ポップカルチャー政策 - 神戸大学大学院国際文化学研究科

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ポップカルチャー政策
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嶋田 淳一
ポップカルチャーとは?
「一般市民による日常の活動で成立する文化」
↓
【文化外交への活用】
•
新たな時代を切り開く最先端の分野
•
広く国民に受け入れられる
•
強い浸透性と等身大の日本の思想を表す
•
経済力等のハードパワーに対するソフトパワーの役割
サブカルチャー
ポップカルチャー
アニメ、漫画、ゲーム、フィギュ
ア、同人誌、コスプレなど
デジタル・メディア
パソコン、PCパーツ、ラジオ、
オーディオなど
若者文化
ファッション、雑貨、アクセサリ
ー、古着、音楽など
生活文化
B級グルメ、カフェ、路上パフォ
ーマンス、演芸など
産業の動向
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•
•
•
世界のメディアコンテンツ市場は約10兆円
GDPに占めるコンテンツ産業の比率は日本
2%、アメリカ5%、世界で3%
テレビ番組、映画、音楽、文学などのコンテン
ツは文化紹介程度にとどまり、輸入超過状態
ゲームやアニメ政策を集中する韓国など、ア
ジア諸国の追い上げが激しい
国内市場の特徴
「ジャンルの細分化と多様性」が最大の特徴!
漫画
ジャンルが非常に多い、雑誌の専門性、漫画表現の広い浸透
アニメ
アメリカ:ハリウッド制作の劇場向けがメイン
⇔日本:テレビ放送が中心、連続長編や大人向けアニメが多い
ゲーム
独自キャラのゲーム化から、キャラクターを漫画やアニメやおも
ちゃへとマルチユースする、メディアミックスの手法が主流
クロスするメディア
コミックス
イベント
消費者作成メディア
単行本
公式ファンガイ
ド
etc
店頭フェア
出版社イベント
キャラ系商品
展示イベント
同人誌即売会
アトラクション
同人誌
同人ソフト
コスプレ
ブログ
SNS
匿名掲示板
無料動画共有サイト




公式サイト、着うた
モバイルゲーム
ケータイコミック
ケータイ小説
フリーペーパー
Web
ライトノベル
攻略本
設定資料集など

ラジオ
公式サイト
電子コミック
動画配信
ネットオークショ
ン
web通販

CD
主題歌CD
ドラマCD
イメージアルバ
ム
サントラ

キャラクターグッズ
文房具、ポスターなど
トイ、フィギュア、プラ
モ
アパレル、コスプレ衣
裳
ガチャポン
食玩
コミック誌
ゲーム誌
アニメ誌
ライトノベル専門誌
etc

