Transcript 「水力発電の未来」第13回ダム工学会講演 08/01/18

水力発電の未来
2008/01/18
第13回ダム工学会講習会
（株）開発設計コンサルタント
藤野浩一
1
自己紹介
1943年 生まれ
 1967年 電源開発(株)入社

 水力発電所の開発計画・設備計画・設計・施工
計画・施工管理・保守管理
 国際事業
 資材・火力燃料調達 監査役
 電力土木技術協会、土木学会

2004年（株）開発設計コンサルタント
 水力・火力アセットマネジメント
 IEA水力実施協定執行委員会
2
内容
１．水力エネルギーの特徴
２．再生可能資源としての水力
３．水力発電の経済性
４．助成策
５．水力発電と水素エネルギー
日本のエネルギー2007 経済産業省資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/energy-in-japan/energy2007pdf/eij(japanese).pdf
3
日本のエネルギー
「日本のエネルギー2007」
4
国際原油価格の推移
「日本のエネルギー2007」
5
最近の原油価格（ﾆｭｰﾖｰｸ先物）
http://www.fuji-ft.co.jp/selection/genyu/index.htm
6
原油市場と投機マネー

原油価格高騰の永続性ある複合要因
 中国・インドなどの需要増
 米国など先進国地域での生産量減少と資源枯渇
 OPEC産油国の地政学リスク増大
 石油先物市場への投機マネーの流入
 ｻﾌﾞﾌﾟﾗｲﾑﾛｰﾝ、株から商品へ、原油価格下振れﾘｽｸ小
 石油需給逼迫見通し（「2015年にも」IEA）
 石油生産頭打ち（１億bbl/日）

今後も乱高下 排出権取引市場も？
「原油市場と投機マネー」エネルギー経済研究所 十市勉 電気新聞07/12/27
7
石油生産量の推移
IEA予測
「エネルギー基本戦略に関する調査報告書」 2005年3月 エネ総工研
8
石油生産量の見通し（IEA）
単位：10億ﾊﾞﾚﾙ／年
２０００
２００６
２０１５
２０３０
世界
28.0
30.9
36.0
42.4
中東以外
20.3
22.0
24.3
26.0
中東
7.8
8.8
11.6
16.4
北米
5.2
5.1
5.1
5.5
ロシア
2.4
3.5
3.9
4.1
World Energy Outlook 2007 IEA
9
原油価格長期予測（IEA)
World Energy Outlook 2007 IEA
10
世界の燃料別エネルギー需給見通し
「日本のエネルギー2007」
11
一次エネルギーの資源別供給見通し
World Energy Outlook 2007 IEA
12
各国のエネルギー自給率
「日本のエネルギー2007」
13
電源別特性
供
給
信
頼
度
火力発電
火力
（化石燃料）
原子力発電
水力発電
供立技
給地術
安可的
定能完
性性成
度
集資
中源価
度量格
地熱
風力
太陽光
カーボンフリー
再生可能 非化石燃料
エネルギー効率
再生可能性
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RENEWABLES IN GLOBAL ENERGY SUPPLY
IEA FACT SHEET JAN.2007
http://www.iea.org/textbase/papers/2006/renewable_factsheet.pdf
15
発電における再生可能資源
http://www.iea.org/textbase/papers/2006/renewable_factsheet.pdf
16
日本の電源種別
「日本のエネルギー2007」
17
CO2削減ポテンシャル（2030年）
「日本のエネルギー2007」
18
エネルギー関連CO2排出量想定
World Energy Outlook 2007 IEA
19
IPCC目標達成のための追加措置
World Energy Outlook 2007 IEA
20
IPCC目標達成のための電源構成
World Energy Outlook 2007 IEA
21
IPCC目標達成のための再生可能資源
World Energy Outlook 2007 IEA
22
森林のCO2吸収とは
森林
炭
素
重
量
伐採
伐採
成長
成長
成長
吸収量
裸地
時間
23
電源別CO2発生量
「日本のエネルギー2007」
24
ライフサイクル排出量の算定プロセス
電中研ニュース No.338 2000年10月
25
エネルギー収支
26
水力発電と化石燃料の違い
27
世代間倫理
環境基本法
（環境の恵沢の享受と継承等）
第３条 環境の保全は、（中略）ことにかん
がみ、現在及び将来の世代の人間が健全で恵
み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類
の存続の基盤である環境が将来にわたって維
持されるように適切に行われなければならな
い。
「環境」⇒「エネルギー資源」
28
再生可能エネルギーの発電原価
http://www.iea.org/textbase/papers/2006/renewable_factsheet.pdf
29
新エネルギーという概念
新エネルギー財団（NEF)資料 2007年5月
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助成策（経済産業省の至近の改正点）

