講義資料(5月26日講義分)
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Transcript 講義資料(5月26日講義分)
薬品分析学3
質問
Q: 向流分配法を行うことで何がわかるのですか?
A: 分配クロマトグラフィーの精製原理がわかります。
Q: どうやって分けたら良いかわからない?
演習
分配係数が Kd = 0 と近似できる時、分液ロート4個を用いて
向流分配法を行った場合、化合物 (分離対象) はどのような分
布となるか。
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
下層の濃度
分配係数 Kd =
≈ 0 の場合
上層の濃度
1.000
有機層
水層
1.000
0.000
0.000
1.000
0.000
分液&静置
有機層 1.000
水層 0.000
0.000
液層A
0.000
0.000
•••••••
1.000
0.000
分液&静置
0.000
0.000
1.000
0.000
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
下層の濃度
分配係数 Kd =
≈ 0 の場合
上層の濃度
1.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
1.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
1.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
1.0000
0.0000
0.0000
1回目
2回目
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
下層の濃度
分配係数 Kd =
≈ 0 の場合
上層の濃度
2回目
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
1.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
1.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
1.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
1.0000
0.0000
3回目
4回目
宿題 (締切: 5/22(金), 提出先:田中の部屋前のカゴ)
分配係数が Kd = 3 の時、分液ロート4個を用いて向流分配法を
行った場合、化合物 (分離対象) はどのような分布となるか。
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
下層の濃度
分配係数 Kd =
= 3 の場合
上層の濃度
1.000
有機層
水層
0.250
0.500
0.000
1.000
0.000
分液&静置
有機層 0.250
水層 0.750
0.000
液層A
0.000
0.750
•••••••
0.250
0.000
分液&静置
0.188
0.563
0.063
0.188
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
下層の濃度
分配係数 Kd =
= 3 の場合
上層の濃度
0.2500
0.7500
0.0000
0.0000
0.0000
0.0000
0.7500
0.2500
0.0000
0.0000
0.0000
0.1875
0.5625
0.0625
0.1875
0.0000
0.0000
0.0000
0.5625
0.1875
0.1875
0.0625
0.0000
0.0000
1回目
2回目
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
下層の濃度
分配係数 Kd =
= 3 の場合
上層の濃度
2回目
0.0000
0.5625
0.1875
0.1875
0.0625
0.0000
0.0000
0.1406
0.4219
0.0938
0.2812
0.0156
0.0469
0.0000
0.0000
0.4219
0.1406
0.2812
0.0938
0.0469
0.0156
0.0000
0.1055
0.3164
0.1055
0.3164
0.0352
0.1055
0.0039
0.0117
3回目
4回目
向流分配法
最初は液層Aに化合物の
全てが解けている。
数値: 化合物の分配割合
1.000
液層A
液層B
0.000
液層A 1.000
液層B 0.000
分液&静置
液層A 0.500
液層B 0.500
(分配クロマトグラフィーの原理)
下層の濃度
分配係数 Kd =
= 1 の場合
上層の濃度
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
下層の濃度
分配係数 Kd =
= 1 の場合
上層の濃度
液層A 0.500
液層B 0.500
0.000
液層A
0.000
液層A
液層B 0.500
0.500
0.000
分液&静置
液層A 0.250
液層B 0.250
0.250
0.250
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
