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質的調査の方法 【教科書第4章 p93 】

第 12 回 1月 15 日

調査方法の区分

• 量的調査 既存統計の二次分析、調査票調査、 シミュレーション • 質的調査 インタビュー、参与観察、ドキュメント、踏査

• • • インタビュー調査 参与観察 ドキュメント調査

質的調査

○事例的調査/質的調査 違いもあるが概ね重ねて考える vs.

統計的調査/量的調査

変数・標本のマトリックスの中での 切り取り

• 質的調査 調査対象の中で数を数えることもある 漠然と区別できるが明確に区別できない

事例的調査として捉える

• 普遍性がない 個別的 ( 特殊な ) 真実 「正しさ」ではない 事例調査を重ねれば次第に普遍性が見えてくる • 因果関係を直接体験、その情報を直接入手 日常体験を背景として理解がしやすい

統計的調査の場合

• 普遍性の確認 • 因果関係の抽出が困難 日常体験からの理解は必ずしも容易でない (統計的説明を主体とした本は読み難い )

• 統計的調査 複数の変数の相関が分かるのみ 相関から因果関係を直接導くことはできない ( 時間的前後関係があれば若干推測できる ) • 事例的調査 事の成り行き ( 意識の推移 ) を直に見る ( 聞く ) 因果関係を直接知る

• • • • • • • • • • 量的調査と質的調査の 一般的対比 確証的/探索的 法則定立的/個性記述的 普遍化的認識/個別化的認識 客観的/主観的 部分的/全体関連的 単純・画一的/総合的・多次元的 外面的/内面的 説明/理解・解釈 静態的/動態的 浅い/深い

科学的言説?

• • マルクス「資本論」 運動論的立場 フロイト 性的抑圧 実践的立場 • ポパーの基準 反証可能性

調査の流れ

• シカゴ学派の質的調査 • ↓ 統計的調査 • ↓ 現実を語るものとして質的調査の見直し

質的調査の課題

• いかにして、恣意的結果、先入観に囚われた 結果を避けるかが課題 (客観的あるいは科学的手法) 蓋然性の高い言説を求める 謙虚な姿勢で自らが蓋然性が高いと考えられ るものを求めていく

○各段階でのサンプリングの課題

• • • 研究対象抽出 単に一般的というのでなく位置付けを明確 にしておく 利用データの抽出 収集データの全貌提示 結果発表の抽出 検討の全過程の提示

○偏向のないデータの入手

• フィールドへの入り方に留意 入り方によっては偏る恐れ • データ入手の開放性の確保 研究対象が偏向なく発信するよう留意 ( 研究の深化とは矛盾しがち )

○偏向のない方法論

• コード化、カテゴリー化 いかにしてデータに語らせるか • 内容分析の透明化 要約 ( 記述 ) 、説明、構造化 限界を認識し透明にしておく

第1節 質的調査の特徴と種類 1.質的調査の特長 調査の目的 【 p94 】 • 質的データの分析により 現象の記述、仮説生成、モデル生成 vs.

量的調査 仮説の検証

モデル生成 体系図の描写 システム図 他人に説明するときはこの枠組みに沿って行う ただしシステム図によって他人にも理解が容 易となるとは考えないこと

理論的立場

• Emic ( イーミック ) ・・・質的調査の特徴 フィールドに生きる人の視点 ( 解釈 ) を調べる • Etic ( エティック ) 研究者としての視点で調べる

問いの立て方【 p94 】

• 量的調査 予め ( アプリオリに ) 仮説と変数の基準があり ( 設定し ) それを確認するために「妥当」な具体的変数を選び調査する • 質的調査 対象 ( 当事者 ) にとっての意味を問い続け記述する → 仮説生成 ( 当初は「作業仮説」を設定 ) 当該事例では一つの真実であったが、 一般的にもこうしたものであろう ( 普遍的なものであろう ) 当事者自らは 意味合いを明確に語ってくれる訳ではない 調査者が意味を見出していく

研究設問 ↓ 仮説生成

依拠する認識論 (p95)

• 量的調査 唯一の真実が存在 • 質的調査 真実は文脈によって異なる

質的研究の多様な探究

• 何についての探究か 全体社会・コミュニケーション ( 民俗学、人類学、農村研究、都市研究 ) 組織・アソシェーション・集団 ( 組織調査 ) 相互作用・会話 ( シンボリック相互作用、エスノメソドロジー ) 個人 ( ライフヒストリー )

• 何を目指しているか 全体的な民族誌的構造の記述 ある社会や集団の特定化された構造の解明 隠れた制度、人々を拘束しているもの、権力、 ルールの発見 観念体系、思想、作品の構造の解明 主観的世界、意味世界の解明 メカニズム的構造発見

質の基準 (P95,96)

• 普遍的一般化は困難 • 量的調査での基準が成り立ち難い 信頼性 妥当性

質の基準【 p95 】

• 信頼性・妥当性を一応配慮 信頼性 特定の文脈のもとでの再現性 普遍性を問わない 妥当性 多面的な調査へ → トライアンギュレーション 対象者のチェックを受ける 調査過程を含め説明する → 濃い記述

