Transcript 3.全体の陰陽
東洋医学研究会 A. 陰・陽 1.「傷寒論」における陰陽の背景 2.病気の時期と治療方針 3.全体の陰陽 4.部分の陰陽 5.中医学と日本漢方 1.「傷寒論」における陰陽の 背景 ■陰陽・・・古代中国の自然哲学 人体では、二つの相反する事象がバラン スよく調和することで正常の運行がなさ れる。そのバランスが乱れると病気にな る。このような発想で病人を陰と陽にわ け、治療方針も陰と陽に整理した。この ような形で現在の漢方医学が発達してき た。 →病態を陰と陽にわけることが診断の第 1.「傷寒論」における陰陽の 背景 日本漢方における陰陽は『傷寒論(しょう かんろん)』における陰陽を基本的な概念 としている。簡潔な条文と記載された方 剤の優秀性が日本では支持されて、独自 の陰陽の概念を形成した。 2.病気の時期と治療方針 ■陽証・・・気血が十分にあり、病邪に対 する 闘病反応が積極的な時期 ■陰証・・・気血が不足気味で、病邪に対す る 病態 気血 顔色 体温 闘病 他感 温熱 尿の 反応 覚冷え 危惧 色 闘病反応が沈滞気味な時期 陽証 熱性 充分 活発 良 上昇 無、弱 好まず 濃い 陰証 寒性 不足 停滞 不良 低下 強 好む 透明 3.全体の陰陽 ■日本漢方の特徴・・・「傷寒」(腸チフ ス)などの急性熱疾患の治療マニュアル 『傷寒論』の病態の経時的変化を慢性疾患 に応用したという点にある。 急性疾患・・・手術等の一時的な治療で 完治しやすい疾患。怪我、感染症、急性 ○○炎等 慢性疾患・・・回復まで時間がかかり、 完治しにくく、長期間の治療が必要な疾 患。高血圧、糖尿病、高脂血症、高コレ 3.全体の陰陽 ■傷寒(腸チフス)とは何ぞや 腸傷寒也叫傷寒,是由傷寒桿菌引起的急性全身性伝染病,主要経水及食物伝 播。病人及帯菌者従大小便中拝菌,恢復期的病人拝菌可持続約2-6周,少数病 人拝菌可達1年以上,対健康人是很大的威脅。若水源或食物被汚染,同飲一源 之水或同食一源之食的人有可能発生爆発流行,不分年齢大小均可発病,若母 親患傷寒也可通過接触伝染給新生児。2歳以下患病較少,夏秋両季発病多。 つまり 食中毒を起こすサルモネラ菌の一種であるチ フス菌が、水・食物などを介して、人体内に入 り込み、発病する感染症。発熱、頭痛、寒気、 便秘、徐脈などが起こる。途上国ではよくある 病気で、子供がかかると非常に負担が大きく 、海外旅行へ行く際には注意されたし。 3.全体の陰陽 ■六病位・・・病態の経時的変化。陽証、 陰証の病期をそれぞれ3分割したもの。 太陽 陽明 少陽 太陰 少陰 厥 陰 軽←ー陽証ー→ ←ー陰証ー→重 3.全体の陰陽 ■傷寒の病期は慢性疾患の病期に似てい る? 3.全体の陰陽 ■日本漢方の流派・・・処方や慢性疾患に対 する診断が異なる。 • 古方派・・・慢性疾患に対しても漢代以 前の処方を用いる。診断はシンプルで、 病気の症状とそれに対応する漢方処方が 明確。 • 後世方派・・・慢性疾患に対しては漢代 以降の処方を用いる。診断は複雑。 • 折衷派・・・上2つのあわせ技。 4.部分の陰陽 ■中医学では「陰陽」は病期以外にも用い る 人体の機能面、活動エネルギー・・陽気 体液などの物質成分・・陰液 例)腎虚証・・腎(泌尿排泄機能)の衰えた 状態。 5.中医学と日本漢方 ■中医学とは何ぞや 中国に伝わる伝統医学。 『黄帝内経』、『神農本草経』、『傷寒論』な どに基づく。 整体観・・人体は内部でもさまざまな部 位が影響し合っている有機的な存在。 弁証論治・・病気の原因や発病のプロセ スを分析して証を決定し、それにあった 適切な治療法を選ぶ。 5.中医学と日本漢方 ■後世方派とは何ぞや 室町時代に中国(元・金時代)の医学が日本 に伝来。 このころ成立したのが後世方派。 伝えたのは中国に留学した田代三喜(たしろ さんき、1465-1537)。 『黄帝内経』や『傷寒論』の時代の中医学や 『金元医学』がごちゃ混ぜになって伝わった 。 陰陽五行論などの医学理論を重視。 5.中医学と日本漢方 ■古方とは何ぞや 後世方派が陰陽五行論に基づく議論に熱中 するあまり、難しい理屈をこねるのが優秀 な医師とされ、理屈のこねあいが流行った 。 中国で明・清代になると臨床経験に基づく 『傷寒論』、『金匱要略』への回帰が叫ばれる 。 江戸時代の日本でも同じ動きが。「理屈で は病気は治らない」「傷寒論最高」等の主 張。 終 ■参考文献・・・例の本 ■参考URL 漢方医学の基礎理論と現状 www.yukon.co.jp/kiso/ 中医学Q&A www.chuui.co.jp/qa/ 日本漢方のお話 http://aeam.umin.ac.jp/siryouko/yamadako uin.html#anchor20323