Transcript 発表VG - JAEA
大型ヘリカル装置における実座標を用いた 粒子軌道追跡モンテカルロコードの開発 關 良輔, 松本 裕, 鈴木康浩1), 渡邊清政1) 北海道大学大学院工学研究科, 1)核融合科学研究所 はじめに 大型ヘリカル装置(LHD) 高ベータ実験(低磁場Bax = 0.5 T) ⇒ NBIによる加熱 NBIに起因するプラズマ圧力(ビーム圧力)の同定が 高ベータプラズマでの平衡, 安定性解析において必要 ビーム圧力の同定 ⇒ 軌道追跡が重要 LHDでは高エネルギー粒子の軌道が複雑 ⇒ 軌道追跡が特に重要 従来の高エネルギー粒子の軌道をもとにした分布関数, 圧力の解析 磁気座標を使用 ・粒子の損失境界は最外殻磁気面(LCFS) ・ LCFSの内側のみを解析 はじめに(続き) 実座標を用いた粒子軌道解析 周辺磁場領域 Re-entering粒子 LCFS外側の周辺磁場領域に出ても再び LCFS内部に戻ってくる粒子 〇高ベータプラズマ 〇低磁場中 Re-entering ・LCFSが小さい ・周辺磁場領域が厚い LCFS ・ドリフトによるズレが大きい ・LCFS外側に出る粒子が増加 Re-entering粒子が重要 目的 ○Re-entering粒子も考慮可能な, 実座標を用いた粒子軌道追跡に基づくモンテカルロコードの開発 開発したモンテカルロコード ○分布関数算出の流れ 個の高エネルギー粒子の案内中心を追跡 各位相空間中のmeshにおける滞在時間 エネルギー緩和, 軌道損失まで追跡 ⇒ 分布関数算出 を算出 熱速度の3倍以下になった粒子が緩和 真空容器壁に衝突した粒子が損失 加熱入力 初期エネルギー エネルギー緩和には, OFMCコードと同様の衝突オペレータを採用 衝突オペレータ (Plasma Phys. Control. Fusion 49 (2007) 1955) c: pitch angle, h: gyro-phase ○温度Tbのマクスウェル分布を持つ b種粒子に衝突したa種粒子δt秒間の速度変化 は, 以下の平均と分散を持つ正規乱数により算出 平均: , 分散: ○δt秒後の速度 , ○drift-kinetic方程式 衝突項 高エネルギー粒子源 drift-kinetic方程式の定常解を求めるコードを作成 損失項 熱化による吸収項 テスト計算1(衝突オペレータのみと開発したコードの比較) ○使用磁場 ○粒子 陽子 ○粒子の初期エネルギー 200 keV ○初期位置 横長断面上の磁束 のみ与えた ○初期ピッチ角 ○モンテカルロ粒子数 1,000 ○back ground(軽水素プラズマ) 温度 密度 1 keV 1020 m-3 の磁気面上 テスト計算1(衝突オペレータのみと開発したコードの比較)の結果 衝突オペレータ 開発したコード 速さ-分布関数 ピッチ角-分布関数 1.6x10^14 6.0x10^16 1.4x10^14 5.0x10^16 1.2x10^14 4.0x10^16 1.0x10^14 8.0x10^13 3.0x10^16 6.0x10^13 2.0x10^16 4.0x10^13 1.0x10^16 2.0x10^13 0.0x10^0 0.0x10^0 0 5 緩和時間 10 15 20 25 開発したコード 16.2 ms 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 衝突オペレータのみ 16.2ms 1 テスト計算2 ○使用磁場 ○粒子 陽子 ○粒子の初期エネルギー 200 keV ○初期位置 横長断面上の磁束 ○初期ピッチ角 一様に分布 ○モンテカルロ粒子数 1,300 ○back ground(軽水素プラズマ) 温度 密度 1 keV 1020 m-3 の磁気面上 磁束(位置), 速さ, ピッチ角に対する分布関数 速さ-分布関数 磁束-分布関数 9.0x10^16 ピッチ角-分布関数 2.2x10^16 1.2x10^14 8.0x10^16 2.0x10^16 1.0x10^14 7.0x10^16 1.8x10^16 6.0x10^16 8.0x10^13 1.6x10^16 5.0x10^16 1.4x10^16 6.0x10^13 4.0x10^16 3.0x10^16 1.2x10^16 4.0x10^13 1.0x10^16 2.0x10^16 2.0x10^13 8.0x10^15 1.0x10^16 0.0x10^0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 磁束-分布関数 ・初期の粒子位置 0.0x10^0 6.0x10^15 0 5 10 15 20 25 30 0 でピーク ・プラズマ中心部ならびにLCFS近傍まで分布関数が到達 速さ-分布関数 ・ で分布関数がピークを持つ ・ で分布関数が0になる ⇒ の粒子を緩和と仮定 ピッチ角-分布関数 ・ と において, 分布関数が減少 ⇒ 損失領域が存在 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 荷電交換反応の導入 Re-entering 粒子 ⇒ 中性粒子密度の高いプラズマ周辺部を運動 Re-entering粒子には荷電交換反応の影響が大きい ○荷電交換反応のモデル化 (参考:R. J. Goldston et al., J. Comput. Phys. 46 (1981) 61) 中性粒子の密度 中を1個の荷電粒子が速度 で飛ぶとき 秒間の荷電交換反応の確率 :荷電交換反応断面積 粒子の軌道に沿って積分 まで軌道を追跡 ⇒ 荷電交換により損失 :一様乱数 テスト計算3 ○使用磁場 ○粒子 陽子 ○粒子の初期エネルギー 200 keV ○初期位置 横長断面上の磁束 ○初期ピッチ角 一様に分布 ○モンテカルロ粒子数 1,300 ○back ground(軽水素プラズマ) 温度 密度 1 keV 1020 m-3 ○中性粒子の密度(水素原子を仮定) 最外殻磁気面外側で一様と仮定 (荷電交換なし) (LCFSを損失境界) の6パターンで検証 の磁気面上 分布関数への荷電交換反応の影響 (荷電交換なし) (LCFSを損失境界) 磁束-分布関数 速さ-分布関数 1.0x10^17 ピッチ角-分布関数 7.0x10^13 2.2x10^16 9.0x10^16 2.0x10^16 8.0x10^16 6.0x10^13 7.0x10^16 5.0x10^13 1.6x10^16 4.0x10^13 1.4x10^16 1.8x10^16 6.0x10^16 5.0x10^16 1.2x10^16 4.0x10^16 3.0x10^13 3.0x10^16 