Transcript メディア理論4
電話のメディア理論 ■フィシャーの電話研究 Claude S. Fisher (1992) America Calling : A Socil History of the Telephone to 1940 『電話するアメリカ』(日本版2000) ■吉見俊哉・若林幹夫・水越伸 『メディアとしての電話』1992 電話研究〜1990代から〜 電話がメディアとして研究されだした(教科書84) ・ロネル(1989)『テレホンブック』 ・フィッシャー(1992)『電話するアメリカ』 ・吉見俊哉・水越伸・若林幹夫(1992)『メディアとし ての電話』 ・ポーラ文化研究所(1992)『声』 ・INAXギャラリー『電話』 ・山田登世子(1993)『声の銀河系』 ・富田英典(1994)『声のオデッセイ』 ■クロード・フィッシャー① テクノロジーと社会(的行為)との関係を論じた。 電話 アメリカ人の生 活の変化 すでに先立ってある人びとの生活様式に応じて電話 を使いこなしてきた。慣習的な利用法との連続性 しかし、他方で、強制力も持つ(それまで使う気がな かったのに・・) ■クロード・フィッシャー② 社会的構築主義 何人かの歴史家や社会学者、とくにヨーロッパの 学者たちは、近年、技術変化の非決定性を強調 するアプローチを定式化してきている。22 例:発明家、投資家、競争相手、組織された消費 者、政府機関、メディア、その他の勢力 こうした社会構成主義的なものの見方は、最終的 な消費者を分析の地平に参入させる可能性を開く。 ■クロード・フィッシャー③ 利用者の視点からの発見〜消費者の観点から〜 私たちが研究しなければならないのは、特定の新 しい技術がどのように導入され、採用され、人びと がそれをなんのために使い、テクノロジーが進化 するにつれてその利用がどう変化し、それらを利 用することでほかの行動が変わったか、そして利 用方法のパターンがほかの要素のコンテクストを どう変えていったかなどの諸点である。28 ■クロード・フィッシャー④ なぜ電話なのか? モダニティ・テクノロジー・コミュニティへの関心 空間を超えて旅したり、会話をしたりする能力は、 1850年から1950年の間に根底から変容した。 空間を超えるテクノロジー 電話は社会的接触が爆発的に増加していく様子 を最も明瞭に示している。 ■クロード・フィッシャー⑤ 電話の社会的役割 古典的主張 ①:都市の物理的配置を変えてしまった。 例:ビジネスが郊外へ ②:電話が民主主義を促進する(市民が協力して、 中央当局に管理されない) ■クロード・フィシャー⑥ □フィシャーの関心 ①電話は個人間の関係を拡張したのだろうか? ②地域の絆を弱めてしまったのだろうか? ③変化しやすく、緊張に満ちた「スピーディー」な意 識状態を生んでいる? ■クロード・フィシャー⑦ 電話は敏捷性と緊張をもたらすという主張 ▼ ①落ち着いた気分になれる」という人もいる。 ②ローカリズムのありようを変えない。 場所との結びつきが薄れない。 外へと同時に地元での活動量も増えている。 ■クロード・フィシャー⑧ ③個人主義の傾向を強める 個人主義=公的なコミュニティではなく、個人的な つきあいの世界に参加し、それを評価する。 電話を当初から社交目的でつかっていた。 電話に関する女性の関わり方は、パーソナルなつ ながりを強化するもの 「社交のためのテクノロジー」 今日でも、地元内での通話が圧倒的に多い。 ■『メディアとしての電話』1992① 教科書 3章 2節と3節 見過ごされた電話 例外は藤竹暁 1979 電話がわれわれの生きる社会のなかに構成して いく社会・文化的次元についての、社会学的とも、 人類学的とも、歴史学的とも言いうるような研究 ①テクノロジーとしての電話、 ②システムとしての電話 ③文化としての電話 ■『メディアとしての電話』② メディアに媒介された文化と社会の変容の糸口 ①〈歴史性の次元〉…複製的な文化の原型のひと つ ②〈社会性の次元〉…対面的な出会いとは構造的 に異なる関係性の次元 ③〈現在性の次元〉…新しいメディアがもちらす社 会とメディアとの関係の兆候→技術決定論やユー トピア批判 ■『メディアとしての電話』③ 若林幹夫の電話メディア論 (1)電話が可能にする関係の回路 ・不特定多数の人びとに… ・見知らぬ他人 ・他者への関係の欲望 (2)特異な様式/自律した関係の空間 ・対面的なコミュニケーションにはない… ■『メディアとしての電話』④ 若林幹夫の電話メディア論 (3)電話の身体論 身体的な感覚・ふれあいの感覚・ささやきあい 声と親密性 電話のなかで幻想される身体 他者との交流の欲望 ■『メディアとしての電話』⑤ 吉見俊哉の電話メディア論 (1)社会空間の変容 ・距離を無化… ・対面的な場所…認識の解体 ・非場所的な次元… ・同時的・相互依存的な… ■『メディアとしての電話』⑥ 吉見俊哉の電話メディア論 (2)回線のなかの自己/電話的な自己 ・リアリティ ・他者のまなざしの欠落 ・〈声〉としての自己の構成 ・違和的自己の自律化 ・自己の自己に対する断裂(大澤真幸) ■『メディアとしての電話』⑦ 水越伸の電話メディア論 電気テクノロジーが社会的に具現化する過程 ・ラジオのような電話 ・トランスポーテーションからテレコミュニケーション へ ・電信から電話へ ・19世紀の電気と通信をめぐる社会的想像力 ■個人メディアとしての電話① 1 前史としての電信(81頁) ・テレコミュニケーションの源流としての電信 ・〈オンラインから始まる親密性〉 2 電話=遠隔魔術(84頁) ・〈非在の他者経験〉 ・高山宏のメディア論=魔術としての電話 ■個人メディアとしての電話② 3 声のおしゃべりのメディア特性(88頁) (1)親密さと距離のパラドックス (2)声のリアリティ =〈制限メディア〉=〈他者のまなざしの不在〉 〈メディア的リアリティ〉 〈リアリティの比重反転〉 〈顔という牢獄からの解放〉 ■個人メディアとしての電話③ 4 電話風俗と救済願望(94頁) ・〈出会い系社交メディア〉 ・〈偶発的なコンタクト装置〉 ・救済願望 ・制度空間からの離脱と救済 ■個人メディアとしての電話④ メディア行為の3元図式 ①伝達メディアとしての電話 ②遊びメディアとしての電話 ③救いメディアとしての電話 ■個人メディアとしての電話⑤ 遊びメディアとしての電話(104頁〜) おしゃべり 意味作用のコミュニケーション(中野収) 表出のコミュニケーション(中野収) モノローグ(独白)的な言表行為 〈メッセージの投射〉