MCP-PMTの量子効率面一様性の測定

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MCP-PMT
量子効率の面一様性の測定
名古屋大学 理学部 物理学科
高エネルギー物理学研究室
4年 鈴木康文
目的
MCP-PMTの光電面の性能評価
光電面上での量子効率の波長・位置依存性の測定を行う
測定装置がない
測定装置の構築
GaAsP光電面を持つMCP-PMTの光電面は22㎜×22㎜の大
きさを持つ
光電面上で量子効率が一様であるならば場所によらず一様
な光子検出性能が得られる
背景
TOPカウンターにおける光検出器
一光子の検出
高い時間分解能(40ps以下)
5㎜以下の位置分解能
高磁場(1.5T)下での使用可
400~700㎚の光子の検出
GaAsP光電面を持つMCP-PMT
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量子効率(QE)
一つの光子が光電面に入射した際に一つの電子を放出する確率
光電面への入射光子数をNph
放出電子数をNe
量子効率をQE
電子
光子
光電面
MCP
アノード4
量子効率の求め方
入射光子数(nph)が分かればQEが測定可能
QEの分かっている光検出器に対して光電
単位時間あたりを考える
流(i)を測定すれば入射光子数(nph)が
分かる。
入射光子数を知るためにフォトダイオード(PD)
を用いた。
MCP-PMT,PD測定時に入射光子数が一定なら
nph:1秒間の入射光子数
i:光電流値,e:素電荷
MCP-PMT
i
PD
同じ比で比例する。
PDの量子効率(波長依存性)
セットアップ
セットアップ図
MCP-PMT
X
Y
スポット
PD
光源 ハロゲンランプ モノクロメータで波長ごとに分光する
波長領域
260~900㎚(20㎚ごとに測定)(波長分解能1.5㎚)
ピコアンメータ(測定精度10fA)による電流測定
スポットを固定して可動台(位置精度15μm)でMCP-PMT,PDを移動
PCによる自動化 (ピコアンメータ、可動台の制御およびQE計算)6
セットアップ
電気回路図
MCP-PMT
光電流の測定が必要なので
MCP-PMTはMCPの手前での電
流値を測定する。
MCP-PMT測定時は加速電圧を
500Vに設定して測定している。
PD
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セットアップ
注意したところ
光の乱反射対策
筒
スポット
光の乱反射対策としてスポット周辺
はできるだけ黒いものを用いている。
スポット以外からの光の入射
スポット以外からの光の入射をなくすため
光路を筒で覆い黒いテープで巻いた。
可動台
信号線
MCP-PMT
ノイズ対策
ノイズ対策として信号線に同軸ケーブル
を用いてアルミ箔で覆いさらに黒いテー
プで巻いた。
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測定手順
直径1㎜のスポットで光を照射
MCP-PMT
PD
1㎜おきに23×23の529点で
電流値(im)を測定
1点のみで電流値(im)
を測定
MCP-PMT,PD
光を当てない状態の電流値(id)を測定
MCP-PMT,PD
光電流値(iph)を見積もる
iph=im-id
MCP-PMT光電面上の位置ごとのQEを計算
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セットアップの評価
GaAsP光電面を持つMCP-PMTのプロトタイプ測定
入射光波長540㎚,0.5㎜ごとの移動における測定電流値(A)
回転前
回転後
電流値(A)
MCP-PMT(光入射時)
2.29×10⁻⁹
MCP-PMT(遮光時)
9.41×10⁻¹¹
PD(光入射時)
1.06×10⁻⁸
PD(遮光時)
1.53×10⁻¹²
得られた二次元分布図はサンプル固有のものか?
MCP-PMTを90°回転して測定を行う
サンプル固有の二次元分布を得ることができた。
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結果
波長ごとのQE位置依存性
波長400㎚,540㎚,700㎚の二次元QE分布図
それぞれの波長におけるQEの最大値を色調の最も高い部分としている。
QEの強度分布は波長ごとに目立った違いは見られない。
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結果
ある位置におけるQEの波長依存性
相対誤差1.6%
○
○
○
○
今回の測定の面平均
(6,11)
(12,12)
(8,20)
短波長側ではハロゲン
ランプからの光量が少
ないため誤差が大きく
なっている。
QEの波長依存性
は位置によらず高
さの傾向が似てい
る。
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全測定点おけるQEの波長依存性
Y
小さなグラフは横軸波
長、縦軸QEで0%を下
限、15%を上限として
いる。
QEは面全体として似
たような波長依存性
を持っている。
X
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まとめ
MCP-PMTの量子効率の面一様性を測定する自動化
された装置の構築に成功した。
•1㎜のスポットで1㎜おきに23×23の529点測定
•波長領域 260~900㎚ (20㎚ごとに測定)
•PCによる自動化
今回の測定では波長540㎚で最大QEとなる点(6,11)に
おいて相対誤差1.6%という精度で測定できた。
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バックアップ
波長ごとの位置別量子効率比
今回の測定
の面平均
400㎚QE(%)
400㎚QE比
540㎚QE(%)
540㎚QE比
700㎚QE(%)
700㎚QE比
(6,11)
(12,12)
5.572 9.676±0.835 6.093±0.566
(8,20)
1.739±0.656
1 1.737±0.150 1.093±0.102 0.3121±0.1177
8.131
13.33±0.21 8.937±0.160
3.065±0.168
1 1.640±0.026 1.099±0.020 0.3770±0.0206
3.708 6.091±0.207 3.943±0.136
1.220±0.149
1 1.643±0.056 1.064±0.037 0.3291±0.0402
QE比は今回の測定の面平均を1としている。
QE比は位置ごとに一定の値となっている。
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バックアップ
誤差
測定系からの誤差を評価した。
モノクロメータの波長分解能
可動台の位置決定精度
ピコアンメータの測定精度
1.5㎚
15㎛
10fA
ピコアンメータの測定精度はMCP-PMT,PDの測定電流値に対して、可動台の位置決定
精度はMCP-PMTの測定電流値に対して、モノクロメータの波長分解能はMCP-PMT,PD
の光電流値に対して適用してQEの誤差の計算に用いている。
可動台の位置決定精度


im xi , y j , k x 

 


 

 


 

1
x
im xi1 , y j , k  im xi , y j , k  im xi , y j , k  im xi1 , y j , k 
2
xi1  xi
モノクロメータの波長分解能


 
1

iph xi , y j , k   iph xi , y j , k1  iph xi , y j , k  iph xi , y j , k  iph xi , y j , k1 
2
k1  k
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