履歴情報を用いた 英単語学習ツールの開発

Download Report

Transcript 履歴情報を用いた 英単語学習ツールの開発

2008年2月9日 公聴会@信州大学若里キャンパス
履歴情報を用いた
英単語学習のサポート
信州大学
工学系研究科 情報工学専攻
海尻・海谷研究室
06TA545C
大島 弘美
発表内容
•
•
•
•
•
•
•
研究の背景
言語習得と単語学習
システムの実装
システムの評価
考察
まとめ
今後の課題
研究の背景
• 国際化が進むに連れて英語学習の必要性が高まっ
ている
• 小学校・中学校・高校・大学で英語教育に重点が
置かれている
• 言語の学習法は進歩しているが,単語学習も進歩
が必要
• それをサポートするシステムを提案する
第一言語習得(母語)
人間には,生得的に言語を作り出す機能
備わっている → 人間は言語が使える
後天的に獲得するのは「単語」
言語獲得は「ある時期」(臨界期)を過
ぎると困難になる
第二言語習得(外国語)
言語習得には最適な時期がある(敏感期)
敏感期を過ぎての学習では発音に関して
習得は難しいが,その他の言語習得要素
ある
文法や語彙に関しては敏感期に関わらず
意識的な学習で学習効果が期待できる
中学校・高校で学習する語彙数
学習指導要領に基づく中学校・高等学校英語教科書で
学習する語彙数
学習語彙数
1980年代
1990年代
2000年代
中学校
900~1,050
語
1,000語
900語
高等学校
1,400~1,900
語
1,900語
1,800語
合計語彙数
2,300~2,950
語
2,900語
2,700語
200語減少
文部科学省学習指導要領
必要な語彙数は?
• 自然なままの英語を理解するには?
→ 3,000語
• 学術的なテキストを大学で学ぶには?
→ 10,000語
Schmitt, N. 2000 “Vocabulary in Language Teaching”
単語は必須だと思う?
大学生45人,20代から50代の社会人38人
合計83名を対象にアンケート
1%
0%
1. évǧ
2. évÇÌǻǢ
3. Ç«ÇøÇÁ
Ç²Ç ‡åæǶǻǢ
99%
単語は何を使って調べる?
大学生45人,20代から50代の社会人38人
合計83名を対象にアンケート
1%
12%
22%
1. àÛç¸ é´ èë
2. ìd éqé´ èë
3. webé´ èë
4. é´ èë É\ÉtÉg
65%
現在の辞書
• 印刷辞書
調べた単語にマークをつけることができる
• 電子辞書
インクリメンタルサーチ機能がある
検索履歴と検索回数が
正確に残されていない
1文字入力するごとにその文字列に合ったデータ
の検索
• Web辞書
以前のキャッシュが残されている
この単語を調べたのは
何回目?
印刷辞書
• 印刷辞書
調べた単語にマークをつけることができる
次回,調べたときに既に調べたことがあるとわかる
2回目目に調べた
単語には星印をつけ
よう!
調べた単語を書き出して,
単語帳を作成
電子辞書とweb辞書
• 電子辞書 インクリメンタルサーチ機能がある
• Web辞書以前のキャッシュが残されている
検索
検索履歴と回数が
残せていない
検索結果
何度も調べてしまう単語はある?
大学生45人,20代から50代の社会人38人
合計83名を対象にアンケート
5%
2%
1. džÇÈ
2. ǻǢ
3. ÇÌÇ©ÇÁ
ǻǢ
93%
調べた単語はどうする?
大学生45人,20代から50代の社会人38人
合計83名を対象にアンケート
6%
27%
1. ÉäÉXÉgÇ ¾
çÏ ê¨ ÇµÇ ƒäoǶÇÈ
2. ì¡ Ç…
âž Ç‡ÇµÇ »Ç¢
3. ǪÇÃëº
67%
Web辞書の改良
• Web辞書は色々な機能をつけることが可
能なはずなのに検索日時や検索回数が残
されていない
• 辞書で単語を調べたままで放置状態
履歴を利用した単語学習システムが必要
履歴回数・日時
単語学習には検索した回数や日時等を履歴とし
残すことが有効
• 検索回数を知ることは?
→ 学習者にとって覚えにくい単語を導き出せる
• 検索日時を知ることは?
→ 検索時の状況を記憶再生
学習すべき単語の効率的な収集方法
• 辞書を引くたびに単語を記録することで,学習
者が知らない単語を収集できる
→収集した単語で,学習スケジューリングをシス
テムで管理
システムの実装
Webブラウザ
FeedFetcherGoogle
辞書サービス
gadget
HTTP サーバ
gadget
辞書API
履歴
データベース
システムの開発環境
・開発環境
クライアントサイド:
Google Gadgets, JavaScript, Jquery, (X)HTML+CSS
サーバサイド:
PHP5, SQLite3, pound, lighttpd, Debian GNU/Linux
ASP:
イースト辞書Webサービス http://www.btonic.com/ws
システムの仕組み
・辞書API
文字コード:UTF8
利用者を識別するために,ユーザ名(u)とパスワード(p)を用いている。運用上の
利便性のため,uとpはそのままインターネット上へ流している。従って,今回
のシステムにおいてはセキュリティ上の配慮はしていない。
以下の3種類のオペレーション(0)を用意している。
1.
辞書検索(0)
:英単語(w)に対する辞書の記述を返す
2.
時系列の履歴取得(1)
:オフセットインデックス(i)と取得サイズ(s)
3.
回数順の履歴取得(2)
:オフセットインデックス(i)と取得サイズ(s)
システムの利用方法1
ガシェットの追加
「検索履歴付き英和辞書」が追加
システムの利用方法2
ユーザ名とパスワード入力
時系列
CSV
英単語検索
回数順
モデルとシステムの評価方法
• システムを使用したユーザにアンケート
をとりシステムの受入れ度を計る
• 4人の英語学習者に10日間,使用しても
らった
• TOEIC 向け問題集からReading Section
問題を抜粋
学習者によるシステム評価1
マイナス意見:
• 毎日の課題を解くことで精一杯となり,検索を振り返る
ことなく,単語を検索していた
プラス意見:
• 自分の検索した単語が履歴として蓄積されるので有益
• 自分で単語帳作成ができるので,単語記憶に便利
学習者によるシステム評価2
学習者全員が検索した5つの単語
•
•
•
•
•
authorized
assume
candidate
towed
violate
考
察
• 検索履歴が自動的に蓄積されるのは単語暗記に役立つ
→自分の苦手単語を明確にできる
• 全ての学習者が検索した単語を収集できる
→学習者にとっての未習得単語や苦手単語を導き
だすことが可能となり,焦点を絞った単語学習
ができる
ま
と
め
• 調べたまま放置されていた単語を有効に活用できる可能性が確認
できた
• 履歴付き英和辞書を使用するのに最適な学習者は中級者以上であ
ると考えられる
• 学習者ごとにプロファイリングし,履歴を有効活用することが英
単語学習に限らず重要である
今後の課題
• 収集した履歴から英単語学習問題を生成する
• 検索履歴を把握することで苦手語を克服でき
るか実証する
• 収集した履歴から日本人学習者にとって苦手
とする単語を導きだす
• 苦手語を克服するためサポートする
複数のオンライン辞書を検索
OneLook
http://www.onelook.com/
ビジュアルで意味&類義語を調べられる
『VISUWORDS』
http://www.visuwords.com/