• 2つの手法の重ね合わせ 多様な調査を重ねていく トライアンギュレーション 多くの人の蓄積を重ねていく ( 統計的調査は存在を示しつつ あまり表に出さない )

• • 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」 質的社会調査の古典 職業統計から近代的企業家にプロテスタント 的色彩の発見 • 「自殺論」 計量社会学の先駆 既婚者の自殺率が低い → 人の孤立によって生じる 自己本位的自殺の発見 調査のコラボレーション

( 別の見方 )

• 質的調査では信頼性・妥当性は成り立たない 調査結果は、研究者と対象者の相互作用で 創られたもの • 多様な調査の併用を否定? ・・・雑多の調査の発生

研究知見

• 調査結果 追試可能性を持った内容として共有・蓄積していく • 研究とは新たな研究知見を加えていくための行為 • 卒業研究も 自分で調べ研究知見を何か追加する 各自なりにこのことを意識すること !!

研究知見の提示

• 研究過程の透明性の確保 研究過程の詳細な記述 入手データの提示

2.質的調査の種類 データ収集の方法【 p97 】 ( 詳しくは後述 ) インタビュー 参与観察 ドキュメント収集

テーマ設定の方法【 p97 】

• 明確な仮説生成は容易ではない あまり知られていない対象についての知見 マイノリティの経験世界 対象の深い部分の知見

• 問題構成 新しいテーマの発見、生成 • 問題再検討 従来の知見の再検討、定説への疑問

第2節 調査設計 1.テーマの明確化【 p99 】

• 事例的・・・繰返しの試行錯誤 不明点がなくなるまで、限界に達するまで続ける 飽和点まで • 統計的・・・仮説をしっかり立て、 それを検証するための調査項目を設定し、 周到な実査 繰返しは難しい

テーマの絞り込み

• 焦点を当てる 対象集団と内容 既存研究との違いを明確に 内容、時代、地域、・・・ データ収集の可能性を考慮 • 大風呂敷は広げない

• ミクロ • ↓↑ メゾ • ↓↑ マクロ 個人 集団 地域

• 2.先行研究のレビュー レビューの必要性【 p100 】 既存の研究知見を確認 研究知見として既にあることは重ねてやる必要はない 当該分野の基本的学習 先人の知見の学習 テーマの的確な設定 • • 固定観念の形成は避ける ( レビューは避けないこと ) レビューだけで終わらないこと ( ピュアレビューもあるが・・・ )

• • • 標準的教科書の精読 代表的研究書 / 論文の通読 最新の展望論文による確認

• • • 原型事例 適合事例 不適合事例

内容と方法論の理解【 p101 】

• • 調査方法の参照 既存理論の学習 • 方法論 研究テーマを扱うための基本的考え方から 導かれる調査方法

先行研究の読み方【 p101 】

• 概説図書 単著 • 学術論文 研究論文 12,000 ~ 20,000 字? • 方法論概説 難解なことが多い

先行研究の見つけ方【 p102 】

• テーマの周辺も探す • インターネットの活用 • • 学術雑誌 紀要

先行研究の活用方法【 p104 】

• 多少詳しいレジュメを作っていく おやっと思ったことの箇条書きのメモ 論文の要旨・意義 • 論文をまとめる際に役立つ

3.調査テーマと方法論の決定【 p104 】 • 先行研究の調査の中で絞っていく • 作業仮説の設定 調査結果の凡その予想 • 出発点でできる限り関連情報を集めておくこと !!

• 第3節 対象者の選定と調査手続き 1.対象者の選定【 p106 】 知っている対象者 信頼関係には好都合 既知の事項として語られなくなる恐れがある 知っている人にはかえって話難いこともある 利害関係が表出 • 初対面の対象者 まず信頼関係の形成が必要 知らない人であればかえってわだかまりなく話 せることもある

• フィールドへの入り方で色が付く 誰の紹介か • 援助 = 被援助の関係となり易い • 芋づる式選定

さまざまな質的データ 研究者が作成 • • • 図表を含む文書 ( 文字テキスト ) ノート、インタビュー 音声記録 録音 映像記録 写真、ビデオ フィールド

既存データ

• • • 図表を含む文書 ( 文字テキスト ) 日記、手紙、・・・、小説、・・・、 古文書、議事録、・・、新聞、雑誌、・・・、 電子メール、ホームページ 音声記録 録音 映像記録 写真、映画、テレビ、・・・

• 引出したデータ ⊂ 見出したデータ ⊂ 未知のデータ • 勝手な意味付けをしないよう留意 しかし避け難い

2.調査計画書の作成【 p108 】

• 目的と背景 関心事、知見の現況、調査の狙い ( 仮説 ) • 調査方法 具体的にやり方を見通して書く 調査対象の取り付け 調査の種類 調査項目 • 倫理的配慮事項 • 日程

時間末レポート

• トライアンギュレーションの必要性について述 べなさい。