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2020/5/1

第1章 日本の学校制度の概要

• • (1)「学校」とは ・一般的には、そこで学ぶものに対して系統的な教育を 行う場所、施設 • ・日本で「学校」という用語が一般的に使われるように なったのは、明治以降で、それ以前の教育施設は、藩 校、寺子屋、塾、学問所などと呼ばれていた。 • ・英語ではschool(古代ギリシャ語のschole:スコレー (暇)、ラテン語でshola:スコラ(学術)、に由来) 第1章 日本の学校制度の概要 1

第1章 日本の学校制度の概要

• • (2)現代日本における学校 ①教育基本法 – (学校教育) 第六条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、 地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置す ることができる。 2 前項の学校においては、教育の目的が達成されるよう、 教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組 織的に行われなければならない。この場合において、教育 を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずる とともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重 視して行われなければならない。 2020/5/1 第1章 日本の学校制度の概要 2

第1章 日本の学校制度の概要

• ②学校教育法 – 第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学 校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及 び高等専門学校とする。 – 第2条 学校は、国(国立大学法人及び独立行政法人 国立高等専門学校機構を含む。以下同じ。)地方公共 団体(公立大学法人を含む。次項において同じ。)およ び私立学校法 第3条 に規定する学校法人(以下学校法 人と称する。)のみが、これを設置することができる。 高専:64校(1961年改正) 中等教育学校:27校(1998年改正) 特別支援学校:旧盲学校、聾学校、養護学校を一本化 (2007年) 2020/5/1 第1章 日本の学校制度の概要 3

第1章 日本の学校制度の概要

• • ③1条校に準ずる「学校」 1)専修学校 – 第1条に掲げるもの以外の教育施設で、職業若しくは実 際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図るこ とを目的として次の各号に該当する組織的な教育を行う もの(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があ るもの及び我が国に居住する外国人を専ら対象とするも のを除く。)は、専修学校とする – – 1.修業年限が1年以上であること。 2.授業時数が文部科学大臣の定める授業時数以上であ ること。 – – 3.教育を受ける者が常時40人以上であること。 (学校教育法第124条) 2020/5/1 第1章 日本の学校制度の概要 4

第1章 日本の学校制度の概要

• • 1-2)専修学校の課程と呼称(学校教育法125条) ・高等課程(高等専修学校) – 中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者若しくは中 等教育学校の前期課程を修了した者又は文部科学大臣 の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認め られた者に対して、中学校における教育の基礎の上に、 心身の発達に応じて前条の教育を行う – 高等課程を置く専修学校は、高等専修学校 と称すること ができる • ・専門課程(専門学校) – 高等学校若しくはこれに準ずる学校若しくは中等教育学 校を卒業した者又は文部科学大臣の定めるところにより これに準ずる学力があると認められた者に対して、高等 学校における教育の基礎の上に、前条の教育を行う – 2020/5/1 専門課程を置く専修学校は、専門学校と称することがで きる 第1章 日本の学校制度の概要 5 • ・一般課程(それ以外の課程)

第1章 日本の学校制度の概要

• 2)各種学校(学校教育法134条) – 第134条

第1条

に掲げるもの以外のもので、学校教育に 類する教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法律に 特別な規定のあるもの及び第124条に規定する専修学校 の教育を行うものを除く。)は、各種学校とする。 • ④学校教育法以外の法律に規定されている教育施設の例 – 職業訓練施設=防衛大学校、航空大学校、気象大学校、 自治大学校、職業訓練大学校など – 児童福祉施設=保育所、児童厚生施設、児童養護施設 など – 社会教育施設=公民館、図書館、博物館など – 2020/5/1 矯正教育施設=少年院、少年鑑別所など 第1章 日本の学校制度の概要 6

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第1章 日本の学校制度の概要

• • (4)「学校」の成立過程 ①奈良時代(大化の改新による律令国家の成立) • ②なぜこの時代に「学校」組織が成立したのか – 行政府と行政機構が整備 – 地方の行政単位としての国、郡、里が整備 • ③この時代に登場した「学校」 – – – 1.大学寮:中央の官僚養成機関 2.国学:地方の官僚養成機関、郡司の子弟を対象 とする教育機関 2020/5/1 第1章 日本の学校制度の概要 8

第1章 日本の学校制度の概要

• ④その後、僧侶のための学校、武士の子弟のための学校(藩校)、民衆 のための教育機関(寺子屋)、私塾(吉田松陰の松下村塾)など – 主な藩校 • 日新館 ( 会津藩 )、 興譲館 ( 米沢藩 )、 弘道館 ( 水戸藩 )、 明倫館 ( 長州藩 )、 弘道館 ( 佐賀藩 )、 時習館 (熊本)、 造士館 ( 薩摩藩 )な ど – 明治以降、一部は、高等中学(旧制高校)等の改組を経て大学へ、ま た、一部は、尋常中学を経て戦後の新制高校等へ • 金沢藩 ・ 明倫堂 ( 1792年 )→現 金沢大学 • 松本藩 ・ 崇教館 ( 1793年 )→重要文化財 旧開智学校 、一部現 長野 県松本深志高等学校 • • • • 吉田藩(三河国) ・ 時習館 ( 1752年 )→名称を借り受けて 愛知県立 時習館高等学校 尾張藩 ・ 明倫堂 ( 1783年 )→現 愛知県立明和高等学校 田原藩 ・ 成章館 ( 1810年 )→ 愛知県立成章高等学校 長州藩 ・ 明倫館 :萩( 1719年 )→現 明倫小学校 ・ 山口県立萩高等 学校 2020/5/1 第1章 日本の学校制度の概要 9

第1章 日本の学校制度の概要

• ⑤江戸末期:西洋の進んだ科学技術の摂取をめざした幕府 直轄の施設 – 蕃所調室設置(1856、安政3、後に洋書調室、開成所、東 京帝国大学の母体となる) – 長崎海軍伝習所、軍艦訓練所、西洋医学所など • ・その他、各藩における洋学教育機関 • ・これらの教育施設の特徴は何か – 特定の身分、階層の人たちを対象 – 特別の目的を持った施設 2020/5/1 第1章 日本の学校制度の概要 10

第1章 日本の学校制度の概要

• • • (5)すべての国民を対象とする全国的な学校制度(公教育制度)の成立 ①学制( 1872(明治5)年7月) ・「被仰(おおせい)出書(だされしょ)」(「学制序文」「学事奨励に関する被 仰(おおせい)出書(だされしょ)」) • その趣旨 • • • • • • 1.人間が才能、技能を発達させ、幸福な生活を送ることができるのは、学 問以外には求められない、 2.そのためには全人民が学校に通うことが必要、 3.これからの学問は「実学」を中心とする、 4.就学に身分、性の区分はない、 5.学問は国や汎のためにあるのではなく、個々人のためにある、 6.したがってその費用は各人が負担する 2020/5/1 第1章 日本の学校制度の概要 11

第1章 日本の学校制度の概要

• ②学制の概要 – 1.全国を8の大学区(翌年7)に分け8大学校、1大学区を 32中学区にわけ256中学校、1中学区を210小学区にわ け53760小学校を置くことを定めた。(フランスの学制にな らった) – 2.小学校:8年制(下等小学校4年、上等小学校4年) – 3.東京、愛知、大阪、広島、長崎、新潟、青森(当初は 石川も)に本部 2020/5/1 第1章 日本の学校制度の概要 12