太陽・恒星

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Transcript 太陽・恒星

天文学入門講座第4回
恒星
星座を形作る『恒星』の種類、星の一生
についてお話しします
天文学入門講座第4回(2007.03.03)
天文普及ボランティア
浅井 直樹
本日のテーマ
1. 恒星とは
Q1. 太陽と地球の違いは何?
Q2. 夜空にあるたくさんの星と太陽は何が違うの?
2. 恒星を分類する
Q3. なんで色が違うの?
Q4. 星の明るさってどういうこと?
Q5. HR図って何?
Q6. 星を分類すると何かいいことはあるの?
3. 恒星の一生
Q7. 星はどうやって生まれたの?太陽は?
Q8. 太陽はこれからどうなるの?
3
【宇宙には何がある?】
1. 恒星とは
天体とは・・・ 恒星(太陽)・惑星・星雲・星団・銀河・星間物質、
衛星(月)など、宇宙に存在する物体の総称
宇宙には、色々な種類の“天体”が存在する
4
【恒星とは】
1. 恒星とは
• 太陽と同様、自ら熱と光を出し、天球上の相互の
位置をほとんど変えない星 (大辞泉より)
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北斗七星(おおぐま座)
1. 恒星とは
【惑星・衛星】
惑星:恒星(太陽)の周囲を主に恒星の重力の
影響を受けて公転し、自らは発光しない天体。
Q1. 太陽と地球の違いは何?
衛星:惑星の周囲を惑星の重力の影響を受けて公転し、
自ら発光しない天体。
月
木星のガリレオ衛星
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1. 恒星とは
【太陽と恒星】
もし、我々が太陽からどんどん遠ざかって行ったら・・・
Q2. 夜空にあるたくさんの星と太陽は何が違うの?
A2. 太陽も夜空の星も、同じ恒星の仲間。
太陽は、我々にものすごく近い場所にある。
恒星の中では、太陽ってどんな恒星なの?
きっと、夜空に輝く星と同じように見えるはず
きっと、地球に住む我々と同じように
恒星を間近に見ている生命はいる! 7
1. 恒星とは
【宇宙に星はどのくらいある・・・】
星の数ほど星はある!
夜空に目で見える星の数・・・約6000個
我々の天の川銀河には・・・約2000億個
宇宙全体には・・・約10の26乗個(1兆の1兆倍の100倍)
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1. 恒星とは
【様々な星を眺める】
【 プレアデス星団(すばる) 】
9
【様々な星を眺める】
1. 恒星とは
【 アンドロメダ銀河の球状星団 】
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【様々な星を眺める】
1. 恒星とは
【 惑星状星雲 M2-9 】
11
【様々な星を眺める】
1. 恒星とは
【 渦巻銀河 M63】
12
1. 恒星とは
【太陽に一番近い星は・・・】
ケンタウルス座α星
約4.3 光年
•光の速度でも4年以上かかる!
•太陽と地球の距離の27万倍
【天文学で使う距離の単位】
[太陽と地球の間の距離]
AU(天文単位) 1AU~1億5千万 km
地球
太陽
1AU
[光が一年かけて進む距離]
光年
1光年~9兆5千億 km~6万 AU
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2. 恒星を分類する
2.恒星を分類する
何を基準にして星を分類したら良いのでしょう?
ポイントは…
1. 我々が知ることのできるもの
2. なるべくわかりやすい
3. 本質をとらえている
【基準1:星の温度〜色々な色〜】
2. 恒星を分類する
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2. 恒星を分類する
【基準1:星の温度〜熱い星、熱くない星〜】
Q3. なんで色が違うの?
青っぽい星ほど温度が高い!
スピカ(B)
プロキオン(F)
ベテルギウス(M)
16
【基準1:星の温度〜スペクトル型〜】
2. 恒星を分類する
★
★
★
★
スペクトルを調べれるだけで、星の表面温度はわかる!
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2. 恒星を分類する
【基準1:星の温度〜熱い星、熱くない星〜】
スペクトル型
O
B
A
F
G
K
M
G0 G1 G2 … G9
各型それぞれ高温な方から0〜9と番号が振られる
Oh Be A Fine Girl(Guy), Kiss Me!
