Transcript 第7回

電子社会設計論 第7回
Electronic social design theory
中 貴俊
内容確認
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本日の内容確認
著作権とは
違法となる行為(Winnyなどを例に)
DRM
著作権とは
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著作権
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著作物(文化的創作物)を創作した人が所有する権利
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著作物を創作した時点で自動的に権利が発生
著作者の死後50年まで保護(映画は70年)
著作権の分類
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著作権法51条1項
著作者人格権(公表権、氏名表示権、同一性保持権)
財産権(複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権・伝達権、口
述権、・・・)
プログラムの著作権
写真、映画、テレビゲームなど、新しい技術も保護の対象
青空文庫(あおぞらぶんこ)
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著作権切れの作品を収集・公開(2008年9月:約7400作品)
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インターネット上の電子図書館
保護期間の延長
米国政府 → 日本政府
「個人の場合は死後70年・法人の場合は公表後95年」
文化庁:2007年中の文化審議会著作権分科会で結論
著作権保護期間の延長には「十分な合意が得られた状況ではない」
 青空文庫は法律の施行から最低でも20年間は新規の作品登録が出
来なくなる
 反対声明を公表
ライセンス・ビジネス
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著作権管理団体
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小説などの場合
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知的所有権の管理や使用料の徴収などを代行
権利の保有者との委託契約を締結
(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)
作者が受け取る印税は書籍の本体価格の1割が慣習
出版社が読者(使用者)からの料金徴収を行っている
他に・・・
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音楽著作権使用料
ソフトウェア使用料(ライセンスなど)
コンテンツ利用料
著作権の侵害
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音楽やキャラクターなど > 第3者が得をする
コンピュータによる著作権侵害
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様々な電子化
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文書ファイル ・ 表計算データ
画像 ・ 音楽 ・ 動画
再利用や同一データの作成の容易化
インターネットの普及
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データの配信・受信の利便化
利用者拡大による産業の波
ファイル共有ソフト
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P2P接続により端末間でファイルを共有する仕組み
友人間の漫画やCDの貸し借り
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良い?
悪い?
比較
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コンピュータ・インターネットによって構成される現代の電
子社会
過去の現実社会
ファイル交換による著作権侵害の現状(1)
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ファイル交換ソフト(Winny, WinMX, etc)
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高価なアプリケーション
最新のヒット曲、ゲームソフト
未公開、公開中の映画
利用者数 200万人弱(184万人:2003年)
「WinMX」82.4%:「Winny」22.8%:「Napster」22.5%
インターネットユーザーの増加
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世帯利用人口普及率は66.8%
インターネットの利用人口は約8,529万人
ブロードバンド回線の契約数は約2,330万件
総務省調べ:平成18年版情報通信白書より
ファイル交換による著作権侵害の現状(2)
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著作権侵害は「重罪」
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販売目的:複製品の売買
趣味目的:コレクターなど
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一般市民が興味本位で罪を犯すケース
罪の意識が軽い
罪のレベル
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ファイル交換ソフトで他人が音楽ファイルをダウンロードで
きるようにした:著作権法違反
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最高で3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
脅迫罪・暴行罪(2年以下の懲役又は30万円以下の罰金)
ファイル交換による著作権侵害の現状(3)
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著作権侵害の経緯(P2Pソフト普及前)
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ホームページスペースにアップロード(1995年頃:国外)
海外の無料ホームページスペースにファイルを圧縮・分割
してアップロード(1997年頃から)
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ホームページスペースの管理側がサイズの大きいファイルに制限
をつける(削除するなど)
更に分割をしたり、画像に偽装してアップロード
掲示板などで連絡を取り直接メディアを手渡しする方法
ファイル交換による著作権侵害の現状(4)
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著作権侵害の経緯(P2Pソフト普及後)
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ブロードバンド時代(1999年頃)
Nepstar
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音楽ファイル交換用ソフトとして大ブレイク
CD業界の売り上げ激減
レコード会社からの反発
2001年 敗訴 : 同7月 営業停止
WinMX(アメリカ発)
Winny(国内産)
Share
被害総額
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2000年から2004年の間 約2000億円(国内)
ファイル交換による著作権侵害の現状(5)
 処罰事例
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機動戦士ガンダムの輸入DVDの複製販売
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「WinMX」にて「Photoshop」交換(公開)
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個人ユーザ5人に対しレコード会社が損害賠償を求める(2005)
米映画会社とP2Pソフトを配布する会社との間での訴訟
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東京都大学生(20)、専門学校生(19)
著作権法違反(2002年11月)
罰金40万円
「WinMX」にて音楽ファイルを繰り返し交換
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埼玉県会社員(42)
著作権法違反(2003年2月)
懲役1年6ヶ月、執行猶予3年
実際に著作権を侵害したユーザではなくP2Pソフトを配布した会社に責任
を求める判決が下る(2005)
京都府警察本部ハイテク犯罪対策室
ファイル交換による著作権侵害の現状(6)
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最新情報(今年の事件)
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ヤフオクで複数のIDを使い海賊版販売、男性を逮捕
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ニンテンドーDSの海賊版販売、全国初の摘発
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平成18年8月3日ごろ、マイクロソフトコーポレーションが著作権を有する
「Microsoft Office Professional 2003」を無断で複製したCD-R1枚を、豊島区の男
性に対し2,800円で宅配便を使って販売
警視庁生活経済課と練馬署は平成18年9月14日、権利者に無断で複製した携帯
型ゲーム機ニンテンドーDS用のゲームソフトを販売する目的で所持していた練馬
区の会社員男性(45歳)を、著作権法違反の疑いで逮捕
カーナビソフトの海賊版販売男性、逮捕直前にも「新製品」販売を宣伝(2006
年6月2日)
アニメDVDの海賊版を販売していた男性を逮捕(2006年6月21日)
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会
ACCS(Association for Copyright of Computer Software)
ファイル共有ソフトを悪用した
著作権侵害対策協議会
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著作権団体と電気通信事業者が連携して侵害防止
策を検討・実施
オブザーバとして警察庁・総務省・文化庁
ファイル共有ソフトの利用者の急増
罪に問われる境界線
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ダウンロードのみなら?
