Transcript 第8回脳と神経系

第８回脳と神経系
脳血管障害
アダムス・スト－クス症候群
心筋梗塞
起立性失神
ナイアシン欠乏
ペラグラ
ショック
尿毒症性昏睡
低 CBF
DIC
貧 血
肺疾患
低 O２
チアミン欠乏
ウエルニッケ脳症
大 脳 皮 質
インスリン過剰投与
インスリノ－マ
肝性昏睡
視床
視床下部
高アンモニア
プロスタグランジンE２
糖尿病性昏睡
脱水症
低血糖
プロスタグランジンD２
代謝性アシド－シス
睡眠中枢
（視索前野）
電解質異常
中 毒
下垂
体
中脳網様体
覚醒中枢
（後部視床下部）
延髄網様体
Na
K
Ca
毒 物
食欲の中枢
外側視床下野
（摂食中枢）
腹内外核
（飽満中枢） 出版社許諾が得られない為、表示できません。
血 糖
食 事
脂肪酸
レプチン
香川靖雄ほか. 図説医化学.
改訂4版, 南山堂, 2001, 367p.
セロトニン輸送体遺伝子多型の日米の頻度差
遺
伝
子
多
型
の
頻
度
（
％
）
％
100
80
ＬＬ型
1.7
ＬＳ型
30.1
60
40
20
ＳＳ型
68.2
従順
消極
0
日 本
温和しく
横並びで
安心する
性格な
ので集
団・個人
に親切に
厳しく、
教育する。
ＬＬ型
32.3
超積極
ＬＳ型
48.9
積極、
自主
ＳＳ型
18.8
アメリカ
自主独立
の米国学
生には、
ゆとりの教
育を、資源
と目標を
与えて自
由に教育
先生は
黙ってい
て下さい。
性格の遺伝子多型の頻度 （調査人数=264）
DRD4
100.0
5-HTT
ﾄﾞｰﾊﾟﾐﾝ受容体４多型も同じ傾向
不安・
ストレス
を感じや
すい
100.0
ｾﾛﾄﾆﾝ輸送
体の多型
日本人型
S/S型
新奇探求性
ストレスを感じにくい
50.0
50.0
白人型
日本
人型
自立型、
ストレス
を感じに
くい
0.0
0.0
２～４R のみ
5～7R　有
L/L
L/S
S/S
Yamakawa, M. et al. “Serotonin transporter polymorphisms affect human blood glucose control”
Biochem Biophys Res Commun. 334(4), 2005, 1165-71
心理ﾃｽﾄより
も客観的
怖い顔を見
た時などに、
好き嫌いの
感情を現す
扁桃核（右
図赤）が活
動する。日
本人に多い
S/S型は扁
桃核が敏感
に反応する。
機能的磁気共鳴画像法による情動の遺伝的相違
セロトニン輸送体
S型
○
L型
○
Hariri AR, Weinberger DR. “Imaging genomics” Br Med Bull. 65, 2003, 259-70
DRD4
(ドーパミン D4 受容体)
常に興奮
状態に
5-HTTLPR（セロトニン輸送体多型性領域）
受容体
セロトニン
狂牛病は食人種のｸｰﾙｰ病から発見
ﾆｭｰｷﾞﾆｱの
ヒツジ
食人種
ヒツジの屑肉を
牛に食べさせた
ｸｰﾙｰ病を
ﾁﾝﾊﾟﾝｼﾞｰに
ｸｰﾙｰ病 ｽｸﾚｰﾋﾟｰ
ウシ
海綿状脳症
ｸﾛｲﾂﾌｪﾙﾄﾞﾔｺﾌﾞ病
狂牛病
ｸﾛｲﾂ
ﾌｪﾙﾄﾞ
ﾔｺﾌﾞ病
香川靖雄, 「1997年ノ-ベル医学生理学賞 プリオン説の提唱者,スタンリ- B.プルジナ-博士」,
『栄養学雑誌』, 322, 1998.1 p.26-31
狂牛病の病原体は微生物ではなく、ﾌﾟﾘｵﾝという蛋白質。
正常人の脳内のﾌﾟﾘｵﾝに作用して不溶ﾌﾟﾘｵﾝに変える
香川靖雄, 「1997年ノ-ベル医学生理学賞 プリオン説の提唱者,スタンリ- B.プルジナ-博士」,
『栄養学雑誌』, 322, 1998.1 p.26-31
日本は痴呆も寝たきりも世界一多い
痴
呆
の
な
い
平
均
余
命
／
平
均
余
命
ﾘ
（％）
77歳男性の痴呆のない余命
95
90
85
80
75
70
（英
ﾙ
