、狭軌の軌道(=1.067m)を、重さWの列車が突
っ走っている。もう直ぐ、カーブ(半径r)にさしかかる
が、
重心:G
速度70km/hで通過させてもレールの側面に側圧
がかからないようにしたい。
遠心力:F
外側のレールを内側よりどれだけ高くしたら良いか
? 下図のレールの高低差(カント)hを求めなさい。
側面、側圧
h
列車の重さ:W
列車の重さ:W
θ
狭軌軌間=1.067m
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hを求める
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脱線事故を設計分析する
著者の設計分析
■ カント(レールの高低差)を計算する。
実は、ダンパー系を省略すれば、高校3年の物理学、もしくは、大学1年の機械
力学で、容易に「レールの高低差(カント):h」を求めることができます。
W*tanθ=F F=(W*V^2)/(gr)
tanθ=(V^2)/(gr)
tanθ≒sinθ=h/L
L:狭軌:1.067m
h/L= (V^2)/(gr)
h= (L*V^2)/(gr)
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脱線事故を設計分析する
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著者の設計分析
カント(mm)
■ カント(レールの高低差)を計算する。
本テーマのページ
半径r=300mの時の列車速度とカント(レール内外の高低差)
速度100km/h の
カントは、
280mmでした。
(現場では、97mm)
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
P5:右カーブで半径300m
P5:時速70km/hの制限箇所
時速70km/h で138mm のカント
P6:カント(レール内外の高
低差)が不十分
97mm のカントで時速59km/h が限度!
P8:実際は、9.7cmカントしか
なかった。
時速70km/h
P8:時速70km/hなら、13.8cm
のカントが必要であった。
時速59km/h
0
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20
30
40
50
列車速度(km/h)
60
70
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80
もし、時速100km/hなら・・・
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脱線事故を設計分析する
カント(mm)
半径r=300mの時の列車速度とカント(レール内外の高低差)
320
300
280
260
240
220
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
時速100km/h で280mm のカント
事故速度?
時速70km/h で138mm のカント
事故現場
97mm のカントで時速59km/h が限度!
時速100km/h
会社からの制限
時速70km/h
時速59km/h
0
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20
30
40 50 60 70
列車速度(km/h)
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80
90
100 110
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■ 設計者よ! 設計力とプライドを身に付けよう!-1/3
事故があるたびに・・・
原子力発電所の事故、M自動車のトラック脱輪事故、六本木ヒルズの回転ドア事故、
どれもそうですが、営利優先や安全軽視や管理不届き・・・と言う具合に、管理側や経
営側だけに責任を問う 記事が溢れます。
今回の脱線事故も同じです。
置石説、若年運転手、オーバーラン、再教育、いじめ、嫌がらせ、自殺者、速度オー
バー、営利優先、安全軽視、コーナーバンク(カント)不足、遠心力、片輪走行・・・
現場設計や車両そのものの設計責任が一切問われていません。
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脱線事故を設計分析する
■ 設計者よ! 設計力とプライドを身に付けよう!-2/3
FTA的に分析すると・・・
脱線
→ エアサス
→ 速度オーバー
→ コーナーR
→ ダンピング(エア・サス)
→ ローリング
→ 片輪走行・・・
これらいくつかの要因が重なり、「スイスチーズモデル」に嵌り、「脱線」というトップ
事象となったと思います。
勝っ手な想像で、亡くなった方々に失礼かもしれません。 ご冥福を祈ります。
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■ 設計者よ! 設計力とプライドを身に付けよう!-3/3
技術者よ! 分かっていたはずだ・・・・
技術者よ! もっと、社会の前面に出よう!
終わり
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