Transcript 被験者募集の工夫
トレーニングの際はスライド, ノートの両方を確認してください 被験者集積のための対策 2015年5月作成 1 目次 被験者登録を計画通り進める必要性 被験者登録を計画通り進めるための方策 被験者候補のリストアップ 1~3 被験者登録プラン 1~5 被験者募集の工夫 留意点 被験者募集のイメージ 実施医療機関内での被験者募集の工夫 実施医療機関外からの被験者募集の工夫 同意取得率向上の工夫 1~3 2 被験者登録を計画通り進める必要性 目標とする被験者数の確保は治験責任医師の責務で す GCP 第42条(治験責任医師の要件) ガイダンス5 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な 被験者を集めることが可能であることを過去の実績などにより 示すこと 各実施医療機関の治験責任医師が合意した被験者数 を守ることで、新薬を速やかに患者さんの元に届けるこ とが可能となります 治験の進捗が悪く、募集期間内に必要な被験者数を集 める見込みが立たない場合、協議により当該施設での 3 治験を中止することがあります 基本 被験者登録を計画通り進めるための方策 1 2 3 • 被験者候補のリストアップ • 被験者登録プランの作成 • 登録実績の把握、対策の実施 各ステップでは、以下を参考に適切に被験者を登録する ・被験者募集の工夫 ・同意取得率向上の工夫 4 基本 被験者候補のリストアップ 1/3 被験者候補リストの作成 計画どおりに被験者を登録するため、事前に患者を調査 して、被験者候補リストを作成する 医師の同意取得率を基に、何例に同意説明して何例の カルテを閲覧する必要があるかを逆算すれば効率が良い (医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 製薬協) 5 実践 被験者候補のリストアップ 2/3 被験者候補リストの作成手順(例) 一次スクリーニング(担当:CRCなど) 対象疾患、 併用薬 二次スクリーニング(担当:CRCなど) 電子カルテ又はレセプトから、保険病名、 併用薬又は検査値などをもとに抽出 カルテを閲覧して、一次スクリーニングから、 選択基準に合致し除外基準に抵触しない 患者を抽出 三次スクリーニング(担当:医師など) 二次スクリーニングから、治験実施計画書を 遵守可能かなどの判断をもとに順位付け 被験者候補リスト 選択・ 除外基準 医師 判断 6 実践 被験者候補のリストアップ 3/3 被験者候補リスト(糖尿病患者を対象とした治験 例) No. 性 年 HbA1c値 別 齢 1 M 62 6.9(JDS) 14/11/29 併用薬 7.4(NGSP) XXXXX 15/2/20 来院 (予定) 備考 15/6/20 ・治験参加経験あり ・飲酒なし 2 説明しても同意を取得できない場合や観察期での脱落を 考慮して、必要な数の被験者候補をリストアップする 同意取得及び治験参加可能性を総合的に判断して、 順位付けしたものとする 7 実践 被験者登録プラン 1/5 被験者登録プランの作成 1月 2月 3月 同意予定 1 2 3 投薬予定 0 1 3 月ごとの同意・組み入れ被験者数を 試算する。その精度を高めることで、 必要なリソース(人員)の把握が可能 となり、適正配置につながる。 被験者登録プラン作成と見直しの時期 作成時期 試験開始前 見直し時期 試験期間中で、試算との乖離がでた場合 (特に、被験者登録が遅延しているなど) 8 実践 被験者登録プラン 2/5 試験期間中に試算との乖離がでた場合 乖離がでた場合は、適切なタイミングで 「なくせる誤差」を特定し、対策をとる。 また、被験者登録プランを更新する。 (医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 製薬協) 9 実践 被験者登録プラン 3/5 被験者登録プラン作成時の留意事項 必要な人数の被験者候補を集めるために 治験実施計画書を十分に理解し、被験者候補リストを適切に作成 被験者候補リストの患者の特徴を把握し、登録可能な患者を選定 他科・他院からの紹介患者の見積もり 同意取得率を向上させるために(スライド20~22参照) わかり易く説明する わかり易い説明(補助)資料を作成する 患者の治験参加に対する不安を解消 患者が感じている日誌等の煩わしさを解消 同意取得後のスクリーニング脱落を最小限にするために 基準(検査値など)を十分に満たす被験者候補を抽出する 10 実践 被験者登録プラン 4/5 治験実施計画書を考慮して想定される障害を特定 し、「対策」を講じる ⇒被験者集積性が向上 治験参加に関する障害と対策の例(糖尿病患者を対象とした治験 例) 項目 障害と考える内容 来院時間 来院期間 • 絶食下、全て午前中に来院が必要。 • 治療期はXX週間であるが、長期にわたり定 期的な来院が必要。 PK採血 食事負荷 試験 • PK採血の対象となる可能性があり、負担・来 院が増えることがある。 • 食事負荷試験の実施がある。 • 来院時の拘束時間が長くなることがある。 確認・対策のポイント 患者の日常生活、性格 等を考慮し、長期にわた る定期的な通院/長時間 の拘束が可能な方か検 討する。 11 実践 被験者登録プラン 5/5 治験参加に関する障害と対策の例(糖尿病患者を対象とした治験 例) 項目 障害と考える内容 確認のポイント 食事・運動 療法、 飲酒制限 • 継続的な食事・運動療法が必要。 • 日常的にXXXを超えるアルコール 摂取が禁止。(糖尿病患者では飲 酒量の多い方がいる。) 通院初期の問診・栄養指導等から 、 もともとの生活習慣を確認し、現 在の服薬コンプライアンス、食事・ 運動療法実施状況を再確認する。 Washout、 プラセボ • 常用薬剤をWash outする不安。 定期的に検査を実施し、担当医が • プラセボ群が設定されており、現在 症状をしっかりと観察することを説 の治療より効果が下がるかもしれ 明し、不安を和らげる。 ないという不安。 血糖自己 測定、 日誌等 • 血糖自己測定や日誌等の記載を 煩わしいと感じる。 治験参加を機に自己の健康管理に 興味を持って貰えるような話法を工 夫する。 12 実践 被験者募集の工夫 留意点 被験者募集のイメージ 実施医療機関内での被験者募集の工夫 他科からの紹介 院内掲示用ポスターの利用 実施医療機関外からの被験者募集の工夫 関連病院・クリニックからの紹介 マスメディアを通じた広告 13 実践 留意点 当該治験の被験者募集を目的とした情報提供 ⇒IRB審査が必要 (GCP 第32条第1項第2号) 対象 実施医療機関内での「被験者候補向け」の情報提供 「実施医療機関外」への情報提供 IRB審査対象外 特定治験の被験者募集を目的としないもの ※ 実施医療機関外へ情報提供する際は、治験依頼者とも相談が必要 情報提供に関する規制 GCP 第32条第1項第2号 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 医療法 等 14 実践 被験者募集のイメージ 関連病院・クリニック 他科 新聞広告、折 込チラシ、雑誌 TV、ラジオ、 インターネット 実施医療機関 (実施診療科) コールセンター 市民公開講座 同意取得 15 実践 実施医療機関内での被験者募集の工夫 (他科からの紹介) 患者が他科を受診している可能性がある場合、該当 する診療科へ被験者紹介の協力を仰ぐ 他科に被験者候補が存在した場合の対応 被験者候補を治験担当医師へ院内紹介してもらう 主治医を治験分担医師へ追加する スムーズな紹介のために、事前に院内体制を構築 治験管理室から各診療科へ情報を配信し、周知徹底する 被験者候補が現れた場合の連絡体制を整えておく (治験への協力について院内でのコンセンサスを得ておく) 16 実践 実施医療機関内での被験者募集の工夫 (院内掲示用ポスターの利用) 治験実施中の治験用ポスターの掲示/パンフレット の配布 (参考例→) ※目につきやすい場所 (待合室のディスプレイなど) へ掲示する 被験者集積の向上 一般診療の患者さんへも情報 が届き、治験への理解及び疾 患の啓発活動につながる 17 実践 実施医療機関外からの被験者募集の工夫 (関連病院・クリニックからの紹介) 院内での被験者集積が困難な場合は、関連病院・ク リニックからの患者紹介を考慮する 秘密保持の観点からも、治験依頼者へ事前に確認すること が必要 あらかじめ、関連病院・クリニックとの間で秘密保持契約を 締結しておくことも検討 関連病院・クリニックとの連携体制を構築しておくことで、 自施設だけでは十分な症例集積が達成できない場合に効 果が期待できる 18 実践 実施医療機関外からの被験者募集の工夫 (マスメディアを通じた広告) マスメディアの種類 新聞広告、折込みチラシ、雑誌 テレビ、ラジオ、インターネット 市民公開講座 等 被験者候補の対応 患者からの連絡手段:コールセンターを活用 ※いずれも、治験依頼者と相談しつつ進めることが重要です 19 実践 同意取得率向上の工夫 1/3 同意取得率を向上させることで、被験者登録プラン に沿って治験を実施することが可能となる 基本的には、説明の仕方を工夫し、被験者の理解 を高め不安を払拭することが、同意取得率向上の 近道 身近な薬の話の事例を交えて、 イメージしやすくしたり… なるべく簡単な言葉を使って 理解を深めたり… 視覚的にわかりやすい 資料を作成したり… 20 実践 同意取得率向上の工夫 2/3 同意取得率が低い原因と対策 原因 対策 • 説明がわかり難い • 説明(補助)資料がわか り難い • 治験参加のメリット、デメリットを整理して 伝える • 治験に関する理解度に応じて、説明の仕 方を工夫する • 各来院日に実施する検査内容がわかりや すい資料を作成する (参考例:スライド22) • 不安に感じている • 日誌等を煩わしく感じて いる • 経験豊富な医師やCRCの支援を受ける • 自己の健康管理に興味を持ってもらう 21 実践 同意取得率向上の工夫 3/3 説明補助資料の参考例 22 実践 End of Slide 23