Transcript 箱の中の自由粒子
6 箱の中の自由粒子
井戸型ポテンシャルの井戸の高さ(深さ)
領域Ⅱの波動関数は
2m(V0 E)
2
II ( x) 0
を無限に高くする
II De x
II Ce x
だったので
V0
V0
で
as V0
無限に高いポテンシャルの壁の中には
波動関数は入り込む事ができない。
無限に高いポテンシャルの壁は剛体表面
周囲を剛体壁面で囲まれた直方体の中の自由粒子の運動
0
V (xyz)
箱の中
箱の外
シュレディンガー方程式は
2 2 2 2
2 2 ( xyz) E ( xyz)
2
2 x y z
波動関数が満たさなければならない条件
一価,有限,連続
連続
箱の外側には波動関数はないので,
箱の内側表面で波動関数は0
境界条件
(0, y, z) (a, y, z) 0
( x,0, z) ( x, b, z) 0
( x, y,0) ( x, y, c) 0
6.1 変数分離
2 2 2 2
2 2 2 ( xyz) E ( xyz)
2 x y z
y
z だけの微分
だけの微分
x だけの微分
2
xy
や
2
yz
のような
Cross term がない
( xyz) X ( x)Y ( y)Z ( z)とおいて変数分離ができる
( xyz) X ( x)Y ( y)Z ( z)
を
2 2 2 2
2 2 ( xyz) E ( xyz)
2
2 x y z
に代入する。
2 2 2 2
2 2 X ( x)Y ( y)Z ( z) EX ( x)Y ( y)Z ( z)
2
2 x y z
2 2 X ( x)Y ( y)Z ( z) 2 X ( x)Y ( y)Z ( z) 2 X ( x)Y ( y)Z ( z)
2
2
2
x
y
z2
EX ( x)Y ( y)Z ( z)
2 X ( x)Y ( y)Z ( z)
x2
x
で偏微分するときは
を見てみよう。
Y ( y) や Z (z)
は定数と見なしてよいので
2 X ( x)Y ( y)Z ( z) 2 X ( x)
Y ( y)Z ( z)
2
2
x
x
となる。
したがって
2 2 X ( x)
2Y ( y)
2Z ( z )
Y ( y)Z ( z)
X ( x) Z ( z )
X ( x)Y ( y)
2
2
2
2 x
y
z
E X ( x)Y ( y)Z ( z)
両辺を
X ( x)Y ( y)Z ( z) で割ると
2 2 X ( x) 1
2Y ( y) 1
2Z ( z) 1
E
2
2
2
2 x
X ( x)
y Y ( y)
z Z ( z)
2 X ( x)
x2
を
X ' ' ( x)
と書くと
2 X ' ' Y ' ' Z ' '
E
2 X
Y
Z
つまり
X ' ' Y ' ' Z ' ' 2E
Y
Z
2
X
X ' ' Y ' ' Z ' ' 2E
Y
Z
2
X
y
x
z
だけの関数
だけの関数
だけの関数
右辺は一定だから
x
を変化させても
y, z が一定なら,この2項は一定
X ' ' ( x)
は一定でなければならない
X ( x)
すなわち
X ' ' ( x)
A
X ( x)
A, B, C
Y ' ' ( y)
B
Y ( y)
は定数。
Z ' ' ( z)
C
Z ( z)
すなわち
X ' ' ( x) AX ( x) Y ' ' ( y) AY ( y)
2E
A B C 2
より
2
E ( A B C)
2
境界条件は
X (0) X (a) 0
Y (0) Y (b) 0
Z (0) Z (c) 0
X ' ' ( x) AX ( x)
Z ' ' ( z) AZ( z)
を解こう
A 0 の場合 A 2
とおける。そうすると
X ' ' ( x) 2 X ( x) だから
X ( x) D1 e Ax D2 e Ax
x0
のとき
xa
のとき
X (0) D1 D2 0 D2 D1
X (a) D1 e
Aa
D2 e
Aa
D1 e Aa e Aa 0
D1も D2 も0
だから X (x)
0 D1 e
a0
だから
は恒等的に0
A 0 の場合 境界条件を満足する解はない。
Aa
D1 e
D1 0
Aa
0
A 0 の場合 X (x)
は2回微分すると0になる関数だから
X (x) D1 x D2
x0
のとき
xa
のとき
X (0) D2 0
D1も D2 も0
X (a) D1 a 0 D1 0
だから
X (x) は恒等的に0
A 0 の場合 境界条件を満足する解はない。
x
の1次関数
A 0 の場合 A 2 とおける。そうすると X ' ' ( x) 2 X ( x)だから
X (x) D1 sin x D2 cos x
x0
のとき
xa
のとき
X (0) D2 0
X (a) D1 sina 0 a l
2 2
l
l
A 2 2
a
a
したがって
D1
l 0,1, 2, 3,
l 0
の時は 0 となり, X (x) は恒等的にゼロ
l 0
の時は
D1 の符号を変える事と同じだから不必要
l
X ( x) D1 sin x
a
l 1, 2,3,
は規格化することによって求められる。
規格化
1
2l
l
D1 sin2 x dx D1
(1 cos
x)dx
a
a
0
0 2
a
D12
a
2l D12
x
sin
x
a 1
2 2l
a 0 2
a
| X ( x) |2dx
0
したがって
こうして
a
a
2
D1
a
X ( x)
Y ( y), Z ( z)
2 l
sin x
a a
を得る。
についても同様にして以下の結果を得る。
8
l m n
lmn ( xyz)
sin x sin
y sin z
abc a b c
エネルギーは
2E
A B C 2
l 22
A 2
a
2
だったので
で,
y, z
2
E ( A B C)
2
についても同様に
n22
m22
B 2 C 2
c
b
したがって
22 l 2 m2 n2
E(lmn)
( 2 2 2)
2 a
b
c
l, m, n 1, 2,3,
となり,離散的な固有値になる。
6.2 ゼロ点エネルギー
箱の中の自由粒子の状態は離散的なエネルギー固有値を持つ固有状態
だけが許される。
その固有状態は正の整数の組
例えば
(l m n) で指定される
(l 1, m 2, n 1 ) の場合
22 1 4 1
( 2 2 2)
エネルギー固有値は E(1,2,1)
2 a b c
8
2
sin x sin y sin z
波動関数は 121( xyz)
abc a b c
このように量子力学的状態を指定するラベル
(l m n)
を量子数 という
固有状態のうちエネルギーが最小の状態を基底状態とよび
それ以外の状態を励起状態とよぶ。
今の場合,基底状態の量子数は l 1, m 1, n 1 でありこのときのエネルギーは
22 1 1 1
E(1,1,1)
( 2 2 2) 0
2 a b c
となって,0ではない。
量子力学では基底状態(エネルギーが最小の状態)でも
エネルギーは0にはならない。
基底状態でも粒子は運動エネルギーをもっている。
粒子は静止しないで運動している
ゼロ点運動
このエネルギーをゼロ点エネルギーという
縮退
左の図のように,その高さがエネルギーを
表す線を エネルギー準位 という。
a 1.0, b 1.1, c 1.2 から,
a b 1.0, c 1.2 になると,
2本のエネルギー準位が重なる
さらに a b c 1.0 になると
3本のエネルギー準位がかさなる。
1つのエネルギー準位に複数の異なる
状態が重なることを 縮退 と言う