2.0x10^16 8.0x10^15 6.0x10^15 1.0x10^13 1.0x10^16 0.0x10^0 1.0x10^16 2.0x10^13 4.0x10^15 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 0.0x10^0 0 5 10 15 20 25 2.0x10^15 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 荷電交換の分布関数への影響は ・LCFS近傍において大きい. ・初期の出発点より内側ではほとんどない ・ のピーク付近で最も大きい. ・ , , において大きい ⇒LCFS外側を通り, 閉じたドリフト面を持つ粒子に荷電交換が大きく影響 1 まとめ LHDにおいて, 実座標を用いた 粒子軌道追跡に基づくモンテカルロコードを開発 今後の課題 ○NBIなどによって発生する高エネルギー粒子の分布関数の算出 ○NBIに起因するビーム圧力の計算 ○場のプラズマ, 中性粒子に分布を持たせる 磁場構造 LHDの磁場構造 真空磁場(b = 0.0 %) 高ベータ(b = 2.7 %) Helical Coil Magnetic Axis Field Lines Vacuum Vessel Magnetic Axis 粒子軌道の例(B = 3 T, b = 0 %) 通過粒子 χ = 2π/20 χ = 11π/20 磁力線 粒子 LCFS 磁力線 粒子 Initial Point LCFS LCFS r r 磁力線 粒子 Initial Point r r LCFS 磁力線 粒子 磁力線 粒子 Initial Point r Initial Point χ = 7π/20 χ = 13π/20 r 磁力線 粒子 即損失粒子 カオス軌道粒子 バナナ粒子 r r 磁力線 粒子 Poincarè plot は描けない 粒子の軌道特性(Z = 0 m) カオス 損失 即損失 ◎ Re-entering 通過 バナナ B = 3 T, b = 0 % B = 3 T, b = 2.7 % 0.95 0.90 0.85 0.80 0.75 0.70 0.65 0.60 0.55 0.50 0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 LCFS ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎ ◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎◎ ◎ ◎◎ ◎ ◎ ◎◎◎ ◎ ◎◎◎ ◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎◎ 2.7 3.0 ◎ ◎◎ ◎ ◎ 3.3 3.6 R (m) ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎ ◎◎◎◎◎◎ ◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎◎ ◎ ◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ ◎◎ 3.9 4.2 4.5 LCFS (pitch angle)/π (pitch angle)/π LCFS 0.95 0.90 0.85 0.80 0.75 0.70 0.65 0.60 0.55 0.50 0.45 0.40 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 0.05 LCFS ◎◎◎ ◎◎◎ ◎ ◎◎ ◎ ◎◎◎ ◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎ ◎◎ ◎◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎ ◎◎ ◎◎◎◎◎ ◎◎ ◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎ ◎ ◎◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ 2.7 3.0 3.3 ◎◎ ◎◎◎◎ ◎ 3.6 R (m) ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎ ◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎ ◎ ◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎ ◎ ◎◎◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎ ◎◎◎◎ ◎◎◎ ◎◎ ◎◎◎ ◎◎ ◎◎ 3.9 4.2 4.5 Re-entering粒子に対する荷電交換の影響 ○Protonと水素原子との荷電交換についてのみ考慮 ○水素原子はカオス磁力線領域にのみ存在 水素原子との荷電交換の断面積 荷電交換の断面積 CROSS SECTION (m2) 10-18 :断面積(cm2) :Protonのエネルギー(eV) 10-19 10-20 10-21 (A. C. Riviere : NUCL. FUSION vol.11 (1971) 363) 1 荷電交換の平均自由行程 :断面積(m2), :密度(m-3) 10 ENERGY (KeV) 100 Re-entering(通過粒子) 1.5 B = 0.5 T, b = 3.2 % c = 2p/20 磁力線 粒子 Initial Point 1 r 0.5 0 -0.5 -1 -1.5 -1.5 LCFS -1 -0.5 0 r 0.5 1 1.5 テスト計算1(衝突オペレータのみと開発したコードの比較)の結果 衝突オペレータ 開発したコード 速さ-分布関数 ピッチ角-分布関数 6.0x10^16 1.6x10^14 解析解 1.4x10^14 5.0x10^16 1.2x10^14 4.0x10^16 1.0x10^14 8.0x10^13 3.0x10^16 6.0x10^13 2.0x10^16 4.0x10^13 1.0x10^16 2.0x10^13 0.0x10^0 0.0x10^0 0 5 緩和時間 10 15 20 25 開発したコード 16.2 ms 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 衝突オペレータのみ 16.2ms 1