書籍
コンテンツ
モバイル
雑誌

ゲーム
コンシューマー
パチンコ、パチ
スロ
アーケード
PCソフト

AM/FM
デジタルラジオ
有線放送
ネットラジオ

アニメ
地上波
UHF
OVA
衛星放送
映画
DVD、ブルーレイ

ベンチャーと大手資本
ポップカルチャー産業はベンチャー色が強い
•
•
•
ゲーム産業は146社が存在、うち45%が資本金1000万未満
アニメ産業は437社のプロダクション、約5000人のクリエイター、約
500人の監督がひしめき合う
従来は装置産業色が強かったが、デジタル化による装置コスト減少
↓↓↓
漫画、アニメ、ゲームはクリエイターの想像力を基本とするため、
多数の個人クリエイターが競合。企業家精神が国際競争力を
支えている!
それに対して・・・
大手資本会社の支配
•
•
•
•
これらの流通を扱う映画、放送、パッケージ出版、通信など
は、大手資本による寡占に近い産業構造
マスメディアに属するプロデューサーがクリエイターのマネジ
メント、資本作り、流通、回収、分配にあたる
しかしこれは、ビジネスが流通に支配される構造を生み、制
作側がハイリスクローリターンに苦しむ状況に
マスコミが日本の閉ざされた市場でのみビジネス展開
クリエイターに国際的活躍の才能が育っているにも関わらず、
それを世界ビジネスとして成功させるプロデューサー層が薄い!
文化社会的背景
•
近代以降、欧米から技術が導入され、独自の開花をみせる
•
日本の物語作りや表現方法
→庶民中心。誰もが絵を描き表現する土壌
•
優れた作家を輩出するメカニズム<オーディエンス層の厚さ
•
子供から大人までの社会が未分化
→子供も大人もみんな漫画やアニメを読む!
•
日本の漫画、アニメ、ゲームのコアなマニアをオタクと定義
→オタクの作り出した文化がひとまとまりの市場を形成
オタクって何?
文化の担い手、オタク
コミックマーケット(コミケ)
•
世界最大の同人誌即売会
•
アニメや漫画作品の二次創作物
•
ヒット作品のパロディやコスプレなどの文化生む
•
•
来場者は全て「参加者」と呼ばれ、消費者と生産者
の両方でマーケットを形成している
先行市場の創造と、クリエイター予備軍の創出とい
う機能
オタクは死んだ?
オタクの「グローバル化」
•
映画「電車男」(2005)等メディアによるオタクの認知
→オタクに対する偏ったイメージ
•
オタク的コンテンツのターゲット拡大
Ex)パチンコ業界参入、音楽との融合
→周辺層の取り込み、ライトオタクの増加
どこまでがオタクと言えるかの線引きが曖昧になる!
デジタル化の進展
•
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•
•
デジタル放送、ブロードバンド、モバイルなどメディアの多様
化
市場の世界化、投資のオープン化、立地分散促進
しかし、ポップカルチャー産業はむしろ縮小化(不正コピーの
横行)、ただし通信インフラ産業は成長
ファイル圧縮化の動き
→BitTorrentやIRCチャンネルでの共有
ライブストリーミング放送
日本アニメ等のファンサブ活動
プロからアマへ
•
デジタル化により、誰もが情報を共有、生産することを可能に
•
従来のコンテンツ:少数のプロが制作
→身近な人とのコミュニケーション、つまり素人のコンテンツに経済的
な魅力を感じる
→誰もが情報を生産し発信するP2P型社会へ移行
ex) mixi、twitter、facebook、2ちゃんねる
•
コンテンツのダウンサイジング化
→映像や音楽の表現がセミアマにも広がる
ex)YouTube、ニコニコ動画、ボーカロイド
ポップカルチャー政策の問題
総合政策
•
コンテンツ政策は産業、文化、技術、教育等にわたり、横断
的な性格を持つ
•
進行すべき対象と規制すべき対象の混在
•
「産業の拡大」、「誰もが安心して楽しめる」バランス
•
国家戦略としての総合政策は未だ形成されていない
→アメリカのハリウッド映画の国家戦略産業化に習うべきか?
長期政策
•
•
ポップカルチャーの内側からの評価・展開、産業競争力の持
続のメカニズムが確立されていない
関連産業への財政・税制支援は効果的か?
→暴力・性表現も受容する社会状況への認識を強めるべき
•
産業界対応だけでなく、広く国民全体を対象とする強化施策
想像力と表現力の底上げ
•
ファイナンス手法の充実など政策産業の基盤拡充
•
著作権処理や通信・放送制度など流通構造の改革
•
人材の強化施策
クリエイター育成の大学や研究所、
プロデューサーなどマネジメント層の人材養成のための大学院
•
国民の底上げ
学校教育、地域、家庭など多様な場での鑑賞、創造、表現の場をつくる活動
ポップカルチャー政策の課題と論点

日本のアニメや漫画の底流にある感性、思想への理解
→アニメ、漫画の関心から日本そのものの関心へ!

ポップカルチャーの底流にあるオタク文化への理解
→万人受けするコンテンツvsコアなオタクを満足させるコンテン
ツ
「日本のアニメや漫画などのコンテンツは文化的・経済的に
どれだけ支援されるべきなのだろうか?」
「日本のアニメ、漫画業界は世界の中心で居続けることが可能
だろうか?」
参考文献及びURL
外務省HP:「ポップカルチャーの文化外交における活用」に関する報告(11/14最終閲
覧)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shingikai/koryu/h18_sokai/05hokoku.html
「メディア別にみた世界のコンテンツ市場」(11/14最終閲覧)
http://www.humanmedia.co.jp/database/sample.html
特集 世界に羽ばたく日本のポップカルチャー―クールジャパンから発信される地域
の魅力『自治体国際化フォーラム』242 自治体国際化協会(2009-11)
ポップカルチャー政策概論、中村伊知哉、2003(11/14最終閲覧)
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/pdp/04p008.pdf
ありがとうございました!