ｰ
ﾟ
ﾊﾞ ﾌ
）
）
）
ﾌ ﾗ ﾝ ｽ ﾘ ｯｼ ﾞ （ 英 ） ｵ ｰ ｽ ﾄﾗ ﾘ ｱ ﾌ ﾞ ﾚ ｲ （ 英 仙 台 （ 日
ﾓｰ
･
ｹ ﾝﾌ ﾞ
ﾝ
ﾄ
ﾒﾙ
矢野栄二, 「統計は語る 平均寿命から健康寿命 その試みと国際比較」,
『日本医師会雑誌』, 123(6), 2000.3 p.823-8
認知症
見当識なし
認知症
=脳梗塞､脳出血による認知症
生活習慣と脳血管性痴呆の危険率
余暇利用 高血圧 運動が
不活発
の既往 不活発
要因なし
１要因
２要因
３要因
４要因
５要因
＋
－
－
－
－
＋ ＋
－
＋
－
－
－
＋
意識を失う
頭部外傷
－
－
＋
－
－
－
－
－
＋
－
＋
＋
検診に
不参加
危険度
（ｵｯｽﾞ比）
1
－
14.4
－
2.7
－
2.9
－
2.5
＋
2.2
5.3～42.2
14.5～115.6
42.6～284.9
613.4
近藤喜代太郎, 「ライフスタイルと老年期痴呆（特集 ライフスタイルと疾病-１次予防の有効
性と患者指導の実際）」, 『日本医師会雑誌』, 119(7), 1998.4 p.935-41
認知症を防ぐには簡単な計算を早く、音読する
葉酸摂取量と脳梗塞のリスク
(男性43,732名、14年間の追跡調査)
1.5
相
対
リ
ス
ク
1
0.5
0
低摂取者
高摂取者
葉酸摂取
He K, Merchant A, Rimm EB, Rosner BA, Stampfer MJ, Willett WC, Ascherio A. Folate, vitamin
B6, and B12 intakes in relation to risk of stroke among men (2004) Stroke 35(1) p.169-74
肉類 魚介類 卵類 牛乳
大豆・大豆製品 黄緑色野菜
海藻類 いも類 果物 油脂
1.5 相対危険度
いろいろな食物を摂る
と認知症になりにくい。
1
0.5
各食品群ごと
「ほとんど毎日食べる」に１点
そうでない場合は０点となる
＊最大は１０点となる
0
１～３
点
４～８
点
５～１０
点
食品摂取の多様性得点の算出方法 食品摂取の多様性得点各群の高次
生活機能の低下の相対危険度
熊谷修ほか, 「地域在宅高齢者における食品摂取の多様性と高次生活機能低下の関連」,
『日本公衆衛生雑誌』, 50(12), 2003.12 p.1117-24
認知症を防ぐ食物が減少
（１９９５→２００２）
20
増
減
10
0
量
（％）
-10
-20
緑黄野菜 豆類
魚介類
芋類
健康日本21,「健康日本21における目標値に対する暫定直近
実績値(2005)」, Available from <http://mlwww.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/ugoki/houkoku
/pdf/0410mokuhyou_zanteiti.pdf>, (accessed 2007-11-4)
分析表の葉酸含量は利用率が違う
葉酸不足でホモシステインが増加
メチオニン
アデノシル
メチオニン
ジヒドロ葉酸
テトラヒドロ葉酸
N,N-ジメチルグリシン
BHMT
MS
B１２
ベタイン
アデノシル
ホモシステイン
ホモシステイン
葉酸
5、10-メチレン
テトラヒドロ葉酸
5-メチル
テトラヒドロ葉酸
CBS
MTHFR
B６
B２
シスタチオニン
梗塞
調べるTT型
痴呆
痴呆
CL
B６
システイン
葉酸からDNAﾒﾁﾙ化の反応へ
① 葉酸の輸送体［小腸、腎］→ﾌｫﾙﾐﾙﾃﾄﾗﾋﾄﾞﾛ葉
酸→ﾒﾃﾆﾙﾃﾄﾗﾋﾄﾞﾛ葉酸→ﾒﾁﾚﾝﾃﾄﾗﾋﾄﾞﾛ葉酸
② ﾒﾁﾚﾝﾃﾄﾗﾋﾄﾞﾛ葉酸+NADH→［ﾒﾁﾚﾝﾃﾄﾗﾋﾄﾞﾛ葉
酸還元酵素］→ﾒﾁﾙﾃﾄﾗﾋﾄﾞﾛ葉酸＋ NAD
③ ﾎﾓｼｽﾃｲﾝ＋ﾒﾁﾙﾃﾄﾗﾋﾄﾞﾛ葉酸→［ﾒﾁｵﾆﾝ合成
