Transcript 人工知能
人工知能 (Artificial Intelligence) Lecture 1 鳥取大学工学研究科 情報エレクトロニクス専攻 田中美栄子 What’s AI? • http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/whatsai/ • 人工知能って何? • 人工知能の研究には二つの立場がある. (1)人間の知能そのものをもつ機械を作ろう (2)人間が知能を使ってすることを機械にさせよう 実際の研究のほとんどは後者の立 場にたっている. ゆえに,人工知能の研究といっても 人間のような機械を作っているわ けではない. では何をしているのか? • 例1:「推論」 =「知識をもとに,新しい結論を得ること」 • 例2 : 「学習」 =「情報から将来使えそうな知識を見つけること」 知識をもとに推論する 五目並べ • 「知識1」=自分の色(黒か白)が4つ並び、その片端 が空いている時、そこに置けば勝てる • 「知識2」=相手の色が4つ並び、その片端が空いて いるとき、そこに置かなければ次負ける • 「知識3」=自分の色が3つ並び、その両端が空いて いる時、そのどちらかに置けば次の次、勝てる • 「知識4」=相手の色が3つ並び、その両端が空いて いる時、そのどちらかに置かなければ次の次の次、 負ける 知識の発見 • 1人目のお客:パン,おにぎり,牛乳 • 2人目のお客:牛乳と新聞 • 3人目のお客:お弁当とお茶 • 4人目のお客:パン,牛乳,ガム 共通点はあるか?→全員が買ったものは、ない 商品の相関、あるものを買ったら別のものも買う →「パンを買ったら牛乳も買う」(知識発見!!) 人工知能の変遷 • 人工知能学会のホームページを見よ • 常に動き続けているが、1987年頃にトレンド が変化 • 古い部分(自然言語処理、エキスパートシス テム、ビジョン、ロボット)も進化し続けている • 新しい部分(学習理論):一番ホットな研究が 行われている部分 • 保守的には「古い部分」のみを指す 本講義では • 古い部分は教科書に学び、探索、計画、他 • 新しい部分(機械学習)からはその原点であ るニューラルネットワークとその周辺について 解説する 人工知能研究 • 人工知能(AI)とは知能のある機械 • しかし,実際のAIの研究ではこのような機械 を作る研究は行われていない • 強いAI :本当に知能のある機械 • 弱いAI:知能があるようにも見える機械(人間 の知的な活動の一部と同じようなことをする) • AI研究のほとんどはこの弱いAI Weak AI(弱い意味でのAI) e.g. 1.遺伝アルゴリズム - genetic algorithm - • 二つの親の特徴が子に混ざり合って遺伝す る原理を利用した問題解決の手法. • 探索,機械学習やプランニングを実現する方 法として利用されている. • 遺伝アルゴリズムの原理を用いてプログラム を生成する遺伝プログラミング(GP). • 生物集団の進化の過程や,生体内の活動を シミュレーションする人工生命(ALIFE). e.g.2~5 2. エキスパートシステム- expert system - 専門家の知見をルールとして蓄積し,推論の手法を用い て問題を解決するシステム 3. 音声認識 - voice recognition - マイクに向かって話した内容をコンピュータに理解させる 研究.カーナビゲーションなどのシステムで実用化.車 内などの限定された状況以外での認識を可能にしたり, 誰が話しているのかを特定する研究などに発展 4. 画像認識 -image recognition - カメラなどで撮った内容をコンピュータに理解させる研究. コンピュータ内にある絵の内容を理解させる画像理解と, 絵の明るさや色調(例えばデジタルカメラのセピア調な ど)を変えたりする画像処理とに大別.画像処理は実用 化されているが,画像理解はまだ研究段階. 5. 感性処理 - kansei information processing - 認知科学や人間工学の知見をもとに,感じが暖かいとか 冷たいといった感覚をコンピュータ上に実現しようとする e.g.6~9 6. 機械学習 - machine learning - 観測センサーやその他の手段で収集されたデータの中 から一貫性のある規則を見つけだそうとする研究.数 学の統計の分野と強い関連.また,機械学習はAIの他 のほとんどの分野で利用されている. 