Transcript 世界遺産のこれから
世界遺産のこれから 1DS04174R 萱田森人 1DS04190R チョ 暁樺 1DS04193K 中尾一敬 1DS04201S 松本芳郎 指導教員 藤原惠洋 1 調査の手順 • 世界遺産の歴史・各遺産との比較を通して、 現在の世界遺産という枠組みの中の問題点 を考える。そしてその問題点を解決していくこ とによって未来、今後の世界遺産のあり方を 考察していく。 2 世界遺産の歴史ー1 • 1907年: ハーグ陸戦条約 • 1914~18年: 第一次世界大戦 • 1939~45年: 第二次世界大戦 • 1950~53年: 朝鮮戦争 • 1954年: ハーグ条約 • 1969~79年: デタントの時代 3 世界遺産の歴史ー2 • 1972年: 第17回ユネスコ総会で世界遺産条約が成立 • 1973年: アメリカが第一番に批准、締結 • 1975年: 20ヶ国が条約締結し、正式発効 • 1978年: イエローストーンなど12件の遺産が第1号 世界遺産リスト登録を果たした • 1985年: 中国は世界遺産条約を批准した (87番目) • 1992年: 日本は世界遺産条約を批准した (124番目) 4 世界遺産の現状ー1 1位 イタリア 2位 スペイン 3位 ドイツ 中国 40件 38件 31件 31件 ・ ・ ・ 15位 日本 13件 (2006年7月現在) 5 世界遺産の現状ー2 自然遺産 文化遺産 複合遺産 • 危機遺産: 自然災害、戦争などによる崩壊 • 負の遺産: 悲劇を刻み込まれたモニュメント • 無形遺産: 儀式、工芸技術など 世界遺産登録はあくまでもスタートに過ぎない 忘れてはならぬ人類の記憶 有形から無形へ 6 日本の世界遺産 古都京都の文化財 白神山地 知床 古都奈良の文化財 白川郷・五箇山 日光の社寺 原爆ドーム 法隆寺地域の仏教建造物 厳島神社 琉球王国のグスク 屋久島 姫路城 文化遺産10件 紀伊山地の霊場 自然遺産3件 (「石見銀山遺跡とその文化的景観」は文化遺産として推薦済み) 7 2006年5月現在 世界遺産候補に見る可能性と問題点 • 価値の格差 → 富士山 • 遺産の保存 → 軍艦島 • 精神的文化の内在 → 肥後の石橋 8 富士山(価値の格差) • 静岡県と山梨県にまたがる活火山。 • 単に美しいだけの大自然ではなく、宗教から芸術 表現にいたるまで、日本人の精神文化を語る際に 決して欠くことのできない重要な存在。 • 「万葉集」、「竹取物語」、 「富嶽三十六景」、横山大観、 太宰治の「富嶽百景」など多く の芸術作品に描かれてきた。 9 国際的な価値と 国内における価値の違い 日本において富士山は精神的柱となるもの。 白神山地や紀伊山地は登録されているが 富士山はされていない。 富士山は世界遺産としては不十分。 10 軍艦島(端島) • 「軍艦島」とは、長崎市南西にある石炭採掘が行わ れた海底炭鉱で、「端島」という島の俗名。 • 最盛期には5,000人を越える人口を数えた。 • 1916年に日本初の鉄筋コンクリート高層アパート が建設された。 • エネルギー政策の波に のまれ、1974年に閉山。 11 価値の保存 • 観光地とするなら、安全のために整備が必要。 しかし、整備をした時点で本物ではなくなる。 • どこまで保存するか、どこまでを経年変化として そのままにしておくか。また、その保存方法。 • 軍艦島の本当の価値を 保つにはどうすればいい のか。 12 肥後の石橋 • 全国のアーチ式石橋の半数近くが肥後に 残っている。 • 阿蘇山の大噴火による 火山石が石橋の材料に最適。 13 肥後の石橋(通潤橋) 通潤橋は、毎年飢餓に苦しむ農民を見かね、 財政の乏しい藩に変わり、私財をなげ うって 惣庄屋が建設に貢献した。 通潤橋の真の価値は、苦しむ農民を救済する ために造られたことにあり、またそのために 必要最低限の構造しか持たないことにある。 