農業経営とIT利用

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Transcript 農業経営とIT利用

農林水産省の
ホームページ
21世紀における
農林水産分野のIT戦略
(中間とりまとめ)
平成12 年12 月
IT 戦略検討部会事務局
農林水産分野における
IT戦略の必要性
(食料の安定供給の確保)
高度化・多様化する国民の需要に即した食料の安定供給の確保及び食料自給率の向上を図る上で、IT の活用により、
・消費者への健全な食生活情報や消費者の的確な商品選択に資する情報の迅速な提供
・多様な消費者ニーズの迅速な把握と、多品種少量を特質とする生産とのマッチングの実現
・電子商取引の推進、物流システムの高度化等による流通コストの削減、食品産業の健全な発展等が促進される。
(多面的機能の発揮)
国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農林業・農山村がもつ多面的機能
を将来にわたって適切かつ十分に発揮していくため、IT を活用することにより、
・国民への多面的機能やその重要性等に関する情報提供
・地理情報システム(GIS )等を活用した農林地の適切な管理、中山間地域の振興
・農林業・農山村の文化やふるさと情報の発信の強化等が促進される。
(農林水産業の持続的な発展)
生産性の高い経営構造を確立するため、IT の活用により、
・生産・経営に必要な各種情報の受発信等による企業的経営の確立、ネット産直等意欲ある担い手の新たな取組やビジネスチャンスの拡大
・新規就農情報の広範な提供
・地理情報システム(GIS )・遠隔監視システム等による農地・森林
・水産資源等の管理・活用の高度化
・リモートセンシング技術等による農地・作物生育状況等の精密な把握やそれに基づく適切な栽培管理等による環境と調和のとれた生産等
が促進される。
(農山漁村の振興)
豊かで住み良い農山漁村とするため、IT を活用することにより、
・コミュニティ情報、防災情報等の迅速な提供
・動画像等を活用した遠隔健康管理システム等による地域住民の福祉の向上
・テレワーク・SOHO 等による新たな雇用・定住
・地域特産品・グリーンツーリズム等の情報提供を通じた都市と農山漁
村の交流、都市住民の健康的でゆとりある生活への寄与等が促進される。
• 食料の安定供給の確保
– 消費者との関係性強化、物流システム高度化
• 多面的機能の発揮
– GIS利用、ふるさと文化情報発信
• 農林水産業の持続的発展
– 生産・経営・販売の高度利用
• 農山漁村の振興
– コミュニティ構築、SOHO雇用、福祉向上
農水省の重点政策分野
• 1.デジタルコンテンツ、アプリケーション充実
– 企業的経営の展開、流通の合理化、資源管理の高度化
を自己増殖DB、iモード、ASPで
• 2.農山漁村地域におけるITインフラの整備
– 地理的ハンディ克服とデジタルデバイド解消のため、高速
回線整備を急ぐ(当面はCATV、無線)
• 3.情報リテラシーの向上
– 情報リテラシー向上のインセンティブ確保、指導人材確保、
高齢者も使いやすい機器開発
IT活用によりどうなる?
IT戦略検討部会事務局
IT の活用によって描ける農林水産分野の具体的な絵姿IT の活用によって描ける農林水産分野の具体的な絵姿IT の活用によって描け
る農林水産分野の具体的な絵姿IT の活用によって描ける農林水産分野の具体的な絵姿
(経営)
・農林漁業者が、情報リテラシーを備え、ほ場情報等を容易に蓄積・利用できるとともに、市況・気象・技術情報、消費者情報等
生産・経営に必要な情報が迅速かつ容易に入手できる。
・農家が経営診断ソフト等を利用して自ら経営計画を策定するほか、ほ場においても情報機器を活用し、情報の蓄積や受発信、普
及員等からの技術指導を受けることができる。
・ネット産直等によって、販路を拡大し、多品種少量生産という我が国農業の特徴を活かした経営が展開できる。
(消費者)
・消費者が、農産物、食品の安全・安心等に関する必要な情報を迅速かつ容易に入手でき、消費者の合理的な商品選択機会が増加
する。
・都市住民が農山漁村の多様な情報(特産物、グリーンツーリズム等)を迅速かつ容易に入手でき、農山漁村の自然や文化等とのふれあい
による健康的でゆとりのある生活や子供の心の教育に資する。
(行政サービス)
・地域農業関係機関がネットワーク化され、農地・農家等に関するデータが共有でき、行政サービスの向上等が図られる。
(食品等流通)
・電子商取引や物流システムの効率化等により、流通コストの削減が図られる。
・生鮮食料品については、特に、BtoB において、取引・決済・物流の統合されたシステムの実現が図られる。
(資源管理)
・衛星データ等を活用し、農地、森林等に関するGIS の整備や関係機関でのデータの共有が推進され、資源の管理・活用の高度
化を通じた農林水産業の持続的発展や行政サービスの向上が図られる。
(農山漁村地域における生活利便性)
・消費情報、娯楽情報等の迅速な入手が可能となり、遠隔地であっても、質の高い生活関連サービスが享受できる。
・在宅あるいは遠隔健康管理等が可能となり、質の高い健康・福祉サービスが享受できる。
・遠隔教育等が可能となり、質の高い教育・文化サービスが享受できる。
・農山漁村に対する都市住民や消費者のニーズ(どのような特産品を望むか等)を迅速に入手できる。