7. ゲーム - Game - 人間とのゲームをコンピュータにさせようとする研究. チェスチャンピオンとの対戦など 8. 自然言語処理 - natural language processing - ふつうの文章に何が書かれているか,その意味内容を コンピュータに理解させる研究.音声認識や情報検索 の分野に応用 9. 情報検索 - information retrieval - 蓄積されたデータの中から人間が必要とするものを見 つけだす技術.WWWの検索エンジンなどで活用 e.g.10~13 10. 探索 - search - データの集まりから条件に合うものを見つけだす手法. データの数が多く,条件が複雑なので様々な工夫が必 要.機械学習や推論の基盤となる技術. ⑪ 知識表現 - knowledge representation - 知識を,コンピュータの中で,的確に内容を表し,効率 よく蓄積する方法についての研究. 12. データマイニング -Data mining - データベース技術と機械学習が結びついた技術で,大 量の整理されていないデータから役に立つと思われる 情報を見つけだす手法.例えば,ネット上で買い物をす ると,あなたの趣味にあったおすすめ品が示されること があるが,今までの買い物のデータをもとに顧客の好 みをデータマイニンングによって調べている. 13. ニューラルネット - neural net - 生物の神経を元にした手法.機械学習の有力な手法と して発展し,AIの各分野で活用. e.g.14~17 14. ヒューマンインターフェース - human interface - 人間が,より簡単にコンピュータなどの装置を操作でき るようにするための研究. 15. プランニング - planning - 目的のために,物事をどのような順序で行えば良いか を決めるための手法. 16. マルチエージェント - multi-agent - 簡単な問題を解決できるエージェントがたくさん集まっ て,複雑な問題を解決しようとするもの.自然界の生物 の集団や,金融市場でのディーラの振る舞いを調べた りするのに利用. 17. ロボット - robot - 機械工学と人工知能研究の結びついた研究. ロボットをどう動かせばよいかは,AIの各分野の手法を 応用. 人工知能の歴史 人工知能の夜明け(~1956) 古き良き人工知能(1957~1969) 現実からの反撃(1970~1979) 人工知能の産業化(1980~1988) 現在そして未来の彼方へ(1989~) その後 人工知能の夜明け(~1956) 1921年, K.Capek(カレル・チャペック)が“R.U.R. (Rossum‘s Universal Robots)”という劇を発表. 1943年 , W.McCullochとW.Pittsが ロボット という言葉が初めて出現. “A Logical Calculus of the Ideas Immanent in Nervous Activity”を出版. 1943年 , A.Rosenblueth,N.Wiener,J.Bigelowが 論文で“サイバネティクス”という言葉を用いた. 1945年, V.Bushが “As We May Think”を出版 将来,コンピュータが人間の活動を補助することを予見した. 人工知能の夜明け(~1956) 1946年, J.P.EckertとJ.W.Mauchlyが ENIACを開発. (世界最初の汎用電子計算機) ロボット三原則 一.ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、 その危険を看過することによって、人間に危害を 1950年, J.von Neumann(ノイマン)が不可能であるとされていた 及ぼしてはならない 自己再生可能な機械を,29種のセルを用いて可能にする 自己増殖オートマトンを呈示. 二.ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなけ ればならない。ただし、あたえられた命令が、第 1950 年, C.Shannonが探索問題としてのチェスの解析を行う. 一条に反する場合は、この限りでない 1950 年, I.Asimov (アイザック・アシモフ)がロボット三原則を発表. 三.ロボットは、前掲第一条および第二条に反するお それのないかぎり、自己をまもらなければならな い 人工知能の夜明け(~1956) 1951年, M.MinskyとD.Edmondsが, 40個のニューロンをシミュレートするSNARCを制作. 