酵素］→ ﾒﾁｵﾆﾝ ＋ ﾃﾄﾗﾋﾄﾞﾛ葉酸
④ﾒﾁｵﾆﾝ+ATP→ Sｱﾃﾞﾉｼﾙﾒﾁｵﾆﾝ → DNACpG
ｱｲﾗﾝﾄﾞのﾒﾁﾙ化 + Sｱﾃﾞﾉｼﾙ･ﾎﾓｼｽﾃｲﾝ
DNAﾒﾁﾙﾄﾗﾝｽﾌｪﾗｰｾﾞ（5種類）が卵発生後活動
葉酸欠乏をDNAへの１４Cﾒﾁﾙ基結合低下で測定。
葉酸の消化・吸収とﾎﾟﾘｸﾞﾙﾀﾐﾙ基の分解
RFC-1 ：還元葉
酸輸送体１多型
ｱﾒﾘｶの葉酸強化策と食事性葉酸当量（DFEｓ）
100g当たり
140mg
葉酸が不足すると認知症になる
（
遺体
伝質
子
）
野
菜
嫌
い
血中ホモシステインの上昇
認知症
脳梗塞
心筋梗塞
この遺伝子多型というのは正常人の間の遺伝子の小
さい違いですから一寸注意すれば心配ありません。
葉酸、VB6、VB12摂取量は充足してもTT型
の人の血清総ホモシステイン濃度は高い。
**
(mmol/l)
**
**
**
*
*
15
10
5
0
CC
(82) (129) (39)
(74) (113) (36)
(54) (81) (28)
対象者全体
葉酸推奨量
充足者
葉酸・B6・B12
推奨量充足者
CT
TT
(n)
*p < 0.05, **p<0.01
糖尿病は認知症（ｱﾙﾂﾊｲﾏｰ病と脳卒中）が多い
制限食では葉酸不足が多型の患者にリスクとなる
ア
ル
ツ
ハ
イ
マ
｜
病
の
危
険
度
200
165
150
100
100
50
0
対照
糖尿病
Arvanitakis Z. et al. “Diabetes mellitus and risk of Alzheimer disease and decline
in cognitive function” Arch Neurol. 61(5), 2004, 661-6
ﾎﾓｼｽﾃｲﾝが高いと脳梗塞が5.5-7.5倍に増加
6
気づかない脳梗塞
***
7
**
5
<6.8
*
6
脳
梗4
塞 ﾎﾓｼｽﾃｲﾝ量
の3
発
見2
頻
度1
0
8
症状のある脳梗塞
***
5
ﾎﾓｼｽﾃｲﾝ量
4
3
2
1
6.9-8.1 8.2-10.2 ≥10.3
ﾎﾓｼｽﾃｲﾝ (nmol/ml)
0
<6.8
脳
梗
塞
の
発
見
頻
度
6.9-8.1 8.2-10.2 ≥10.3
ﾎﾓｼｽﾃｲﾝ (nmol/ml)
Araki A. et al. “Association between plasma homocysteine concentrations and
asymptomatic cerebral infarction or leukoaraiosis in elderly diabetic patients”
Geriatrics and Gerontology International. 3(1), 2003, 15-23
ﾎﾓｼｽﾃｲﾝが高いと認知症前から知能低下が開始
27
知能テスト１ MMSE
35
*
知能テスト２
**
26
得
点
30
25
得
点
24
25
23
22
20
少ない 中くらい 多い
ホモシステインの量 (nmol/ml)
少ない 中くらい 多い
ホモシステインの量 (nmol/ml)
Araki A. et al. “Plasma homocysteine and cognitive function in elderly patients with
diabetes mellitus” Geriatrics and Gerontology International. 3(2), 2003, 86-92
認知症高齢者のMTHFR C677T 遺伝子多型別の血清葉酸濃度、
血清総ホモシステイン濃度（認知症高齢者は浴風会）
葉酸
(mmol/l)
(nmol/l)
総ホモシステイン
50
40
*
40
30
30
20
20
10
0
10
若年
女性
中高年
女性
