情報通信技術(ICT) の動向

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Transcript 情報通信技術(ICT) の動向

情報通信技術(ICT)
の動向
福岡大学工学部 電子情報工学科
助教:高橋 伸弥
今日の講義について


目的
 大学の講義の雰囲気を知ってもらう
 情報系学科への興味を持ってもらう
 福大工学部電子情報工学科の宣伝
内容
 大学1年生(文系)向け
 「情報通信技術の動向」導入部分
大学の講義の形態


教養科目・専門科目
 教養科目(共通科目・基礎科目)
 外国語・人文社会・自然科学
 専門科目
 学部・学科ごとのより高度な科目
 理系では実験なども
高校の授業との違い
 「生徒」と「学生」
 自主性が重要
情報通信技術(ICT)
の動向
情報とは?
「文字・数字などの記号やシンボルの媒体
によって伝達され、受け手に状況に対する
知識や適切な判断を生じさせるもの 」(大
辞泉 )
 ここでは、コンピュータで扱うことのできる
データを指す
 文字・数字・画像(写真、絵)、音(音楽、
音声)・・・

情報通信技術(ICT)とは?
情報を処理する技術
 情報を通信する技術
 情報通信サービスを
実現する技術 伝達・蓄積

検索・収集
分析・判断
情報処理の三大要素
ICTとは


情報通信技術
Information and Communication Technology
の頭文字
ITとの違い
 通信(Communication)が入る
(ほぼ同義で用いられている)

総務省 u-Japan 政策
 「いつでもどこでも何でも誰でも」ネットワーク
につながるユビキタスネット社会の実現
ユビキタスネット社会

社会の至る場所にある、あらゆるモノにコン
ピュータを埋め込み、それらが互いに自律的な通
信を行うことによって生活や経済が円滑に進む社
会
 u-Japanでは、携帯電話やPDAなどの小型情報
端末はもちろん、テレビや冷蔵庫などの家電製品、
案内板や道路信号などの社会基盤、食料品など
の商品の値札やさらには洋服などの日用品にま
でコンピュータを埋め込むことが構想されている
 例)
IT用語辞典より
 JR東日本Suica
ICTと携帯電話

多様な機能
 電話
 テレビ電話
 メール
 ウェブブラウジング
 カメラ機能
 PIM
 ゲーム
 音楽
 ワンセグ
 GPSナビ
 おサイフケータイ
 セキュリティ
携帯電話の歴史
1985年
肩掛け型
1993年 デジタル化
重さ:3kg
1999年 iモード
2000年 写メール
1987年
ショルダーホン
2001年 FOMA
初の携帯型
2004年 スマートフォン
重さ:0.9kg
2004年 おサイフケータイ
1991年
2006年 ワンセグ
世界最小 携帯電話
重さ:230g
ムーバ
ICTと車載ネットワークシステム


Windows並のプログラム量
(1000万行)
膨大な電子制御部品
自動車の更なる進化
 高性能カーナビ
 ITS(高度道路交通システ
ム)
 追突軽減ブレーキシステム
情報サービスとソフトウェア産業








ハードウェア会社・・・日立など
パッケージベンダー・・・マイクロソフト
システムインテグレータ・・・NTTデータ他
通信事業者・・・NTT他
サービス提供事業者・・・NIFTY
ネットビジネス事業者・・・Yahoo!他
コンサルティング会社
人材派遣会社
ICTの最近の動向
パソコンの普及・インターネットの拡大
 業務処理のオンライン化
 インターネットを利用した新しいビジネスモ
デル(Web2.0)
 自動車、カメラ、携帯電話などの組み込み
システムの増大

なぜICTか?
増え続ける情報サービスのニーズ
 ICTスペシャリストの不足
 労働生産性の向上
 日本は先進主要国で最低水準

人間の知的情報処理活動を
効率よくする!
なぜICTは効率がよいか?
電子化により
効率のよいアルゴリズムにより
伝達するのに
時間がかからない
伝達・蓄積
検索するのに
時間がかからない
検索・収集
蓄積するのに
時間がかからない
分析・判断
情報処理の三大要素
収集するのに
時間が
かからない
分析判断するのに
時間がかからない
検索の「手間」
を探してみよう!
検索の「手間」
を探してみよう!
効率のよい検索1
コンピュータは一度に全てを同時
に見ることができない
 カードが伏せられていたとした
ら?
例題)
 「1」から「32」までの数字が書かれた32枚の
カード (数字の重複/欠番あり)

「N」を探し出すのに必要な「手間」は?
効率のよい検索2
カードがでたらめな順番の場合
 32枚全てを確認
 手間=32
 カードが昇順に並べられている場合
 順番に調べ、Nより大きな数字が現れた
ら終了
 平均の手間=半分の16

もっと効率のよい検索

カードが昇順に並べられている場合
 カードをエイヤ!と半分にし、境い目のカード
を調べる
 Nよりも大きければ前半を調べ、さもなければ
後半を調べる


半分半分にしていくので、
カードをエイヤ!と半分にし、境い目のカードを調
べる
「二分探索」
と呼ぶ
Nよりも大きければ前半を調べ、さもなければ後半
を調べる
32枚⇒16枚⇒8枚⇒4枚⇒2枚
手間=5回=log232
2万枚のカードだったら?

