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I gA腎症と診断された患者さん
およびご家族の皆様へ
弘前大学附属病院循環器・呼吸器・腎臓内科
IgA腎症とは
 IgA腎症は、IgA(アイジーエー)という免疫蛋白の一種
が腎臓にくっついて、不適切な免疫反応、すなわち炎
症反応を起こすことによっておこる慢性腎炎の一種で
す。
 最初のうちは、自覚症状はなく、学校や検診の検尿で
病気を指摘されることが多いです。
 日本人の慢性腎炎の中で最も頻度が高いです。
 経過には個人差がありますが、約20年の経過で慢性
腎不全にいたり、透析や腎移植を要する症例は約
40%といわれており、決して経過の良い病気とは言え
ません。
 病気の根本的な原因はいまだに不明ですが、慢性扁
桃炎との関連が指摘されており、風邪をひいたときに
赤い尿(肉眼的血尿)が見られることがあります。
経過良好と考えられる因子
尿蛋白陰性あるいは軽度
診断時の腎機能が正常
腎生検での腎炎の程度が軽い。
早期発見
血圧正常
しかしながら自然治癒はあまりありません。
予後良好と予想されても、進行性の経過を取
ることもあります。
IgA腎症の経過
尿潜血(-)
尿蛋白(-)
腎機能正常
尿潜血(+)
尿蛋白(+)
腎機能正常
尿潜血(+)
尿蛋白(+)
腎機能低下
尿潜血(+)
尿蛋白(+)
腎機能低下
透析に至る
治療目標とは
今後の長期間の経過(20年後など)を現時
点で予測することは出来ません。
治療によって、今後の経過を少しでも良い方
向に向けることが治療の目標です。
IgA腎症は、発症から長時間が経過してしま
うと、治療への反応が乏しくなり、いっそう治
療が難しくなることが考えられます。診断の時
点で治療について十分に理解して、選択して
いただくことが重要です。
IgA腎症の治療
コメリアンやペルサンチン(血液をサラサラに
する)
降圧薬(厳格な血圧管理。高血圧がなくても
使用することがあります。)
免疫抑制薬(ステロイド、その他)
扁桃摘出+ステロイドパルス療法
その他、腎機能に応じた治療
扁桃摘出+ステロイドパルス療法
この病気に対する最も有効な治療方法はい
まだに議論があり絶対的な治療方法は明ら
かではありません。
扁桃腺は、IgAを多く産生する部位の一つで
病気の引き金になっていると示唆されていま
す。扁桃を切除のうえ、すでに起こっている腎
炎を抑えるためにステロイドパルス療法を組
み合わせることによって一層の効果が期待で
きると考えられています。
扁桃摘出&ステロイドパルス療法の治療
スケジュール
扁摘
10日程の
入院
扁桃摘出はステロイドパルス
の前後6ヶ月以内に実施する。
3日間のステロイド点滴
&4日間のステロイド内服
を3回繰り返して退院。
ステロイド
ステロイド(プレドニゾロン)は
1日おきに内服。2ヶ月に5mg
ずつ減量し、1年で中止する。
3週間程
の入院
1年間ステロイド内服