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2012年度前期
第2回
概説
電気的現象の存在は遠い昔から断片的に知られていた。
• ある種の物体を摩擦すると引き合ったり、はじく力が生まれること
はギリシャ時代から知られていた。
• ギリシャ語のコハクを意味する言葉(hlektron ) から英語の
(electricity) ができた。
• その後、このような不思議な能力を持った電気性物体と、金属などのよ
うにその能力を持たない非電気性物体とに分類されるようになった。
コハク:
木の樹脂(ヤニ)が地中に埋没し、
長い年月により固化した宝石
概説2
電気的現象の科学的な発見
• Stephan Gray (イギリス 1670-1736) が導体
(conductor)と絶縁体(insulator)を発見する(1729)
・ガラス管にホコリが入らないようにコルクで栓をしたところ、コルクが羽毛を吸い寄せた。
・コルク栓に象牙球をつけた木の棒を刺し、象牙球を羽毛に近づけるとこれがまた吸い寄せた。
・木の棒を麻紐にかえて実験したところ、垂直方向では300フィートまで電気が伝達できた。
・水平方向の伝達距離を調べるため、麻紐を木の梁に巻きつけたところ球の吸引作用が消失。
・木の梁から絹糸で麻紐を吊ったところ300フィート近くまで伝達した。
・絹糸のかわりに針金を用いたところ球の吸引作用が消失。
これらの実験から、解ったこと。
・ 電気とは物体の移動を伴わないで2点間を移動することができる、目には見えない流体
(水のように流れるもの)である
・ 物体には樹脂、絹、ガラスのように電気を作り出し保持できる物質(絶縁体)と、金属や
湿った糸のように電気を作り出すことは出来ないが、電気を流すことが出来る物質(導体)
がある。
電気的現象解明への歴史
1733年:デュ・フェ (Charles François de Cisternay du Fay, フランス, 1698-1739)
摩擦によって生じる電気には二つの性質があり、同種間では反発し、異種
間では引き合うこと、そして異種の電気を有する物質どうしを接触させると
中和して電気的作用を示さなくなることを発見
1773年: キャヴェンディッシュ(Henry Cavendish, イギリス, 1731-1810)
同心にした2個の金属球の外球を帯電させ、その二つを帯電させたときに
内球に電気が移らないことから逆二乗の法則を導き出した
1750年:検電器が発明される
1752年:フランクリン(Benjamin Franklin, 1706-1790)
雷を伴う嵐の中で凧をあげ、凧糸の末端にワイヤーで接続したライデン瓶に
より雷雲の帯電を証明するという実験を行った。
雷の電気はプラスとマイナスの両方の極性があることも確認した
Coulombの電荷の法則
クーロン(Charles Augustin de Coulomb,フランス,1736-1806)が発見
電気力=電荷の間の距離の2乗に反比例する力
F 
F
q1 , q 2
e0
1
4 e 0
q1 q 2
r
2
:引力/斥力 (単位:ニュートン[N])
:点電荷 (単位:クーロン[C])
:真空の誘電率 (8.8542×10-12 [N-1m-2C2])
数学の準備
ベクトルの足し算
b
a
c
b
a+b=c
ベクトルの始点は
移動できる
a
b
c
a
b
a+b=cb+a=c
足し算の順番を入れ替えても
答えは変わらない
交換則
数学の準備
ベクトルの足し算
d
b
a
c
c a
a
b
a+b+c=d
足し合わせる順番を入れ替えてもよい
b+a+c=d
足し算(加算)に交換則が存在する点は
スカラーもベクトルも同じ
c+b+a=d
数学の準備
ベクトルの足し算
a+b
d
b
c
a
a
c
b+c
b
(a+b)+c=d
どういう順番で足し合わせてもよい
a+(b+c)=d
足し算(加算)に結合則が存在する点
はスカラーもベクトルも同じ
数学の準備
ベクトルの引き算
c
b
c
a
a-b=c
引かれるほう:終点
引くほう:始点
引くほうを始点にしているのは,
引くほうが基準点として引かれる
ほうとの差を見ているから
b
a
b+c=a
となる c は?
足し算の逆演算
数学の準備
ベクトルの成分表示
y
4
y
4
3
3
2
2
1
a
1
b
0
1
2
3
x
a=(1,2) b=(2,1)
a+b=(1,2)+(2,1) = (3,3)
そのまま成分の足し算
a
b
-1
0
1
2
3
x
a-b=(1,2)-(2,1) = (-1,1)
そのまま成分の引き算
数学の準備
y
4
半径 5 の円弧
3
2
b
1
0
ベクトルの大きさは,成分
を用いて三平方の定理に
より求められる
a
1
2
3
4
5
x
a=(3,4) b=(4,3)
ベクトル aの大きさ |a|=
32+42
=
ベクトル bの大きさ |b|=
42+32
= 25 = 5
25 = 5
数学の準備
ベクトルのスカラー倍
y
4
3
2
a
a
-a
2a
1
b
0
1
2
3
a=(1,2) b=(2,1)
2a=2・(1,2)=(2,4)
2b=2・(2,1)=(4,2)
4
5
x
ベクトルのスカラー倍はベクトル
の大きさを変える
(マイナスは逆向き)
数学の準備
ベクトルの積(内積)
a
ベクトル aとベクトル bの間の内積
θ
例えば,
a・b=|a||b|cosθ
b
|a| = 3, |b| = 4, なす角度θ = 60[deg] なら
a・b=|a||b|cosθ=3×4×cos(60[deg])
=12×1/2 = 6
ベクトルの内積はスカラー量になる
数学の準備
y
4
a=(2,4) b=(2,0)
a
3
|a|=
2
1
0
22+42 = 2 5
|b|= 2
θ
cosθ= 1/ 5
b
1
2
3
x
成分では,
a・b= |a||b|cosθ =
2
5×2×1/
5= 4
a・ b = 2 ・ 2 + 4 ・ 0 = 4
ベクトルの内積は成分どうしの積の和となる
数学の準備
ベクトルの積(外積)
c
ベクトル a とベクトル bの外積 c
c = a ×b
大きさ: |c| = |a||b| sinθ
b
θ
向き: aと bの両方に直交して,
aからbに向かって右ネジが進む向き
a
右ネジ
Coulombの電荷の法則
ベクトル表現

F 

F

r
1
4 e 0
q1 q 2 
r
3
r
:引力/斥力ベクトル
:点電荷間の位置ベクトル
Coulombの電荷の法則
複数の点電荷がある場合

F 

F

ri

i 1
1
4 e 0
q0qi  3
r
i
3
ri
:引力/斥力ベクトル
:点電荷qiから見た点電荷q0の位置ベクトル
演習問題
複数の電荷から受ける力ベクトル
+1 [C]の点電荷
- 1 [C]の点電荷
y
4
y
4
3
3
2
2
1
1
0
1
2
3
x
-1
0
1
2
3
原点(0,0) にある正の点電荷( +1 [C] ) が、他の電荷から受ける電気力
の合力ベクトルを求めよ.
x