Kd = 2 Kd = 1 Kd = 0.5
0.2
0.1
0.0
10回
0
5
0.10
10
100回
0.05
0.00
0.02
0.01
0.00
0
50
100
1000回
0
500
1000
図3-7
向流分配法
(分配クロマトグラフィーの原理)
Kd = 2 Kd = 1 Kd = 0.5
0.2
0.1
0.0
10回
0
5
0.10
10
100回
0.05
0.00
0.02
0.01
0.00
0
50
100
1000回
0
500
1000
分液ロートの数 (段数) が
増えるほど、全ロ−ト数に
対する相対的ピーク幅が
細くなる
= 分離がよくなる
分離がよいカラムでは、
仮想的な分液ロートの
段数 (= 理論段数) が多
いと考える
液体クロマトグラフィー
分離メカニズムによる液体クロマトグラフィ分類
吸着クロマトグラフィー
水素結合、静電相互作用
分配クロマトグラフィー
2相間の分配平衡
イオン交換クロマトグラフィー
静電相互作用
サイズ排除クロマトグラフィー
(ゲルろ過クロマトグラフィー)
分子サイズ
アフィニティークロマトグラフィー
水素結合、静電相互作用
疎水性相互作用、配位結
合を総合的に使用
イオン交換クロマトグラフィー
陽イオン交換体(樹脂)
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
ー
+
ー+
ー+
ー+
陰イオン交換体(樹脂)
+
+
+
+
+
+
+
+
+
ー
+ー
+ー
+ー
イオン交換クロマトグラフィー
陽イオン交換体(樹脂)
ー
ー
ー
+
陽イオン性の
強いものほど
強く結合
ー
ー
ー
陰イオン交換体(樹脂)
+
+
例)
+
+
+
例)
陰イオン性の
強いものほど
強く結合
イオン交換クロマトグラフィー
陽イオン交換基
強陽イオン交換基
スルホン酸 (-SO3−)
強酸
弱陽イオン交換基
カルボン酸 (-CO2−)
弱酸
陰イオン交換基
強陰イオン交換基
弱陰イオン交換基
+
4級アミン (-NR3)
+
3級アミン (-NHR2)
+
2級アミン (-NH2R)
強イオン性
イオン性がpH
に依存
イオン交換基の電荷が大きい程イオン交換能は高い
イオン交換クロマトグラフィー
陽イオン交換体(樹脂)からの溶出法
Cl−
Na+
Cl−
ー
Na+ー
ー
Cl− Na+ +
Na+
ー+
Cl−
+
Na
ー+
ー+
Na+
Na+ ー
Na+ ー
樹脂上のカチ
Na+ ー
オンが交換された
Cl−
過剰量のNa+源(NaCl):
量的に目的化合物を
遊離させる。
Na+
Cl−
イオン性の高いもの
又は電荷の多いもの
ほど遅れて溶出。
ー Na+
+
Na
ー
Na+
ー
Cl− +
+
+
Cl−
Cl−
+
イオン交換クロマトグラフィー
陽イオン交換体(樹脂)からの溶出法
ー
ー
+
ー+
ー+
ー+
ー
H+ ー
H+ ー
H+ ー
pHを変えてイオン性
官能基の電荷を消失
させる。
樹脂上のカチオン
が交換された
ー H+
ー H+
ー H+
X− +
+
+
X−
X−
+
サイズ排除クロマトグラフィー
別名:ゲルろ過クロマトグラフィー
小分子
巨大分子
ゲルろ過樹脂
多孔質ゲル
移動距離
長い
短い
溶出
早い
遅い
サイズ排除クロマトグラフィー
別名:ゲルろ過クロマトグラフィー
でこぼこ道転がるのが早いのは
ビー玉か、それともボール大か?
ビー玉
ボール大
サイズ排除クロマトグラフィー
別名:ゲルろ過クロマトグラフィー
ボール大のほうが転がるのが早い!
ビー玉
路面の穴よりボール大のほうが大きい
ボール大には路面は平に等しい
ボール大
サイズ排除クロマトグラフィー
別名:ゲルろ過クロマトグラフィー
ビー玉は路面の穴にはまりながら進む
ボール大
その結果、ビー玉は速度を失う。
穴にはまりながら進む行程はゲルろ過樹脂表面の出来事と
非常に良く似ている。
ビー玉
アフィニティクロマトグラフィー
アフィニティ:親和性
用例)生体分子が標的分子に特異的に結合できるのは、
アフィニティが高いため。
アフィニティクロマトグラフィー
歴史:生体分子をリガンドの特異的かつ強い結合を利用
例)ビオチン(低分子)−アビジン(生体分子)
Kd = 10-15 M
アフィニティクロマトグラフィー
アフィニティービース
ビオチン(リガンド)
アビジン(生体分子)ああ
標的分子−ビオチン
連結体
ビオチンの連結された分子のみがビーズ上に残る(単離できる)
演習
空欄に入る言葉を書きなさい。
イオン交換クロマトグラフィーではイオン性の強い物質が
溶出する
陽イオン交換クロマトグラフィーの樹脂表面には
性の官能基が連結されている。
イオン
陰イオン交換クロマトグラフィーの樹脂表面には
性の官能基が連結されている。
イオン
サイズ排除クロマトグラフィーでは分子量の
早く溶出する。
分子が
宿題(締切: 5/28; 田中の部屋前のカゴ)
1 下記のイオン交換基(官能基)に関する以下の問いに答えなさい。
スルホン酸
3級アミン
カルボン酸
4級アミン
2級アミン
(1) 最も強い陽イオン交換能をもつ樹脂の交換基(官能基)を持つ
ものはどの交換基か。その理由も答えなさい。
(2) 最も強い陰イオン交換能をもつ樹脂の交換基(官能基)を持つ
ものはどの交換基か。その理由も答えなさい。
2 以下の化合物がサイズ排除クロマトグラフィーから溶出してく
る順を答えなさい。
NaCl
ショ糖
リゾチーム