12 映像表現の基本概念

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映像表現の基本概念
映像表現の基本概念
1 カット(ショット)とシークエンス
2 カメラユビキティ
カメラはどこにでも存在でき、かつどこにも存在しないという黙契
3 イマジナリーライン
登場人物の間にひいた仮想線(位置関係の混乱を避ける概念)
4 サイズとアングル
5 構図
1 カット(ショット)とシークエンス
• カット カメラの収録がスタートして止まるまで
(クリップ:PCの中での一続きの動画データ=カットと同じことも違うこともある)
・カットのつなぎ方にはマッチカットとジャンプショットがある
ドラマでジャンプショットは避けるべき、ドキュメンタリでは場合による
• シークエンス 番組中の一つの場所や状況
通常、幾つかのカットが集まって一つのシーンとなる
なぜカット(ショット)は必要なのか
• 現実を区切りって取り出すことで、現実の本質や真実を可視化
する方法
• 監視カメラの「記録」と、作品としての「表現」は違う
• 表情や体温が表現できるようにカメラは動きまわる必要がある
2 カメラユビキティ
• カメラはどこにでも存在でき、かつ、どこにも存在
しない/カメラは物語を物語るために、最も適切
なポジショニングを行う(行わなければならない)
原理1 カメラはどこにでも存在でき、かつ、どこにも存在
しない
原理2 カメラの存在は、物理的な制約を受けない
原理3 カメラは出演者にとっても無きものである
原理4 カメラの視点は観客の意識の視点、すなわち物語
の視点に一致する
伊藤敏朗のHP『Camera Ubiquity~カメラの遍在性~ 』も、ご参照下さい
http://www.rsch.tuis.ac.jp/~ito/ITO/lib/lib2003/ubi/ubi_index.html
3 イマジナリーライン
• カメラをどこに置いてもどこから撮ってもいいか?
• イマジナリーライン:登場人物の間にひいた仮想線
• このラインを越えない場所にカメラを置くことで、場
の全体と登場人物位置関係を混乱させないことが
できる
• イマジナリーラインは、金科玉条ではない
(ことにドキュメンタリでは)
ウキペディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%B3%E5%AE%9A%E7%B7%9Aより
A
B
C
4.サイズとアングル
4.1 サイズ
ロング-フィルフィギュア-ニー-ウエスト-バスト-アップ-クローズアップ
寄る(アップ側)、引く(ロング側)・・・ズームでも移動でも
曖昧な言葉「ズームする」→正確に「ズームアップ」、「ズームバック」
曖昧な言葉-ミドルショット(ロングよアップの間・・・曖昧だが便利でよく使われる)
4.2 アングル(ローアングル-ハイアングル)
高さのアングル
ハイ-目高-ローで
4.3 サイズとアングルを変えながら撮る
正面から-右から-左から
ロングで-ミドルで-アップで
カメラ(三脚)の高さを的確に変える
ロングショット
バストショット(胸上)
ウエストショット(腰上)
ニーショット(膝上)
フルフィギュア(全身)
フルショット
(全身+若干の周囲)
ビッグクローズアップ(局所)
クローズアップ(顔一杯)
アップ(首上)
バストショット(胸上)
5.構図
5.1 的確な「構図」で情報を整理して伝える
構図が伝える情報-その意味や感じ
・被写体の大きさ(サイズ)
・カメラの位置(アングル)=カメラの場所・高さと角度
・被写体と背景(バランス)=構図における情報整理力
構図における情報整理力
主体となるものが、どういう状況に置かれているのか、構図の
中で示す(ドラマとは「状況との葛藤」である)
場所(周囲の状況と被写体)/名称(看板など)
時間や季節/周囲の状況(人出や車の通り)
大きさ(人との対比など)
5.2 被写体:主体と状況