14 新基準の提案 世界遺産には権力を象徴するものが多く、 人類のあるべき将来を示唆してくれるものが少ない。 7.地球環境および人類の将来にとって、極めて すぐれた 影響を与える精神文化を内在するもの 世界遺産とは権力で築かれた遺産を称えるだけの ものでなく、「人類の生きるべき方向を指し示す」もの でもあるべきだ。 15 世界遺産と日本の未登録遺産 (1) • イエローストーン国立公園 – アメリカ合衆国の国立公園、また世界最古の国立公 園でもある。 – 湧出量世界一位の巨大温泉地帯生態系であり、手付 かずの状態で残されている。 – 自然遺産として登録されている。 • 別府温泉(未登録) – 大分県にある、温泉地帯である。湧出量は世界二位である が、泉質、泉源の数の豊富さでは世界一位。 – 温泉、地獄巡りなどで有名。 16 世界遺産と日本の未登録遺産 (1) • イエローストーンの世界遺産登録理由 – 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見 本である。 – 生物の進化と発達において生態学的に重要 である。 – すばらしい自然現象、または自然美を有す。 – 重要かつ意義深い自然生息地を含む。 17 世界遺産と日本の未登録遺産 (1) • 別府温泉 – 温泉が人々の生活に深く結びつき、世界一の温泉都 市を築いている。 手付かずのままなら、自然遺産として検討できた かもしれない。 世界一の温泉都市として、文化遺産の分野では可 能性はある。 18 補足(2) • ヴェルギナの古代遺跡 – ギリシャ共和国の中央マケドニア地方に属する町。 – ギリシャの考古学者マノリス・アンドロニコスによりマケドニア王ピ リッポス2世の墓と主張される。 • 吉野ヶ里遺跡 – 弥生時代の環濠集落跡。 – 古代 の 文化の貴重な手がかり。 19 補足(2) • ヴェルギナ古代遺跡の世界遺産登録理 由 – 人類の創造的天才の傑作を表現するもの – 現存する、または、消滅した文化的伝統、また は、文明の唯一の、または少なくとも稀な証拠 となるもの。 20 補足(2) • ヴェルギナと吉野ヶ里遺跡を比較して – 両者ともに歴史的、文化的に貴重な発掘が行 われている。 – 規模の大きな墓(古墳)の存在 吉野ヶ里遺跡もこれからの活動によっては可能性がある 21 世界遺産の「まとめ」 • 欧米諸国との格差の問題。 • 普遍的価値という言葉の不確かさ。 • 遺産を保存するという行為。 • 国同士の関係。 22 欧米との格差 25 20 15 登録数 10 5 0 欧米 アフリカ アラブ アジア・太平洋 南米・カリブ 1997年に新たに登録された遺産数 23 「普遍的」価値 ユネスコの条文の中で普遍的価値という 言葉が数多く登場する。 果たして普遍的価値というのはどういう意 味なのか? ・普遍的・・・極めて多くの物事にあてはまるさま 。 24 遺産保存の現状 当該国 遺産の保存 成立 UNESCO 25 遺産を保存するという試み 周りの環境の中に遺産が存在して初めて遺産の 価値が生まれる。 自然や人間から切り離されて存在していたり、強 引な修復などが施されると、それはもはや世界 遺産ではなくなってしまう。 Ex. 軍艦島、保存が著しく困難な物。 26 遺産保存の例 モスタル旧市街の古橋地区 27 国同士の関係 破壊されたバーミヤンの仏像 28 これからの世界遺産 • 専門家の育成 • 肥後の石橋に見られるような精神的価値 の重要さの認識の必要 • 世界遺産=観光 という現在の枠組みからの脱却。 29 参考資料 • • • • • • • • • • 世界遺産(D・オドルリ他) 社団法人日本ユネスコ協会連盟‐世界遺産活動 軍艦島を世界遺産にする会Hp 全国 世界遺産計画 富士山の世界遺産 富士ニュース 世界遺産の夢を語ろう 肥後の石橋 西日本新聞 世界遺産資料館 Wikipedia 30