1955年, 手塚治虫の鉄腕アトムが出版. 1956年, ダートマス会議にてJ.McCarthyにより “Artificial Intelligence(人工知能)”という言葉が使われ, A.Newell,J.C.Shaw,H.Simonによって, 最初のAIプログラム“Logic Theorist”のデモが行われた 人工知能の歴史 人工知能の夜明け(~1956) 古き良き人工知能(1957~1969) 現実からの反撃(1970~1979) 人工知能の産業化(1980~1988) 現在そして未来の彼方へ(1989~) その後 古き良き人工知能(1957~1969) • この初期の時期のAIの研究は成功の連続.それま で,単なる計算しかできなかったコンピュータが少し でも知的なことができるのは驚異的なことでAIの春 ともいうべき時期.この時期のAIは明示的に記号で 表された論理を基盤に成立していて,今では少し否 定的な意味を込めて「Good Old Fashioned AI(古 き良き人工知能)」と呼ばれている.この時期,順調 に成果を上げていた人工知能研究だが,1969年に は最大の難問「フレーム問題」がJ.McCarthyと P.J.Hayesによって指摘される. 古き良き人工知能(1957~1969) 1957年, (A.Newell,J.C.Shaw,H.Simonが, General Problem Solverを作成 1957年, J.Backusが最初の高級言語FORTRANを開発. 1952-62年, A.Samuelがチェッカーというゲームを行う プログラムを作成,世界チャンピオンに挑戦するまでに 1958年, J.McCarthyがLISP言語を開発. 1958年, J.McCarthyがAdvice Takerを作成. (動作中でも新たな公理を受け入れることができるため, 新しい問題に対しても再プログラムが不要な,初めて の本格的AIシステム.) 古き良き人工知能(1957~1969) 1958年, Friedbergが機械進化(現在の遺伝的アルゴリズム)の 実験を行う 1959年, H.GelernterとN.Rochesterが,幾何的な定理証明を行う プログラムを作成. 1950末-1960初年, M.Mastermanが,機械翻訳に 意味ネットワークを使用. 1960年, B.WidrowがHebbのニューラルネットの学習則を拡張. 1961年, J.Slagleが最初の記号積分を行うプログラムSAINTを作成. 1962年, 最初の工業ロボット企業Unimation創設. 古き良き人工知能(1957~1969) 1962年, F.RosenblattがB.Widrowのニューラルネットを パーセプトロンと呼び,その集束定理を示した. 1963年, T.EvansがIQテストで行われるのと同様の幾何類比問題 を扱うプログラムANALOGYを作成. 1963年, I.Sutherlandが対話的なグラフィックの利用を コンピュータに導入したスケッチパットの論文を発表. 1963年, E.A.FeigenbaumとJ.Feldmanが, 最初の人工知能全般についての本 “Computers and Thought”を出版. 1964年, D.Bobrowが,代数の文章題を解くのに十分な 自然言語の理解がコンピュータに可能なことを示した. 古き良き人工知能(1957~1969) 1964年, B.RaphaelがQ&Aシステムでの知識の論理表現の 能力を示したSIRプログラムを発表. 1965年, J.A.Robinsonが, 機械的な証明手続き Resolution Methodを発明. 形式論理によってプログラムが効率よく実行できるようになる. 1965年, J.WeizenbaumがELIZAを開発. 英語でいろいろな話題について会話ができるプログラムで, 精神科医をまねたバージョンはネットワーク上で人気を集める 1965年, L.A.Zadehが, ファジー集合を提唱. 古き良き人工知能(1957~1969) 1966年, 最初のMachine Intelligenceワークショップの開催. 1966年, R.Quillianが意味ネットワークのデモを行った. 1966年, 機械翻訳に対する否定的なピアス勧告がでた. 機械翻訳研究に対する財政支援がうち切られ, 研究が停滞. 1967年, E.Feigenbaum,J.Lederberg,B.Buchanan,G.Sutherlandの DENDRALは,生体の化合物の質量スペクトルを解析した. 