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2. 恒星を分類する
【基準2:明るさ〜明るい星、暗い星〜】
星の明るさは、等級で表す
実視等級(m):見かけの明るさ
絶対等級(M):本来の明るさ
(星を同じ距離に置いたときの明るさ)
絶対等級の求め方
•見かけの明るさ(m)と星までの距離(d)を使って求める
•距離(d)の求め方:年周視差や変光星
星本来の明るさは何で決まっているのか?
〜星の大きさ(面積)と温度
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2. 恒星を分類する
【基準2:明るさ〜明るい星、暗い星〜】
恒星
実視等級
絶対等級
(本来の明るさ)
太陽
-27 等級
5 等級
シリウス
リゲル
北極星
(1億5千万km)
-1.5 等級
(8.6光年)
0 等級
(800光年)
2等級
(400光年)
1.4等級
-8.1等級
-3.2等級
Q4. 星の明るさ(絶対等級)ってどういうこと?
A4. とりあえず、星の大きさと温度で決まる
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2. 恒星を分類する
【「基準1:温度」と「基準2:明るさ」の関係】
• 温度が高いと明るい?
鉄を熱する…
– はじめはぼんやり赤く光る。
– 高温になると白っぽくて明るくなる。
http://www.ncsm.city.nagoya.jp/asw/radiation/
• オリオン座を見ると?
• リゲル(青い星)、ベテルギウス(赤い星)
• どれも1等星よりも明るいが…
星本来の明るさは…
星の大きさと温度に関係していた
けど…いまいち…???
この二つの関係をグラフにして
みればよい!→ HR図
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2. 恒星を分類する
ワークシート
HR図をつくってみよう!
・データを図上にプロットして下さい
・わからないことはスタッフにどうぞ
星
の
HR(ヘルツシュプルング・ラッセル)図: 明
縦軸に絶対等級、横軸にスペクトル型 る
(表面温度)をとった恒星の分布図
さ
(
絶
対
等
級
)
B A
F G K M
明るい
暗い
青い
スペクトル型
赤い
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【HR図から何が読み取れるか?】
1. 斜めの線に多くの星が分布
• 低温の星(赤)は暗い
• 高温の星(青)は明るい
2. 右上のグループ
• 温度は低いけど、明るい。
3. 左下のグループ
• 温度は高いけど、暗い。
2. 恒星を分類する
明るい
• 同じ色の星なのに明るさが違う!
• 星の構造に違いがありそうだ!
青い
Q5. HR図って何?
A5. 色と明るさで、星を分類した図
暗い
赤い
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3.星の一生
Q6. 星を分類すると何かいいことはあるの?
3. 恒星の一生
【 星は永遠か? 】
・太陽は水素の核融合で光る
・太陽の質量は無限ではない
星にも寿命がある
・水素95.1% ヘリウム4.8%
・1,900,000,000,000,000,000,000,000,000,000kg
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【星が生まれるとき@オリオン座】
3. 恒星の一生
星は、星間ガスが集まった星雲(分子雲)から生まれる!
可視光
電波(分子雲の分布)
オリオン大星雲
オリオン大星雲
馬頭星雲
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3. 恒星の一生
【星の誕生@オリオン大星雲】
可視光
赤外線
トラペジウム(台形):4重星
Q7. 星はどうやって生まれたの?
A7. 星間ガスの密度が高くなった領域(分子
雲)が重力収縮して生まれた。
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
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【生まれたばかりの星の集団】
3. 恒星の一生
プレアデス星団(すばる)
30
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
【主系列星~星の活動期~】
3. 恒星の一生
 核融合反応(水素→ヘリウム)
 中心部で発生したエネルギー
は表面まで伝わり、星が輝く。
 星の内部圧と重力が釣合う
→安定した状態
 星の一生のほとんど
 太陽もこの状態
主系列星の中での違いは?
