アンケート2

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アンケート調査と統計解析がわかる本
第1部 アンケート調査はこうして進める
第3章 アンケート票を作る
20. アンケート票作成の手順
<アンケート票の基本構成>
アンケート票は、協力をお願いするあいさつ部、質問本体部、対象者
特性部の3部で構成する
・調査協力のお願い
「挨拶状」「協力依頼」調査主体や調査員の信頼獲得
・質問本体
わかりやすいよう、質問順、言葉遣い、を工夫し、短時間で終わるボ
リュームに
・対象者特性
最後に質問する
住所・氏名・年齢・職業・年収などについて個人情報保護の確約
<質問本体の作成手順>
・質問順の案を作る
質問の流れを分かりやすく、答えやすい質問を前にします
・質問のタイプを決める
自由意見か選択方式か、単一・複数回答かなどを決めます
・回答カテゴリーの案を作る
各質問の回答選択肢の案を決めます
・質問文の案を作る
明瞭簡潔に、誘導尋問に注意する
・アンケート票のレイアウト案を作る
調査ボリューム、用紙サイズ、イラストなどを決める
・アンケート票点検のためのプリテストを行う
同僚などを対象にテストを行う
・見直しと問題点の改善
・レイアウトを決める
・印刷
21. 質問順序を考える
1、質問は、論理的な順序で並べる
・質問内容を論理的に
・誘導的な質問順序の削除
2、簡単でやさしい質問から始める
3、一般的な質問から個別の具体的な質問へ展開する
4、事実をきく質問は前に、意見を聞く質問は後に
5、総合評価は個別評価の前か後かを検討する
6、対象者の特性は後にする
22. 質問のタイプと回答のタイプを考える
質問のタイプ
回答のタイプ
自由回答型質問
・具体的数字を質問
・文章で意見や感想を
自由回答
・言葉・文字・数字イラスト
など
プリコード型質問
・質問の答えを回答カテゴ
リーで示す
二項目選択式
「はい」か「いいえ」
「A」か「B」など二者択一
プリコード付自由回答型質問
・調査員による質問のみ回答
可能
・対象者は自由に回答し、該
当する回答カテゴリーを調
査員が選ぶ
多項目選択式(3つ以上)
・単一回答
・複数回答・無制限選択
・複数回答・制限回答
23. 調査対象者を測る四つの尺度とは
統計的に処理できるデータを得るには、尺度という物差しで測る必要がある。
<名義尺度>
性別や職業などの対象者特性を便宜的に数字で表したもの
例(性別:男性=1、女性=2)
統計処理の方法
・度数(頻度)のカウント:例 男性112人、女性138人など
・度数の順位づけ(最頻値):例 1位猫57、2位犬49人…など
<順序尺度>
順位やベスト3、ワースト3を質問
例(次の動物に好きな順位を付けてください)
統計処理の方法
・順位別度数:例 1位 犬36人、猫28人…
2位 犬19人、うさぎ17人…
・順位の得点換算:1位3点、2位2点、3位1点としてカテゴリー別に平均算出
<間隔尺度>
評価などを質問したもの
例 満足度:非常に満足・やや満足・どちらともいえない・やや不満・非常に不
満など
統計処理の方法
・度数のカウント(非常に満足15人、満足23人…)
・得点換算(非常に満足5点~不満1点で平均得点算出)
・分散、標準偏差などデータのばらつきなど
<比例尺度>
重さ・長さ・金額など数を質問
例 年収、年齢、来場者数、年間売上金額など
統計処理の方法
・カテゴリー化して度数をカウント(10代18人…)
・算術平均の算出(平均年齢~歳)
・幾何平均(年平均伸び率~倍)
・調和平均(平均時速~㎞)
24. 態度を測るものさしとは
カテゴリー尺度
全カテゴリーに名称を付ける
例 1、好き2、嫌い など
態度尺度:態度を測る物差し
極カテゴリー尺度 カテゴリーの両極に名称を付ける
例 満足+2、+1,0、-1、-2不満
両極尺度
カテゴリーに相反する両極をもたせる
例 好き
嫌い など
単極尺度
カテゴリーに一方向の極を持たせる
例 必要
必要でない など
バランス尺度
両極間を均等に区分したカテゴリー尺度
1、非常に満足2、かなり満足3、どちらでもない4、かなり不満
5、非常に不満
アンバランス尺度
片方だけ細かく区分したカテゴリー尺度
1、非常に満足2、かなり満足3、やや満足4、どちらでもない
5、不満
強制選択尺度
「どちらでもない」をなくした尺度
1、非常に満足2、満足3、不満4、非常に不満
相対評価尺度
一対比較を間隔尺度で質問
1、犬より猫が大好き2、犬より猫が好き3、どちらでもない