科学解析において成功した最初の 知識ベースのプログラム. 1967年, J.MosesのMacymaは数学において成功した最初の 知識ベースのプログラム. 古き良き人工知能(1957~1969) 1967年, R.Greenblattは知識ベースのチェスプログラム MacHackを制作.クラスCのトーナメントで対戦できた. 1967年, S.Amari(甘利)によるニューラルネットの バックプロパゲーションによる学習手法. 1968年, M.MinskyとS.PapertがPerceptronsを出版し 単層ニューラルネットであるパーセプトロンの限界を指摘. 1968年, B.RaphaelのSemantic Information Retrieval(SIR)システム. かなり,制限の強い部分英語による入力を理解できた. 古き良き人工知能(1957~1969) 1968年, D.C.EngelbartがON Line System(NLS)のデモを行う. マウスやビットマップディスプレイなど現在の インターフェースの基本的な要素が含まれていた. 1968年, N.WirthがPascal言語を開発. 1968年, A.C.Clarkeの小説「2001年宇宙の旅」が S.Kubrickによって映画化. 人工知能を搭載したコンピュータHAL9000が登場. 1969年, 軍事用ネットワークのARPA-net稼働 古き良き人工知能(1957~1969) 1969年, SRIrobotが移動能力,パーセプトロン, 問題解決を統合したデモを行う. 1969年, R.Shankは自然言語理解での概念依存モデルを定義. R.WilenskyとW.Lehnertは話の理解に, J.Kolodnerは記憶の理解に利用. 1969年, 第1回International Joint Conference on Artificial Intelligence (IJCAI)開催 1969年, J.McCarthyとP.J.Hayesが人工知能最大の難問 “フレーム問題”を指摘. 人工知能の歴史 人工知能の夜明け(~1956) 古き良き人工知能(1957~1969) 現実からの反撃(1970~1979) 人工知能の産業化(1980~1988) 現在そして未来の彼方へ(1989~) その後 現実からの反撃(1970~1979) • 1958年にH.Simonは10年以内にコンピュータはチェスチャンピ オンに勝利することや,新たな数学の定理が証明されることを 予見した.しかし,少数の例ではうまく動作した方法が大規模な 問題には適用できないことがこの時期明らかになる. • 浮上する三つの問題: 一つ目は初期のAIプログラムが単純な操作だけで動作し,対象 に関する知識を持っていなかったこと 二つ目は規模の問題.プログラムが原理的に解を持つことと,プ ログラムが実際に解を得ることができることは別. 三つ目は,知的構造を生み出すための基本構造の限界が指摘さ れた.それに対し,どんな問題でも解くことのできる汎用のシス テムではなく,対象領域の知識を十分に用いたシステムによっ て,これらの問題を解決する試みが行われた.しかし,これは 困難な問題を解くには,あらかじめその答えをほとんど知って いなくてはならない. 現実からの反撃(1970~1979) 1970年, J.Carbonellは,知識表現として 意味ネットワークを用いたコンピュータの補助による 説明用プログラムであるSCHOLARを発表. 1970年, B.Woodsは,自然言語理解の表現のために Augmented Transition Networksを利用. 1970年, E.F.Coddがリレーショナル・データベースを開発. 1970年, P.Winstonは,積み木遊びの世界で 例から概念を学習するARCHプログラムを発表. 1970年, 初めてJ.RobinsonとD.Walkerが有力な 自然言語処理のグループを創設. 現実からの反撃(1970~1979) 1971年, T.Winogradは積み木遊びで使われる英語を理解 するSHRDLUのデモを行う.これは英語で指示された通り にロボットアームを動かすことができた. 1972年, A.ColmerauerがPrologを開発. 1972年, S.CookとR.KarpがNP完全性の理論を発表. 1973年, ライトヒル勧告.組合せ爆発問題を指摘した勧告. イギリスで2大学を除きAI研究の補助金がうち切られる. 