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資本論

第四章 貨幣の資本への転化

K R E S T A 京 都 大 学 経 済 理 論 攻 究 会 資 本 論 読 書 会 分 科 会 ひ で シ ス ( @ h i d e s y s ; s h i h o n r o n @ h i d e s y s . n e t ) 1

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第四章 貨幣の資本への転化

• 第二篇 貨幣の資本への転化 • 第四章 貨幣の資本への転化 • • • 第一節 第二節 第三節 資本の一般定式 一般定式の矛盾 労働力の買いと売り 3

第一篇 商品と貨幣を終えて

• 第一篇は、資本主義にでてくる要素の細部紹介 • なので、価値や商品の中に立ち入っての説明は複雑で大変だった • これからはいよいよ資本主義の構造と運動について考察 4

第四章 貨幣の資本への転化 第一節 資本の一般定式

• 「商品流通は資本の出発点」 • • 「商品生産と、発達した商品流通である商業は、資本の成立する 歴史的前提をなしている。」 最後の生産物としての貨幣は、資本の最初の現象形態である • 「歴史的には資本は、土地所有に、いたるところでまず第一に貨幣の 形態で相対する。」 5

第一節 資本の一般定式

• 「貨幣としての貨幣と資本としての貨幣」 • 「ちがった流通形態によって区別される」 • W-G-W • • 単純なる商品流通 買うために売る • • 「単純なる商品流通においては、同一個貨の二度の地位変更が、その一方 の手から、他方の手への決定的移行をもたらした」 • 両極の質的な相違 G-W-G • • • 売るために買う 「同一商品の二度の地位変更は、貨幣の第一の出発点への還流をもたら す。」 では、初めの G と最後の G は、いったい何が違うのか?? 6

第一節 資本の一般定式

• G-W-G なる還流 • • • • • 「一方の貨幣額と他方の貨幣額とが区別されうるのは、一般にた だその量によってのみである。」 つまり、 G-W-G’ であって、 G-W-G+ΔG なのである 「その推進的動機と規定的の目的は、交換価値そのものである。」 「最初に前貸しされた貨幣額プラス増加分」 「最初の価値を超える剰余を、私は ―― 剰余価値 (surplus value) と名 づける」 • ※ W-G-W でも、最初の価値を超えた商品を受け取ることがあるのでは • 「純粋に偶然的なものである。」 • 「それらが等価値であるということは、むしろその正常なる進行の条 件である。」 7

第一節 資本の一般定式

• G-W-G’ が還流であること • 最後の G’ は最初の G への還流である • 「同一の欲望がある」 • 「両者ともに交換価値の限定された表現であり、したがって、両者と もに量の増大によって、富そのものに接近するという同一任務をもっ ている」 8

第一節 資本の一般定式

• G-W-G’ の運動と資本家 • • 「この運動の意識的な担い手として、貨幣所有者は資本家とな る。」 「かの流通の客観的内容 ―― 価値の増殖 ―― は、資本家の主観的な 目的である」 • 資本家=貨幣の人格化 • 「そして抽象的富の取得増大のみが、彼の行動のもっぱらなる推進的 動機であるかぎり、彼は、資本家として、または人身化せられ、意志 と意識とをあたえられた資本として、機能する。」 9

第一節 資本の一般定式

• G-W-G’ の主体が価値であること • 「価値は、たえず一つの形態から他の形態に移行して、この運動 の中に失われることがなく、かくて自動的な主体に転化され る。」 • 「増殖する価値が、その生涯の循環において、かわるがわるとる 特別の現象諸形態を固定すれば、人は、資本は貨幣であり、資本 は商品である、という声明を受取ることになる。 • 「しかし、実際においては、価値はここでは一つの過程の主体と なる。」 10

第一節 資本の一般定式

• G-W-G’ の価値増殖 • 「価値は、あるときは貨幣形態や商品形態を採り、あるときはこ れを脱ぎすてるのであるが、とにかくこの交替の間に自己を保持 し、自己を拡大してゆく。」 • すべての商品は「貨幣からより多くの貨幣をつくるための奇跡的 な手段である」 • 「価値は、いまや、いわば自分自身にたいする一つの私的関係に はいる。」 11

第一節 資本の一般定式

• G-W-G’ の運動による貨幣の資本への転化 • 「こうして、価値は自己過程的の価値となり、自己過程的の貨幣 となる。そしてこのようなものとして、資本となる。」 • 資本と形態 • G-W-G’ は商人資本を表すばかりではなく、産業資本、利子付き 資本も表している • 「産業資本もまた貨幣であって、これは商品に転化され、また商品の 販売によって、より多くの貨幣に再転化される。」 12

第二節 一般定式の矛盾

• 一般定式の矛盾 • 「貨幣が資本に蝋化する流通形態は、商品、価値、貨幣および流 通自身の性質にかんして以前に述べられた、すべての法則に矛盾 する」 13

第二節 一般定式の矛盾

• 商品同士( W-W, W-G, G-W )の全取引は、等しい価値のも の同士で行われる • • 価値・交換価値は増大しない。 • • 混乱が見られる 貨幣所有者または商品所有者の一方が相手を騙して利して取引する構造が あったと仮定しても、貨幣所有者は一方では商品所有者であるし、商品所 有者は一方では貨幣所有者であるので、結局一緒。 交換過程で価値は増大 しない。 • 生産することなく消費だけをする階級を想定したりだとかする人も居る ただし、使用価値は商品所有者にとって増大する。 • • 「使用価値が問題であるかぎり、両交換当事者がともに利益を得ることが できるのは、明らかである。両者は、彼らに使用価値として無用である商 品を譲渡し、使用のために必要とする商品を受取っている。」 「使用価値の点からいえば、「交換は双方が利得しうる取引である」」 14