構図とは「フレームの中の情報整理術」
• 画面の中心から周囲まで見渡して「ノイズ」になるもの
を引き算する術
• 奇異な印象を与えない(頭の上を電柱が突き刺している
ような構図にしない)
• フレームであることを意識させないフレームづくりをする
• 物語が伝えようとしているものに寄り添ったフレーム
取材対象に近づかないうちから撮ることも懸命な方法
スタッフや機材(三脚など)が映りこまないほうが好ましい
5.3 バランスのとれた構図でハリのある「絵」を撮る
• 正対した構図(均等のバランス)
• 左右のバランス(斜めにしてリズムのあるバラ
ンス)
• 前後のバランス(奥行きのある構図、手前に
「ナメる」構図の作り方)
• 動きのバランス(動画像と静止画像のバランス
は異なる)
• 動くもので演出する構図
正対した構図(均等のバランス)
左右不均等のバランス(斜めにしてリズ
ムのあるバランス)
前後のバランス(奥行きのある
構図、手前に「ナメる」構図の
作り方)
5.4 人物撮影の基本(ウエストショットより寄る場合)
基本1:目の高さ「3分1ルール」
人物の目の高さが、画面の高さの上から「おおむね3分の1」にあるように撮る
ここぞというところでは、頭を切るほどアップ:「3分の1ルール」は変わらない
3分の1ルールから外れるのは、その背景を見せたい時だと考える
基本2:目線の先の空間はあけ、頭の後ろをあけない
寄りのサイズは迫力があり説得力がある
寄りのサイズは、ピントも構図も難しい
相手は動く=カメラをゆるくフィックスしつつフォロー/手や体の動きも見逃さない
ロングインタビューでは2台のカメラで撮るのも効果的
表情がよく見えるように
適切な照明(基本的に順光)のもとで、適正な露出で撮る(屋外だけでなく、室内でも
注意。窓が背景のときなど)/カメラの場所や高さをこまめに変えながら撮る
背景の意味性を考えて撮る
人物の目の位置をおおむね上から3分の1のところに置く
(カメラのアングルを微調整する)と構図が安定することが多い
頭の上が空くと不安定になる
頭の上が詰まりすぎても窮屈になる
見ている方向の構図を空ける
頭の後ろが空くと不安(定)になる
やはり「目の位置が上から3分の1」「見ている方向を空ける」構図が安定する
寄っても引いても「3分の1ルール」「見ている方向を空ける」を守れば安定する
寄っても引いても「3分の1ルール」「見ている方向を空ける」を守れば安定する
まとめ: ドキュメンタリーの取材力
目の前の出来事
その本質を観察して、これを他人に伝えるためには、自分が
何をすれば、どう行動をすればよいか、判断して実行する
状況と人物-人物と人物-の関係をわかるように撮る
そこはどんなところで、人物は何をして、誰と関係しているのか
どこで、誰が、いつ、何を、なぜ、どのように行い発言しているか
どこから撮ればよいのか
前に廻りこんで前から撮る(基本)
「前に廻りこむ勇気」を持つ その勇気の裏付けとなるものを持つ
サイズとアングルを変えながら撮る
迷ったら1正面/ロング-2右/ミドル-3左/アップ
カメラの場所や高さを適切に変えながら撮る(目高だけではダメ)
いつからいつまで(何秒)撮るのか
伝えたいところが撮れるまで撮る
迷ったら、1カットで10数える=音の連続性を録る
前に廻りこんで前から撮る
サイズとアングルを変えながら撮る
1正面/ロング-2右/ミドル-3左/アップ
1カットでは10数える
音の連続性をとる(撮る・録る)
会話が続いている途中でアングルをかえたいときは
音を連続させるため、カメラを止めずに、
カメラ位置をかえたり、サイズ・アングルを変えることはある
編集の際、音を生かして、絵は別アングルを上から貼る
物語りをつなぐ・転換するための’捨てカット’ ’雑感’も必要
対象に近づきすぎる前に場所の状況がわかるショット
季節や場所を感じさせるショットをとっておく
撮影日の間隔が空く時も、「自分は今、作品づくりに入ってい
る」ということを忘れないで、周辺の状況をカメラに収めておく