Transcript 安心・安全な社会
水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 2008年10月1日 環境・エネルギー論 「水で地球を冷やす」 システムデザイン工学科教授 佐藤春樹 • 大気中二酸化炭素の増加が地球温暖化の原因である。 • 地球温暖化のせいで海面が上昇する。 ※ 地球温暖化のメカニズムはそんな単純なのでしょうか? 大気中の二酸化炭素濃度は増しているにも関わらず、1940年 頃から1965年頃まで地球の平均気温は下がり続けました。 一方で、海水は着実に上昇し続けました。 これをどのように解釈すればよいのでしょうか? 1 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 独立と協生 創立150年記念事業計画 日本と世界は今,歴史的な転換期にある.国際社 会においても国内においても新しい時代のあり方が 模索され,新たな道を照らす未来への先導者が求 められている. その転換期に創立150年を迎えた慶應義塾は, 「独立」と「協生」の力をもって「未来への先導」に挑 戦し,日本と世界の新たな発展に貢献する.・・・・ 塾内ニュース付録, No.119, (平成17年10月10日発行) 2 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 「協生館」 – 未来 – 独立 – 協生 QuickT imeý Dz TIFFÅiîÒà• è kÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB 3 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 未来・独立・協生 君たちが私の年齢になったときに直面するグローバルな課題 (誰が考えるのだろうか) 地球温暖化 二酸化炭素削減 エネルギー資源の確保 (エネルギーの有効利用) 水・食料の確保 私は熱エネルギー利用の専門家として社会貢献したい 安全・安心・自然環境共生型の社会 Safe, Secure, and Symbiotic (S-cubic) Society 4 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 平成13年度 森林・林業白書,農林水産省(2001)を元に情報追加 生命の誕生 シアノバクテリア 光合成生物の登場 陸上に生物が進出 2億年前:パンゲア大陸分裂 木性シダ植物による森林が繁栄 人類の祖先(猿人)の登場 (気圧) 10 生物の大量絶滅 気 圧 の 量 ( 分 圧 ) 1 二酸化炭素 0.21気圧 酸素 0.1 0.01 氷期 0.001 0.0001 0.0003気圧 40 30 20 10 6500万年前 2億2000万年前 2億5000万年前 3億6000万年前 4億3000万年前 3.5-2.5億年前 8-6億年前 22-24億年前 0 (億年前) 現在からの時間 資料:田近(1995)をもとに一部改変 注:窒素等その他の気体は省略した. 図−1 地球スケールでの大気中の二酸化炭素および酸素量の変化 5 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 地球規模の環境問題と 南極およびその周辺海域 氷期のピーク 温暖化のピーク 2008 氷期のピーク 西村 昭 (地質調査所、海洋地質部) 地質ニュース 452号、 10−18頁、 1992年4月 その他関連文献 Nature 357, 488 - 490 (11 June 1992) http://www.nature.com/nature/journal/v357/n6378 /abs/357488a0.html よく見ると平均大気温度と太平洋 深海コアの酸素同位体の変化に 大きな時間の ± のずれがある。 ここで注目すべき点は13万年前と 2万年前の大きな変化 CO2が約100 ppmv 変化 大気温度は約 10 ℃変化 海面は約120 m変化 6 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 北極圏では気温変化が増幅される 1940年頃から1970年頃まで平均大気温度は下がる傾向にあった。 7 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 平均海面は上昇し続けている 平均海面は大気温度が下がる方向にあった期間もコンスタントに上昇し続けている。 8 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 海水の鉛直温度分布 Jose P. Peixoto, Abraham H. Oort, Physics of Climate, American Institute of Physics, New York, p.182, 1992. 9 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 穀物大陸の化石地下水位を低下させ続け、 家畜の過放牧による大陸の砂漠化、湖沼や川の枯渇を招いています。 日本水フォーラムホームページより http://www.waterforum.jp/jpn/water_problems/ 10 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり Water is important? Under How a tree, there is a large water jar. trees bring water to each leaves? 11 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 知的環境共生コミュニティ建設の方針 1.人工環境建設前のアルベド(反射率)の回復 瑞々しい街づくり宣言 (森のアルベドは0.2以下で太陽熱を吸収している) 2.人工環境建設前の自然環境と同じ量の水を蒸散 し,水循環を取り戻す. 3.エネルギー消費はすべて熱(エントロピー)になる. 水の蒸散などをもちいて,熱のエクセルギー収支 をゼロかマイナスとする努力をしたい. 水があれば温度は上がり過ぎない 水がないと温度は異常に上がる 12 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 森は日射をよく吸収する。しかし温度上昇するのではなく 葉からの蒸散により大気に水を供給する。また,大地に淡水を把持する。 そして、二酸化炭素を吸収し、酸素を供給する。 さらに、実をつけ木材となって動物の食住を支える。 参考: 森林水 QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB FOOD AND AGRICULTURE ORGANIZATION OF THE UNITED NATIONS http://www.fao.org/forestry/site/fra/en/ 13 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり FOOD AND AGRICULTURE ORGANIZATION OF THE UNITED NATIONS QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB カーボンニュートラルといわれるバイオ燃料は、貧しい人たちから食料を奪い、 森を破壊する可能性があります。