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3. 恒星の一生
【主系列星の仲間の違いは?】 →重さの違い
明るい
明るくて青い(高温)星
1. 多くのガスから、大きくて重い星が形成
2. 中心温度が高くなり、多量のエネルギー
3. 表面は高温(青)で、明るく光る
暗くて赤い(低温)星
暗い
1. 少ないガスから、小さくて軽い星が形成
2. 中心温度が低く、少量のエネルギー
赤い
青い 3. 表面は低温(赤)で、暗く光る
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4. 恒星の一生
【赤色巨星~星の老齢期~】
ベテルギウス
 中心にヘリウムがたまる
 中心部は冷えて縮む
→温度上昇
 水素の外層部は膨らむ
→表面温度が低い赤い星
 ヘリウムの核反応
He
アンタレス
ベテルギウス
H
ヘリウム核と水素の2層構造
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【HR図で赤色巨星を確認しましょう】
3. 恒星の一生
明るい
太陽
1. 星は膨らんだので大きい(明るさの要因)
2. 膨らんだ分、表面温度は下がる(赤)
→温度が低くて明るい星ができる
暗い
青い
赤い
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3. 恒星の一生
【進化の分かれ道】
太陽程度の星
・白色矮星へ進化
太陽よりも重い星
・超新星爆発を経て
中性子星やブラックホールへ
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【惑星状星雲と白色矮星】
3. 恒星の一生
36
3. 恒星の一生
【太陽程度の星:惑星状星雲と白色矮星】
赤色巨星の外層は離れていき惑星状星雲となる
砂時計星雲
白色矮星(white dwarf)
 ヘリウムの核反応で核反応
はストップ
 中心部は重力収縮
→太陽程度の質量の星が
地球ぐらいの大きさ
 電子の縮退圧
 徐々に冷えていく
 太陽の未来
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
Q8. 太陽はこれからどうなるの?
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【HR図で白色矮星を確認しましょう】
3. 恒星の一生
明るい
1. 赤色巨星の核が重力収縮して
小さい(暗さの要因)星が残る
2. 重力収縮したので、高温(白)
→温度が高くて暗い星ができる
暗い
青い
赤い
38
3.
【太陽より重たい星:
超新星爆発と中性子星、ブラックホール】
恒星の一生
 鉄まで核反応が進んで止まる
 中心部は重力収縮
 中性子星を形成
→収縮がとまる
 収縮が止まらない(重力崩
壊)
→ブラックホール
 周囲を吹き飛ばす
→超新星爆発
大マゼラン星雲のSN1987A
爆発から7年後の姿
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
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3. 恒星の一生
【発見20周年
今なお天文学者を引きつける超新星1987A】
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【中性子星(パルサー)】
3. 恒星の一生
パルサーは、パルス状の可視光線、電波、X線を発生する
超新星爆発後に残った中性子星がパルサーの正体
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超新星残骸:かに星雲(M1)
【ブラックホール】
3. 恒星の一生
43
3. 恒星の一生
【星の一生のまとめ】
星間ガス
超新星爆発
中性子星
ブラックホール
原始星→主系列星
静かな質量放出
白色矮星
巨星
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最後に…
3. 恒星の一生
Q6. 星を分類すると何かいいことはあるの?
A6.
• 夜空にバラバラにあった色々な星を
「星の進化」に沿って整理したのがHR図
例えば、同じ赤い星でも
• 明るい→赤色巨星(老齢期)
• 暗い→主系列の小さな星
とわかる。
• 調べたい星をHR図上に載せれば、
「どの星の仲間なのか」
「これからどう進化するのか」
が簡単にわかるようになった。
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まとめ〜本日のテーマ〜
1. 恒星とは
Q1. 太陽と地球の違いは何?
Q2. 夜空にあるたくさんの星と太陽は何が違うの?
2. 恒星を分類する
Q3. なんで色が違うの?
Q4. 星の明るさってどういうこと?
Q5. HR図って何?
Q6. 星を分類すると何かいいことはあるの?
3. 恒星の一生
Q7. 星はどうやって生まれたの?太陽は?
Q8. 太陽はこれからどうなるの?
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