・自宅に居ながら、行政情報、コミュニティ情報、防災情報等が迅速に入手できるとともに、ワンストップサービスを受けること
ができる。
・都市住民とのコミュニケーションが促進され、都市との交流が図られる。
21世紀の課題(通信白書)
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少子高齢化への対応
グローバル化への対応
生活の多様化への対応
環境問題への対応
通信白書ホームページ
http://www.mpt.go.jp/
利用状況の概要
インターネットビジネスの対象機器
インターネットビジネスと
モバイルビジネス
インターネットビジネス
イーコマース市場規模(BtoC)
インターネットビジネス
中間財市場規模(BtoB)
インターネット関連ビジネス
モバイルビジネス
利用者層
利用場所、利用時間
EC利用経験
EC利用商品
EC不安要因
チャーン現象
モバイル通信の個人市場の拡大、機種・サービスの進化や価格競争が激化
するにつれ、近年に特徴的な消費行動としてサービス種類の変更、高品質
や価格条件を求めた事業者変更等が見受けられる。こういった解約を伴う
加入者のサービス選択行動は「チャーン」と呼ばれている。
モバイルインターネット
これからちょっと一緒に
考えてみましょうよ!!
ところで
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インターネット
って何?
電話線、無線、光の線でつながっている
インターネットとは、要はただの「線」である
「線」だから入り口と出口以外の途中に何もない
線のむこうとこっちにいる「人」が重要!!
「受信」するか「発信」するかのどちらかしかない
これは表裏一体だからどちらかだけではダメ
• 「発信=受信」、発信するところに情報は集まる
インターネットでできること
• 私が考えるにインターネットは以下の3つしかあ
りません。
• ①データベース
–
脳の外部化、多量の体系化されたデータ
• ②ニュース
–
最新の情報に価値がある、今の情報は瞬時にして古くなる
• ③コミュニティー
–
独自性、オリジナリティが生きる
• 中小企業や小さい組織が取りうる戦略はどれ?
インターネット通販の現状は?
• 楽天市場のワイナ
リー和泉屋さん
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来場者:228,377pv
客 数 :1,892人
ワイン本数:9,062本
売 上 :34,660,477円
ヒット率:0.8%
客単価 :3,824円
通常ヒット率:0.3~0.5%
COC(コミュニティ・オブ・コマース)
• インターネット通販は自動販売機
ではない
• 砂漠の中の自動販売機に誰が買
いにいくのか?
• コミュニティがあるからコマース(商
取引)が発生しやすい
• コミュニティがないところに購買は
ない
• まず上質なコミュニティをつくろう
㈱スプートニク 代表 永江一石
フカ~イ関係を築こう
• ホームページではオープンに誰にでも情報公開できる
– つきあいはじめるきっかけがホームページ(広く使える)
• つきあいだすと会話(コミュニティ)が重要になる
– 1対1リレーションシップはメール(より深く使える)
• メールは、いつでもどこでも意志を伝え合うことができる
• It is a pen (アイティ イズ ア ペン)→ITは筆記用具
– 「気付き」をもった経営者にはITはとても有効なツール
• 新たな共感者と深い関係を継続していくことができる
※浅いつきあいはやめとこう、あまり意味が無い
• ホームページは広く深く、メールはより深く
重要な顧客とは誰か?
生涯顧客価値
生涯顧客から も たら さ れる利益
14, 000
30%
12, 000
25%
10, 000
20%
8, 000
15%
6, 000
10%
4, 000
5%
2, 000
0
累計粗利額
粗利(%)
0%
ルーシーロイヤル ラッセルレギュラー
スチュアートスプリット
シェリーチェリー キャロルコンビニエンス
1
2
3
4
5
11,713
25%
3,089
22%
300
18%
50
16%
12
15%
• 満足した固
定客の行動
–
–
–
–
再購買
高金額購買
固定客化
口コミ宣伝
顧客満足がなぜ必要か
売上の80%は、20%のヘビーユーザからもたらされる
新規顧客獲得には、現有顧客維持の5倍の経費が
かかる
20%
優良顧客
20%
既存顧客
80%
通常顧客
80%
新規顧客
80%
■ ’98年度方向性
20%
売 上
経 費
顧客層
顧客ロイアルティが5%上昇すれば、利益は最低でも
25%上昇する
顧客満足度が5段階評価で5(非常に満足)の顧客は、
4(満足)の顧客に比べ、6倍の再購買率を示している
25%Up
利 益
顧客ロイアル
ティ
6
5(非常に満足)
1
4(満足)
5%Up
再購買率
 一度購買した顧客に対し、継続的なリレーションを行い、固定客化することで、
企業にとって継続的な利益を確保していくことが重要。
(出典) 荒川圭著「データベース・マーケティングの進め方」/服部隆幸著 「One to Oneマーケティングの全てがわかる Q&A100」
顧客満足度を高めた経営が重要
• 1000円のお客さま×1000人か、100万円のお客
さま×1人か?
