インフルエンザの歴史 起源はいつ頃か
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Transcript インフルエンザの歴史 起源はいつ頃か
公開講座
新型インフルエンザから身を守る為に
これから起こる第2波に備えて
平成21年6月22日(月)
湘南鎌倉総合病院
感染管理認定看護師 大澤 栄子
インフルエンザの歴史について
インフルエンザの歴史
起源はいつ頃か
インフルエンザらしき流行病はギリシャ・
ローマ時代から存在する。
「ある日、突然多数の住民が高熱を出し、震
えがきて咳が盛んになった。たちまち村中に
この病は広がり、住民は怯えたが、あっという
間に去っていった」(紀元前412年)
-ヒポクラテスとリブイの書より
インフルエンザの歴史
名前の語源は
この流行病はしばしば起こった。
16世紀のイタリアの星占いは、星や寒気の
影響によるものと考えた。
「influence」(影響)、すなわち「influenza」
(インフルエンザ)と呼ぶようになった。
インフルエンザの歴史
わが国では
平安朝の頃が最初らしい。
せき病、せき逆疫、しはぶき、などといわれた。
江戸時代。鎖国のなかで、当時の流行かぜは長崎
から始まり、上方・江戸・関東・東北と北上していくこ
とが多かった。
嘉永年間(1848~54年)に入り諸外国との交易が
盛んになると、流行かぜの頻度はさらに増加。
天保6年(1835年)出版の医書「医療生始」に「イン
フリュエンザ」(印弗魯英撤)という病名が記載。
新型インフルエンザ登場の歴史
20世紀インフルエンザ大流行
スペインかぜ: 1918年~
死者2000~4000万人
アジアかぜ: 1957年~
死者100~400万人
香港かぜ:1968年~
死者100~400万人
ソ連かぜ:1977年~
死者約100万人
スペインかぜ
季節性のインフルエンザとは
インフルエンザウィルスの特徴
A、B、Cの3型。
流行するのはA型、B型のみ。
HAには15種類、NAには9種類の亜型があり、
同じ亜型の中で常に変化している。
これを小変異という。
(マイナーチェンジ)
⇒季節性インフルエンザ
突然大きくその姿を変え、全く別の亜型に変わ
ることがある。これを大変異という。
(フルモデルチェンジ)
⇒新型インフエンザ 10~40年周期
インフルエンザ流行の要因
寒い乾燥した冬に流行。
気温が上昇したり、湿度があがると患者数が
減少。
人の密度、移動、体調。
インフルエンザの感染経路
飛沫感染
接触感染
インフルエンザの感染経路
ー飛沫感染ー
通常、飛沫は1~2m以内しか到達しない。
感染者からの飛沫を受ける距離にいると感
染する。
インフルエンザの感染経路
ー接触感染ー
感染者の咳、くしゃみ、鼻水にふくまれた
ウイルスが環境中に拡散。
机、ドアノブ、スイッチに付着したウイルスを触れたひとが自
分の目、鼻、口を介して感染する。
インフルエンザの感染予防
1.人ごみをさける。
人と交わらなければ、感染する機会も少なく
なる。
2.「1~2mルールの徹底」
1m離れれば、飛沫感染のリスクは著しく低
くなる。
インフルエンザの感染予防
3.「咳エチケット」を行いましょう
咳。くしゃみの際には、ティッシュなどで口と
鼻を押さえ、周りのひとから顔をそむける。
使用後のティッシュは、すぐにフタ付のゴミ箱
に捨てる。
咳・くしゃみを手でおおったら、石鹸で丁寧に
洗い流すこと。
インフルエンザの感染予防
4.うがい、手洗いの励行
こまめに、早めに。
丁寧に、しっかりと。
インフルエンザの感染予防
5.マスクについて
サージカルマスクとN95マスクがある。
サージカルマスクで十分。
サージカルマスク
N95マスク
新型インフルエンザとは
新型インフルエンザ
鳥インフルエンザ由来(H5N1)はどこへ・・・。
発生前、世界中の予想は鳥インフルエンザ由来。
感染対策のガイドラインは全て鳥を前提としていた。
鳥インフルエンザは強毒性。
対策はかなり大掛かり。
新型インフルエンザ
感染経路
新型インフルエンザ
定義
正式名称:新型インフルエンザA型(H1N1)
「ブタインフルエンザ」という名称は、豚肉の
市場に影響を与える可能性があるため改名
された。
発端は、養豚場などブタと濃厚接触する人か
らの発生。
新型インフルエンザの発生状況
世界編
6月19日現在
44287名
死亡者180名
死亡率0.4
新型インフルエンザの発生状況
国内編
6月19日現在
729名
死亡者 0名
新型インフルエンザの発生状況
WHOのフェーズ
フェーズとは世界保健機関
(WHO)の規定する感染の
被害レベルを警告するもの。
現在、フェーズ6である。
いわゆる、「パンデミック」
である。
新型インフルエンザ(H1N1)
病原性
強毒性ではない、という見解である。
今後は・・・
強毒性に変異する可能性がある。
抗ウィルス薬に耐性化する可能性がある。
新型インフルエンザ
感染経路および感染力
飛沫感染と接触感染である。
弱毒性な点が災いして、急速に全世界に拡
大した。
感染力は非常に強いとされる。
新型インフルエンザ
症状
突然の発熱(38℃を超える)
上気道炎症状
全身倦怠感
下痢・嘔吐などの消化器症状
⇒今までのインフルエンザには少なかった。
新型インフルエンザ
診断
インフルエンザ迅速診断キット
PCR法(遺伝子検査)
迅速診断キット
新型インフルエンザ
診断・インフルエンザ迅速診断キット
鼻腔の奥から検体採取。すこし痛いかも。
検査自体の所要時間は約15分。
感染成立後、24時間ぐらいたたないと判定で
きない可能性がある。
偽陰性。新型インフルエンザでも本当に測定
できるのか?
