リフトバレー熱

Download Report

Transcript リフトバレー熱

リフトバレー熱
(RVF: Rift Valley fever)
人獣共通
反芻動物が主な感受性宿主で、とくに羊と牛での被害が大きい。ウ
イ ルスはいろいろな種類の蚊(Aedes属やCulex属など)によって媒
介され、蚊の間では介卵伝達する。最も被害の大きいのは羊であり、
妊娠羊は100%流産を起こす。仔羊に感染すると90%以上、成羊で
20~60%の致死率。牛での致死率は10~30%であり、妊娠牛はほ
ぼ100%流産する。リフトバレーの流行は流産嵐(Abortion Storm)と
リフトバレー熱 (RVF) の識別(日大 泉對 教授訳)
言われている。
人の感染は主として蚊に刺されることによるが、感染した動物の取
り扱いによっても感染する。特に流産胎児が危険と言われている。人
の潜伏期は2~5日であり、突然の発熱、激しい頭痛、筋肉痛、関節
痛が起こる。大部分は比較的軽症で、2~7日で回復する。眼症状を
併発する患者は2~0.5%であり、病変が黄斑にあるときには永久失
明することもある。脳炎・髄膜炎症状や出血熱を併発する患者は1%
以下であるが、出血熱を併発すると致死率は約50%である。
感受性動物
家畜(羊、ヤギ、牛)、大型野生動物(ラクダ、水牛;軽い)、肉食動物(犬、猫)、齧歯
類(ウイルス血症を起こす)、ヒト以外の霊長類 (通常は無症状)、馬(不明)。豚は
人工的に接種すると感染する。家禽や野鳥はRVFに感染しない。
死亡率
100%
子羊
子牛
子ヤギ
子犬
子猫
ケッシ類の一部
重度の病態、
重度の病態、
感染、ウイ 感染
ウイルス血症、
流産、死亡
ルス血症 しにくい
流産
ヒツジ
ウシ
ヤギ
ヒト
Rift Valley fever (Power point)
サル
ラクダ
ラット
リス
ウマ
ネコ
イヌ
サル
アイオワ州立大学
ケッシ類
ウサギ
鳥類
RVFの臨床症状
・綿羊、ヤギ、ラクダの流産が広範囲に突然始まることが最も重要な
兆候である。
・5~6日齢以下の子羊の100%に至る死亡率。
・成獣での高熱、リンパ節炎、鼻汁や目やにの排出。
・おびただしい悪臭下痢便(しばしば出血性)。
・嘔吐、激しい腹痛。
・著しい意気消沈、泌乳低下、黄疸。
・8~16週にわたる流行。
流
産
し
た
羊
の
胎
児
RVFの剖検所見
牛の流産胎児:胎便で皮膚が黄色
肝臓の出血と壊死
・肝臓の肥大、始めは局所その後
しばしば全体に広がる壊死
・肝臓のうっ血. 赤褐色から黄色を
呈する.
・全身の点状または斑状出血.
・しばしば重度の出血性胃腸炎.
・全身のリンパ節腫脹.
・肺水腫、肺気腫.
・胎児では自己融解を伴う同様な
病理所見が見られる.
腸の漿膜表面の点状出血
RVFの剖検所見
牛の流産胎児:胎便で皮膚が黄色
肝臓の出血と壊死
・肝臓の肥大、始めは局所その後
しばしば全体に広がる壊死
・肝臓のうっ血. 赤褐色から黄色を
呈する.
・全身の点状または斑状出血.
・しばしば重度の出血性胃腸炎.
・全身のリンパ節腫脹.
・肺水腫、肺気腫.
・胎児では自己融解を伴う同様な
病理所見が見られる.
腸の漿膜表面の点状出血
沼沢でのサイクル
家畜でのサイクル
ヒトの感染
野生動物
人畜共通感染
鳥?
ネズミ?
ケッシ類?
イエカ(Culex)
シマカ(Stegomyia)
蚊
ヒト
経卵感染
都市部に生息する蚊
経卵感染
ヤブ蚊
(Aedes spp.)
蚊?
家畜
森での遭遇?
ヒト
接触感染、飛沫感染、経口感染
1931年 ケニヤのリフトバレーの農家の羊からウイルス分離。
1950-1951年 ケニヤで10万頭のヒツジが死亡。 サハラ以南と思われていたが・・・
1977-1978年 サハラ砂漠を越えてエジプトに侵入。ナイル川沿いの25~50%のヒ
ツジとウシが感染し、ヒトでも2万人の感染者と600人の死者が出た(致命率3%)。
1987年 セネガルのダム建設に伴いモーリタニアで西アフリカ初の発生。
1990-1991年 マダガスカルでウシおよびヒトの発生。
1997年 ケニアの北東地域で洪水が起こり、ヒトの出血性の疾病が発生し、ケニヤ
では350~400人が、ソマリアでは80人が死亡した。
ケニヤのリフトバレー熱の発生
歴
史
的
経
過
牛
ラクダ
ヒツジ
山羊
飼養頭数
死亡頭数
244,131頭
309,492頭
497,140頭
456,016頭
143頭
831頭
1,602頭
1,130頭
%
0.06
0.27
0.32
0.25
ケ
ニ
ア
2000年 アフリカ大陸以外で初めて、サウジアラビアで736名の擬似患者が報告さ
れ、少なくとも106名が死亡した。感染源としてアフリカから輸入したヒツジが疑われ
ている。同時期に隣国のイエメンでも1087名の患者と121名死者が出た。患者の
75%(815名)は感染動物(流産胎子、食肉処理場などで)と直接接触があった。
国名
ケニア
ソマリア
タンザニア
患者数
684名
114名
264名
致命率
22.6%
44.7%
41.2%
51名
109名
155名
死亡患者数
報告期間
2006年11月30日 2006年12月19日
~2007年3月12日 ~2007年2月20日
と殺禁止
回復
死亡
12月
1月
ケニア
2006~2007
2月
2007年1月13日
~5月3日
Rift Valley
アジアへ飛び火する可能性は、常にある!
温暖化により熱帯蚊の生息域の北上も?
風土病となっており、
相当数の発生がある国
Gambia, Senegal, Mauritania, Namibia, South Africa,
Mozambique, Zimbabwe, Zambia, Kenya, Sudan, Egypt,
Madagascar, Saudi Arabia, Yemen
少数の症例が確認され、
断続的にウイルスが分
離され、あるいは、血清
学的証拠がある国
Botswana, Angola, Democratic Republic of the Congo, Congo,
Gabon, Cameroon, Nigeria, Central African Republic, Chad,
Niger, Burkina Faso, Mali, Guinea, Tanzania, Malawi, Uganda,
Ethiopia, Somalia