① 災害補償の概要

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Transcript ① 災害補償の概要

災害補償制度の概要
平成21年8月21日
地方公務員災害補償基金
富山県支部
災害補償制度とは
○ 地方公務員が公務上の災害(負傷、疾病、障害又は死亡)又は通勤による災害
を被った場合に、その損害によって生じた身体的損害を使用者である地方公共団
体がその責任において補償し、必要な福祉事業を行い、職員及びその遺族の生
活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする制度。
(地方公務員災害補償法第1条)
地方公務員災害補償基金
・常勤の地方公務員が公務災害又は通勤災害を受けた場合に、被災職員の
属する地方公共団体に代わって補償の実施にあたる専門機関。
・昭和42年に設置。本部は東京都に、支部は各都道府県及び政令市に設置。
基金設置以前の地方公務員の災害補償制度は、
○統一的な補償制度の定めがなく、各地方公共
団体が独自の定めや労働基準法の定めにより
補償を実施。
○地方団体間や同一団体内の職員間で補償の
認定や水準に差異。
○民間労働者及び国家公務員との均衡を図り、
その制度を統一整備するため地方公務員災
害補償法が昭和42年に制定。
○全国的見地からの統一的、専門的運用を確
保し、補償の迅速かつ公正な実施を行うため、
地方公務員災害補償基金が設置。
災害補償制度の特徴
① 使用者に無過失責任が課されていること
② 補償対象は身体的損害のみであること
③ 定型的・定率的補償であること
④ 請求主義であること
⑤ 補償は基金が行うこと
⑥ 補償は地方公共団体からの負担金で賄
われていること
災害補償制度の特徴
①使用者に無過失責任が課されていること
→
災害補償制度は、使用者の無過失責任主義をとり、地方公共
団体に過失がなくても補償義務が発生する点で、民法上の損害
賠償とは異なる。
② 補償対象は身体的損害のみであること
→ 災害補償制度により補てんされる損害は、専ら身体的損害に
限られており、物的損害や精神的損害(慰謝料)は対象とならな
い。
災害補償制度の特徴
③ 定型的・定率的補償であること
→
損害補償の額は、実損害額そのものではなく、平均給与額を基
準とした定型的、定率的な方法により算定。(一部の補償を除く。)
また、被災職員の過失に応じた減額(過失相殺)はないが、職に
従わない場合には、休業補償等の全部又は一部の支給を行わない
ことができることになっている。
④ 請求主義であること
→
災害補償制度では、補償の実施は、補償を受けようとする者から
の請求に基づいて行われることとされている。従って、被災職員等
が補償を受けるためには、各種の請求手続きを行う必要がある。
災害補償制度の特徴
⑤ 補償は基金が行うこと
→
災害補償責任は、本来的には地方公共団体に存するものである
が、迅速かつ公正な補償を統一的、専門的に実施するために地方
公共団体に代わって基金が補償を行う。これにより、地方公共団
体の補償責任は基金に移り、その限りで地方公共団体は免責され
ることになる。
⑥ 補償は地方公共団体からの負担金で賄われて
いること
→
地方公共団体は、職員の給与の総額に職種ごとに決められた負
担金率及び理事長が定める率をそれぞれ乗じて算出される金額を
負担金として基金に納付することとなっている。この負担金が、補償
や福祉事業の財源となっている。
補償される災害の種類
地方公務員災害補償制度
公務(上の)災害
○勤務時間中に起こった災害全てが公務
災害として認められるわけではない。
<公務災害として認められる要件>
公務遂行性 ・・・
公務に従事し、任命権
者の支配管理下にある
ときの災害かどうか。
公務遂行中の負傷は、それが故意によるものや本
人の素因によるもの等を除き、原則として公務上の
災害と認められます。
公務起因性 ・・・
公務と災害との間に相
当因果関係があるかど
うか。
脳出血、心筋梗塞等の疾病については、その発症
が明らかに公務に起因する場合(相当因果関係があ
る場合)のみ、公務上の災害と認められます。
通勤災害
○勤務のために
① 住居と勤務場所との往復
② 勤務場所から他の勤務場所への移動
③ 単身赴任者の赴任先住居と帰省先住
居間の移動
を合理的な経路及び方法により行うことに
起因する災害
このため・・・
移動の経路を「逸脱」又は「中断」した場合
は通勤災害と認められない。