現実からの反撃(1970~1979) 1974年, T.ShortliffeがMYCINというシステムで, 医療診断の領域で,知識表現と推論を用いた ルールベースシステムの能力を示した. (最初のエキスパートシステム) 1974年, E.Sacerdotiは最初のプランニングのプログラム ABSTRIPSを作成. 階層的プランニングの技術を開発. 1975年, M.Minskyが,広く利用されている知識表現の方法である フレームを,スキーマやセマンティックリンクの概念と共に 発表. 現実からの反撃(1970~1979) 1975年, Meta-Dendralプログラムが化学分野で新規の結果を得る. コンピュータを用いた, 学会誌に載った最初の科学的発見. 1975年, Waltzが線画を理解する為の制約伝搬アルゴリズムを発表. 1975年, J.H.Hollandが遺伝アルゴリズムという言葉を 機械進化の代わりに用いる. 1970年中, B.Groszは伝統的AI手法の談話のモデル化についての 限界を呈示.Grosz,B.Webber,C.Sidnerが, centeringの概念を用いて,自然言語処理において 談話と前方照応参照に注目 現実からの反撃(1970~1979) 1970年中, D.Marrが“primal sketch”を示し,視覚パーセプトロン でのその役割を示した. 1970年中, A.KayとA.GoldbergがSmallTalk言語と,現在のGUIの 原型となるAltoを開発.オブジェクト指向プログラミングとグラ フィカル・ユーザー・インターフェースを確立. 1976年, Ethernetの開発. 現実からの反撃(1970~1979) 1976年, D.LenatのAMプログラムは発見モデルのデモを行った. 1976年, R.Davisがメタレベル推論の能力を示した. 1978年, C.Langtonにより人工生命の研究が始められた. コンピュータの中で生命の活動や進化の シュミレーションを行う試み. 1978年, B.W.KernighanとD.M.RitchieがC言語を開発. 1978年, T.MichellがVersion Spaceを発表. 概念形成プログラムの探索空間について述べた. 現実からの反撃(1970~1979) 1978年, M.StefikとP.FriedlandのMOLGENプログラムが知識を オブジェクト指向で記述し,遺伝子複製の実験に応用した. 1979年, B.Van MelleはMYCINの知識表現と推論を一般化した EMYCINプログラムを開発.多くのエキスパートシステムシェ ルの原型となる. 1979年, J.MyersとH.PopleはINTERNISTを開発.これは Dr.Myers'clinical knowledgeに基づく医療診断プログラム. 1979年, C.Green,D.Barstow,E.Kantらは自動プログラミングの CHIシステムのデモを行う. 現実からの反撃(1970~1979) 1979年, H.MoravecがStanford Cartを開発.最初のコンピュー タ制御の自律した車で,椅子のたくさんおかれた部屋や,ス タンフォードのAI研究所を周回することができた. 1979年, D.McDermott,J.Doyle,J.McCarthyが非単調論理と truce mentenanceの形式的な側面についての研究の発表を 始めた. 1979年, 最初の表計算ソフトVisicalcがD.Bricklinによって開発さ れる. 1979年, T.Truscott,J.Ellis,S.BellovinらによりUSENETの稼働 人工知能の歴史 人工知能の夜明け(~1956) 古き良き人工知能(1957~1969) 現実からの反撃(1970~1979) 人工知能の産業化(1980~1988) 現在そして未来の彼方へ(1989~) その後 人工知能の産業化(1980~1988) 商用のデータベースシステムが開発されるようになった. 日本で第5世代プロジェクトが開始され,それによる AIへの関心の高まり,日本がAI研究で優位に立つ危 惧などから,各国でAI研究への補助や投資が活発に. 人工知能の産業化(1980~1988) 1980年, L.Erman,R.Hayes-Roth,V.Lesser,R.Reddyが, 黒板モデルについて発表.このモデルは 音声理解システムHEARSAY-IIで用いられた. 