→どちらも100万円の売上
• 1回きりの購買か、生涯継続した購買か?
→成長経済なら試し買い需要だけでも顧客数
が多ければ大きな売上になった
• 成熟経済では、生涯購入してくれるお客さまが重
要
※毎月米を定期購入してくれるお客さまと生涯
付き合うことが大事
(計算例:10ha耕作する米農家の2例)
•
•
▽全量をJAに購入してもらう場合の計算例
田んぼ10haで生産できる米は約60トン(60000キロ)
市販の10キロ袋にすると6000人への販売に相当
売上:6000件×3000円@1袋=1800万円
→売り先は1箇所だが、最終的には毎年6000件の販売先
→30年で24万件の販売先(固定客ではなくその都度通りすがりの客)
→低利益でかつ売上不安定
▽生涯顧客に直販する場合の計算例
月10キロ消費する家族の年間米消費量:12×10=120キロ
60000キロ÷120キロ=500件
売上:500件×12ヶ月×6000円@1袋=3600万円
→500件のお客さまと毎年つきあっていく
→30年たってもお客さま件数は同じ
→高利益で売上安定
これからは顧客満足度について考える
• あなたのお客さまは満足しているか?
ひとりのお客さまを徹底的に満足させることが
できるかどうか
• 満足とは「期待している品質を超えること」
• 品質とは「基準を超えること」
サービスや味覚の品質は「知覚品質」→基準が
だんだん上がっていく
• 毎日、あらたな基準を設定しなおすくらいの覚悟
が必要
One to Oneマーケティングは
「顧客=生産者」
• 一人のお客さまを満足させることができなくて誰
が満足するか
• 目の前のお客さまに満足してもらうから次も買っ
てくれる
• ではお客さまを満足させるために自分は犠牲者
になるか?
• 自分も満足できるからお客さまも満足できる
→(共感が重要)
• より高度な満足へ → 「満足」から「感動」へ
時代の構造が変化
時代
農業社会
産業社会
情報社会
いつ
約1万年前
約200年前
今
価値基準
労働力
モノ
情報
人間観
従属関係
機械重視
多様化
個人の保障
身分制度
学歴・就職
豊かな個性
労働単位
家族・一族
集団
個人
組織
縦型で世襲
ピラミッド型
ネットワーク
組織の維持
個人崇拝・忠誠心
管理・統制
自主性
責任
運命共同体
共同責任
自己責任
↓
第1の波
↓
第2の波
↓
第3の波
•
※出典:IT時代の「課題達成型」目標管理 産能大学出版部 ISBN4-382-05496-6
働き方が違ってくる
時代
産業社会
情報社会
いつどこで
同じ時間、同じ場所で
いつでも、どこでも
情報伝達
人から人へ
コンピュータで共有
労働の評価
時間
成果
求められるもの
協調性
処理能力
人事評価
態度評価
個の尊重
適した組織
ピラミッド型
ネットワーク型
管理職
中間管理職の能力重要
上下二極化
責任の所在
共同責任
自己責任
経営の要点
トップダウン
個人のベクトル合わせ
大きな環境変化
•成長経済から成熟経済へ
•自己責任のネットワーク社会
決定権は「個人」にシフト
自社の存在意義
• オープンに社会の中で自社の価値を知る
– 会社の市場価値
– 企業経営の継続
• トップの使命感に、社員、顧客が共感する
– もうけ主義では生き残れない
– もうけは手段であり目的ではない
– 目的は社会的な自社の存在意義
農業ビジネスの課題
• 顧客と長期の共存共栄ができるしくみを構築する
– 企業として長期安定できる基盤づくり
• 財務体質の強化 → 株式会社化
• 人的資産を重視する(特に販売分野の人材育成)
• 生産技術分野のノウハウをDBに
– 顧客との関係を発展させる
• CRM(カスタマーリレーションメネジメント)
• 生涯顧客価値を考慮する
– これらの実現手段としてITを活用しよう
よりどころは「使命感」
• なぜ「農業」をしているの?
• これからは、前例のない意思
決定の連続になる
• 正解はない
• 自分の使命に確信をもつ