資料 - JASMINE

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Transcript 資料 - JASMINE

2010.12.1 JASMINEサイエンスワークショップ
JASMINE計画シリーズの概要
---Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration--国立天文台JASMINE検討室 郷田直輝
Nano-JASMINE
小型JASMINE
(中型)JASMINE
1
I.スペースアストロメトリについて
21世紀の位置天文観測(アストロメトリ)
年周視差(距離)と固有運動測定(横断速度)
1997年:ヒッパルコスカタログ
~0.001秒角(1ミリ秒角)
*太陽系から100pc以内しか信頼がおけない精度
~0.00001秒角(10マイクロ秒角)の時代へ
10kpc(3万3千光年)先への挑戦
電波:VERA
可視光=>観測衛星計画
GAIA(ESA) 全天サーベイ、10~25マイクロ秒角@V=15mag
SIM(NASA) 1万個のターゲット、4マイクロ秒角@V=20mag
赤外線=>観測衛星計画 JASMINE計画シリーズ(日本)
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銀河系全体や銀河系内天体研究の飛躍的発展が期待!!
次世代位置天文観測衛星計画
10マイクロ秒角の位置天文観測
(Gaia, 小型JASMINE, JASMINE) 10マイクロ秒角の測定で正確
に距離測定ができる領域
ヒッパルコス衛星、
Nano-JASMINEで正確
に測定できる領域
2万6千光年
データ解析チームと連携(国際協力)
2012年:Gaia(ガイア(ESA):ヨーロッパの全天可視光位置天文観測衛星)
2016年頃:小型JASMINE(赤外線観測:バルジの方向の一部)
3
3
2020年代:JASMINE (赤外線観測:バルジ全域)
Space Astrometry Projects
Mission
Hipparcos
Gaia
Agency
Method Launch #of Stars
ESA
teles.
ESA
teles.
1989
2012
Mag.limit
Accuracy
120000
12
1mas@V=10
1 billion
20
12-25as@V=15
20
4as @ V=20
14
1mas@I=12
10
3mas@zw=7.5
11.5
10as@Hw=11.5
(all sky survey)
SIM-Lite
NASA
interf.
J-MAPS
USNO
teles.
cancel 10000
~2012 ten millions
(all sky survey)
Nano-
NAOJ
teles
2011
(all sky survey)
JASMINE
Small-
1 million
NAOJ
teles.
~2016
several
tens
of thousands (Hw-band)
JASMINE
(bulge)
JASMINE
NAOJ
teles.
the first ten millions
half of
(bulge)
14
10as@Kw=11
(Kw-band)
the
2020's
Remark: Infrared astrometry missions (Small-JASMINE and JASMINE) have advantage in
observing stars in the Galactic bulge, hidden by interstellar dust in optical bands.
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★JASMINE計画シリーズの概要
ホップ Nano-JASMINE:2011年8月打ち上げ予定
*日本初(世界で2番目)のスペースアストロメトリ の経験。
衛星開発、運用等のすべてのプロセスを経験。科学的成果も期待できる。
zw-bandでの全天サーベイ、年周視差の精度:~3mas@zw<7.5mag
GAIAチームとのデータ解析に関する相互協力(Nano-GAIAの役割も)
主鏡:5cm、衛星重量: 約35kg、衛星サイズ:50cm立方
衛星システムは、主として東大中須賀研担当、
衛星開発+打ち上げ:1億円程度、 海外のロケットで打ち上げ
ステップ 小型JASMINE:2016年頃打ち上げ目標、国際協力も行う。
*小型科学衛星を用いる。科学的、技術的なステップとして(中型)JASMINEにつな
ぐもの。バルジの一部領域のサーベイ。年周視差の精度:10μ秒角@Hw<11.5mag
数万個レベルのバルジの星の位置天文情報を世界で初めて得る。
主鏡口径:約30cm、衛星重量:約400kg、
ミッション部:10億円程度、標準バス部:25億円程度、 新固体小型ロケットを使用予定
ジャンプ (中型)JASMINE:2020年代前半打ち上げ目標
海外との協力も
*バルジのほぼ全領域をサーベイ。年周視差の精度:10μ秒角@Kw<11mag
100万個レベルのバル ジ の星の位置天文情報
主鏡口径:約80cm、衛星重量:約1500kg
衛星費用 120億円程度、H-IIAの相乗り
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★Gaiaと比較しての小型 JASMINE, JASMINEのメリット
Gaia:可視光(Gバンド~Vバンド)
小型JASMINE:Hwバンド(1.1~1.7ミクロン)
JASMINE: Kwバンド(1.5~2.5ミクロン)
ダストによる吸収効果を
受けにくい
 /
高精度位置測定 (年周視差の誤差が10%以内:必要条件)可能なバルジに属する
星の数(見込み)
小型AJSMINE(中心付近)とJASMINE(バルジのほぼ全域)の観測領域で比較
小型JASMINE:~1万個 vs Gaia: 数個程度
JASMINE:~100万個 vs Gaia: 400個程度
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II.Nano-JASMINE計画
(1)Nano-JASMINE計画の目的
超小型衛星を用いた日本初のスペースアストロメトリ!
