ベッドサイドでの 血液ガスの読み方

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Transcript ベッドサイドでの 血液ガスの読み方

私の論文の読み方
諏訪邦夫[email protected]
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2000年小児麻酔学会早朝講義
判らないこと:文献を何故読む
か
1. 「研究をして論文を書きたいから」か
2. 「臨床医としてよい医療をしたいから」か
3. 「知的興味から」か
4. 指導医試験に通るようにという方も?
• 大抵はその「全部」だが,重みが違う?
• 麻酔科・麻酔学の特殊性は?
– 大学以外の指導者層の発言力が弱い?
– 小児麻酔の領域は一寸特異かも
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話しの内容
1. Anesthesia Antenna の経験
本を書いた経験
2. 基本の態度
3. 原論文の選び方と読み方
4. 一寸異なる勉強法:OCRで勉強
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Anesthesia Antenna の経験
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季刊(年4回)→最近年2回発行に減った
論文24篇、うち12篇は特集
タイトルと要旨であたりをつける
要旨の訳だけで済ます時もあるが・・・・・
翻訳ソフトはまったく訳に立たない
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Anesthesia Antenna の経験:
「要旨」は何故読み難いか?
• 文章が凝っている,挿入句が多い
• 複雑な構造の文章が多い
• 文体も内容も論文毎に異なるから,「リズム
に乗って読む」ことがない
• 内容自体がもちろん難解
• でも難解だからこそ意味がある?
– 「わかり易い」「やさしい」ことを学んでもムダ?
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要旨とパソコン翻訳
• 何度試みても役に立たない
– 書籍の翻訳には有用(後述)
• 英文要旨のパソコン翻訳が不可能な理由
– パソコン翻訳は内容が理解できれば有用
– 要旨の文章は凝っている
– 内容が一つずつ違う,知らないことも多い
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「要旨」をこなすには
• 類似内容のものをまとめて読む
– 用語やリズムが共通しやすい
• いろいろ読まない
• 難解なものは「遠慮なく」とばす
– 要旨から基礎は学べない!
– 基礎が必要なら解説か教科書を読もう
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基本的態度:なるべく読まない!
• We do not read books. We write them!
• なるべく原論文を読まない!
• 他人の知恵を借りて「解釈」も一緒に
– 「意義,意味」がわかると読みやすい
• 基本的情報,寿命の永い情報を身に付ける
• ハンドブックや教科書に頼る
• あとは「考える」「推測する」
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原論文への態度
1. テーマでまとめて読む
コピーを多数集める.一つ読めば次ぎは読み易い
2. 新着雑誌は読まずに「眺める」
3. 特定の論文を「今すぐ読んでおくべき」
可能性は極端に低い.
4. 「是非必要」なら,「必要な時に読む」
後で読む機会がないなら→不要なのだ!
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コピーをまとめて読む
• テーマが決っていると読みやすい
– 論文一つ読むのは大変だが,論文が20あれば
三つめから読みやすくなる!
– あらかじめ解説を読んでおくのも
• 達成感・克服感:「これで身に付けたぞ」
• Anesthesia Antenna の特集や古典でよく使
う方法
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原論文一つの読み方
1.「原論文一つだけ」はなるべく避ける
2. 読む場合は
要旨→図表→結果の順序?
「序」と「考察」は原則として「拾い読み」
3. 手間をかけるなら,メモをとり書き込みも
4. 読むならコメントが書ける位に丁寧に
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雑誌一冊の読み方(眺め方)
• 5分で読む:目次だけ眺め本棚かごみ箱へ
• 1時間で読む:タイトルと要旨の結論だけ
– 一部は切りとって丁寧に読む
• 雑誌一冊に時間をかけない(かけられない)
• 「理解する」努力は放棄!
– 山ほどの情報を「身に付ける」のは不可能
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PubMedは?インターネットは?
• インターネットの最大の欠点は「速度」
• 「通信速度」ではなくて,「何でも手に入るか
ら,何でも探そう」として,時間をかける
• つまり「情報が多過ぎる」
• テーマを先に決めて接続
• 時間を先に決めて接続
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本を書いた経験
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しっかり理解して書く
少なくとも「わかりやすい本」は書けない
自分の知識や認識で骨格を作る
一寸の不足なら→書いてから一寸補う
不満だらけなら→実力不足と諦める
「調べて書く」は不可能:
– 時間と手間とエネルギー → 結局書かないまま
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一寸変わった勉強法:OCR
対象は
• しっかり勉強したいこと
• 何度か挑戦して身に付かない経験
手順は
• OCRで読み取る
• 間違いに丁寧に手を入れて一字一句読む
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OCR学習法:きっかけと経過
• 「青空文庫」へのボランティア
• 小説をこの方法で読んで,手間と時間は
かかったが楽しかった
• 勉強への利用に思いつく
• 理工学領域のことに応用
• 翻訳への応用
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OCR学習法:意義と問題点
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「書いて学ぶ」,「写して学ぶ」に類似?
「正面攻撃」でダメなことを「搦め手から」
結果がパソコンに入る:重要ではない
手間と時間がかかる:応用範囲は限定
周辺領域の勉強に有効
– 基礎知識の不足の多い領域?
• 指導医試験の勉強に? 一部の領域?
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OCR翻訳法:あまり教えたくない?
• OCR学習法を翻訳に実際に利用
• 手順は「学習法」と同じだが,「翻訳ソフト」を
使用する(Nova製:「翻訳ピカイチ」)
• 全体の手間やエネルギーは結構かかるが
• 「頭を使う苦労」より「作業」が多くて気楽?
• 細切れの時間を使い易い
• 全体としては,おそらく圧倒的に高速
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翻訳ソフトの実用性
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翻訳ソフトは「要旨の翻訳」には無力だが
本1冊なら強力な武器
価格は数千円.速度は本1冊を20分で訳す
英文テキストの整頓が大変(I,1,lの見分)
– だから原文が電子化されていれば簡単?
• 翻訳文はもちろんデタラメ
• 「漢字入力の必要減?」,「並べ替えで済む?」
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おわりに
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勉強は手を変え品を変え
楽しみながら,遊びながら
パソコンは絶対!
若い人は「苦しむ」必要もあるだろうが
– 「ムダに苦しむな」「有効な努力」を
– 「苦しむ」なら価値あることに
– 通りぬければ楽しい,例は語学やパソコン
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