植物の炭素量を管理する必要があります。 14 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり Average Temperature of Cities in deg.C Heat Island in Cities Tokyo New York Paris Tokyo New York Paris World average Japan Meteorological Agency (March 2007) http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/himr/2006/himr2006.pdf 15 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり QuickTimeý Dz TIFFÅià• èkǻǵÅj êLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄ Ç™Ç±ÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕïKóvÇÇ• ÅB ●火力発電所 (2677.1万kW) 01:東京電力(株)横須賀火力発電所 02:東京電力(株)南 横浜火力発電所 03:電源開発 磯子火力発電所 04:東京 電力(株)横浜火力発電所 05:東京電力(株)川崎火力発電 所 06:東京電力(株)東扇島火力発電所 07:東京電力(株) 大井火力発電所 08:東京電力(株)品川火力発電所 09:東 京電力(株)千葉火力発電所 10:東京電力(株)五井火力発 電所 11:東京電力(株)姉崎火力発電所 12:東京電力(株) 袖ヶ浦火力発電所 13:東京電力(株)富津火力発電所 14: 君津共同火力(株)君津共同発電所 ●製鉄所 15:JFEスチール(株)東日本京浜地区 16:JFEスチール(株 )東日本千葉地区 17:新日本製鐵(株)君津製鉄所●製油 所 18:日本石油精製(株)根岸製油所 19:日本石油精製 (株)横浜製油所 20:東亜石油(株)川崎製油所 21:東燃ゼ ネラル石油(株)川崎製油所 22:コスモ石油(株)千葉製油所 23:極東石油(株)製油所 24:出光興産(株)千葉製油所 25:富士石油(株)袖ケ浦製油所 ●ガス工場 26:東京ガス(株)根岸工場 27:東京ガス(株)扇島工場 28 :東京ガス(株)袖ヶ浦工場 ●造船所 29:(株)IHIマリンユナイテッド 30:住友重機械マリンエンジニ アリング(株)横須賀造船所 31:三井造船(株)千葉事業所 ●自動車組立工場 32:日産自動車(株)追浜工場 33:日産自動車(株)横浜工 場 東京湾環境情報センター http://www.tbeic.go.jp/kankyo/sangyo.asp 火力発電所設備概要 http://www.tepco.co.jp/tp/list/index-j.html 東京湾にそんなに熱を捨てても大丈夫? 16 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 持続可能社会+情報社会の未来ビジョン 課題 地球環境問題 ユビキタスIT社会 ヒートアイランド 人口問題 エネルギー資源 情報・智慧 自然環境調和型エネルギー資源 (太陽・バイオ+メタン+石炭+核) 世界の視点 水 循環型社会 食料と文化 安心・安全な社会 知的社会 多様型 自然環境調和型社会 未来社会の選択 集約型 17 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 焦点1=人 : 焦点2=自然 ヒートアイランド 地球温暖化 水+食料+エネルギー資源 18 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり これからはーインタフェース環境の創造ー自然に学ぶ 人に優しい : 内部的インターフェース環境 自然に優しい : 外部的インターフェース環境 Transpiration (water vaporization) 外部的 waste heat of cooling tower waste heat from indoors 内部的 sensible heat from wall + 内部(屋内)環境 retaining water sewage dry high temperature lower temperature インターフェース環境 外部(野生・自然・地球)環境 19 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 20 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 街 街 コ ン ベン ショ ン 都市 コ ン ベン ショ ン 街 都市 W eb 社会システム 21 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 異分野コラボレーションによるイノベーション • 人間をひとつの分子とするならば、分子はグ ループを作り、仲良くなり一緒になり、喧嘩し別れ、 ダイナミックな時空間をかたちづくる。 • 例えば、文化的な人と自然を愛する人が協力し て街をデザインするとき,文化と自然が調和する 幸せな暮らしのできる街のビジョンを提示するこ とができるのではないでしょうか。 22 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 慶應義塾 快適・安全基盤 整備プロジェクト 2006-2008 (KLASI2008:Keio Leading Amenity & Safety Infrastructure) 快適環境センサ・ネット:西宏章(センサ+ネットワーク) 空気質管理:田中茂(応用化学) 自然環境調和型建築:妹島和世;隈研吾;福屋粧子;渋谷達郎(建築デザイン) エネルギーの有効利用:佐藤春樹(熱エネルギー) ファシリティマネジメント:伊香賀俊治;岸本達也(建築設備・計画) 自然エネルギー・マイクログリッド:植田利久;大森浩充(燃焼・制御理論) 交通・ロボット:髙橋正樹(知的制御・機械力学) 環境保全・防災・危機管理:小檜山雅之(都市防災) 地球ガバナンスの経済評価分析:和気洋子;鄭雨宗(経済) 23 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり エネルギーの利用:「低温廃熱空調は可能です」(佐藤春樹 教授) 35℃ 冷たい空気で排気 外はより熱く 陽が当たっても 熱くならない 屋根と壁 屋根も道路も60℃ 35℃ 熱い空気で換気 陽が当たっても 熱くならない 水の蒸散 建物内部 エアコン 陽が当たっても 熱くならない 水の蒸散 27℃ 27℃ 厨房用 6% 冷房用 9% この部分は 排熱 および 太陽熱を利用 熱を右から左 へ移動 給湯用 21% 電力用 一次エネルギー 43% 消費量 暖房用 21% CEMS: 二酸化炭素排出量 50%削減に向けて 熱が必要なときは 発電も行う =電力託送 24 水・食料・エネルギー資源の確保と災害に強い100億人が生活できる環境づくり 異分野コラボレーションによるイノベーション 正しい情報を求め自分で判断する(独立) そのためには異分野コラボレーション(協生) 要素をシステムの視点から取り組む 要素をシステムにする(未来) 素晴らしい技術も使い方を間違えれば害になる 「素晴らしい要素技術」の主張から,「人の幸せを造るシステム」へ 25