新エネルギーとしての導入補助
 2006年度まで「中小水力発電開発費補助金」
（1,000ｋＷ以下、補助率2/10～3/10程度）
 2007年度以降「地域新エネルギー導入促進事業
」（自治体等、補助率1/2以内）「新エネルギー
等事業者支援対策事業」（補助率1/3以内）

ＲＰＳ*)法**)の対象拡大
 1,000ｋＷ以下の水路式が対象⇒ダム式またはダ
ム水路式も含む
*)Renewable Portfolio Standard
**)電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法
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水力発電所の分類
揚
一般水力
ダム式
ダム水路式
水路式
△
○
ー
貯水池式
○
○
ー
調整池式
○
○
ー
流れ込み式
△
△
○
水
○：多い
△：少ない
・混合揚水もある
・落差を得る方法による分類； ダム式、ダム水路式、水路式
・河川流量調整能力による分類；
・貯水池式：月間～季節～年間調整
・調整池式：日間～週間調整
・流れ込み式：調整しない
・規模による分類； 大規模水力、中小水力、ミニハイドロ
ー：ない
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途上国における水力開発

過去15年の停滞
 大ダムによる自然・社会環境影響の逆風
 完工リスク増大⇒国際金融機関の躊躇

近年の動向
 電力需要の増嵩、包蔵水力着目、多目的ダム
 国際金融機関の方針転換、民間資金

例：ブラジル
 電力の80％以上が水力
 電力は全CO2発生量の10％（世界平均の1/4）
33
世界の包蔵水力
34
世界の包蔵水力
発生電力量
設備出力
(TWh/year)
(GW)
理論包蔵水力
40,350
-
技術的開発可能量
14,400
-
経済的開発可能量
8,600
-
既開発量(2005/06)
3,030
807
工事中
-
151
計画中
-
341-516
World Atlas, Hydropower & Dam Construction 2007 35
水素とバイオマスの長期シナリオ
http://www.iea.org/textbase/papers/2006/renewable_factsheet.pdf
36
水素によるエネルギー輸送
太田健一郎 www.nedo.go.jp/informations/events/190613/suiso3.pdf
37
水素カーの燃料供給
日経新聞2008年1月13日(日)朝刊
38
各種水素輸送方法の比較
39
有機ハイドライド
Hrein Energy
http://www.hreinjp/tech/technology.htm
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まとめ
水力発電はproven技術で重要な供給力
 水力は火力とは本質的に異なる一次ｴﾈﾙｷﾞｰ
 地球環境問題もあり再生可能資源への期待大
 水力は再生可能資源の優等生
 資源量・環境（立地）の制約がある
 見かけの経済性は良くない
 途上国での開発余地が大きい
 地位的に偏在し、需要地から遠い
 水素利用技術の進歩に応じて大きな可能性

41
水力発電の夢

地球環境問題の救世主と位置づける

ローカルな環境問題とのトレードオフ関係を
整理

分散型中小水力の普及

水素を輸送手段として途上国から水力ｴﾈﾙｷﾞｰ
を開発輸入
42