世界でも2番目!
衛星開発は、東大中須賀研との共同研究開発
*主鏡口径5cmの望遠鏡、約50cm立方、重さ35kg 程度の衛星
○小型JASMINE, JASMINEへの技術的蓄積
(例:星像切り出しのオンボード処理など)。
○衛星開発の一連の作業を経験!! 未経験者、若手の育成。
(熱安定性、指向安定性獲得の苦労は十分味わえる)
○GAIAに先駆けてGAIAでの新技術の実証
(CCDのTDIを用いた撮像など)。
○ 独自の科学的成果
*ヒッパルコスと同程度の精度で全天サーベイ: zw-band(0.6~1.0ミクロン)
年周視差の誤差 ~3mas@zw=7.5
固有運動の精度向上(ヒッパルコスカタログと組み合わせ) ~0.1mas/year
*ヒッパルコスでは見られなかったバルジ星(数千個)を含む、zw-bandの新しい
絶対座標系カタログが出来る。
○Nano-Gaiaとしての役割(Gaiaのデータ解析方法のチェック)
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○今後、需要が増えると見込まれる高性能超小型衛星に対しての先駆け。
Nano-JASMINEと
小型JASMINEとの
技術課題に対する
比較。
オレンジ色の項目
は、共通課題。
設計
高精度な指向 検出対象
安定性のため
の制御システ
制御対象
ム開発
制御周波数
星像中心位置
アルゴリズム
決定の実証(ラ
ンダム化)
撮像回数
オンボード
アルゴリズム
データ処理(星 検出器
アルゴリズム
地上データ解
析
Nano-JASMINE
小型JASMINE
星像から制御系に指令をだす基本構造は同じ。
星像の歪み
星像の重心を、天文撮像より高頻度で取得
スピン軸方向とスピン角速
度
チップチルトミラー。地上での実証実験を行う
(高精度な衛星指向安定性のための制御シス
テム開発)
数Hz以下
0.3Hz以上
等級・色・放射線による劣化などの系統誤差を生じる要素をモデル化して、
多数回の撮像データから推定するという手法は同じである。数値シミュレー
ションでは実現可能性が確かめられているが、Nano-JASMINEが成功すれ
ば、さらなる実証となる。
約100回程度
約10万回(地上で実証実験進行中)
共通する。シミュレーション画像を用いて数値実験をすでに行った。
CCD
赤外線アレイ検出器
多数回の撮像から、衛星姿勢・装置変形・星のモデルを同時に解くという位
置天文解析の基本は同じであり、同じソフトウエアを利用可能。NanoJASMINEチームは、GAIAの解析チームと協力してデータ解析ソフトウエア
のNano-JASMINEへの適用に関して国際共同研究を進行中である。さら
に、GAIAのソフトウエアは、パラメータの変更だけで小型JASMINEにも適用
可能である。Nano-JASMINEまたはGAIAが成功すれば、ハイレベルの実
証となりえる。
2個
1個
視野の数
カタログの公開シ
共通項目で、GAIAとの協力を進行中。
ステム
装置劣化による星像の変形に関して、我々はすでにシミュレーションで確認
したとともに、GAIAでは実際の検出器においてもデータを取得し、解析に適
解析による処置
用する処方箋を作っている。小型JASMINEにも適用可能である。NanoJASMINEまたはGAIAが成功すれば、ハイレベルの実証となりえる。
放射線対策
部品選定
独自に放射線試験を行い、
部品を選定するとともに、冗
長設計などを行った。高性
JAXA部品プログラムに従う必要がある。
能の民生品で使用可能なも
のの情報の蓄積があるの
で、ぜひこれを適用したい。
Nano-JASMINE衛星
スペック
衛星サイズ:
50[cm立方]
質量:
35[kg]
姿勢制御方式:
3軸安定
通信速度:
100[kbps]
ミッションライフ:
投入軌道:
2[年]
太陽同期軌道
(高度~700Km)
10
超小型化への技術革新
●検出器の性能向上、高精度姿勢制御装置の小型化など
●低コスト。
●小さいながらヒッパルコス衛星と同程度の観測を行う!
*観測位置精度~3ミリ秒角
ESA提供
ヒッパルコス衛星 重量1.4トン
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Nano-JASMINE衛星 重量35kg
Nano-JASMINEカタログ
Nano-JASMINEカタログ:
zwバンドで8等級より明るい星およそ20万個について以下の
精度で観測
位置~2.6ミリ秒角
年周視差~3ミリ秒角
固有運動~2.3ミリ秒角/年
*ヒッパルコスと合わせて~0.1ミリ秒角/年
精度は悪化するが~10等級程度100万個の星を観測
-参考-
カタログ名
V等級
星の数
位置決定精度
ヒッパルコス
~12
120,000
~1mas
ティコ
15
2,500,000
7mas
(<7mag)
25mas (<10.5mag)
60mas (<11.5mag )
12
(2)打ち上げが正式決定!!