1980年, 第1回Conference of the American Association of Artificial Intelligence (AAAI)の開催. 1981年, D.Hillisが非常に並列性の高いコネクションマシンを設計. 1982年, 日本で第5世代プロジェクトの開始. 超並列で論理型言語を実行するコンピュータと 自然言語の理解などを目標とした 人工知能の産業化(1980~1988) 1982年, B.KahnやV.Cerfらが中心にTCP/IPプロトコルが完成 1983年, J.Laird,P.Rosenbloom,A.NewellがSOARを発表. 1983年, J.AllenがInterval Calculusを発明. 時系列事象の最初に幅広く用いられた定式化. 1984年, D.Lenat が常識をコンピュータに蓄積する CYCプロジェクトを開始. 1980年中, ニューラルネットのバックプロパゲーション・アルゴリ ズムが広く用いられるようになる 1986年, 日本人工知能学会の設立. 人工知能の産業化(1980~1988) 1986年, R.Brooksが, サブサンプション(包摂)アーキテクチャーを提唱. 1985年, H.Cohenの自動描画プログラムAaronのデモが AAAIで行われた. 1987年, M.Minskyが“Society of Mind(心の社会)”出版. 心を協調するエージェントの集団と考えた. 1988年, Pearlが信念ネットワークの定式化を行った. 人工知能の歴史 人工知能の夜明け(~1956) 古き良き人工知能(1957~1969) 現実からの反撃(1970~1979) 人工知能の産業化(1980~1988) 現在そして未来の彼方へ(1989~) その後 現在そして未来の彼方へ(1989~) 直観によらない厳密な理論や 確固とした実験事実をもとに 現実の世界の問題を対象とするように なった. 現在そして未来の彼方へ(1989~) 1989年, D.PomerleauがALVINN(An Autonomuous Land Vehicle in a Neural Network)を制作. 2850マイルのうち50マイルを除いてコンピュータ制御に よる運転によって大陸を横断した. (金出) 1989年, B.Artherが人工株式市場の構築を行った. 1989年, T.Berners-LeeがWorld Wide Webを開発. 1990年, J.R.Kozaが遺伝的プログラミング(GP)を開始. 1990初年, G.TesauroがTD-Gammonを制作. 強化学習によって強くなるバックギャモンの チャンピオンレベルのプログラム. 現在そして未来(1989~1999) 1990年中, データマイニング技術の誕生. 1997年, チェスプログラムDeepBlueがチェスチャンピオンに 勝利する 1997年, H.Kitano(北野)らが中心となり第1回のRoboCupが 開催された. 1999年, ロボットペットが発売された. 1990年末, WWWから収集した情報がAI技術を用いて 処理されるようになった. 人工知能の歴史 人工知能の夜明け(~1956) 古き良き人工知能(1957~1969) 現実からの反撃(1970~1979) 人工知能の産業化(1980~1988) 現在そして未来の彼方へ(1989~) その後 その後(1999~2005)、、、 1999年, ホンダの2足歩行ロボット発表 ソニーのペットロボット、AIBOが普及 ケータイ電話の急速普及 2004年, ATRからロボットキットの販売始まる 2005年, ICタグの普及へ 2005年, 生体認証の普及へ 2005年, 愛・地球博で大量のロボットが活躍 更にその後、2005-2009~ 製品(人形型:AIBO,アザラシ,ヒト型,…; ゲームソフト,将棋・チェス;文書作成,検索) 2013年, コンピュータ対人間の将棋において, 現役のプロ棋士との正式ルールでの対戦で初めて コンピュータが勝利 更にその後、2005-2009~ 学問的には • 計算知能(computational intelligence) • ロボット工学(Robotics) へ分化.様々な分野への応用 (例:社会工学:エージェント・シミュレーション) でもよく考えると、 • ヒトの知能を真似したものは少ない (ヒトは間違う)(ヒトは発想する) • ロボットは考えていない (ヒトに近い、と誤解できれば嬉しい) • 我々は何をしたいのか? • 機械に何をさせたいのか?(人知の補助?) • 機械が得意なもの(記憶,同じことをする)と 苦手なもの(新たな発想,異なる環境に対応)、