ブルウィップ効果

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第7回 ブルウィップ 効果
牛用の鞭の効果?
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【 Shortage Gaming 】
品物が不足時に必要以上に購入しようとすること。
<必需品が手に入りづらくなくなるとしたらどうする?>
この傾向が強まると甚大な パニック 状態になることもある。
事例:石油ショックなどが該当する。石油不足で、トイレット
ペーパーの買いだめ。東日本大震災時には、スーパー
やガソリンスタンドに長蛇の列。
不足状態なのに、 買いだめ 行為(=通常以上の需要発生)
これを制御するためには、停止や割当制度など供給を管理するのも
有効。
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【生産設備調整(完成)ラグ】
• 生産設備が完成するまでに短くても時間が 月 単位でかかる。
• 大きな リスク を抱えることになり、意思決定に時間がかかる。
• 設備が物理的に完成するまでに時間もかかる。
※需要が急激に減少した場合、過剰な生産設備を長期間(数年
単位で)抱えることになる。
例。マンションの建設ラグなども似たような現象である。
好景気下で、高値でマンションが飛ぶように売れる
⇊
土地を買収し、建設開始
⇊
不好景気下で、マンションが売れない
⇊
建設を手控える
⇊
景気が好転、売り物のマンションが無い
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【ブルウィップ効果:】
• 牛鞭の効果?根元から離れる程よくしなる。
• 川下ほど 需要の変動 が大きくなる現象を指す。
その要因としては以下のものがある
-多段階の意思決定(小売/卸売/工場が別々に注文)
-意思決定ラグ(毎日/週/月などの意思決定間隔)
-バッチサイズ(生産規模が1万個単位など)、
-製造と調達活動の調整スピードの違い。
• 品不足を解消するには、ボトルネックを早期に発見し、それに対
応することが必要となる。
• 製造設備の調整を 歪んだ情報 に基づいて計画すると、完成
ラグも加わって大変なことになることもある。
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【タマゴッチを襲ったブルウィップ効果】
タマゴッチ(1997年に イグノーベル 賞の経済学賞を受賞)
• バンダイが発売した仮想育成ゲームで、「たまごっち」と呼ば
れるキャラクターにえさを与えたりして、育成していくもの。
• 1996年11月の発売から2年間で、発売元のバンダイによれば、
これら第1期のたまごっちシリーズは全世界で約4000万個(日
本国内で約2000万個、日本国外で約2000万個)を販売した。
• しかし、1993年3月に在庫 250 万個を処分し、1993年度に
は60億円の特別損失を計上し、その年の収支は45億円の赤
字となった。
• この原因は何か?
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【タマゴッチを襲ったブルウィップ効果の原因】
直接的な原因
・致命的な 需要予測 の間違い
-消費者が熱しやすく、冷めやすかったから(ブーム)?
-消費者が偽の需要を発生させたから?
-小売や卸売が品薄商品を仕入れるために、大目に注文?
※タマゴッチのケースは単純な移り気な消費者の心情が原因で
はなく、サプライチェーンの特性が要因で事態が悪化したケース
である。
-品不足に起因するShortage Game( 液晶 部品がネック)
-多段階でゲームが展開
-生産設備拡張・縮小ラグ(半年以上先の需要予測は低精度)
-予想を超えるブルウィップ効果を生み出した。
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【バンダイのその後の対応】
データベース 構築
-顧客に複数回注文をさせない(正確に需要を把握する)
-情報やデーターを共有(流通業者と協力企業)
他の事例:PASMO(株式会社パスモが発行の公共交通機関共通乗
車カード・電子マネー)2007年3月18日からサービスを開
始したが発売当初は売れすぎて、在庫がなくなった。その
時の対応は?
SCMの一つの解:TOC(制約理論);ボトルネックの緩和;ゴールドラッ
ト著『ゴール』(物語調で経営戦略を語る)
・サプライチェーンの競争力は、一番 弱い 部分で決まる。
・一番弱い部分(ボトルネック)を迅速に発見し、それを改善する。
・ボトルネックの発見・改善がサプライチェーンの競争力を伸ばす。
※それ以外の部分の活動を強化しても、無駄な在庫を作るだけ。
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【在庫処分を「トヨタの5つのなぜ?」的に考察】
タマゴッチの大量の 在庫処分
↑生産計画の失敗; 作りすぎ
↑需要予測の失敗; 精度の低い予測
↑不正確な情報; 現実とかけ離れていた
↑情報の歪みが内部から生まれ、増幅 していた
情報の歪みはどこから生まれ、どうして増幅したのか?
異なる利害関係が存在し、ばらばらの意思決定を下していた。
-情報システムによる情報共有
-情報とプロフィットシェアリング(Win-Win関係の構築)
※情報の歪みの発生と増幅の回避へ
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