Nano-JASMINEがウクライナのサイクロンー4
ロケットを用いて2011年8月にブラジルアルカ
ンタラ発射場から打上げ予定であるが、その契約
が2010 年2月26日に締結された。
打ち上げ契約成立!
打ち上げ決定の記者会見を
2010年4月12日に開催。
その後、9社に記事が掲載。
U-STREAMで生中継。
その後もアクセスが増え、
1000件を超えた。
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サイクロンー4ロケット
© SDO Yuzhnoye
ユジノエ社(ウクライナ) サイクロン-4型
ロケット
4m
今までサイクロン-3型までの打ち上げ実績がある。
サイクロン-4型は、サイクロン-3型より打ち上げ
能力を上げたもので、今回の打ち上げが初号機
となる。低軌道で5300kg、静止軌道で1600kgま
で打ち上げ可能。
3m
打ち上げ契約成立!
40m
ACS提供
打ち上げのオペレーション:アルカンタラサイクロンスペース社
ウクライナとブラジルの合弁会社
アルカンタラ射場より打ち上げられる。
組立場
管制棟
射場
14
ACS社提供
(3)衛星開発:FMの組み立て完了!
★衛星自体の開発、試験は、ミッション部、バス部とも順調
に進んでいる。地上通信局の準備も着実に進んでいる。
詳細設計審査会(CDR1,CDR2)を実施FMの製作に着手
予定通り、FMは組み立て完了。年度末までに種々の評価試験を行う。
衛星のFM外観
太陽電池接着作業風景
望遠鏡のFM
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(4)運用、データ解析、データ配信の準備
○衛星管制担当の東大局の整備。データ受信用の水沢VLBI観測所
10m望遠鏡との調整。周波数帯獲得の国際調整
○GAIAのデータ解析チームとのソフトウェア開発協力
*GAIAの解析ソフトをNano-JASMINE版に改訂
*ヒッパルコスカタログとの組み合わせによる固有運動の精度向上
ESA(スペイン)の学生のD論など
○Nano-JASMINEのデータ利用促進のための研究に関して、文科省の宇宙利用促
進調整委託費への申請が採択された。
Nano-JASMINEのためのデータ解析、運用、データ配信の準備に使用できる。
国内、国外のコミュニティの拡張を目指す
◎データ利用、サイエンス検討チーム発足
代表:西 亮一(新潟大)
*サイエンス成果は、小型JASMINEとも一部関わるため、小型JASMINEサイエンスWGの
一部門
*Gaiaも固有運動の情報はすぐに出してくると見込まれるので、論文作成の早急な準備が必
要(cf. 固有運動の精度が上がると変更が必要なヒッパルコス関係の論文数は200本程度)。
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東京大学工学部7号館屋上に設置された
管制用アンテナの外観。
年周視差誤差の天球上マップ。GAIAの
データ解析チームとの共同解析
20
(6)今後のスケジュール
2011年3月 フライトモデル完成
*フライトモデル:実際に打ち上げる衛星
打ち上げロケットとの調整、試験、審査
2011年6月 フライトモデルを射場へ運搬
2011年8月 打ち上げ@アルカンタラ(ブラジル)
2013年
観測終了
2014年
Nano-JASMINEカタログ完成
*文部科学省宇宙利用促進調整委託費により、独自のデータ受信・配信システムを
構築し、国立天文台(位置天文データ)、東大(衛星システムデータ)からのデータ
配信を行う予定。
*Nano-JASMINEのデータ解析については、山田氏を中心として、Gaiaのデータ
解析チームとの協力が順調に進んでいる。Gaiaの解析ソフトをNano-JASMINE用
に転換したりヒッパルコスカタログと結びつける仕事でD論をとる予定の学生も
いる(@Spain, ESA)
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(7)Nano-JASMINE計画の最近の動きのまとめ
(1)打ち上げ契約を締結(2010年2月26日)
打ち上げ正式決定の記者会見開催(2010年4月12日)
9紙に掲載。Web記事も多数掲載。U-streamによるライブ中継。
記者会見ビデオへのアクセス数:1000件以上。
打ち上げインターフェース調整が進み、システム要求審査が無事に終了。
あと、2回の審査会を行う予定。
(2)衛星FMの組み立て完了(2010年10月)
種々の試験を経て、22年度末までにFMを完成予定
(3)国際協力によるデータ解析準備が順調に進行中
Gaiaデータ解析チームによるGaia解析ソフトのNano-JASMINEへの転換、
ヒッパルコスとNano-JASMINEの組み合わせによる固有運動精度アップ
*GaiaチームもNano-JASMINEに期待をよせている。
GaiaのHPのトップページに、Nano-JASMINEのFMが掲載されている
(H22.11.18~1週間程度)
(4)サイエンス検討チームの発足
小型JASMINEサイエンスWGのサブグループとして、Nano-JASMINE検討チームが
活動を開始(主担当は、西亮一氏(新潟大))