逸脱・・・通勤とは関係のない目的で合理的な経路
からそれること。
中断・・・合理的な経路上で、通勤目的から離れた
行為を行うこと。
ただし、その逸脱・中断が日用品の購入、その他これに準ずる
日常生活上必要な行為であり、やむを得ない事由により行うた
めの最小限度のものである場合には、経路に復した後の災害
については通勤災害として扱われる。
災害補償制度の適用関係
職種
常勤
職員
一般職
全職員
地方公務員災害補償法
再任用短時間勤務職員
地方公務員災害補償法
常勤的非常勤職員
非
常
勤
職
員
特別職
地方公務員災害補償法
議会、行政委員会の委員、地方公
共団体の付属機関の委員、統計調査
臨 員等他の法令の適用を受けない者
時
職 労働基準法別表第1に掲げる
員 事業以外の事業に雇用される者
等 水道、交通、清掃、病院、学校など
労働基準法別表第1に掲げる事業に
雇用される者
地方公務員災害補償法に基づく条例
労働者災害補償保険法
船 員
消防団員・水防団員
学校医、学校歯科医
及び学校薬剤師
1年目は労災
2年目以降は
公務災害へ
労災法の対象とならない場合
には条例
船員保険法
平成22年1月1日からは、
再任用短時間職員は法へ、
臨時職員は条例又は労災法へ
消防組織法、水防法及び消防
団員等公務災害補償等責任
共済等に関する法律
公立学校の学校医、学校歯科
医及び学校薬剤師の公務災害
補償に関する法律
認定件数の推移
公務災害認定件数
300
200
229
276 256 293 284
29000 28849
28387 28195
28000
富山県
100
0
公務災害認定件数
27346
27000
26000
H16 H17 H18 H19 H20
H16 H17 H18 H19 H20
通勤災害認定件数
通勤災害認定件数
20
15 13
10
5
0
17
14
H16 H17 H18 H19 H20
2995
3000
19
18
全国
2800
富山県
2695
2696 2725
2600
2400
H16 H17 H18 H19 H20
全国
職種別災害発生状況 (本県分)
平成20年度
8
35
62
9
10
看護師
その他の教育公務員
警察官
その他の一般事務職員
医師・歯科医師
調理員
消防吏員
その他の一般技術員
養護学校教員
清掃業務員
その他
13
19
54
19
平成19年度
8
32
64
11
12
15
15
59
21
21
56
20
41
警察官
看護師
その他の教育公務員
調理員
消防吏員
その他の一般事務職員
医師・歯科医師
その他の技能労務職員
清掃業務員
その他の一般技術員
その他
平成18年度
8
33
58
9
12
14
15
54
16
21
43
警察官
その他の教育公務員
看護師
その他の一般事務職員
調理員
消防吏員
医師・歯科医師
その他の技能労務職員
保育所保育士
清掃業務員
その他
事故別災害発生状況 (本県分)
平成20年度
10
11
13
29
53
17
切れ・こすれ
転倒
汚染血液による事故
無理な動作
はさまれ
激突
転落
飛来・落下
激突され
交通事故(道路)
その他
48
17
20
平成19年度
44
43
9
16
41
20
20
36
24
26
35
36
切れ・こすれ
無理な動作
汚染血液による事故
転倒
はさまれ
転落
激突
激突され
交通事故(道路)
飛来・落下
その他
36
平成18年度
54
60
4
6
10
11
13
50
21
22
32
汚染血液による事故
転倒
無理な動作
切れ・こすれ
転落
交通事故(道路)
飛来・落下
はさまれ
激突
激突され
その他
補償・福祉事業の実施状況
千円
補償・福祉事業の推移
350,000
432件
295,959
300,000
250,000
388件
238,972
409件
239,899
455件
231,413
416件
190,758
441件
203,451
200,000
150,000
福祉事業
遺族補償
障害補償
傷病補償年金
療養補償
100,000
50,000
0
平成1 5 年 平成1 6 年 平成1 7 年 平成1 8 年 平成1 9 年 平成2 0 年
年度
おわりに

災害補償制度の目的を達成するためには、
公務災害または通勤災害の認定請求手続
きが速やかに、かつ、正しく行われることが
必要。

そのためには、所属、任命権者及び支部の
それぞれの段階での各実務担当者の方々
の補償、福祉事業の仕組みの理解が不可
欠。