ファイル共有はいけないこと?
ユーザ側、ソフト開発側、通信管理(ISP)側、どこが
責任を負うの?
はっきりとした境界線を引くことは難しい
ファイル共有ソフトによる意図しない弊害
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ウィルスによるアップロード
情報漏えい
文化審議会著作権分科会
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ダウンロードの違法性について審議中
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ファイル共有ソフトに関するダウンロードについては
違法の声が多いものの罰則を与えない方向
ネットオークションなどの商品画像はやむを得ない
デジタル音楽のコピー対策に課金制度に
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2007年11月15日まで一般意見を募集
iPod課金方式に
着歌(メロ)サイト
新しいライセンス
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自由な配信を考慮した新しいライセンス体系
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音楽ファイル
デジタル放送
違法コピーへの対応
著作権管理団体に頼るだけでなく著作者側も防衛
策をたてるように
DRM(デジタル著作権管理)
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電子機器上のコンテンツ (映画や音楽、小説など) の無制限
な利用を防ぐための技術の総称
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電子透かし
暗号化
ハードウェアセキュリティ(物理的なメディアによるコピーガードなど)
NetLeader
問題点
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DLされたコンテンツを1台のデバイスでしか利用できない
音楽CDにおいては全てのプレイヤーで視聴できないケースもある
参加企業、ユーザ全てに利益があるDRMが無い現状であるためコン
テンツホルダーがネット配信に消極的
電子透かし
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情報デジタル化時代の流通形態に対応した 著作権
保護を目的 とする技術
電子透かしとは、人間が知覚できない程度に透かし
情報を埋め込み、デジタルコンテンツの質を損なわ
せない技術
不正使用は発見する必要がある
サーバーにエージェント機能をつけて不正使用の監
視するシステム
デジタル透かしの例
暗号化
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映像や音楽(コンテンツ)に対してそのままでは利用
できないように情報を一定のルールと暗号鍵(キー)
に基づいて暗号化を行う
セキュリティー面で強化される
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ユーザの利便性が失われる危険性がある
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ハードウェアセキュリティ
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コンテンツの著作権を保護するために特別なハード
ウェアを利用する
ハードウェアの設計によって強固なセキュリティにな
る
利用するには専用のハードウェアが必要
ユーザにとってはデータが扱いにくくなる
デジタルミレニアム著作権法
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DRM技術を回避しようとしてソフトウェアやハード
ウェアを改造するとこれの違反となる
1998年10月に成立し2000年10月に施行された、ア
メリカの著作権法。1996年12月にWIPO(世界知的
所有権機関)で締結された「著作権条約」「実演・レ
コード条約」に基づき制定されたもので、デジタル化
された情報の著作権のあり方などを規定している
著作権に関する考察
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保護するためには?
侵害しないためには?
出席確認
NetLeader
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Microsoft のWindows DRM をベースに, NTT コミュニケーションズの先
端 IP アーキテクチャセンターが開発
コンテンツを暗号化して配信し,利用する際に利用権限を確認する
P2P ファイル交換ソフトの中に著作権を保護した状態でコンテンツを流出
させ,「合法な」ファイル交換手段で,プロモーションに役立てる
コンテンツ事業者はダウンロード配信するコンテンツに,利用回数や広告
表示義務などの利用制限をつけることが可能
NetLeader のファイルをダウンロードすると,ダウンロードされたコンテン
ツには IP アドレスなどの情報が自動的に埋め込まれるため,コンテンツ
流通状況の追跡と検出が可能。