2万人の学生カードの検索の場合
 カードがでたらめな順番の場合


手間=2万
カードが昇順に並べられている場合


手間=1万 (順に調べる場合)
手間=15 (二分探索)
・・・・・でたらめな場合の1000分の1以下
新聞を50回折りたたんだら? (新聞の厚さを0.1mmとする)
1.富士山(3333m) 2.月(38万キロ) 3.太陽(1億5000万キロ)
新聞を50回折りたたんだら?






0.1mm=0.0001m
1回折りたたんだら、0.0001×2m
2回折りたたんだら、0.0001×2×2m
3回折りたたんだら、0.0001×2×2×2m
50回折りたたんだら、0.0001×250m
ここで、210=1024≒ 103 とすると
 0.0001×250≒ 10-4×103×5= 1011
=100000000000m
=100000000km= 1億km
新聞を100回折りたたんだら?





100回折りたたんだら、0.0001×2100m
210=1024≒ 103 として
0.0001×2100≒ 10-4×103×10= 1026 m = 1023 km

光は1秒間に300000km
 1年間だと
3×105×60×60×24×365≒9.46×1012 km
1023 km ≒ 1011 光年= 100億光年
銀河系の大きさ:10万光年
宇宙の大きさ:数百億光年
並べ替えの手間
効率のよい方法
 カードを1枚ずつ取り
出して
 並べ替え済みのカード
に挿入
 もちろん、2分探索
を使って挿入
≒32×5
効率の悪い方法
 1番小さな数を見つけて
先頭にする
 次に小さな数を見つけ
て2番目にする
 その次に小さな・・・(略
≒ 32×32÷2
並び替えの例1
並び替えの例2
もっと難しい問題

解けない問題/解くのが大変な問題もある
巡回セールスマン問題
(Traveling Salesman Problem: TSP)
「セールスマンが幾つかの都市を一度ずつ
訪問して出発点に戻ってくるときに、移動距
離が最短になる経路を求める」
巡回セールスマン問題
池袋
上野
8.7km/16分
7.3km/18分
1.5km/4分
8.7km/16分
3.5km/11分
4.8km/6分
秋葉原
11.2km/21分
新宿
2km/3分
8.6km/16分
7.9km/19分
東京
巡回セールスマン問題

全てのパターンを列挙して、最短なものを選べば
よい!
秋葉原
池袋
上野
東京
秋葉原
新宿
東京
新宿
新宿
東京
東京
新宿
秋葉原
東京
4×3×2=24通り
巡回セールスマン問題

パターンの数
(N-1)!で計算
 5都市:24通り
 10都市:362880通り
 26都市:1.551121×1025通り
 1秒間に100億(=1010)パターン計算しても、
五千万年かかる!!

100都市だと・・・9.33262154×10155通り

宇宙が滅んでも無理!
巡回セールスマン問題
アメリカの各都市(532)を回る最短経路
巡回セールスマン問題
池袋
上野
8.7km/16分
7.3km/18分
1.5km/4分
8.7km/16分
3.5km/11分
4.8km/6分
秋葉原
11.2km/21分
新宿
2km/3分
8.6km/16分
7.9km/19分
東京
一番早く回れるのは?

条件が複雑なので、計算が困難
 時間帯で違う
 急行や乗り継ぎなど

開発したら大金持ちになれるかも?
一番、安くつくのは?
池袋
上野
160円
190円
130円
190円
150円
150円
秋葉原
190円
新宿
130円
160円
190円
東京
まとめ

ICTは必要不可欠な技術
 社会のニーズ
 作業の効率化(生産性の向上)

効率はアルゴリズムによって変わる
 世の中には難しい問題がたくさん!
情報系学科では


情報通信技術を学ぶことができる
 情報サービスの基盤
 大規模ソフトウェア開発
 組み込みシステム開発
未来の情報通信技術の研究
 高度な情報処理・・・新しい技術の開発
 人工知能・・・ロボットの脳(視覚・聴覚・言語)
世界的に通用するICT技術者を目指して
ー 高校生へのエール ー
高校時代にやっておくこと
 情報伝達の基礎能力 ⇒ 国語
 論理的な思考能力
⇒ 国語, 数学,理科
 日本人としてのアイデンティティの理解・学習
⇒ 日本の歴史・文化
 他国の文化への理解
⇒ 各国の歴史・文化,地理
 国際的競争において渡り合える能力
⇒ 英語+α
 豊かな発想
補足:情報工学とは
「情報」を工学的に利用するための学問分野
 計算機工学・・・主にハードウェア
 計算機科学・・・基礎・応用理論
 ソフトウェア工学・・・主にソフトウェア
 情報学・情報科学
 社会科学・人文科学も包含した総合的な
学問分野
 応用情報学・社会情報学・基礎情報学

終
並べ替えの手間(他の方法)





最初の状態
63518247
2枚ずつに分ける |6 3|5 1|8 2|4 7|
2枚ずつ並べ替え
|3 6|1 5|2 8|4 7|
隣りあう2組を併合
|1 3 5 6|2 4 7 8|
隣りあう2組を併合
12345678
∝ n logn
マージソート
ハノイの塔



台の上に3本の棒A,B,Cが固定されている。
AにはN枚の円盤が棒を通して重ねられている。
円盤は下へいくほど半径が大きくなっている。
このとき,次の規則に従って,円盤をAからBに移
動しなさい。
 一回に一枚の円盤しか動かしてはいけない。
 移動中は、小さい円盤に大きい円盤を積まな
い。
 棒A,B,C以外のところに円盤を置いてはい
けない。