Transcript 第4回 LCA3
熊野雄太 「冷蔵庫のLCAとLCC分析」 曹研究室 大塚剛 平成19年度 卒業論文 紙から作ったバンパー 1、分析のモデル 2、LCA分析 3、LCC分析 4、結果 5、まとめ LCAの問題点 ◦ システムの境界設定が難しく、主観が入る 特に、リサイクル段階の扱い 同じ製品 「閉ループサイクル」 LCA容易 違う製品 「開ループサイクル」 LCA困難 リサイクルした素材 リサイクル段階=生産段階 そこで、リサイクルされた素材の分だけ新たに資源採 取を行った場合の負荷をマイナスすることで、一つの 製品内での評価にする。 今回の環境負荷の指標はCO2排出量 リサイクル段階の 全環境負荷 リサイクル工程で の環境負荷 リサイクルされた素材採取 に伴う環境負荷 ステージ 1 2 3 4 素材製造 製品組立(部品も含む) 製品輸送 使用 5 使用済み製品輸送 6 リサイクル 7 廃棄処理 8 製品開発 各ステージでの電力使用量による環境負荷をCO2排 出量に換算 0.407kg-CO2/kWh (CREST安井チームの研究) 2-1 素材製造 ◦ 冷蔵庫本体、包装に分け、計10種の素材に分類 素材重量×CO2排出原単位 合計 210.453 CO2-kg 2-2 組立 ◦ 冷蔵庫1台(66kg)あたりに必要な電力と燃料のデータなし →洗濯機(30kg)のデータに重量の比率をかけて計算 ◦ 部品に関しては、組立段階の1.26倍として計算 (「自動車のLCA研究」より) ◦ 組立段階=組立 + 部品製造 =洗濯機×(66/30) + 組立×1.26 電力、重油、都市ガスの合計 → 合計 27.620 kg-CO2 2-3 輸送 滋賀県草津市 の工場 東京駅 472.2km (駅周辺に家電ショップが 多いため) ◦ 4トントラック 0.472 kg-CO2/km ◦ 積載台数 50台 472.2km × 0.472 kg-CO2/km ÷ 50 =4.476 kg-CO2 (1台あたり) 2-4 使用 ◦ ◦ ◦ ◦ 基本的に使用するのは電力のみ 年間使用電力 350kWh/年 (カタログより) 寿命12年 交換、修理はほとんどない。また壊れた場合は買い替えるこ とが多い 350kWh/年 × 12年 × 0.407kg-CO2/kWh =1709.4 CO2-kg 2-5 使用済み製品の輸送 ◦ 家電リサイクル法により回収・適切な処理が義務化 ◦ 販売店による回収は、近場の店が行ってよいので無視する 東京駅 (駅周辺に家電ショップが 多いため) 松下エコテクノロ ジーセンター 588.2km (兵庫県加東市) ◦ 4トントラック 0.472 kg-CO2/km ◦ 積載台数 50台 588.2km × 0.472 kg-CO2/km ÷ 50 =5.553 kg-CO2 (1台あたり) 2-6 リサイクル(リサイクル工程で出る環境負荷) ◦ ◦ ◦ ◦ 手作業による分別 シュレッダー処理 磁気による分別 比重による分別 0.00008kg-CO2/kg 0.0083kg-CO2/kg 0.0001kg-CO2/kg 0.0005kg-CO2/kg ◦ 素材によって必要なリサイクル工程は異なる →その素材に必要な工程の環境負荷に重量をかける (例) 鉄(重量32.34kg)の場合 シュレッダーと磁気が必要 32.34kg×(0.0083+0.0001)kg-CO2/kg =0.271kg-CO2 合計 0.2888 kg-CO2/kg 2-6 (リサイクルによる資源節約) ◦ 冷蔵庫1台からのリサイクル量はデータなし ◦ 1年間の冷蔵庫の回収数で、各素材の冷蔵庫からの全リサ イクル量を割ることで算出 ◦ 平成17年度の回収数は2820000台 ◦ リサイクルされた分の資源採取のときの負荷量をマイナスし て合計する ◦ (例)鉄の場合 全体のリサイクル量 70931トン 70931×1000kg÷2820000=25.153 kg 資源採取における鉄の負荷量 4.140kg-CO2/kg 25.153kg×4.140kg-CO2/kg=104.133kg-CO2 合計 -114.507 kg-CO2/kg 2-7 廃棄処理 ◦ リサイクルできずに残ったものを 焼却 2.51 kg-CO2 /kg 埋立 