4、猫より犬が好き5、猫より犬が大好き
25. 質問文を作るときの注意点
簡潔な文章で
わかりやすく、できるだけ短く
過剰な敬語はダメ
対象者が理解できる
言葉で
専門用語、流行語は使わない
意味や範囲を明確
に
意味があいまいな言葉や表現を使わない
質問の対象となる範囲、期間を正確に
誘導的な質問をしな
い
言葉遣いが回答に影響しないように
一つの質問で複数
のことを聞かない
「健康と美容にいい」など慣用句に注意
個人情報に触れる
質問は最小限に
生年月日より年齢、年齢より年代を
年収は範囲で
26. 調査ボリュームを調整する
調査対象が回答に要する時間を配慮して質問量を調整する
<調査可能時間に配慮する>
訪問・来場者・郵送調査:20~30分
インターネット・電話調査:5~10分
<調査主体の名称や謝礼品によって強力意識を高める>
調査ボリュームが多い時は謝礼品を高額にして、強力意識を高める
<調査ボリュームを少なくする工夫をする>
ボリュームが多いと、回答がいい加減になり回収率の低下に
・質問数を削減
・回答形式の変更
・特定の人のみに質問
・他の調査方法と併用する
27. 対象者特性を5グラフィックスで把握する
1、人口統計的特性:デモグラフィックス
男女別、年齢、結婚有無、学歴、職業、就業地位、世帯種類、収入
のこと
2、心理的特性:サイコグラフィックス
対象者の感じ方、考え方、や関心など感性や知性のこと
3、経験的特性:エキスペリエンスグラフィックス
調査テーマに直接関係のある経験を示す
4、地理的特性:ジオグラフィックス
居住地、最寄駅、交通手段など
5、特殊な特性:スペシャルグラフィックス
それ以外(調査テーマに応じて)
28. アンケート票をレイアウトする
<決めるべきこと>
・アンケート票のサイズ
・用紙の向き、印刷面
・質問欄、回答欄の位置
・回答を求める人の指定方法
・文字の大きさ
・質問番号の表示方法
・回答の種類の提示方法
・自由回答の記入スペースの使用
29. 挨拶状を作る
挨拶状は3種類ある。挨拶状の出来は回収率に影響する
・事前に出す挨拶状
訪問する場合事前に連絡する
不在などを防げる
・対象者に見せる挨拶状
訪問時の協力依頼
・督促状
郵送の返送をしてもらうとき
アンケートが来ない時
第4章 実査を行う
30. サンプリングとは
母集団:調査対象者全体のこと
サンプリング:母集団の一部を忠実に代表するように統計的
に抽出すること
<対象者の抽出方法>
・全数調査(悉皆調査)
・標本調査(サンプル調査)
名簿からランダムに抽出するサンプリング
31. 単純抽出法と系統抽出法
・単純抽出方法(単純無作為抽出法)
名簿の対象者全員に一連番号を付けランダムに抽出
長所:精度が高い
短所:標本数が多いと手間がかかる
・系統抽出法
名簿の対象者全員に一連番号を付けて、抽出間隔値(インターバル:名簿記載人数
÷抽出数)を決めて抽出
例 500人から50人をピックアップするとき⇒インターバル:500÷50=10
スタート番号を4とすると
4、14、24、…494の番号の人を抽出
長所:手間・時間がかからない
短所:精度が劣る、名簿に規則性の問題
地域と対象者を絞り込むサンプリング
32. 確率比例2弾抽出法
・確率比例2段抽出方法
抽出単位が2つあるとき
町丁目(第一次抽出単位)とその町丁目の世帯または個
人(第二次抽出単位)を選ぶ方法
長所:母集団が多数であったり、広範囲であっても効率的
に抽出可能
短所:精度が低い
例
①調査対象母集団 市民68000世帯
標本数 200世帯
1段目 町丁目 2段目 世帯
②1地点ごとの標本数と抽出地点数を決める
1地点10世帯
抽出地点数=200÷10=20
③町丁目ごとに世帯数をリストアップし、世帯合計を算出
④地点を抽出するインターバルを計算
68000世帯÷20地点=3400
⑤スタート番号をランダムに決める
⑥スタート番号+インターバルで20地点を抽出
⑦選出された地点ごとに世帯を系統抽出
住宅地図から抽出するサンプリング
33. エリアサンプリング(ランダムウォーク)
・エリアサンプリング(ランダムウォーク)
訪問調査で対象者リストが無いとき
住宅地図をサンプリング台帳として利用する方法
長所:住民基本台帳など名簿が無くても可能
短所:訪問世帯が対象外の可能性あり、非効率
在宅率の高い対象者に偏る
<実施方法>
市販の住宅地図の該当ページ数を乱数から選ぶ
スタート住宅を無作為に決める
時計回りに住宅を訪問する
インターバルは3軒~10軒
通行人や電話番号を抽出する方法