100%信頼できるものではない。
新型インフルエンザ
治療方法
タミフル、リレンザが効果的
アマンダジンは効果なし。
漢方薬やそのほかの薬剤の効果は不明。
新型インフルエンザ
治療方法・タミフル
1日2回で5日分内服
腎機能悪い場合は、減量。
予防投与が推奨される場合もある。
近年、耐性ウィルスの問題がある。
新型インフルエンザ
治療方法・リレンザ
タミフルが無効な場合にも効果がある可能性
がある。
操作が難しい。
吸入指導の必要性がある。
予防投与が推奨される場合もある。
タミフル同様、耐性ウイルスの問題がある。
新型インフルエンザ
予防方法・ワクチン
現在ワクチンを製造中である。
来年2月まで製造して、3320万人分の
確保予定。
新型インフルエンザ
予防法 マスクの有用性
咳の出る人がマスクを付けることは、飛沫の
飛散防止の意味から有用であるが、
健康な人がマスクを付けたからといって、防
止できるとは限らない。
誰も咳をしていない場所や、野外等では全く
必要性はない。
新型インフルエンザ
予防法
人ごみに行かない。不要な外出を避ける。
よく休み、よく寝ること。
体力を保持すること。
「1~2m」ルールの徹底
咳エチケット
手洗い・うがいの励行
新型インフルエンザ
しっかりとした情報収集
情報を迅速・正確に入手することが非常に重要。
うわさ、流言に注意。情報の信憑性・根拠に関し
て問題のあるものがある。
パニックにならないように。
【例】ブタインフルエンザは豚肉をたべると感染する・・・。
もちろん、そんなことはありません!!
新型インフルエンザ
インフルエンザに罹ったら
厚生労働省から
「医療の確保、検疫、学校・保育施設の臨時休
業の要請等に関する運用指針」
6月19日~改定された。
*従来の運用指針のような地域のグループ分
けを廃止。
基本的考え方
感染者が南半球で増加。国内でも秋冬に向け患者
数が大幅に増加が起こりうる観点に立つつ下記の
方向を目指す。
①患者数の急激な大規模な増加をできるだけ抑制・緩和し
社会活動の停滞や医療供給への影響を逓減。
②医療機関の負担を可能な限り減らし、重症患者に対する適
切な医療を提供。
③患者の把握については、個々の発生例ではなく、患者数の
大幅増の端緒を探知し、対策につなげる。
④現時点を準備期間と位置づけ秋冬の社会的混乱が最小限と
なるように体制を整備。
新型インフルエンザ
発熱患者の受診の流れ(基礎疾患なし)
急激な発熱や咳やのどの痛みなどの症状ある
受診
かかりつけ医師・
発熱外来機能を有する一般医療機関
入院の必要性を判断
自宅
入院
相談
発熱相談センター
紹介
新型インフルエンザ
発熱患者の受診の流れ(基礎疾患あり)
急激な発熱や咳やのどの痛みなどの症状ある
受診
かかりつけ医師
紹介
発熱外来を有する一般医療機関
入院の必要性を判断
自宅
入院
新型インフルエンザ
これまでの教訓を活かして
パンデミックは実に47年ぶりである。
これから南半球が冬を迎える。
ひょっとしたら、また変異が起こる可能性があ
る。
第2波が来るのは、今年の10月以降か?
まずは、一人一人が出来ることからはじめましょう!