ユーグレナは日長をどのように測定するのか

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Transcript ユーグレナは日長をどのように測定するのか

ユーグレナは日長を
どのように測定するか
のーんぼりご
敖恩宝力格・後藤
健
(帯畜大・生物リズム学)
光誘導コミットメントと暗誘導セルサイクル停止
DD14時間目にはすべてのセル
サイクルが停止する
連続照明下のDNAヒストグラム
光誘導コミットメントを受けたユーグレナは、
コミットメントされたセルサイクル位相まで
進み、そこで停止する。
光誘導コミットメントを受けないユーグレナ
は、直ちにセルサイクルを停止する。
連続暗黒に移してもセルサイクルは直ち
には停止しない。G1増加(細胞増殖)、
S減少(S期脱出) G1期脱出も。
主観的暁は無効、主観的黄昏は有効
LD14,10の明暗周期で同調させた
後、Lを8時間に短縮してDDに移
す。
主観的暁の6時間光パルスは
分裂コミットメントに全く無効
光は3.4 klux
がL
誘8
導で
さは
れ分
な裂
いコ
ミ
ッ
ト
メ
ン
ト
主観的黄昏の6時間光パルスは
分裂コミットメントをよく誘導
光は3.4 klux
分裂コミットメントの光誘導能の概日リズム①
縦軸は6時間光パルス
によって細胞数が何倍
に増えたかを表す。
2,0: すべての細胞が分裂コ
ミットメントを誘導され、
細胞数が2倍になる。
の明
ス暗
ケ周
ジ期
ュを
ー持
ル続
(さ
実せ
際た
にと
はし
恒た
暗場
)合
1.0: 分裂コミットメントを
誘導された細胞は一つもな
いため、細胞数は不変。
LD14,10の明暗周期で同調
させた後、Lを8時間に短
縮してDDに移す。
主観的暁の6時間
光パルス
主観的黄昏の6時間
光パルス
L8
分裂コミットメントの光誘導能の概日リズム②
左縦軸は光パルスによって分裂コミッ
トメントを誘導された細胞が全ユーグ
レナに占める割合。右縦軸は、この割
合をG2期ユーグレナに対するものと
して表した。数が何倍に増えたかを表
す。
LLからDDに移し、4時間の
光パルスを与えた(6 klux)
主観的黄昏
二番目のピークが顕著ではない
主観的黄昏
6時間の光パルスを与えた(6
klux)
主観的黄昏の光は何故重要なのだろう?
D0
分裂コミットメント(細胞増殖)の長日的光周誘導
縦軸は一日当たりの細胞増殖率
2.0: 細胞数は一日に2倍に増殖
1.0: 細胞数は不変
2kluxの光だと、数サイ
クルしても安定な増殖率
は得られない。
ユーグレナをLLからDDに移し、
その12時間後(主観的曙)から
24時間明暗周期を与えた。
主観的黄昏に最大となる光誘導能力のために、
2kluxの光だと、10時間の明期で 約4時間より短い日長は、分裂コミットメン
も一サイクル目は全く増殖しない トを誘導することはできない
6kluxの光でも一サイクル目は6時
間以下の日長では全く増殖しない
3~4サイクルすると、6kluxの光
では増殖率が安定してくる。その増
殖率は日長に対してシグモイダルに
応答する
同主
時観
に的
、黄
光昏
合を
成は
系さ
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え
た
。
光
周
誘
導
に
効
く
光
光周誘導(分裂コミットメントの光誘導)に対してMV (methylviologen)のみ促進的で、
DCMU, DBMIB, TMPDは阻害的であった(前図)。DCMUとDBMIBはPQ に対しては逆の作用
を及ぼすが、cyt-b6f にはともに阻害的である。TMPDは cyt-b6f の電子伝達をスキッ
プさせる。これに対し、MV のみ cyt-b6f の電子伝達を促進する。
光周誘導には cyt-b6f から発せられる未知の因子が関与す
る
光合成の代謝エネルギーは不要である
分裂コミットメント(光周性)の光誘導にはMVのみが促進的
分裂コミットメントの誘導に光は必須であるが
この光誘導能力の概日リズムは完全暗黒中で持続する。
光周誘導のシグナル伝達ネットワーク
(作業仮説)
時計は主観的暁の光によって毎朝進
められ、昼夜サイクルに同調する
(環境適応の基本)
時計はDDでも自律的にリズムを刻
み・・・
主観的黄昏になるとCa2+透過性が最
高潮になって、分裂コミットメント
の光誘導能が頂点に達する。
主観的黄昏に光合成系が光を受容す
ると、分裂コミットメントが現実に
誘導される。
DCMUに非感受性の未知の光受容
系も光誘導に関与する。橙色が有効
結論
①ユーグレナにも光周性が組み込まれている
②光周誘導(分裂コミットメント)には光合成系に
よって受容される光が効く
③この光は cyt-b6f からのシグナルを発信するために
必要であって、光合成代謝エネルギーは不要である
④光誘導能力は完全暗黒中で概日リズム的に変動する
⑤外的符号モデルにおける『光誘導位相』の実体は主
観的黄昏に最大となる分裂コミットメントの光誘導能
である