CC
認知症
高齢者
CT
0
* *
若年
女性
TT
中高年
女性
認知症
高齢者
* p<0.005 (vs. TT)
TT型の人も400μgの葉酸を毎日摂れば安心です。
３１６：１２１０－１２１６ （２００４）
高齢者の血漿葉酸濃度と葉酸摂取量の三段階と３年後
の認知度点数 なりかけの認知症の予防
0.6
認
知
度
点
数
の
変
化
****
0.45
高齢者321名（67歳±7歳）
0.3
**
0.15
0
-0.15
**
-0.3
-0.45
-0.6
** P<0.01
****
P<0.0001
血漿葉酸濃度
-0.75
葉酸摂取量/日
-0.9
-1.05
<20nmol/L
<339μg/d
20-30 339523
nmol/L μg/d
>30nmol/L
>523μg/d
Tucker KL. et al. “High homocysteine and low B vitamins predict cognitive decline in aging
men: the Veterans Affairs Normative Aging Study” Am J Clin Nutr. 82(3), 2005, 627-35
血清葉酸濃度が４ﾅﾉmg/mlで80歳台の知能が急落する
ミ
ニ
メ
ン
タ
ル
テ
ス
ト
得
点
４
ナ
ノ
が
限
界
平均87歳の471
人の知能検査
MMSEと血清葉
酸濃度の相関は
極めて有意
r=0.36(p<0.000
1)
血清葉酸（ng/ml)
Tettamanti M. et al. “Low folate and the risk of cognitive and functional deficits
in the very old: the Monzino 80-plus study” J Am Coll Nutr. 25(6), 2006, 502-8
ｱﾒﾘｶでは1998年からﾊﾟﾝや穀類に100g当
たり140μgの葉酸を強制的に加えて大きな
成果を挙げている。要介護高齢者減少
心筋梗塞の大幅な低下も。
神経の奇形児も8分の1に。
葉酸推奨量も日本の約２倍に増加した。
米国民の食品葉酸強化で血清葉酸増加
Ganji V. et al. : J. Nutrition 136: 153-158 (2006)
米国健康栄養調査　血清葉酸
16
血清葉酸　ng/ml
14
12
10
8
6
4
2
0
1988-1994
1999-2000
調査年度
2001-2002
米国民の食品葉酸強化でﾎﾓｼｽﾃｲﾝ減少
Ganji V. et al. : J. Nutrition 136: 153-158 (2006)
血清ﾎﾓｼｽﾃｲﾝ濃度　μmol/L
米国健康栄養調査　ﾎﾓｼｽﾃｲﾝ濃度推移
12
10
8
6
4
2
0
1988-1994
1999-2000
調査年度
2001-2001
さかど葉酸プロジェクト
９月４日：解説ｰ同意ｰ採血
10月2日：結果の個人通知指導
１．葉酸摂取の不足をホモシステインで計る
遺伝子多型判定希望者
２．葉酸が不足しやすい体質を遺伝で判定
食事調査（アンケート）と指導
調理実習、体操実施
半年後にﾎﾓｼｽﾃｲﾝ再検査
認知症になりやすい生活習慣を判定して改善
体質にかかわらず認知症も脳梗塞も防げます
血清葉酸濃度は上昇した
25
血清葉酸濃度 （ng/ml)
25
MTHFR C677T 遺伝子多型別
CC
n=27
20
20
15
15
10
10
5
5
0
0
指導前
指導後
p<0.0001
前
後
p<0.05
CT
n=27
前
後
p<0.0001
TT
n=11
前
後
p<0.01
認知症は葉酸､ﾊﾞﾗﾝｽ食、運動、脳活動で防げる
A
葉酸や糖尿病の体質
B
食事、運動、頭の体操
悪い生活：葉酸欠乏、消極性
発 症
遺
伝
子
検
査
で
自
覚