34. タイムサンプリング、RDD、プラス1
・タイムサンプリング
街頭調査、来場者調査などその場所に来た人を、一定の
時間間隔で抽出する方法
長所:名簿が必要無い
短所:母集団の数が明白でない
時間帯によって抽出率が異なる
①調査地点で、時間帯別の通行人、来場者数の数を事
前観察する。なるべく調査日と同じ条件で
②事前観察の結果から、時間帯別の標本数の配分、調査
員の配置などを検討する。
例:必要標本数=1000とした場合
来場者数
来場者構成比
必要標本数
10時~12時
1500
22.7
227
12時~14時
1300
19.7
197
14時~16時
2000
30.3
303
16時~18時
1800
27.3
273
合計
6600
100.0
1000
実際に回収された時間帯別標本構成が実態と異なる時、
集計結果を調整する
・RDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)
電話調査に用いる方法
自動的に電話番号を発生させ、調査対象とする
長所:電話帳がいらない
短所:母集団の数が明白でない
・プラス1
電話調査に用いる方法
電話帳データベースで抽出した電話番号の最後の一桁
の数字に1~9の数字を加算または減算
長所:電話帳データベースに無い世帯も抽出
短所:データベースの更新が必要
35. 訪問調査のポイント
①調査員を手配する
・調査員の必要人数は標本数÷1日当たり実査完了予定数(ノルマ)÷(実査
日程-1.5日)
・調査員とは雇用契約を結ぶ(不正行為の防止、個人情報保護)
②調査員説明会を行う
・調査の趣旨、調査方法の説明、面接練習など
④実査管理を行う
・調査員の回収表数の把握
・調査員や対象者からの問い合わせの対応
・調査員への指示
⑤点検・回収
・説明会の翌日または2~3日後に中間点検を行い、誤解が無いかチェック
・記入ミス・不正行為のチェック
36. 来場者調査のポイント
①調査場所を視察する
交通アクセスの把握、実査不可能な時間帯を判断、許可の申請など
②実査計画書を作成する
・実査を適切に処理するためのチェックリスト
・調査場所管理者への許可申請の説明資料
③調査員手配
④実査準備
調査に使う物の準備や施設管理者へのあいさつ
⑤調査員説明会
⑥実査当日の留意点
調査地点を巡回し1時間ごとに回収数をチェック、数に応じて調査員の数などを調節
⑦点検回収
37. 郵送・電話・FAX調査のポイント
<郵送調査のポイント>
①郵送調査の実施準備
②郵送調査の回収アップの工夫
よみやすく、わかりやすい調査票
木~金曜日に届くようにする
謝礼の同封
<電話調査のポイント>
・電話オペレーターによる調査⇒実査管理と集計が容易
・調査機関に依頼する
<FAX調査のポイント>
FAX調査は事前に対象者の募集が必要(郵送・訪問・広告)
38. 会場アンケート調査のポイント
①募集場所の使用許可を得る
・道路:警察に道路使用許可をもらう
・施設:施設管理者の許可
②募集用具・チラシの準備
・広報用具(のぼりや看板)の設置
・チラシ(調査の趣旨、アンケート内容、個人情報保護、所要時間、所在地)
③実査
・一斉回答、グループ回答、手元スイッチ式、面接調査など
・会場準備(机やいすの準備、回答用器具、謝礼)
④トラブル対応
・募集責任者は常に会場に待機
39. インターネット調査のポイント
<ウェブページアンケート調査の方法>
・検索サイトに広告を出し、回答者を募集
・自社や協力会社のホームページ
<Eメール調査の方法>
・Eメールの添付ファイルまたはテキスト文のみでアンケート票を送信
・Eメールアドレスを登録した会員が対象
・回答義務のないセミクローズ型と義務のある契約モニター会員対象
のクローズ型がある
<モニター会員ウェブ調査の方法>
・会員専用ウェブページ(ID番号とパスワード)
40. 回収データのチェック
①訪問面接や留置き調査のデータチェック
調査員の不正が無いか、本人が回答したかをチェック
・訪問による確認:本人の回答か、調査員に問題が無かったか
・電話による確認:1~2割のランダムの対象者に電話をして確認
・郵送による確認:全員にハガキによるアンケート(調査員への感想など)
②郵送調査のデータチェック
・全体の1割の対象者にお礼を兼ねて電話で確認
③回答者募集式調査のデータチェック
・謝礼目当ての回答者(住所や電話番号が書いてある)を発見し確認
④モニターなど調査の回答契約者のデータチェック
・FAXや郵送調査:過去と現在の筆跡の違いをチェック(本人確認)
終わりです