CALET主検出器のモデリング・シミュレーションによる性能評価

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P4-205
CALET主検出器のモデリング・シミュレーションによる性能評価
吉田健二(芝浦工大)、鳥居祥二、笠原克昌、小澤俊介、小谷太郎、中川友進、赤池陽水、苅部樹彦、仁井田多絵、
九反万理恵、吉田圭佑(早大)、市村雅一(弘前大)、清水雄輝(JAXA)、森正樹(立命館大)、他CALETチーム
概要
シミュレーション計算とビーム実験データの比較
CALETの主検出器であるカロリメータは、チャージディテクター(CHD)、イメージングカロリメータ
(IMC)、全吸収型カロリメータから構成され、1GeV〜20TeVの電子、10GeV〜10TeVのガンマ線、
数10GeV〜1000TeVの陽子・原子核を観測する。CALET観測装置の性能の把握には較正実験
と共にM.C.シミュレーション計算が必要不可欠であり、これまでM.C.シミュレーション計算によ
るCALET観測性能を報告してきた。M.C.シミュレーション計算の精度の検証には、複数のシミュ
レーション計算コードを用いる他、実験データとの比較を行うことが必要不可欠になる。本発
表では、CALETプロトタイプ検出器を用いたCERN-SPSでのビーム較正実験結果を用いて、M.C.
シミュレーションの結果と比較することにより、M.C.シミュレーション計算の精度を検証した結
果を報告する。
CALET主検出器
.粒子数:
• ミュー粒子照射時の検出器シグナル
を1MIP(1粒子数)とする
(*)
• 比較する実験データのペデスタルは
補正済
• シミュレーションデータに、装置由来
のノイズ成分(ガウス分布)を付加
シミュレーションデータのデータ処理手順
CHD: Charge Detector 電荷測定(Z=1-40)
・Plastic Scintillator (32mm x 10mm x 450mm)
14本 x (X,Y)
SciFi
450 mm
IMC: Imaging Calorimeter
入射方向決定、粒子識別
・Scintillating Fiber (1mm x 1mm x 448mm)
448本 x (X,Y) x 8層
・W plate
0.2r.l. x 5枚 + 1r.l. x 2枚:全3r.l.(放射長)
TASC: Total Absorption Calorimeter
粒子識別、エネルギー測定
・PWO (20mm x 19mm x 326mm)
16本 x 12層:全27r.l. (放射長)
シミュレーション計算出力(エネルギー損失量)の粒子数への変換
Shower particles
PWO
ミュー粒子照射時のシンチファイバー1本からスペクトル(左)とPWO1本からのスペクトル
(右)。実験データ、シミュレーションデータ、フィッティング結果を示している。フィッティン
グでは、Landau分布にGauss分布を畳み込んだ関数を用いてLandau成分のピーク(図中
のMP)を求め、1MIPとしている。
CALET主検出器の概略図
各検出器での粒子数分布
シミュレーションによるシャワーイメージ
Gamma-ray 10 GeV
Electron 1 TeV
観測性能
Proton 10 TeV
検出器で測定される
シャワーイメージ
・幾何学的因子SΩ:
1200cm2sr (電子)
1000cm2sr (ガンマ線)
・エネルギー分解能:
〜2%(>10GeV) (電子、ガンマ線)
〜30%(陽子)
・電子観測での陽子除去能力:〜1x105
・電荷分解能:0.15〜0.3e
・角度分解能:
0.13〜0.26度(>10GeV)
Shower development
log scale
log scale
N [MIPs]
N [MIPs]
PWO
X0 = 0.89 cm
RM = 2.0 cm
Epics、Geant4によるIMC、TASCでの粒子数分布と実験データ
との比較(陽電子10GeV)
IMC、TASCのエネルギー損失量(粒子数)平均値<EIMC>、
<ETASC>、横広がり平均値<RE>の実験データとのずれのまとめ
ビーム実験用CALETプロトタイプ検出器モデルの作成
陽電子
シャワーの横方向の広がり
2010年CERN-SPSビーム実験用CALETプロトタイプ検出器
CALETプロトタイプ検出器IMC
・Scintillating Fiber (1mm x 1mm x 448mm)
32本 x 8層(X方向のみ)
・W plate
0.2r.l. x 5枚 + 1r.l. x 2枚
全3r.l.(放射長):CALETと同じ厚さ
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ΔEeachj : energy deposit in j th scintillator
ΔElayeri : energy deposit in i th layer
xj : coordinate of a center of j th PWO
xc : coordinate of a shower axis in i th
layer
IMC、TASCでの横広がりRE分布:
Epics、Geant4、実験データの比較
(陽電子10GeV)
CALETプロトタイプ検出器TASC
・PWO (20mm x 19mm x 326mm)
2本 x 8層(X方向のみ)
全18r.l. (放射長):CALETの2/3の厚さ
エネルギー分解能
CALETプロトタイプ検出器の概略図
Energy Resolution ビーム実験データのイベント例
E
M.C.シミュレーションコードによる検出器モデルの作成
使用するM.C.シミュレーションコード:
Epics、Geant4
Geant4によるCALETプロトタイプ検出器
モデルとシミュレーション計算例
Epicsによるシミュレーションのイベント例

:
a
E
b
a [%]
b [%]
Experiment
12.3
1.6
GEANT4
11.4
1.6
EPICS
11.6
1.5
TASCによるエネルギー分解能(陽電子):
Epics、Geant4、実験データの比較
まとめ
• CALET主検出器のモデリング・シミュレーションに使用しているM.C.シミュレーションコード
EpicsおよびGeant4によりビーム実験用CALETプロトタイプ検出器モデルを作成
• シミュレーション計算結果をビーム実験結果と比較し、シミュレーション計算の精度を検証
• 2011年CERN-SPSビーム実験用CALETプロトタイプ検出器(CHDが追加、検出器が大型
化)のシミュレーションモデルをEpics、Geant4で作成しており、同様の検証を実施予定:上
記に加えて、陽子除去能力を評価