第二節 一般定式の矛盾

• ※労働者=市民社会の基底、資本家=労働者にとっての 他人である、という解釈を後立てする記述 • 「売り手は商品をみずから生産するか、またはその生産者を代表 している。しかし、買い手も、これにおとらず、その貨幣に表示 されている商品をみずから生産するか、またはその生産者を代表 している。かくして、生産者は生産者と相対する。彼らを区別す るものは、一方が買い、他方が売るということである。」 p209(p282) 15

第二節 一般定式の矛盾

• では、剰余価値はどこから生まれてくるのか?? • • 「流通そのものから、貨幣の資本への転化、剰余価値の形成を説 明することは、不可能なのである」 「資本は同時に、流通の中で発生せざるをえないが、その中で発 生すべきものでもない。」 • 「商品所有者は、その労働によって価値を形成しうる。しかし自 己増殖する価仙を形成することはできない。彼は、一商品の価値 を高める声ことができる。このばあい彼は、現在の価値に新しい 価値を、新しい労働によって付け加えるのである、」 16

第三節 労働力の買いと売り

• 行為 G-W が G’ を生み出す、つまり W は、使用価値が価 値の想像である商品、つまり労働力である。 • 語彙説明 • • • 労働力 労働 労働者 =労働力商品。労働者が働くという契約 =労働力の行使 =自らの労働力を自由に市場へ売りに出す人 17

第三節 労働力の買いと売り

• 「二重の意味での自由」 • 労働者は二重の意味で自由である。 • • 「彼は自由な人格として、自分の労働力を商品として処置しうる」 「彼は他方において、売るべき他の商品をもっていないということ、 すなわち、彼の労働力の現実化のために必要なる一切の物財から、放 免され、自由である」 • 労働者が労働力を売って生活することには歴史性がある • 「この関係は決して自然史的のものでなく、またすべての歴史時 代に共通である社会的の関係でもない。それは明瞭に、先行の歴 史的発展の結果であり、多くの経済的変革、すなわち、永い系列 をなす社会的生産の古い諸形式消滅の産物である、とも言うべき ものである。」 18

第三節 労働力の買いと売り

• 「労働力の価値」 • • 「労働力の価値は、すべての他の商品の価値に等しく、この特殊 なる商品の生産、したがってまた再生産に必要な労働時間によっ て規定される。」 • 労働力の再生産=また労働することができるようになるための、睡眠 と食事、それに必要な家財サービス、そして労働者の再生産である子 どもの養育など 価値に道徳を含む • 「他の商品と反対に、労働力の価値規定は、一つの歴史的な、そして 道徳的な要素を含んでいる。だが、一定の国にとって、一定の時代に は、必要なる生活手段の平均範囲が与えられている。」 19

第三節 労働力の買いと売り

• 労働者は労働力を売らなければ生活できない • いわゆる資本主義への包摂 • 自由に労働力を売れるが、しかし生活のために労働力を売ることが強 制されている • 「この能力が売られないならば、それは労働者にとってなんの役 にもたたぬ。かくては、彼は、むしろ残酷な自然必然性として、 自分の労働能力がその生産に一定量の生活手段を必要としたこと、 また、つねに繰返し繰返しその再生産に必要としていることを感 ずる。かくて、彼は、シスモンディとともに、「労働能力は、 る。」 … もしそれが売られないならば、無に等しい」ということを発見す • しかも、賃金は後払いであるから、労働者は労働力を前売りしている。 20

第三節 労働力の買いと売り

• 「労働力の買いと売りとが、その柵の内で行なわれている流通または 商品交換の部面は、実際において天賦人権の真の花園であった。ここ にもっぱら行なわれることは、自由、平等、財産、およびベンサムで ある。自由!なんとなれば、一商払、例えば労働力の買い手と売り手 は、その自由なる意志によってのみ規定されるから。彼らは自由なる、 法的に対等の人として契約する。契約は、彼らの意志が共通の法表現 となることを示す、終局の結果である。平等!なんとなれば、彼らは、 ただ商品所有者としてのみ相互に相関係し合い、等価と等価とを交換 するからである。財産!なんとなれば、各人が自分たちのものを処理 するだけであるからである。ヘンサム!なんとなれば、両当事者のい ずれも、ただ自分のことにかかわるのみであるからである。彼らを一 緒にし、一つの関係に結びつける唯一の力は、彼らの利己、彼らの特 殊利益、彼らの私的利益の力だけである。そしてまさにこのように各 人が自分のことだけにかかわって、何人も他人のことにかかわらない というのであるから、すべての人々は、事物の予定調和の力で、ある いは万事を心得た神の摂理のおかげで、はじめて彼らのお互いの利益、 共通利益、総利益のために働くことになるのである。」 21