0.00348 kg-CO2/kg に回す (リサイクルできなかった量)kg×(2.51+0.00348)kgCO2/kg 合計 69.94 kg-CO2 2-8 製品開発 ◦ 新しい製品モデルの開発にかかった環境負荷を入れたい ◦ 研究所での年間電力使用量を全生産数で割って1台あたり の負荷を出す ◦ しかし、電力のデータがなかったので今回は無視 2-9 LCAの結果 素材製造 組立 輸送 使用 再輸送 リサイクル 廃棄 合計 CO2 210.453 27.62 4.476 1709.4 5.553 -114.507 69.94 1898.5 排出量 3-1 考え方 ◦ コストに関するデータは少なく、LCAのような分析は難しい ◦ 製品価格には製造コスト以外に、宣伝費、人権費などが含ま れている ◦ 製品原価には、販売コストが少ないであろうネットショッピン グ最安値を採用 ◦ 62790円 3-2 素材製造 ◦ 各素材重量に原単位コストをかけて合計する ◦ 合計 26902円 3-3 組立 ◦ 電気、重油、都市ガスの使用量に原単位コストをかけて合計 する。部品は組立の1.26倍。 ◦ 合計 871円 3-4 輸送 ◦ ◦ ◦ ◦ ガソリンの使用量 4トントラックに50台 → 燃費は8.12km/l ガソリン価格は150円/l (2007年12月) 472.2km÷8.12km/l×150円/l÷50=175.197円 3-5 使用 ◦ ◦ ◦ ◦ ◦ 電力の消費者向け価格 23円/kWh (東京電力) 3年に1回フィルターの交換 525円 350kWh/年×12年×23円/kWh=96600円 525円×3回=1575円 合計 98175円 3-6 使用済み製品の輸送 ◦ 距離で考えれば217円だが・・・ ◦ 消費者はリサイクルにかかる費用と輸送費用を負担しなけれ ばならない(家電リサイクル法) ◦ 冷蔵庫を引き取ってもらうときの輸送料金をLCCとして採用 ◦ 2100円(ベスト電器の場合) 3-7 リサイクル・廃棄 ◦ 詳細なデータなし ◦ リサイクル券の価格を採用 ◦ リサイクル券とは、 リサイクル業務の効率化 リサイクルを依頼するときに必要なもの 輸送、分解などリサイクルに必要な費用が含まれている ◦ 冷蔵庫1台のリサイクル券の価格 4830円(分別、回収) ◦ リサイクルできた素材の分だけコストをマイナスする ◦ -11886円(リサイクル) 3-8 製品開発 ◦ 製品原価から、素材製造・輸送・組立の分のコストを引いたも のを開発費とした。 ◦ それでも宣伝費なども入っているが、日本のメーカーは開発 費が製品の多くを占めているのでよしとした ◦ 34842円 3-9 LCCの結果 1. 生産者 使用~リサイクル・廃棄 以外 (資源再利用のマイナスは含む) 2. 消費者 使用~リサイクル・廃棄、小売価格 3. 第3者(社会) 全段階 ◦ 開発費は曖昧なので含めない 素材製造 組立 輸送 使用 再輸送 廃棄 リサイク ル 16062 生産者 消費者 第3者 開発費 合計 26902 871 175 -11886 98175 2100 4830 34842 156009 93394 4-1 生産者の立場から ◦ LCA 90%が使用 11%が素材製造 ◦ LCC 省エネ化とリサイクル 80%以上が使用 22%が素材製造 -9.81%がリサイクル コストはリサイクル率が100%でも全部は回 収できないが、推進していくべき 4-2 消費者の立場から ◦ LCA 90%が使用 10%が重量から計算したもの ◦ LCC 購入金額≠製品コスト 消費者が選択できる部分は少ない 消費者は使用電力と重量に注目して冷蔵庫を選ぶべき 消費者と生産者では環境配慮行動は異なる データ収集が困難→企業がもっと公表していくべき LCAの使い方、境界判断、結果解釈が重要 「紙から作ったバンパー」については情報を見つける ことができませんでした ただ車の部品を紙から作るというのはある ◦ 「自動車部品における紙の利用」 ◦ 紙パ技協誌 37(8) 683-690 1983年8月 古い? 紙製品の工業製品への利用 ◦ 樹脂によるコーティング ◦ 熱を加えて加熱 ◦ 立体構造の工夫による強度アップ メリット ◦ 安価 ◦ 製品が軽くなる ◦ リサイクルしやすい